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第1話「入学・対面編Ⅰ」
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2071年、日本にテロが多発したのはこの時からだ。無差別に多くの人達がテロリストに殺された。政府は近い日本の将来を若者達に託した。
2076年春。桜並木の道の先にその学園はある。学園の名は真豊学園。日本で唯一の政府認定の戦闘及び政府の職員を育成する高校である。まさに、今日は開設二期目になる生徒達の入学式である。
俺(ここでは柊としよう)が入学式会場についた時にはほとんどの入学生が席についていた。柊は二階にあるC課専用の席に座る。
「柊、もう来てたんだ!おはよ!」
隣に座ってきたのは幼なじみで同じC課の男子生徒。神業影人(しんごうかげと)である。綺麗な顔たちの美青年である。
「いや、今来たところだ。まぁ、A課に比べれば俺達はこの式では観客同然だがな」
「ははは…。それもそうだよね」
この学園には、A、B、Cの3課がある。A課は優等生、B課は普通生、C課は劣等生で区別されている。A課は学園に優遇されているが、C課は冷遇の域である。
「これより、入学式を執り行う!入学生式辞、入学生首席、科宮緋月!」
舞台上に上がるのは今季入学生の首席を誇る女子生徒。銀髪の長い髪が風で揺れている。首席ということは学力と体力に関してトップレベルということだ。
「すごく綺麗な人だね!」
「ん、そうか?」
そんな中科宮のスピーチは始まっていた。
「正直、私はA課以外は不要だと思います。力こそが正義であると思います。力のないものが戦っても死んで無駄に命を使うだけだと思います。余談になりましたが終わります。」
科宮の言葉で会場内が大波乱となる。B、C課の生徒は立ち上がって科宮に野次を飛ばす
「あの一言は流石にないよね…。首席が言うとなにも言えないけど。」
「そうか?あれが正論だろ?例えば、A課とC課が本気で戦争をしてもC課に勝ち目はないに等しい。」
「それじゃ、あまりに僕らは報われないよね」
一対一なら分からないけどな…」
そのセリフは神業の耳には届いてはいなかった
大波乱の入学式も終わり、C課3組の教室へと向かう。柊と影人が着いた時には全クラスメイトが揃っていた。
「柊、僕らの席は一番後ろだよ!」
2人1組式のテーブルに柊と影人は座る。すると前の席の男子生徒が話しかけてきた。
「よーう!よろしくなー!俺は斑式レイガー帝太だ!レイガーと呼んでくれ!」
茶髪で鋭い目つき。座っていても背が高く筋肉が付いている事は一目で分かるほどのフィジカルの持ち主だ。
「俺は風桐 柊だ。よろしく頼む」
「僕は神業 影人!柊とは幼なじみなんだよね!よろしく!」
「ところであの集団はなんだ?」
クラスの一番右の後ろの席にクラスの大半の生徒が集まっている。よく見るとその群れの殆どが男子生徒である。
「あー!あれね。ラグリナス国の王女様が同じクラスだもんな!男子の格好の的だろうよ!」
「えぇ!!すごい!ラグリナスと言えば北部の大王都だよね!?」
「文明に栄えた王都だろ?逆に王女なのにC課とはな……」
そうこうしてるうちにC課3組(C3)の担任の先生が入ってきた。黒髪ロングヘアの童顔で小柄な先生だ。
「私が担任の雨雲 葉月(あまぐも はづき)だ!政府軍の中将としてこのクズクラスをA課に勝るクラスににするのが私の目的だ!よろしくな!」
知っていた…。この先生の厳しさはこのクラスの全員がよく知っていた。政府軍戦闘員中将で鬼教官としても名を馳せている有名人である。
このクラスの代表者は風桐、お前がやれ。拒否権はない」
「了解しました。雨雲先生。」
代表者とはクラスのまとめ役であり担任の補佐を行う重要な役割である。
「風桐、午後からある代表会は参加したまえ。以上だ」
「了解」
あっさり了承するのもかしこまったりするのにも、この先生が厳しいということ以外にもいくつかの訳がある。経歴上この人には頭が上がらないのだ。
入学式ということもあり、午前で生徒達は学内にある寮にへと帰っていく。
柊はもうすぐではじまる代表会に参加するために本館5階にある議会ルームに来ていた。
まわりがざわつき出すのを同じくして、5人の生徒が入ってきた。全員が腕に生徒会組織の腕章を付けている。そして、5人は中央の一番前の席に腰を下ろした。
生徒会長と表示されている席に座ったのは黒髪ロングの女子生徒。とても綺麗でかわいいというよりは美人の方である。その右横に男子生徒が2人、左横に女子生徒が2人座っている。
「これより、今年度一回目の代表会を行います。今から私達生徒会で新入生の代表の顔と名前を確認しにいくので静かにお待ちください。」
会長を除いたよ人が一斉に新入生の元をまわる。もちろんA課が優先である。退屈なので柊は窓の外に目をやる。外では今にも《天承》(精神物理型特殊能力)を用いた乱闘が起きようとしている。
「やれやれ…。」
柊は手のひらに精神を集中させる。都合のいいことに近くには誰も座っていない。
「ゼロ式ノイズ」
数100メートルは離れている乱闘の起こっている場所に手のひらをかざす。そして、普通の人の肉眼では捉えられない強力な音波を流し込む。
二秒もすると音波が伝わり乱闘を起こそうとしていた2人の人たちは手首を抑えて膝まづいた。この技「ゼロ式ノイズ」は非戦闘型処理能力の一つであり戦闘を未然で抑止する高度な技の一つである。使用範囲は肉眼で完璧に捉えきれる位置すべてととても性能がいい。
いつの間にか目の前には生徒会長が立っていた。見てわかるように驚いた顔で柊を見ている。「ゼロ式ノイズ」を使用する一部始終を見られてしまったのだろう。
「き、きみ……今のってゼロ式ノイズよね!?A課の技術でも発動不可能の高度な技のはず!なのにあなたは今それを用いた……。あなたは一体?」
「C課の一生徒ですよ。それ以上でもそれ以下でもありません。」
「C課3組の風桐柊くんね。これから面白くなりそうね。」
そう言い残すと再び生徒会長は前の席にへと戻っていった。この間に首席の科宮の視線が向けられていたことなど知る余地もなく……。
つづく
2076年春。桜並木の道の先にその学園はある。学園の名は真豊学園。日本で唯一の政府認定の戦闘及び政府の職員を育成する高校である。まさに、今日は開設二期目になる生徒達の入学式である。
俺(ここでは柊としよう)が入学式会場についた時にはほとんどの入学生が席についていた。柊は二階にあるC課専用の席に座る。
「柊、もう来てたんだ!おはよ!」
隣に座ってきたのは幼なじみで同じC課の男子生徒。神業影人(しんごうかげと)である。綺麗な顔たちの美青年である。
「いや、今来たところだ。まぁ、A課に比べれば俺達はこの式では観客同然だがな」
「ははは…。それもそうだよね」
この学園には、A、B、Cの3課がある。A課は優等生、B課は普通生、C課は劣等生で区別されている。A課は学園に優遇されているが、C課は冷遇の域である。
「これより、入学式を執り行う!入学生式辞、入学生首席、科宮緋月!」
舞台上に上がるのは今季入学生の首席を誇る女子生徒。銀髪の長い髪が風で揺れている。首席ということは学力と体力に関してトップレベルということだ。
「すごく綺麗な人だね!」
「ん、そうか?」
そんな中科宮のスピーチは始まっていた。
「正直、私はA課以外は不要だと思います。力こそが正義であると思います。力のないものが戦っても死んで無駄に命を使うだけだと思います。余談になりましたが終わります。」
科宮の言葉で会場内が大波乱となる。B、C課の生徒は立ち上がって科宮に野次を飛ばす
「あの一言は流石にないよね…。首席が言うとなにも言えないけど。」
「そうか?あれが正論だろ?例えば、A課とC課が本気で戦争をしてもC課に勝ち目はないに等しい。」
「それじゃ、あまりに僕らは報われないよね」
一対一なら分からないけどな…」
そのセリフは神業の耳には届いてはいなかった
大波乱の入学式も終わり、C課3組の教室へと向かう。柊と影人が着いた時には全クラスメイトが揃っていた。
「柊、僕らの席は一番後ろだよ!」
2人1組式のテーブルに柊と影人は座る。すると前の席の男子生徒が話しかけてきた。
「よーう!よろしくなー!俺は斑式レイガー帝太だ!レイガーと呼んでくれ!」
茶髪で鋭い目つき。座っていても背が高く筋肉が付いている事は一目で分かるほどのフィジカルの持ち主だ。
「俺は風桐 柊だ。よろしく頼む」
「僕は神業 影人!柊とは幼なじみなんだよね!よろしく!」
「ところであの集団はなんだ?」
クラスの一番右の後ろの席にクラスの大半の生徒が集まっている。よく見るとその群れの殆どが男子生徒である。
「あー!あれね。ラグリナス国の王女様が同じクラスだもんな!男子の格好の的だろうよ!」
「えぇ!!すごい!ラグリナスと言えば北部の大王都だよね!?」
「文明に栄えた王都だろ?逆に王女なのにC課とはな……」
そうこうしてるうちにC課3組(C3)の担任の先生が入ってきた。黒髪ロングヘアの童顔で小柄な先生だ。
「私が担任の雨雲 葉月(あまぐも はづき)だ!政府軍の中将としてこのクズクラスをA課に勝るクラスににするのが私の目的だ!よろしくな!」
知っていた…。この先生の厳しさはこのクラスの全員がよく知っていた。政府軍戦闘員中将で鬼教官としても名を馳せている有名人である。
このクラスの代表者は風桐、お前がやれ。拒否権はない」
「了解しました。雨雲先生。」
代表者とはクラスのまとめ役であり担任の補佐を行う重要な役割である。
「風桐、午後からある代表会は参加したまえ。以上だ」
「了解」
あっさり了承するのもかしこまったりするのにも、この先生が厳しいということ以外にもいくつかの訳がある。経歴上この人には頭が上がらないのだ。
入学式ということもあり、午前で生徒達は学内にある寮にへと帰っていく。
柊はもうすぐではじまる代表会に参加するために本館5階にある議会ルームに来ていた。
まわりがざわつき出すのを同じくして、5人の生徒が入ってきた。全員が腕に生徒会組織の腕章を付けている。そして、5人は中央の一番前の席に腰を下ろした。
生徒会長と表示されている席に座ったのは黒髪ロングの女子生徒。とても綺麗でかわいいというよりは美人の方である。その右横に男子生徒が2人、左横に女子生徒が2人座っている。
「これより、今年度一回目の代表会を行います。今から私達生徒会で新入生の代表の顔と名前を確認しにいくので静かにお待ちください。」
会長を除いたよ人が一斉に新入生の元をまわる。もちろんA課が優先である。退屈なので柊は窓の外に目をやる。外では今にも《天承》(精神物理型特殊能力)を用いた乱闘が起きようとしている。
「やれやれ…。」
柊は手のひらに精神を集中させる。都合のいいことに近くには誰も座っていない。
「ゼロ式ノイズ」
数100メートルは離れている乱闘の起こっている場所に手のひらをかざす。そして、普通の人の肉眼では捉えられない強力な音波を流し込む。
二秒もすると音波が伝わり乱闘を起こそうとしていた2人の人たちは手首を抑えて膝まづいた。この技「ゼロ式ノイズ」は非戦闘型処理能力の一つであり戦闘を未然で抑止する高度な技の一つである。使用範囲は肉眼で完璧に捉えきれる位置すべてととても性能がいい。
いつの間にか目の前には生徒会長が立っていた。見てわかるように驚いた顔で柊を見ている。「ゼロ式ノイズ」を使用する一部始終を見られてしまったのだろう。
「き、きみ……今のってゼロ式ノイズよね!?A課の技術でも発動不可能の高度な技のはず!なのにあなたは今それを用いた……。あなたは一体?」
「C課の一生徒ですよ。それ以上でもそれ以下でもありません。」
「C課3組の風桐柊くんね。これから面白くなりそうね。」
そう言い残すと再び生徒会長は前の席にへと戻っていった。この間に首席の科宮の視線が向けられていたことなど知る余地もなく……。
つづく
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