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213. 実質神級
しおりを挟む移転魔方陣で何事もなく、目当てのS6以上の未攻略ダンジョンの目の前に到着した。
「これより、未攻略ダンジョンの探索レイドを始めたいと思います。
1階層入口階段フロアーに、レイド期間中は前線基地を設け、冒険者ギルド職員が皆様方のホローに当たります。
それから、冒険者ギルドが所有する神級結界を張る事ができる魔道具を渡しておきますので、いつものように、上下階の階段フロアーに結界を張り、移転装置を設置して下さいませ。
以上で、私からの説明は終わります。
何か質問は有りますか?」
「無いな。いつもと同じ、ただひたすら前人未到の未攻略のダンジョンを攻略するだけだ!
そして、世界最強ギルド『鷹の爪』の名を世界に轟かせるのだ!」
『鷹の爪』団長、シンタローが高々と宣言する。
「冒険大好き!」
エリスさんもグーにした右拳を高く振り上げ、軽くジャンプしながら、元気よく叫ぶ。
「私達も、このレイドをきっかけにして、有名になる!!」
『三日月旅団』のムーン三姉妹も大声で叫んだ。
『三日月旅団』は、ゾイ爺さんが作った【魅惑】スキルを抑える指輪を外せば、すぐにでも有名になると思うのだが……
あれを付けると、物凄く影が薄くなる事、まだ気付いてないのか?
「サイト君! 僕達も頑張らなくちゃね!
僕もこのレイドを切っ掛けにして、エリスさんやお父さんのように、凄い冒険家になるんだ!」
うちの冒険大好き少女アンちゃんも、例に漏れず、燃えていた。
「私は、たくさん魔物を血祭りに上げれたら、それでいいのニャ!」
ブリトニーは、平常運転。
「私はマスターの後に、どこにでも着いて行くのです!」
まあ、姫も平常運転だな……
「シンタロー! いつもの様に、行ける所までは別々の行動でいいわね!」
「それで、OKだ!」
シンタローさんは、シャンティーさんの提案を了承する。
「『三日月旅団』は、まだまだ危なかっしいから私達に着いて来なさい。
『犬の尻尾』はアンがいるから、別行動で問題ないわね!
ペロ様は神獣様だから、念話が使える筈ですよね。
私やモモのカンガルー君、『鷹の爪』の精霊魔術師の精霊と念話の開通をお願いできますか?」
「ワン!」
「開通したわね! 有難うございます。ペロ様。」
「ワン!」
「各ギルド、それぞれが別行動でダンジョンを探索して、MAPを完成させれたら、ボス部屋の前で集合でOKかしら?
アンは、新品のマップラー持ってるわね。
同期化させるから貸してみて」
「ハイ、シャンティーさん」
アンちゃんが、魔方陣が描かれたスケッチブックのような物を取り出した。
シンタローさんも、同じ物を取り出してシャンティーさんに渡している。
「ハイ同期化させたわよ!
これで、3つのチームが通った場所が、どのマップを見ても確認できる様になったわ!」
「シャンティー様、冒険者ギルド用に、このマップラーも同期化してもらえますか。
どのみち、後からダンジョンの地図を提出してもらう事になりますが、最初に終わらして貰うと有難いのですが」
シロー爺さんが、シャンティーさんにお願いする。
「私達が、全滅する場合もあるから当然よね。分かったわ、貸して」
シャンティーさんは、シロー爺さんからマップラーを受け取り、その場で同期化させた。
「ハイ、5万ルーブルね!」
「金取るのかよ!!」
俺は、思わず突っ込んでしまった。
「当然よ! 最初にマップを渡すのは、契約に入ってなかったからね。
勿論、私が同期化させたから、この報酬は全て私のものよ!」
シャンティーさんは、どこまで金の亡者なのだ……
「それでは、質問もなさそうなので、いつでも始めもらって、構いませんよ」
シロー爺さんは、シャンティーさんに5万ルーブル渡しながら、やっつけな感じでスタートの合図をした。
シャンティーさんのせいで締まらないスタートになってしまったが、ここからは身を引き締めて進まなければならない。
何せ、前人未到の未攻略ダンジョンなのだ。
まだ、全ての階段フロアーに結界が張られていない為、魔物達が階段で自由に行き来できてしまう。
上層の魔素濃度が低い階層であったとしても、いきなり下層のいる筈の、強力な魔物が現れる事だってあるのだ。
「ザーマンとミカサは、今回からは、魔素の事を考えずに、バンバン魔法や魔素の弓矢を使っていいわよ!
いくらでも魔素を回復してあげるから、シルマンは皆の回復の事を考えず、敵をぶっ叩いて、パーティーの回復は私が管理するから、カンガルー君もシルマンと一緒に前衛ね。
ララとモモは、魔物の解体してコアを取り出すのと、宝箱を開ける係ね!」
「「解体……」」
ララとモモのテンションが一気に落ちた。
「アンちゃん、シャンティーさんって、回復魔法できるのか?
話聞いてたら、MPまで回復できるような事言ってたぞ!
MP回復できるのは、姫だけじゃなかったのか?」
「シャンティーさんは、超凄腕エンチャンターでもあるけど、元々は、光の精霊だから回復魔法が本当の専門なんだよ!
尚且つ、エリスさんの魔素を使って魔法を使うから、必然的に、魔法の威力が爆発的に上がるんだよ!
実際に、シャンティーさんは上級精霊なんだけど、エリスさんの魔素を使う事で、実質的に神級レベルの精霊と同等以上の魔法の威力を発揮する事ができるんだよ!」
エリスさんの魔素は、美味しだけではなかったのかよ!
姫の魔素と同等の効能で、尚且つ、姫と同じ様に魔素総量が底なしって、どれだけ反則的なんだ……
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