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第一章 魔眼転生
6. 卍眼帯
しおりを挟むクロメの煉獄の大魔法インフェルノは、罪人だけを炎で滅する魔法だったので、イカれ爺さんの家が焼失するのは間逃れた。
それにしても、何で、クロメは魔法が使えたのであろう。
クロメの過去の記憶を見ても、魔法など使えなかったの筈なのに。
で、それについて聞いてみると、
俺のデーターベースから、勝手に情報を読み取り、再現してみたとの事。
イカれジジイの場合は、俺とのシンクロ率が5%しかなかったので、俺を介してしか、データーベースの情報を閲覧出来なかったのだけど、クロメの場合は、俺とのシンクロ率が100パーセント。
なので、俺を介さなくても、データーベースの情報を閲覧できちゃうみたい。
スマホで説明すると、俺とクロメは同期化してるって事。
だとしても、やはり、おかしい。
インフェルノなんて魔法、俺は知らないし、この世界にも存在しない魔法なのだ。
なので、もう少し詳しく聞いてみると、
「主様の世界の魔法を、研究、改良して作ってみました!」との事。
俺の世界の魔法?ますます意味が分からなくなる。そもそも地球に魔法など存在しないし。地球は科学の世界なのである。
もっと追求してみると、
クロメが言う俺の世界の魔法というのは、異世界アニメの中に出てくる魔法の事で、その魔法を研究、改良して、新たな魔法を編み出しという事らしい。
ここまで聞いて、俺は、ちょっと待てよ?
と、考える。
アニメの中の魔法って、実際は空想の中の魔法であって、本当の魔法ではないのだ。
その偽物の魔法を?研究、改良して、あの超絶都合の良い、罪を犯した者だけを煉獄の炎で焼き払うインフェルノを作りだしたというのか?
本当に、意味が分からなくなってきた。
でも、そもそもが、クロメは魔法が使えなかった筈なのだ。それなのに魔法が使えたこと自体も謎。
それについても、異世界アニメを見て覚えたとの事。確かに、魔法の使い方や覚え方を1話、2話目ぐらいに、大体、レクチャーしてくれてるからね! て、違うから!
なんか、話を聞いてたら、頭が痛くなってきた。目玉だけで、脳ミソなど無いのだけど。
兎に角、話を総合してみると、全ては日本の異世界アニメの情報を抜き出し、それを改良しただけの話なんだよね。
誰でも出来るじゃん!て、普通、出来ないから!クロメは、俺を手に入れてから数分で、俺の魔眼の力を理解し、使いこなしたのである。
これが、シンクロ率100%の力なのか?
多分、それだけでは無いと思う。
やはり、黒耳族という元々が魔眼を扱う一族の出身なので、異常に魔眼の扱いが上手いのかもしれない。
今も、チョキチョキ。イカれジジイの服をリメイクして、自分の服を作ってるし。
なんか分からないが、異世界アニメからインスピレーションを貰って作った衣装らしい。
裁縫の仕方も、動画サイトを検索して覚えたらしい。
どんだけ、俺の検索機能を使いこなしてるんだよ!
俺、もう、ツッコミしか出来なくなってるし。
そして、衣装なんだけど、なんか、魔法使いと忍者が合体してるような衣装。
爆裂魔法を使う魔法使いにもなりたいし、黒耳族は、元々、暗殺を生業としてる一族なので、忍者モノも取り入れたようである。
忍者の衣装に、魔法使いの三角帽子。それに魔眼を隠す為の眼帯である。
因みに、眼帯には卍の文字が描かれたりしている。
卍が眼帯に描かれてる時点で、隠してるのが、卍眼だと分かるじゃん!と、思ったが言わない事にする。
だって、クロメはとても卍印の眼帯が気にいってそうだしね。
それに、そもそもこの世界に、鑑定眼も卍眼も存在しない魔眼だから、誰にも分かる筈無いのだ。
「封印されし我が卍眼。この私がしてる眼帯が外れた時、その時こそ、貴様の死ぬ時だ!」
クロメは、ポーズをキメて、鏡の前でセリフの練習をしてるし。
平和だよね。昨日までの凄惨な日々が嘘のよう。このまま、暫く、この家で過ごしてても良いかなと思った頃。突然、クロメが訳の分からない事を言ってきたのだ。
「卍様。この家、証拠隠滅の為に、燃やしてしまいましょう!」
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