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248. 真の目的
しおりを挟む「ご無沙汰でこざいます。
姫様。セバスでございます」
執事定番の名前、セバスチャンと名乗るどう見ても只者ではない悪魔が、姫に対して温和な笑みをしながら頭を下げた。
「セバスは半年前に死んだ筈なのに、何故生きているの?」
「姫様、申し訳ございません。
あの時は、ベルフェゴールの軍が突然城に攻めてきてしまったので、斬られた私は、死んだ事にするしかなかったのです」
セバスチャンは、すまなそうな顔をしながらも、しっかり姫の目を見据えて話す。
「その羽根は、一体なんなの?
セバスは、デーモンなの?」
「姫様の仰る通り、私は悪魔アスモデウスでございます。
初代王との盟約を守る為に人に化け、長い間、影から漆黒の森を見守って参りました」
「オイ! ブリトニー! 話が全く見えないんだが、セバスチャンって一体何者なんだ?」
俺は突然現れたセバスチャン《アスモデウス》が、姫とどのような関係なのかが分からなくて、ブリトニーに質問した。
「セバスは、姫様の教育係で姫様専属の執事なのニャ!」
「という事は、初代漆黒の森のデーモン達は、ずっと前から漆黒の森の中に潜んでいたと言う事なのか?」
「ハイ、ゴトウ様、その通りでございます。
私の主の一派は、ずっと漆黒の森の中に潜んで、初代様の血筋のダークエルフを見守って参りました」
ブリトニーとコソコソ話していたら、突然アスモデウスが話に入ってきた。
「聞いていたのか……」
「ハイ。私は悪魔なので地獄耳なのでございます」
「お前の主って、ハバロネだろ!」
「ハイ、よくご存知で。
流石は、魔女様が連れて来られた転移者でございますね!」
「て、いうか、ハバロネって名前は、突っ込みどころ満載だろ!」
「ご主人様! ハバロネも悪魔だったのニャ?」
ブリトニーが、驚いた顔をして聞いてきた。
「ああ、最初は、ただ辛そうな名前な奴だど思っただけだったが、七つの大罪とかの話が出てきた時点で怪しいと思っていたんだ。
さっき、アスモデウスが漆黒の森に潜んで姫の教育係をしていたと聞いた時点で、完全に確信した。
ハバロネの正体は、8人の下位王子の中の1人アマイモンだろ!
確か、グリモワールの『ゴエティア』によるとアスモデウスはアマイモンの配下だった筈だ」
「主の正体まで、見破ってしまわれていたとは、流石はゴトウ様でございます」
「元オタクの知識を舐めるなよ!
そんなのよくある異世界モノのネタだろ!
甘そうな名前のアマイモンが、辛いモノの代名詞であるハバロネを偽名にしてる時点で、気づいて下さいアピールしまくっているだろ!」
「マスター! 凄いのです!
私の知らないセバスの秘密やセバスの主の事まで知ってるなんて!」
何故か姫が、俺の事を目を輝かせて尊敬の眼差しで見つめてくる。
先程まで、自分の教育係だった男が、デーモンだと知っててショックを受けてたように見受けられたが、そんな事は最早どうでも良くなってしまったようだ。
「で、セバス。いや、アスモデウスか。
一体、お前達の目的は何なんだ?」
俺は、取り敢えず本題に斬り込む。
「私達の一派、アマイモン派閥の目的は、覚醒した姫様の実力を測り、我らが仕えるべき主か見極める事でございます」
「それで、姫はお前達から見て合格なのか?」
「勿論、合格でございます。
私も、実際に姫様を見るまでは、ここまで凄く成長なされているとは思いもよりませんでした。
ひとえにゴトウ様のお陰でございます。
私の部下を一瞬で、押しつぶして気絶させた場面など、姫様の教育係として目頭が熱くなりました。
それから、私の会心のレールガンを盾で逸らした方など、姫様の新しい仲間の方々の実力も中々な物です。
しかしそれでも、姫様方は まだまだ実力不足なので御座います。
今の実力では、ベルフェゴールを倒す事は到底及びません!」
「やはり、北の大魔王ベルフェゴールは俺達の敵なのか?」
「ベルフェゴールは、何があっても姫様を認める事はございません。
彼奴《あやつ》は、初代王にだけ忠誠を誓っているのでございます。
ベルフェゴールの主も、契約により初代漆黒の森の王に渋々従っていただけなので、初代王が亡くなったと同時にどこかに消えてしまわれました」
「まあ、ベルフェゴールは敵だったとしても、お前やアマイモンが、俺達に手を貸してくれるんだろ?」
「すみません……
それが出来れば何も問題ないのですが、我ら初代王により召喚された悪魔は、仲間同士で殺し合いしてはならないという誓約をさせられているのでございます」
「そしたら、俺達がベルフェゴールを倒すのは無理な話だろ……
俺達は、お前にさえ、手も足もでなかったんだぞ!」
「その為に、我らアマイモン配下の悪魔が、ベルフェゴールに手を貸すフリをして、新漆黒の森を攻める第一陣に名乗りを上げたので御座います。
姫様方が、いきなり漆黒の森を攻めておりましたら、ベルフェゴールに返り討ちになるのは目に見えておりましたので……
なので、我等が姫様方の戦力を見極めて、尚且つベルフェゴールと戦えるレベルまで引き上げる事が、我等アマイモン派閥の真の目的なので御座います!」
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