【R18 】必ずイカせる！ 異世界性活

２１８. ブラック企業

　
　次の2階層目も1時間程で攻略し、フロアーボスは『三日月旅団』のテーマー、モモ·ムーンのカンガルー君が秒殺し、今は3階層目のフロアーボスの扉の前に立っている。

「次は、私が殺るのニャ！」

　ブリトニーは、血がうづいてきたのか、フロアーボスとの戦いに、立候補してきた。
　そして、扉を開けた瞬間、一瞬消えたと思った瞬間にはフロアーボスを真っ二つに斬り裂いていた。

「オイ、ロマンチックの娘！ 俺達、部屋の中にも入ってないんだぞ！
　誰もお前の戦いを見れなかったじゃないか！」

　シンタローさんが、ブリトニーに文句を言う。



　しかし、ブリトニーの事を、ロマンチックと呼ぶ人を初めて見た。

　シンタローさんは『漆黒の森』出身だったな。

　そしたら、同じく剣聖であるブリトニーの父親であるガルム·ロマンチックと知り合いでもおかしくない。

　昔、切磋琢磨し合ったライバルだったという設定がしっくりくるし、実際そんな感じだったのだろう。

　兎に角、シンタローさんは、ブリトニーの戦いを見れなくて残念がっている。

　結局初日は、8階層目までの探索が終わった。

　いつもの俺達のペースとしては、かなり遅いのだが、俺達の今までの未攻略ダンジョンの攻略方法は、かなり異質だった。
　冒険者ギルド会議の会員になる為に、ギルドランキングを上げる事だけを考え、お宝には目を向けず、ただただフロアーボスを倒し続け、階段フロアーに結界を張って冒険者ポイントをゲットしていくだけだったのだ。

　今回、初めて冒険者らしいお宝探しをし、ちょっとしたハプニングもあったりしたが、それなりに楽しかった。

　しかし、折角手に入れたお宝も、今回のレイドでは、宝箱の中身は全て冒険者ギルドに一度買取をして貰うというルールになっている。

　しかし、今回のような冒険者ギルド本部主催のレイドの場合は、神級の超レアアイテム以外なら、余程の事がない限り、気に入った物があれば、優先して宝箱を発見したギルドが、売値で買戻しもできると、シンタローさんが言っていた。

　それを聞いて俺は、プラチナハサミを何となく買い戻そうかと思っている。
　何となく、使い道がある気がするのだ。
　アンちゃんの裁縫道具とか。
　アンちゃんだったら、大事に使ってくれる筈だ！
　俺が何となくプレゼントした、普通の大盾を、無理矢理魔改造して未だに使っているくらいなのだから。

　気に入らなければ、また魔改造して、神級のハサミに生まれ変わらせてしまうかも知れないな。

　色々妄想しながら、取り敢えず、移転装置で、ダンジョン1階階段フロアーの対策本部に移転する。

「お帰りなさいませ。
　早速、宝箱の中身を提出してもらえますかな」

　シロー爺さんは、待ち構えていたように宝箱の中身の提出を即す。

「そんなに焦らなくったて、ちゃんと提出するわよ！」

　シャンティーさんは、ブツブツ言いながらも、お宝を提出する。

　シローさんとは違う男性の冒険者職員が、虫眼鏡のような物で、1つずつお宝をチェックしてながら、そろばんを弾いていく。

　俺は少し気になり、冒険者職員が使っている虫眼鏡を鑑定してみる。

　｛神級魔道具【鑑定虫眼鏡】あらゆる物を鑑定する事ができる虫眼鏡です。
　但し、人は鑑定できません。｝

　成程、アレにより素早く鑑定できると言う訳か。

「通常買取価格は、720万マーブルになります。
　そして、この価格から1.2掛けで、864万マーブルの支払いになります！」

「結構な金額になったわね！
　流石は、6S以上の未攻略ダンジョンね！」

　冒険者ギルド職員がシャンティーさんに、お金を渡す。

　シャンティーさんはウハウハの顔をしながら、お金を数える。

「確かに864万マーブル受け取ったわ！
　ミカサ！ これがあんた達の取り分よ！」

　シャンティーさんは、そう言うと、『三日月旅団』のメンバーに、1人につき3万マーブルずつ渡す。

「「「有難うございます！ 師匠！」」」

　ミカサ達『三日月旅団』は、シャンティーさんに見事な90度の礼をした。
　完全なブラック企業だ……

　俺が冷めた目付きでシャンティーさんを見ていると、シャンティーさんが俺の視線に気付いて、フワフワ飛んで俺の顔の前まで近づいてきた。

「変態ロリコン大魔王、あんた私に、何か文句でもあるの？
『三日月旅団』の取り分が少ないとか言うつもりじゃないでしょうね！
　3万マーブルでも、とても奮発して渡しているんだからね！

　私達は、『三日月旅団』が、宝箱を開けて死ぬ度に生き返らせてあげてるし、引率までしてあげてるんだから！

　そもそも『三日月旅団』は、このダンジョンへの挑戦は早すぎなのよ！

　あんた達の所の姫様のように、死んだ人間を生き返らせてしまうような回復魔法が使えるならともかく、エリスのポーションをたくさん買える程の経済力が無ければ、このダンジョンの攻略に参加すべきじゃないのよね！」

　確かに、シャンティーさんの言う通りだ。
　このダンジョンを攻略する為には、エリスさんのポーションが、山ほど必要だ。

　そして、シャンティーさんは大口注文者には、エリスさんのポーションを3倍の値段で売付けるのだ。

　しかし俺は、既に、何となく解ってしまっている。

　実は、シャンティーさんは、『三日月旅団』に、このレイドに何としてでも参加して欲しかったのだ。

　シャンティーさんは、『三日月旅団』が、自分の思い描くストーリー通りに動くように、誘導していたのだ！