【R18 】必ずイカせる！ 異世界性活

５９. ぶっ殺す

　
　モフウフの町の飲食店は、夜の掻き入れ時で、どこの店も活気に溢れている。

　俺達はというと、牛魔王に夕食(戦い)に招待されたので、歩いて牛魔王の城に向かっているのだが、俺的には何とも盛り上がらない。

　俺の中での魔王との戦いというのは、ダンジョンとかを必死になって攻略し、体力も気力も限界ギリギリの所で、最後に魔王との死闘を演じるのが正しい魔王との戦い方なのではないのかと思うのだ。

　魔王が自分達が滞在してる同じ町に住んでいて、散歩がてらに戦いに行けるなんて聞いた事がないし、認められない。

　それもこれも南の大陸に王様や魔王、はたまた大魔王とかが多すぎるのが原因だ。

　ブリトニーによると、南の大陸には魔王や、大魔王、王様、ダンジョンマスターなどの大物は、分かっているだけで300人は確実にいるらしい。

　うちのパーティーにも、一応3歳児の魔王様がいる訳なので、300人魔王がいたとしても なんら不思議な事ではない。

「アンちゃんの出身の西の大陸にも、魔王や大魔王が沢山いるのか？」

　他の大陸の事も気になったので、アンちゃんに聞いてみた。

「西の大陸には魔王も大魔王もいませんよ。人族の王様や、エルフの女王、ドワーフの王様とか人族や亜人の王様が１０人位いるかな。
　ちなみに東の大陸は、今は黒竜王国、南ドラキア王国、東ペルアシ共和国の3つの国があり、王様は3人だけですね！
　ちなみに、黒竜王国の王様は龍ですよ」

「龍が王様なのか？
　国を統治してるという事は、もしかして喋ったりできるのか？
　念話とかじゃなくて、普通に喋れる龍がいるのだとしたら本当にファンタジーの世界だな」

「東の大陸の黒竜王国と南ドラキア王国の事は、鎖国状態なので何も情報が入ってこないんだ。
　西の大陸と東の大陸はちょっと前まで戦争していたしね。

　ただ黒竜について分かっている事は、黒竜王国の王様の黒竜は異世界からやってきた事だけだね！
　それよりサイト君、ファンタジーって何の事？」

「ファ…ファンタジーの意味を知りたいのか……ウゥ……ン……
　空想とか夢想とかいう意味だと思う……
　自然と使ってた言葉なので、俺も正直よく分からん」

「龍が空想の神獣だという事？
　確かに、黒竜が異世界から召喚される前までは、龍は伝説に登場する神話の世界だけの神獣だと思われていたけれど、先の黒竜戦争の時に突然現れた赤龍は、勇者パーティーを助け、西の大陸から黒竜を追い払った偉大な神獣として、西の大陸では敬われているんだよ！」

「フーン、そうなのか。
　俺は生まれてこのかた、始まりの魔女の結界から一度たりとも外に出た事がなかったので、外の世界の情報については疎いんだ」

　……また、始まりの魔女のせいにしてしまった……
　困った時の始まりの魔女。
　もし、始まりの魔女が生きていたら間違いなく殺される……
　それはそうと、俺の他にも異世界から召喚された人がいたのか。
　人というか龍だけど……
　龍という事は、俺とはまた違う異世界から召喚されたという事だよな。

　俺が元々住んでいた地球に、実は龍が存在していたとしたら別だけど。

　ーーー

　そうこう話している内に、モフウフの正面入口の門から見て、右上区画の壁沿いにある牛魔王の城に到着した。

　西の大陸にある城塞都市の城は、殆ど城壁の壁際に建てられている。
　何故かというと城壁の外にうじゃうじゃいる魔物を、城壁の中に入れない為に警備しないといけないからだ。

　城と城塞都市の周りを囲っている城壁は繋がっており、城壁を壊して侵入しようとしてくる魔物が現れた時に、城壁の上の万里の長城にあるような道を伝って、すぐに現場に駆けつけれる仕組みになっている。

　城壁都市の人々が、何故 魔王や大魔王を王様として認めているかというと、魔物から町を守ってもらう為である。

　西の大陸では出現したばかりの攻略されていないダンジョンから、大量の魔物が溢れ出てくる事がよくある。

　その大量に現れた魔物を退治するには、その魔物を倒し切るだけの戦力がいるのだ。

　普通の攻略済のダンジョンには各階層に結界が張ってあるので、下層にいる強力な魔物は上の階層には現れないのだが、出現したばかりのダンジョンでは、最下層にいるS級の魔物なども階段フロアーに結界がないので、どの階層へも出入り自由なのだ。

　なので、新しいダンジョンが発見された場合はすぐに冒険者ギルドに報告し、入口の階段フロアーに結界を張ってもらい、強力な魔物が外に出て来れないようにしてもらう必要がある。

　ダンジョンの入口に結界を張るのが遅れると、ダンジョンの外に最下層に生息している強力な魔物がわんさか溢れ出てきて、町を襲うのだ。

　普通の魔物なら、町にいる冒険者で対応できるのだが、ダンジョン下層にいるS級モンスターなどが襲って来た場合、同じS級クラスの魔王率いる魔王軍でないと太刀打ちできないのだ。

　それで、町の人々は自分達を守ってもらう代わりに魔王に税金を払い、魔王としても、拠点と城壁都市を守る王としての地位と建前を得て、冒険者ギルドからの討伐対象から外れるというメリットがあるという訳だ。

　ーーー

　城の門の前にはフルアーマーの鎧を装備した、牛耳族の守衛が2人いる。

「この度、牛魔王様に夕食に招待されたゴトウ·サイトです」

　牛耳族の守衛に、一応 夕食を招待された立場上、無礼がないように丁寧に話しかけた。

「お前ら、本当に来たのか！
　騎士団長の牛田さんが、もしかしたら牛魔王様に歯向かう不届き者達が来るかもしれないと言っていたが、4人だけでくるとはお前ら舐めているのか？
　お前ら帰るなら今の内だぞ！
　お前らが来た事は牛魔王様には黙っといてやる。だから早く帰れ！」

「オイ牛川！  何言ってるんだよ！
　 早く1万マーブル払えよ！
　こいつら城に来ただろ！」

「違う！  俺は城の中に入ったらと言ったんだ！
　だからまだ、お前との賭けの勝負はついてない！」

「牛川、普通、城まで来たら賭けは成立だろ！
　お前達、牛魔王様の所に案内してやるから、早く俺に付いてこい！」

「何言ってるんだ！
　こいつらは、ここで帰るんだよ！」

　何やら揉めている……
　どうやら俺達が、城に来るか来ないかで1万マーブル賭けていたようだ……
　この様子からして、夕食は用意されていないのだろう。

「ご主人様、こいつらウザいんで殺しちゃっていいですかニャ？」

　ブリトニーがそう言いつつ、鞘に手をかけた。

　プチッ!!

　何やら、俺の後ろでも何かが切れる音がした。


「殺すのです」