232 / 286
232. 12人のバイセクシャル
しおりを挟むカレンが、剣を鞘から抜いたのを合図に戦闘が始まった。
いきなりクリスティーヌが、土魔法の弾丸の嵐をセーレに向けて発動する。
セーレは何事でもないように、高速移動を繰り返し、土魔法の弾丸を避ける。
クリスティーヌの土魔法が終わるのと同時にヤナトがセーレの間合いに飛び込み、目にも止まらない速さで、肉弾戦に持ち込んだ。
ダッ! ガッ! ドカッ! バン! ガッ! ズシッ! ドカン! ダッ! バコッ! シュッ! ダッ! ダッ! バン!ズゴッ! ゴガッ!
セーレはヤナトの高速攻撃を完璧に見切り、必要最低限の防御だけで凌いでいく。
「クッソー! 完璧に見切られてやがる!
ブリトニーの姉御のように、全ての攻撃を避けられ続けられるのも堪《こた》えるが、コイツのように、普通に避けられる攻撃を、敢えて余裕綽々で受け止めらるのは、堪えるというよりも癪にさわるぜ!」
「俺も交ぜてくれ! 3Pだ!」
スイセイが、セーレとヤナトの闘いに交ざる。
言葉のチョイスが間違ってる気がするが、『カワウソの牙』の他の2人は、何事でもないかの様に、普通にスルーしている。
処女であるカレンは、少し動揺し、抜いた剣を鞘にしまって気を落ち着かせようと努力している。
「3Pって、変な事言わないで下さいよ!
それも男同士で……
僕は、まだ子供なんですよ!」
セーレが、3Pという言葉に妙に反応している。
「ハッハッハッハッハッ!
男同士のSEXも気持ち良いぞ!」
スイセイが爽やかに笑いながら、セーレに言葉を返す。
「……男同士の3P」
スイセイのまさかの発言に、セーレの顔が青ざめ、少し動きが鈍くなる。
「戦闘中に他事を考えるとは、未熟な!」
スイセイの疾風のような鋭い突きが、セーレの頬を掠める。
「キャーなんて事するのよ! セーレ君の顔を傷付けるなんて!」
クリスティーヌが、突然喚き出す。
「お前は、誰の味方なのだ……」
ヤナトが呆れた顔で、クリスティーヌに質問する。
「それは勿論、アンタ達よ!
でも、ショタの顔を狙うなんて反則よ!
ショタは、世界の宝なのよ!」
「見た目だけが、ショタだろ!
実際には、俺達よりとんでもないジジイ悪魔だろ!」
「一体、何の話をしているんですか?
本当に、落ち着きのない人達ですね。
スイセイさんの余りの衝撃発言で、少し固まってしまいましたが、それも貴方達のいつもの戦術な…ウワッ!!」
ヒュン! ヒュン!ヒュン!
「オラオラ! 何チンタラ喋ってるんだ!
まだ戦闘中なんだぜ!
ヤナトとスイセイが阿吽の連携で、セーレに攻撃を仕掛ける」
フン!!
「ウワッ!!」
突然、セーレが気合いを入れると、セーレの周りから衝撃波が発生し、ヤナトとスイセイを吹き飛ばした。
「話の途中なので、ちゃんと最後まで聞いて下さい!」
セーレは、『カワウソの牙』のおバカ攻撃で、リズムを乱されているように見受けられる。
「糞っ! なんてメチャクチャな闘気なんだ!!」
ヤナトが体勢を立て直し、立ち上がる。
「ヤナト! もうすぐ10分経つわよ!
そろそろ姫様のポーションの時間だから、ゆっくりセーレ君のお話を聞きましょ!」
「ゲッ!! もうそんな時間かよ!
オイ! ガキンチョ! お前の話を聞いてやるから、今のうちに言いたい事全部言っちまえ!」
「エッ?! 僕の話を聞いてくれるのですか?
何の話をしてたかな?
アッそうだ!スイセイさんが男同士で3Pすると言う話でしたね!
アレって流石に冗談ですよね!
僕を惑わす為の高度な作戦だと、僕は推測したのですが?」
「君は、何を言ってるんだ?
勿論、本当だ!
普段は、俺は受け専門だが、君のお尻はとても魅力的だから、俺が攻めでも良いかもしれないな……
よし! 君の初めての男は僕がなってあげよう!」
スイセイが真顔で、セーレの疑問に答えた。
「スイセイさんって、本物のゲイなんですか?」
セーレが、青い顔ををしながらも興味があるのか、更に質問をする。
「俺はゲイでは無い! バイだ!」
スイセイは、歯をキラリとさせながら答えた。
「バ……バイですか?
バイセクシャルのバイ?
す……凄い、 初めて見ました!!」
よく分からないが、セーレが感動している。
「セーレ君。バイなんて、ちっとも珍しくないぞ!
何を隠そう、俺の所属する『カワウソの牙』総勢12名は、全員バイセクシャルだ!」
スイセイが、ドヤ顔で答える。
「ウォーーー!!
バイセクシャルを、今日初めて見たのに、他にも12人もバイセクシャルが居るなんてーーー!!」
セーレは、目をぱちくりさせて驚いている。
カレン·ロマンチックは青ざめながら、数歩下がった。
この状況は、一体なんなのだ……
『カワウソの牙』が、登場するまでは、ピリピリする戦場では無かったのか……
ていうか、今、闘いの最中では無かったのか?
敵の総大将と、おバカな話で盛り上がっているなんて……
「アンタ達、何時まで話してるのよ!
とっとと姫様のポーションを飲んで、闘いの続きを始めるわよ!」
急にクリスティーヌが仕切り出す。
カレンは、クリスティーヌの言葉が理解できない。
この状況で、また闘いを始めるのか……
てっきり、このマッタリした時間がずっと続くのだと思っていた。
カレンは、『カワウソの牙』のおバカ過ぎる常軌を逸した行動に、今までの自分の価値観を、激しく揺さぶれるのであった。
15
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる