無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!

飼猫タマ

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174. 初めてのクエスト

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「凄い!凄いです!リーナさん!」

 取り敢えず、ミカーワ冒険者ギルドの戻り、冒険者カウンターの上にエンペラーカマキリのデカイ頭部を乗せたら、リーナ担当のダイラ嬢が大喜び。

 どうやら素材も高く売れるらしく、魔法の鞄から部位ごとに切り分けられたエンペラーカマキリを見たら、ダイラ嬢は、失神寸前だった。

 エンペラーカマキリの鎌は、武器の素材に、羽はガラス代わりになるらしい。勿論、身は魔族の食料になり、カマキリ系の魔物の身は、白身で美味しくて人気なのだとか。依頼金もたんまり貰ったのだが、魔王領でしか使えないお金なので、人族領では使えない。

 だけれども、同じ金貨や銀貨なので、溶かして、素材として売れば問題ないだろう。
 お金を溶かして売ってよいか知らないけど。

 リーナも、無事、初めてのクエストを完了して嬉しそう。

 リーナって、元々、人の役に立つ事をやりたい性格なんだよね。
 それで『手伝い』スキルを得た訳で。今回は、俺や母親のリカコさん以外の人々に、初めて役立つ事をした訳で。リーナが興奮しない訳ないのである。

「お兄ちゃん!私、やったよ!」

「そうだな。初めてのクエスト、リーナは頑張ったと思うぞ」

 俺は、嬉しそうに喜ぶリーナの頭をヨシヨシしてやる。

「流石はリーナ様!このミカーワ冒険者ギルド唯一のプラチナ冒険者でございます!
 引き続き、このプラチナレベルのクエストなどどうでしょう!
 これなんか、もう20年近くも未達成のままで、ミカーワの人々は本当に困ってるんです!」

 ダイラさんが、なんかお涙頂戴で、リーナにお願いしてくる。
 そんなお願いされたら、お手伝いが大好きなリーナが動かない訳ないのである。

「お兄ちゃん!私、ミカーワの魔族の人達を助けたい!」

 もう、こうなってしまったリーナは止まらない。リーナにとって、人を助ける事、お手伝いする事は、史上の喜びなのだ。

 今までは、そのベクトルが、俺とリカコさんの手伝いする事だけに全て注がれてたのだが、ダイラさんに請われる事により、どうやら、ミカーワの魔族達の役に立ちたいという思いも加わってしまったようである。

 リーナって、ほら、父さんに似て、真面目で責任感があるでしょ。
 なので、ただ1人の、ミカーワ冒険者ギルドのプラチナ冒険者としての責任まで感じちゃってるのかもしれない。

 そして、そんなリーナの為に、お兄ちゃんがする事といえば、ただ1つ!
 俺は、リーナのやりたい事を、全力でフォローしてやる事だけ!

 まあ、これで魔族領のスパイ活動は終了という事になってしまった。
 正直、これといってスパイする事も無かったし。
 俺は、もっと魔族って邪悪な存在だと思ってたのだけど、実際は、人族と同じような暮らしをしてたしね。
 逆に、食卓に野菜が出なくて可哀想と思うぐらい。
 寝ても覚めても、いつも魔物肉しか食べれない生活なんて、俺には耐えられないもん。

 権蔵商会に言って、魔族領に野菜を売ってやれば、きっと物凄く儲かるだろう。
 ナナミさん辺りに言えば、きっと前のめりで頑張っちゃうだろう。
 だって、ナナミさんは小金稼ぎが大好物だからね。
 どこでも扉を使えば、輸送量もタダだし、ボロ儲け出来ると思うしね。

 そんな事も思いつつ、俺は可愛い妹リーナの為に、暫く拠点をミカーワの街に置く事に決めたのだった。

 それからのリーナは、本当に凄かった。
 リーナは、ミカーワの人達の為に、次々にために溜まってたいたプラチナ級クエストをこなして行く。

 しかも、人があまりやりたくないようなドブさらいなどの、下級のクエストまで積極的にやるもんだから、ミカーワでのリーナの評価もガンガン上がる始末。

 今ではミカーワの街をリーナが歩いてると、屋台の親父に、魔物肉の串を奢って貰えるレベルと言えば、リーナのミカーワの馴染み具合も解って貰えるだろう。

 リーナは、お手伝いして褒め貰う事を、史上の喜びと思ってしまう性格なのだ。
 その相乗効果で、益々、ミカーワへの思い入れが強くなってしまい、なんかもう、自分もミカーワの一員、魔族の仲間と勘違いしちゃってるように感じてしまう程、リーナはミカーワの事が大好きになってしまったのである。

 そんなある日、リーナと、そして俺の所に、とんでもない訪問者が現れたのである。

 それはなんと、魔王様。この魔王領を統治するトップが、わざわざミカーワで活躍するリーナを見に来たのであったのだ。

 それは、本当に突然の事だった。

 リーナと俺がいつものように、クエスト終え、ミカーワ冒険者ギルドでクエスト終了の手続きをしてたら、魔王が何の前触れもなく、フラッとミカーワ冒険者ギルドにやって来たのである。

「魔王様?!」

 冒険者の誰かが気付くと、皆、魔王に平伏する。

 魔王は、スラッとした長身の紳士で、俺の想像してたような恐ろしい顔をした、ゴッツイ筋肉達磨では無かった。

 その魔王が、リーナと俺の所に来て、

「そなたが、ミカーワ冒険者ギルドに席を置く、リーナ・カスタネットか?」

 魔王の問い掛けに、リーナは緊張気味。
 無理もない。目の前に人類の敵と言われる魔王が、普通に立ってるのだ。緊張するなという方が無理な話である。

「ああ。そうだ。この子が、俺の可愛い妹のリーナだ!」

 俺は、リーナの兄として、いざという時、リーナを守る為に前に出て、代わりに魔王に答えてやる。

「そうか。そして、そちが、リーナの兄であるトト・カスタネットじゃな」

 どうやは、魔王は、ミカーワ冒険者ギルド所属のリーナだけではなく、俺の事も調べてるようである。
 まあ、リーナがあれだけ頑張ってたら、魔王城に住んでる魔王にも、その活躍は伝わっててもおかしくない。

 俺が魔王の立場でも、その冒険者の素性を調べろと言うと思うし。

 そして、魔王は、続けざまに聞いてきたのである。

「して、トト・カスタネットは、最近建国されたサクラ神聖国の王の名と同じ名なのは、ワシの気のせいか?
 まあ、トト・カスタネットが魔族だったとは、ワシも聞き及んでいなかったのじゃがな?」

 どうやら俺は、魔王に、人族ではないかと、疑いの目を向けてるようであったのだ。
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