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98. キャロット
しおりを挟む俺は、奴隷紋を解除する為に、一旦、マール王国に戻る提案をしたが、サクラ姫は、このまま俺の奴隷のままで良いと言ってきた。
どうせ、目の前の都市に入る訳で、本物の奴隷紋が右手に刻まれてたら、誰も自分の事をマール王国第2王女サクラ・フォン・マールと気付かない筈だからと、押し切られてしまった。
てな訳で、サクラ姫は、バツーダ帝国に侵入してる間は、ずっと俺の奴隷として過ごす事となってしまったのだった。
だけれども、奴隷になったサクラ姫は、本当に嬉しそう。
「これで、身も心も全てトトのものになって嬉しい!」
本当に、サクラ姫って王女様?
やはり、王女としてはちょっと変わっている。
ネズミになってしまったアマンダさんは、サクラ姫のペット枠として落ち着いた。
確かに、奴隷ならネズミをペットにしてそうだし。
そして、それをご主人様に見つかって、折檻されてしまうのだ。
そんな妄想は置いといて、俺達は、バツーダ帝国の都市に潜入する。
都市に入るには身分証が居るでしょ?
そんなのナナミさんが偽装してくれた。
よく分からんが、俺達は旅の商人となったみたい。
商人ギルドの偽ギルド証を、俺はナナミさんに渡された。
そして、ナナミさんは俺の妻枠。
しかも、ナナミさんは、正真正銘の商人ギルド証を持ってるし。
権蔵爺さんが、マール王都に店を構えるにあたり、ナナミさんもついでに商人ギルドに登録してたらしい。
しかも、何故かプラチナカード。
商人ギルドは、ギルドに貢献した人のランクが上がるシステムらしく、ナナミさんは、自分が使わない貴重なストックしてた素材を商人ギルドに少し売ったら、その場でプラチナカードを貰えたらしい。
本当に、何を売ったら、登録したその日にプラチナカードを貰えるか謎である。
因みに、俺はシルバーカードね。
この偽シルバーカードを使って、お金を商人ギルドに預ける事も出来るとか。
偽物なのに、本当に、ナナミさんの技術は凄過ぎる。
多分、他人のギルド証を偽装して、勝手にお金を引き落とす事とかも出来ると思うし、その気になれば、ナナミさんは億万長者にも簡単になれてしまうのだ。まあ、その代わり泥棒になっちゃうのだけど。
そんなこんなで、俺達は、バツーダ帝国の結構大きめな都市に入った。
都市の名前は、キャロットと言うらしい。
何でも、元は兎の獣人の国だったみたいだ。
住人の殆どがウサ耳の獣人。中には、本当の兎みたいなモフモフの獣人も歩いている。
何だか、大きな兎が歩いてるのはシュール。
どうやら、獣人だからといって、全てが奴隷ではないようだ。
まあ、結構、奴隷は居るのだけど。
キャロットは、20年前に、バツーダ帝国に敗れて、バツーダ帝国に吸収合併されたとか。
そんでもって、他の獣人の種族より、キャロットのうさぎ獣人は、優遇されてるとか。
だって、見た目が可愛らしいから。
バツーダ帝国に住む人族に大変人気で、愛玩奴隷にされてるとか。
優遇されてると言っても、そこは人族至上主義のバツーダ帝国。
やはり、人族が一番偉く。兎獣人は、人族に対してヘコヘコへりくだりながら生活している。
「旦那さん。可愛い奴隷を飼ってますね。可愛らしい洋服も着て、清潔にしていらっしゃる。
どうです?一つ私を買ってみませんか?めちゃんこ奉仕しますぜ!」
キャロットの街を歩いてたら、そのまんま兎の獣人が話し掛けてきた。
デッカイ縫いぐるみみたいで、めちゃくちゃ可愛らしいのだが、俺は男の獣人を飼う趣味はない。
モフモフしてみたいけど、男だと分かってたらね……
暫く観察して分かったのだけど、兎の獣人は、男子はまんま兎を大きくしたような獣人になり、女子は兎耳の獣人になるようである。
なので、大きな兎は、全員、男子。
俺は、男子に抱きつく趣味はないのである。
それにしても、兎獣人は、愛玩ペットのような扱いに慣れきってしまっている。
自分達の可愛らしさを良く分かっていて、それを利用してるのだ。
奴隷にされてエロい事をされてしまうかもしれないけど、他の種族のように重労働させられたり、戦争に駆り出されたりしないようである。みんな楽しそうに生活してるし。
そして、俺たちが入ったのは、人族が経営してる宿。
まあ、殆どの店は人族が経営してて、従業員はみんな獣人。
可愛い兎の獣人が世話してくれるのが売りなのだとか。
オプションで、夜の世話もしてくれるとも言っていた。
キャロットに来るバツーダ帝国の人々は、大体がそれ目的らしい。
見てみると、従業員は全て右手に奴隷紋が刻まれている。
兎獣人にとって、働くイコール奴隷になる事なのかもしれない。
そう考えると、ちょっと悲しい。
兎獣人の他の奴隷より良い所は、完全にバツーダ帝国から保護されてる所。
キャロットの街に居る場合だけ、最低限の衣食住は保証されてるのだとか。
だけれども、最低限の衣食住だけ。
そこから早く脱出したくて、キャロットに住む兎獣人は、奴隷になる事を望むとか……良く出来たシステムである。
「バツーダ帝国に侵略されてしまうと、このようになってしまうのですね」
部屋に通されるとサクラ姫は、喋り出す。
「だな。ある程度の自由は保証されてるみたいだが、もう、人としてのプライドとか尊厳とかは皆無だな。
基本、兎獣人の仕事は、人族の愛玩具になる事みたいだし……」
「マール王国を、このような国にする訳にはいきません!」
サクラ姫は、珍しく熱く語った。
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