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169. ドえらい城
しおりを挟む俺とリーナは、ドエラ・ムッキーラの素材をナナミさんと、権蔵爺さんに渡すと、次の日、再び、魔族領に訪れた。
何故か、人族からの防衛の最前基地であるドエラ砦には、1人の魔族も居なかった。
きっと、昨日起こった竜巻被害から逃れる為に、全員避難したと思われる。
まあ、竜巻と言っても、実際は、俺の必殺技、リーナが名前を付けてくれた『疾風竜巻血祭り斬り』を放っただけなんだけどね。
多分だが、魔族領は、人族領と違って自然災害対策が、しっかり行われてると思われる。
まあ、魔族領にスパイに来た俺達にとっては、丁度良いのだけど。
無人のドエラ砦を、隅々まで調べられるからね。
魔族領の前線基地で、人族から魔族領を守る最重要の砦を、誰にも邪魔されず、隅々まで調べられチャンスなんて二度と訪れないと思うから。
(実際は、ドエラムッキーラ100匹の大群を、たった2人で皆殺しにしてしまった人族に恐れを成して、魔族達は避難してるだけ。
トト・カスタネットと、妹リーナは、その事に全く気付いてない)
なので俺とリーナは、本格的なドエラ砦の調査を始めたのだ。
俺とリーナの調査は、凄いよ。なんてたって、俺には『握手』スキルと、それに派生する何百もある派生スキルを持ってるのだ、それを使えば、その辺のスパイを越える調査もお手のもの。
妹リーナも、『お手伝い』スキルを発揮して、俺以上の調査も出来ちゃうし。
俺なんか、この砦には、飲み水を確保する井戸が足りないと思い、思わず、得意の井戸を掘ってあげちゃったし。
まあ、敵の砦に井戸を掘ってあげるのはどうかと思ったけど、人道的な観点から言うと、やっぱり井戸は居るでしょ!
それから、ドエラ砦は、防衛だけを考えた無骨な砦だと思ってしまったので、思わずリフォームまで始めてしまった。
俺は、ナナミさんほどじゃないけど、ノコギリやトンカチを持つと、その道のプロになれる派生スキルを持ってるんだよね。
なので、足りない物を見ると、思わず作ってあげたくなっちゃう性分。
リーナも、俺のお手伝いしたい欲求が勝ってしまったのか、魔族の砦だというのに、ドエラ砦の大リフォームにのめり込んでしまっているし。
元々、母親のリカコさんに似て、家事とか手を動かす仕事が大好きなのだ。
小さい頃なんかは、というかリーナはまだ小さいのだけど、俺の井戸掘りなんかを勝手に手伝ってたから、汚れる事も全く厭わない。
なので、俺とリーナは、魔族が戻ってくる気配が全く無い事を良い事に、ドエラ砦の大リフォームをして上げたのだった。
それにしても、リフォームは本当に楽しい。
いつもはナナミさんの仕事だから手を出さないでいたが、俺もどうやら、建築やリフォームが好きみたい。
いつの間にか、ただの無骨な砦がメルヘンチックなお城になってるし。
これは、どう考えてもリーナの趣味。
俺は、もっと違うデザインを考えてたのだが、ほら、リーナの【手伝い】スキルって、近くに居る自分が大好きな尊敬する人のスキルを、その人以上に発揮するスキルじゃない。しかも今のリーナの【手伝い】スキルのレベルは、大量のドエラムッキーラを倒した事によって、まさかのLv.92に達してしまってるのだ。
なので、俺の【握手】スキルの約9倍のスピードで作業出来ちゃう訳。
だから分かるよね。
俺が作ろうと頭の中で描いてたドエラ砦の設計図が、リーナの意味の分からない手の速さにより、リーナが頭の中で思い描くドエラ砦の設計図に書き換えられちゃった訳。
俺の9倍のスピードって、本当にヤバいよ。
俺と一緒に居る時だけは、ナナミさんも、元武蔵野国三賢人の1人権蔵爺さんを越えちゃうんだから。
そんな訳でリフォームというか、建てちゃったよ。
メルヘンチックなドエラ城!
本当に、どえらい城になってしまった。
多分だが、魔王城を越えてるのは間違い無い。
これで、魔王軍も人族からの進行を、この堅牢なドエラ城で食い止められるだろう。
人族側にとっては良い事か分からないけど、俺としては、魔族に酷い事された事、一度もないから良いよね。
まあ、人族から魔族領を守る筈の砦が、メルヘンチックな白亜のお城なのは、どうかと思うけど。
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