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165. ハートにドッキューン!!
しおりを挟む「取り敢えず、お隣の冒険者ギルド本部に行くぞ!」
「ハイです!」
「ハイニャ!」
「了解!」
「ワン! ワン! ワン!」
みんな元気に返事をする。
ブリジアは『ウルフデパート』CEOとしての仕事が山積みらしく、冒険者ギルド本部には行かないみたいだ。
無理もない、約1ヶ月間もモフウフのダンジョンで足止めされていたのだ。
それにブリジアは、拠点がモモンガで、尚且つ冒険者ギルド本部はお隣なので、見に行く必要がそもそも無いのだ。
「ここは、僕が案内するよ!
西の大陸から渡って来たばかりの頃、モモンガを暫く拠点にしてたので、何度も冒険者ギルド本部には来たことがあるからね!」
アンちゃんが、俺の前にでる。
珍しく、アンちゃんもヤル気だ。
日頃は1番後ろを歩いているのに、初めてアンちゃんが、俺達の先頭を歩くのを見た。
大体、『犬の尻尾』の立ち位置は決まっていて、先頭にブリトニーとペロ、その後に俺と姫、殿がアンちゃんなのだ。
ヤル気のアンちゃんは頼もしい。
魅惑のスペシャルカクテルを飲んた時の、豹変したアンちゃんの俺への攻撃は、あまりの気持ち良さに、少しでも気を抜くと、魂が抜けてしまうかという程の威力なのだ。
「ここが、冒険者ギルド本部です!」
アンちゃんが指差す。
と、言っても、『ウルフデパート』に到着した時にも空から見たし、『ウルフデパート』を出た段階で最初から見えていた。
「あ……ああ……」
「サイト君! あんまり、驚いてないですね!
こんなに煌びやかな、宮殿風の大きな冒険者ギルド本部を見て、驚かないの?
普通、驚く所だよ!
大体の人は、『こんな大きくてキラキラしている建物なんて見た事ないぞ!』と、驚くんだからね!」
「そ……そうだな……
初めて見たなら、そうなるだろう。
しかし、1週間前にも見たしな……」
「もういいです!
サイト君には、この芸術的な建造物の良さが解らないみたいだし!」
「いや、解るぞ! 俺の居た世界のベルサイユ宮殿に似た建物だ。
多分、前の世界ではバロック建築と言う筈だ。」
「な……何で知ってるの?
そうです。この建物の様式はバロック建築です!」
アンちゃんが、とても驚いた顔をして俺の顔を見ている。
どうやら前の世界の言語を、コチラの世界のフワフワ語に、上手くシステムが翻訳してくれているみたいだ。
それにしても、門から玄関までが遠い。
冒険者ギルド本部の庭は、本物のベルサイユ宮殿の庭の様に、とても広く豪華なのだ。
玄関入口まで、5分程歩かないといけない。
玄関入口を目指して、庭を歩いていると、アンちゃんがウンチクを語り始めた。
「冒険者ギルド本部が宮殿の様に見えるのは、そもそも冒険者ギルド本部がムササビ自治国家のお城で中枢だからです。」
「そうなのか?」
「そうです! ムササビ自治国家は冒険者が作った国です。
ムササビ自治国家イコール冒険者ギルドですね!
なので、ここでムササビ自治国家と冒険者ギルドの政を全て決めているのです!
そして、僕達『犬の尻尾』は、そのムササビ自治国家と冒険者ギルドの全ての政を決める冒険者ギルドランキング上位10の一員になったのです!」
なんか俺達凄いぞ!
冒険者ギルドの中の事だけ決めれると思っていたが、ムササビ自治国家の政治にまで関われるのか。
もしかしたらブリジアも、冒険者ギルド本部の隣という、めちゃくちゃ良い土地に、『ウルフデパート』を建てれたのも、そんなカラクリがあったのかも知れないな。
ブリジアは『シルバーウルフ』の他にも、傘下ギルドの『ホワイトウルフ』も、ギルドランキング10位入りさせようとしていた。
ある程度実力があるギルドは、ランキング10位入りを目指すのが最終目的ではなく、会議での主導権を握る事が一番の目的なのかもしれない。
俺は既に、『シルバーウルフ』を傘下にしてるので、議席権を2つ確保している事になる。
議席権はたくさんあったに越した事はない。
『カワウソの牙』も、来年はギルドランキング10位入りを目指させよう。
妄想してる内に、冒険者ギルド本部の建物の中に入っていた。
冒険者ギルド本部の中は、他の冒険者ギルド会館の大きさとほ比較にならない程大きい。
尚且つ、キラキラして豪華だ。
建物の中もベルサイユ宮殿なのだ。
カウンターの受付のお姉さんも30人以上いて、しかも美人揃いだ。
クエストの数も半端ない程ある。
「凄いのです!」
「凄いニャ!」
姫もブリトニーもその圧倒的なキラキラ感に興奮している。
少し、モフウフのアジトと似ているのは、設計がドワーフ爺さん達だからだろう。
「アッ! アンちゃんだ!」
俺達が口を空けて、冒険者ギルド本部の中を見て回っていると、おっとりした、なんだか気の抜けた声が背後から聞こえてきた。
「アッ! エリスさん!」
声をかけられたアンちゃんが振り返り、その声の主の名前を言う。
エリスさん?
勇者パーティーで、アンちゃんのお父さんの同僚の?
俺達も振り返ると、そこには金髪の12、3歳にしか見えない超絶美少女のエルフが、両手を使って、一生懸命アンちゃんに向けて手を振っていた。
なんだ?! この生き物は!!
こんなに俺好みの完璧な生物が、この世に存在するのか?
ゴキ男爵によって、俺の趣味嗜好を完璧にトレースされて生み出されたデーモンメイドのメリルよりも、数年後には完璧になる予定の姫よりも、数段階上の完璧さだ。
それよりも重要な事がある。
勇者パーティーのエリスは、俺よりも年上の筈だ。
それなのに、年齢が12、3歳にしか見えないとか有りなのか?
エリスは、ロリコンの俺の為に存在しているとしか思えない。
俺のハートは、完全にエリスに撃ち抜かれてしまった。
10
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