無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!

飼猫タマ

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227. トトの決断

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 もう、フラーノ城塞都市に来てから観光どころではない。

 次から次へ、俺達が滞在してる、フラーノ国一のリゾートホテルのスゥイートルームに、俺を一目見ようと魔族が押し寄せて来たのである。

 もうさ、部屋の前だけじゃなく、リゾートホテルの外まで行列になっていて、フラーノ城塞都市に住む全ての人々が、俺に会いに来てるみたい。
 会うというのが正解なのかな?大体、みんな俺の前に来ると土下座して、祈りだすし。

 俺って、どうやらフラーノの魔族にとって、生き神様みたいな存在になってるみたい。
 子供なんか、お祈りそっちのけで、願い事を唱えてるし。

「神様、どうかお願いです!ケーキをおなかいっぱい食べたいです!」

 子供だからか知らないけど、心の中だけで祈らないで、声にでちゃってるしね……

 まあ、聞こえちゃったら、ほら、俺って子供に優しいから、リゾートホテルの人に頼んで、ケーキをホールごと用意させて、子供にあげちゃうんだけどね。

「神様、ありがとうございます!」

「うむ」

 俺は、どうやって接すれば良いか解らないので、言葉短く、うむ。とだけ答えておく。
 だって、下手にたくさん喋ると、神様の威厳がなくなっちゃうし。

 ん?神様気取り?

 だって、しょうがないじゃん。フラーノの魔族の人達、完全に俺の事を神様として接して来るんだから。

 ん?ケーキのお金を払ったのかだって?

 まあ、リゾートホテルの人は、タダで提供してくれたんだけど、俺はしっかりお金を払ったよ。
 俺は、金にガメツイ、ミウじゃないからね!

 ミウがイマイチ、東の大陸で敬われなかったのは、お金にガメツくて世俗的だったからと思うし。
 だって、普通の精霊や妖精より、どう考えても庶民派で、しかも食い意地が張ってて、金にガメツイからね。

 そんな妖精が、まさか、東の大陸で一番信仰されてる世界樹の大妖精様だって、誰も信じないでしょ。
 今だって、見ただけで分かる、大森林の世界樹の妖精である九尾のキュー子と一緒に行動して、自分がキュー子の母親だと風潮してるから、世間の人々に世界樹の大妖精様と認識されるけど、キュー子と一緒に居なければ、誰もミウの事を世界樹の大妖精様と信じないと思うし。

「なんなのさ!トトが、この世界樹の大妖精様である、このミウ様より人気者だなんて、絶対に納得できないんだからね!」

 まあ、こんな感じで、鼻糞をほじりながらクダを巻いてるから、誰も世界樹の大妖精様だと思えないと思うんだけど。

「コンコンコン!私のマスターは、凄い神様だったんだー!!」

「違うよぉー!キュー子ちゃん。この僕の方が、トトなんかより、凄い神様なんだからね!」

「そうなの?お母さん、スゴスゴ!!」

 キュー子は、ミウに対して羨望の眼差し。
 まあ、キュー子は生まれたばかりで、現実がまだ解っていないのだ。
 もう1年も経てば、ミウよりキュー子の方が、東の大陸で認知されてる神様だと知る事になるだろう。

 やっぱり、見た目って大事だよね。
 キュー子は、一目で大森林の世界樹の妖精って気付かれるけど、ミウは、その辺にたくさん居る妖精と、姿形が変わんないからね。
 そのせいで、一番、信仰されてる筈のエルフ族に、弓矢放たれて、エルフ族と獣人族が戦争する切っ掛けになっちゃってるし。

 全ては、ミウが、一目見ただけで、世界樹の大妖精様と、誰もが気付けたら、こんな大事態にはならなかったのである。

 まあ、今現在の俺は、こんな感じ。
 正直、フラーノ国の観光どころでは無い。

 ミウは、よっぽど、自分より俺の方が、フラーノ国で人気なのが、相当気に入らないのか、最高級リゾートホテルのルームサービスをガンガン頼み、爆食いしてるし。
 タダだからと言って、これはちょっとやり過ぎだと思うし。

 こんなだから、誰にも世界樹の大妖精様だと思われないのだろう。
 というか、ホワイトシチューとキツネうどんはどうなったのだろう?
 ミウは、わざわざ北の大地フラーノ国に来た目的を忘れているようだ。

 キュー子はというと、最初はミウに付き合って、ルームサービスを食べていたが、流石に満腹になったのか、スヤスヤ気持ち良さそうに寝てるし。

 俺はなんかさ、フラーノの魔族達に、サクラ神聖国詣でしたいと懇願されて、現在、困ってる状態。
 だって、魔族の人達、絶対に海流が複雑で、見えない岩礁がたくさんある海を越えれないでしょ。しかも、強い海獣もわんさか居るし。

 勝手に、フラーノ国の人々が、サクラ神聖国に行こうとして、海で死なれたら、とても目覚めが悪いし。
 俺の国に行こうとした人が、全員死んでしまうかもしれないと思うと、俺は、絶対にサクラ神聖国には行かないでくれと言うしかないよね。

 だけれども、

「神様!私共魔族にとって、サクラ神聖国は聖地なのですじゃ!死ぬまでに1度、絶対にサクラ神聖国で祈りをしなければ、死んでも死にきれないんですじゃ!」

 と、泣きながら、土下座して懇願して来るのである。

 なので、俺も、

「だけれども、東の大陸から、西の大陸に行くには、海を渡らないといけないんだぞ?今現在、西の大陸から、東の大陸に行くのは命懸けなんだ!
 死ぬ可能性だってあるんだぞ!」

「それでもですしゃ! 私共は、サクラ神聖国に行きたいんですじゃ!
 サクラ神聖国は、魔族にとって約束の地。サクラ神聖国に行く途中で、例え死んでしまったとしても、それは本望ですじゃ!
 サクラ神聖国に向かう途中で殉教する訳ですから、それはそれで我らは天国に行けるんですじゃ!」

 ヤバい。ヤバ過ぎる。どんだけ魔族の人達って、サクラ信仰が根付いてるんだよ。

 かといって、殉教して下さいと言う訳にはいかない。

 なので俺は、観念したのである。

「分かった。俺が、フラーノ国の人々が、安全にサクラ神聖国に行けるようにしてやる!
 だから、早まった真似はするんじゃないぞ!」

 そう。俺は、フラーノ国とサクラ神聖国とを通じる、どこでも扉を設置する事を決断したのである。

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