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210. エルフ帝国
しおりを挟む俺とミウは、旅を続ける。
ロックパンツの街には、もうちょっと居たかったけど、ロックパンツに居ると、肥後ビッチャスが、変な依頼ばかりを持ってきてウザかったからね。
何故に傾奇者という生物は、お人好しで、金にならない仕事ばかりするのだろう。
まあ、確かに人助けは気分が良いが、お金が無ければご飯が食べれないのである。
そんな訳で、肥後ビッチャスは、派手な格好をしているものの、とても貧乏でいつも腹を鳴らしていた。
なので、少しは金になる依頼を受けたら?
と、助言してみたら、世のため人のため仁義がない依頼など、絶対にやらないとの事。
でも、お腹は減ってるんだよね?
と、言ったら、武士は食わずも、高楊枝でありんす。だってさ。
なので、バカらしくなって来て、俺とミウは、ロックパンツから逃げて来たのだ。
やたらと、肥後ビシャスは、俺達に恩を返すまで、一緒に居ると言ってたが、一緒に居ると、益々、肥後ビシャスに付き合わされて、恩が溜まりそうだったしね。
「本当に、傾奇者って、アホな生物だよね! 弱者に優しくして、自分はご飯食べれないとか、本当にアホなの?
なんで僕達が気を利かせて、肥後ビッチャスに、ご飯食べささないといけないんだよ!」
ミウは、何故か、肥後ビッチャスのせいで、自分のご飯を減らされたとでも思ってるようで、プンプン。
俺としては、肥後ビッチャスも、ミウも、タダ飯くらいに違いは無いのだけど。
俺だって、本当は、たまにならいいのだ。
肥後ビッチャスに付き合って、変な依頼を受けるのも。
だって、なんか良い事した気分になるしね。
だけれども、毎日となると話は別。
なにを好き好んで、金にならない依頼ばかり受けんといかんの?
俺はそもそも、聖人君子でも、傾奇者でもないのだから。
そんな肥後ビッチャスの愚痴を、飽きもせず1週間ほど歩いて旅をしていたら、遂に、大きな森が見えたのである。
「やたらめったら、大きな森だな?」
俺は、無駄に物知りのミウに話し掛ける。
「これは間違いないよ! 僕の子供の世界樹の森だね!」
「この先に世界樹があるのか?」
「間違いなくあるよ。今、念話で交信したけど、この道を真っ直ぐ行くと、世界樹を中心にして、東の大陸のエルフ帝国の帝都があるんだって!」
「やっとかよ!」
「ふふふふふふ。ここでやっと、トトに僕の実力を見せれる時がやって来たのだ!
ここの王族のハイエルフは、みんな、僕の言いなりなんだからね!」
ミウは悦に入り、これでもかとふんぞり返っている。
「左様で」
「何?その反応? もっと驚いてよ! そして、もっと僕にかしずきなさい!」
「ミウはミウだろ?」
「そう! 僕は僕!」
「だったら、お前は俺の使い魔で、俺はお前のご主人様だろ?」
「まあ、そうだけど、僕はとても偉い大妖精様なの!」
「お前、あまり調子に乗ってると、俺の作った料理を食べさせてやらんぞ!」
「そんな殺生な! 僕は偉い大妖精だけど、トトは、特別に僕より偉そうにしてても許す!」
「お前、どんだけ食い意地張ってるんだ?」
「食い意地言うな! なんか僕が意地汚い妖精みたいでしょ!」
とか、ワイワイ騒ぎながら、森に入って10分ほど入った所で、
ヒュン!
「うおっと! 危ねー!」
俺達に向けて、矢が放たれたのである。
「ちょっと! アンタ達! 危ないでしょ! これは、僕が世界樹の大妖精と知っての狼藉なの!」
ミウが怒り狂って、木の上に何十人も居るエルフの兵士達に文句を言う。
ミウは、どうやは、エルフの兵士が、俺達の事を迎えに来てくれたと勘違いしてたようだ。
俺も実はそう思っていて、兵士が木の上に潜んでるのを大分前から気付いてたんだけど、ほかって置いたのである。
「ここは、エルフ帝国の世界樹の森だ!知っての通り、エルフ以外の者は、侵入禁止である!」
「だから、僕は、世界樹の大妖精で、トトは、僕の契約者なの!」
「知らんな!」
やっぱりというか、ミウは、どうやらエルフ帝国でも知られていなかったようである。
「何なの! じゃあ、ここの帝国のハイエルフを呼んで来なさい!
ここの王族は、みんな僕にへいこらして、膝まづくんだからね!」
「て……帝王を、ここに呼べとは不敬な!」
なんか、エルフの兵士達が憤っている。
「アホか! ハイエルフは、みんな僕の下僕みたいなもんなんだからね!」
それにしても、ミウは口が悪い。もっと上手い言い方すれば、誤解も解けるかもしれないのに。
「エルフを総べる王族を下僕だと!ええい! 許せん! さっきのは威嚇射撃だったが、構わん! 例え、エルフと共存共栄する妖精様であっても、あの妖精は、我らの敵だ!射ってしまえ!」
「おいおい! エルフさん達、とんでもなく怒ってるぞ?!」
「うるさい! こっちだって、バカにされて怒ってるんだよ!
トトも、あんな奴ら皆殺しにして頂戴!」
「アホ抜かせ! てか、アイツら撃ってきやがった!」
俺は、急いでミウを捕まえて森を出る。
そして、なんとか逃げきったのだが、ミウの怒りは収まらない。
「アイツら、絶対に許さないんだから!
なんで、僕が子供に会いに行っただけで、追い出されないといけないの?
それに、ハイエルフの奴ら、僕の恩を忘れて、この仕打ち……絶対に許さないんだからね!!」
もう、ミウさん怒りに打ち震えて、復讐心に燃えている。
「まあ、そんなに怒らないでも良いんじゃないのか? このエルフの国は、人間侵入禁止なんだろ?
西の大陸の世界樹があったエルフの国も、本来、人間の侵入禁止だったから、これが世界樹を祀るエルフの国のスタンダードなんじゃないか?」
「それでもだよ! トトは、この世界樹の大妖精ミウ様が認めた人間なの!
それなのに、たかがエルフが、侮ってはいけない僕が認めた人間なの!
ただ、エルフは、人間より精霊や妖精と親和性が高いから、精霊や妖精はエルフと付き合ってるだけで、別にエルフに依怙贔屓してる訳じゃないんだからね!」
「まあまあ、落ち着けよ……」
「これが落ち着いていられる? もう、戦争よ! 僕を怒らせたら、どうなるか、ここのアホなエルフ帝国の奴らに解らせてやるんだからね!」
こうして、ミウとエルフ帝国との戦争が始まったのである。
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