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206. ロックパンツ
しおりを挟む「アンタって、本当に人垂らしだよね」
ミウが、俺をマジマジ見ながら真面目に話し出す。
「そうか?普通だろ?」
「いや、絶対にそうよ!あの受付のエルフの顔見た?アレは完全に色ボケした雌の顔だったし!」
「気のせいじゃないか?」
「気のせいの訳あるか! あのエロエルフ、トトに胸を擦り付けてベタベタしてたじゃない!」
「そ……そうか」
「トトも悪いんだからね!あんなに優しくされたら、誰でもイチコロよ!
アンタ自覚してないかもしれないけど、アンタは結構格好良くて、しかもまだ幼くて、思わず、アンタみたいな子は、母性本能が働きオバサンは護ってあげたくなっちゃうのよ!」
「見た目の件は、お前のせいもあるだろ!俺、1万年ぐらいは、ずっとこのままの見た目なんだろ?」
「だからアンタは、1万年オバサン垂らしを続けるのよ!
それを1万年も見続ける羽目になる、私は、どうすれば良いのよ!」
「そんなの知るか!そもそも、俺はオバサンにだけに優しくないし!
女性と接する時は、可愛い妹のリーナと接する時を思い浮かべて、接しようと心掛けてるだけだしな!」
「アンタ、本当にどんだけシスコンなのよ……」
「シスコンで何が悪い! リーナは、俺が継母のリカコさんに虐められてた時も、ずっと俺の味方で居てくれたんだぞ!
リーナは、リカコさんの事も大好きだったのに、俺の方をいつも立ててくれてたんだ!
そんな可愛くて出来た妹天使なんて、この世にどこにも居ないんだからな!」
「アンタの妹狂いは、もう病気ね……」
そんないつもの会話をしながら、俺達は、トコトコ歩いている。
魔法の絨毯で急いで旅をする必要もないしね。
だからといって、乗り合い馬車にも乗る気もない。
俺はもう、ナナミさんが作ってくれたサスペンション式荷馬車にしか乗れない体になってるのだ。
あれに乗ったら、もう、街中に走ってる荷馬車になど、金輪際乗りたくなくなる。
本当に、荷馬車に関しては、早くサスペンション式荷馬車が普及してくれればと、本当に思う。
そうすれば、痔に悩む人の数が減ると思うし。
痔の人なんて、あの揺れで相当なダメージを受けるらしく、荷馬車の中で這いつくばってるからね。ケツに揺れを伝わらせない為に。
そして、野営を挟みつつ、俺達は3日掛けて、次の街に到着したのである。
街の名前は、ロックパンツ。
何故か、揉み上げを物凄く刈り上げ、馬のたてがみみたいな髪型をしてる人が、たくさん居る。
そして、格好は侍の格好。腰には刀を挿している。
まあ、そんなのは武蔵野国のドワーフも同じような格好をしてる人が居るから珍しいとも思わないのだけど、ここ、ロックパンツには、エルフの傾奇者の侍が結構居て、女物の派手目な着物を着流しで着用してるオシャレな侍が結構居るのである。
「俺、今迄、ドワーフの無骨な侍しか見た事無かったけど、やっぱり、エルフの侍はオシャレだな……そもそも美形だし……ドワーフが女物の着物なんか着てたら、本当にヤバい奴だと思っちゃうけど、エルフが着流しでオシャレに着こなすと、こんなにサマになるんだな……」
「だね! 僕は、ドワーフの侍なんか見た事ないけど、エルフの侍は、キリっとしてるよね!
しかも、異世界のパンク風だし、モヒカンだし、傾奇者の侍にはロックを感じるね!」
意外と、異世界文化に詳しいミウが、知ったかで話してくる。
「モヒカンとは?」
「あら?異世界料理は作れても、異世界文化には詳しくないのかしら?」
ミウが、嫌味ったらしく言ってくる。
「そんな事言ったら、もう金輪際、俺が作った料理食べさせないからな」
「いやいや嘘嘘! 僕も本当は、あんまり知らないから、なんか知らないけど、パンクロックの人が好んでする髪型らしいよ!」
「パンツロック?岩のパンツ?女性用の貞操帯を付けてる奴が、好んでする髪型なのか?
もしかして、この街も異世界人と関係あるのか?確かに、街の名前もロックパンツだし!」
「まあ、侍文化は、異世界からやって来たと言われてるよね。6000年位前にやって来た異世界人が、侍だったらしく、その文化が東の大陸のエルフに伝わったと言われてるわね!」
「確かに、西の大陸の侍文化も、異世界日本の文化を、ナナミさんが持ち込んだもんだもんな……だけど、ドワーフとエルフとは、なんか違う侍文化に思えるのだが……」
そう、西の大陸の侍は、強いて言うなら無骨。みんなバトルジャンキーだし、首狩り族だし。
逆に、東の大陸の侍エルフはみんなオシャレ。派手な人は、女物の着物を着流しでコーディネートしてるんだよ。
しかも、装飾の凝ったキセルとか、優雅に吸ってるし。それにあの流し目はなんなんだ?
絶対に、ドワーフ侍はやらないと思う……
とか、ドワーフ侍とエルフ侍の違いなど話してたら、突然、そんな侍に話し掛けられたのである。
「ちょっと待ちねえ! そこの坊ちゃんと、可愛らしい妖精のお嬢さん!」
そう、エルフ侍の中でも、一際目立つ格好の傾奇者の侍エルフに、突然、話し掛けられたのであった。
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