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第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編
30. カララムダンジョン攻略開始!
しおりを挟むカララムダンジョンの1階層は、何故か塔の中だというのに、どこまでも草原が拡がって見晴らしがいい。
アチコチで、初級冒険者が、スライムとか、ホーンラビットとか、1階層に出てくる弱そうな魔物と必死になって戦っている。
そんな1階層で、カトリーヌは魔法使い用の杖で、ホーンラビットを、バチコーン!と、吹っ飛ばしたのだ。
もう、本当に意味が分からない。
カトリーヌが持ってるのは、魔法使い用の細長い杖だよ。それをまるで棍棒のように使い、ホーンラビットを、星の彼方にぶっ飛ばしたのだ。
「やるわね! カトリーヌ!」
カレンは、さも当たり前のように話してるし。
まあ、イーグル辺境伯の血筋の者なら、これぐらい出来て当然と思ってるのかもしれない。
「気分爽快ですわ!」
そりゃあ、カトリーヌさんは気分爽快だろう。あんなにホーンラビットを吹っ飛ばしちゃったんだもん。
本当に、俺達が貧乏な初心者冒険者パーティーじゃなくて良かったよ。
だって、魔物倒しても、ドロップ品も一緒に星の彼方に飛ばしちゃった訳だからね。
なので、俺は今後の事も考えて、思わず少し注意しちゃったのだ。
俺達、『熊の鉄槌(仮)』以外で、カトリーヌがダンジョンに入った時、皆に白い目見られないように。
もしかしたら、攻略対象の王子様達と、カトリーヌがダンジョンに一緒に行くという未来があるかもしれないから。
「カトリーヌさん。魔物倒す時は、吹っ飛ばさない方がいいよ。吹っ飛ばしちゃうと、折角倒してもドロップ品をゲットできないからね!」
俺は、本当に、軽い気持ちで指摘してあげたのだ。
そんな軽い気持ちの指摘だったのに、まさか、こんな事態になってしまうとは……
「成程! そうですわね! 確かに、魔物を吹っ飛ばしてしまったら、魔物のドロップ品をゲット出来なくなってしまいますわ!」
そして、カトリーヌが出した答えは、
パッコーン!!
杖をフルスイングして、魔物の頭をスイカ割りみたいに、木っ端微塵にしてしまうやり方を思いついたのである。
本当に、これはヤバイよ。頭が爆発して脳ミソと血が飛び散って、本当にグロテスクなんだから。
まあ、暫くすると、死んだ魔物の姿が消えてドロップ品が落ちるのだけど。
カトリーヌが浴びた、魔物の返り血や脳ミソの断片は何故か消えないんだよね……
そんなヤバイ、血だらけの貴族令嬢を、カレンやカイは当たり前のように見てるし。
本当に、イーグル辺境伯の血筋って、どうなってるんだよって感じ。
「俺も、負けないぞ!」
カイも、脳ミソ浴びたカトリーヌを見て、盛り上がっちゃってるし。
どう考えても、このパーティーのストッパー役は俺しかいない。
というか、このパーティーに、俺以外の常識人が欲しい。イーグル辺境伯の血筋以外の……
そんでさ、もう凄いよ。
俺達、その日の内に、30階層まで攻略しちゃったもん。
俺は、バトルジャンキーのイーグル辺境伯の血筋の子達を止めるのに四苦八苦。
もうさ、コレ、『恋愛イチャイチャキングダム』のあらすじ滅茶苦茶になってしまってるって。
だって、悪役令嬢のカトリーヌが、脳筋のバトルジャンキーになっちゃったんだもん。
まあ、実際、『恋愛イチャイチャキングダム』の世界では、カトリーヌは主人公に、嫌がらせというより正論を言ってただけなんだけど、今のカトリーヌは、正論を言葉で解らせるより、拳で語らせるというイーグル辺境伯の血筋の頭になっちゃってるからね……
もう、ずっとさ、こんな感じだったんだから。
パコン! パコン! パコン! ブシューー!! ヒテブー! ベチャ! パコン! ブシュー!
「アッハッハッハッハッ!本当に爽快ですわ!」
俺には、『恋愛イチャイチャキングダム』の主人公が、カトリーヌに頭を勝ち割られて、脳ミソ撒き散らす未来しか見えない……
「やっぱり、パーティーでダンジョン攻略すると、楽しいわね!」
「ですわ!」
ダンジョンからの帰り道、カレンの言葉に、カトリーヌが、ですわ!で、頷く。
俺は知っている。悪役令嬢が、なんでも『ですわ!』で、頷くようになると、それは既に、異世界転生ジャンルの悪役令嬢モノが、スタートしてる事を。
「この調子で、カララム王国剣術大会が始まる前に、エリザベス叔母様達が為し遂げた、カララムダンジョン最高到達記録、65階層に並ぶわよ!」
「ですわ!」
「兄貴、頑張りましょ!!」
カレンの言葉に、イーグル辺境伯の血筋のカトリーヌとカイが、目をギラギラさせてヤル気になっている。
どんだけバトルジャンキー……
「ご主人様も、負けていられませんね!」
なんか知らんが、サヤまでカレン達の熱に当てられて盛り上がってるし。
「アホか。アイツらのテンションで戦ってたら疲れるっちゅーの。俺は、アイツらのストッパー役。
イーグル辺境伯の血筋の奴らは、危なくなっても、立ち止まるって事を知らなそうだから、俺達の仕事は、奴らが危なくなったら助ける仕事だっての!」
なので俺は、まるで分かってないサヤを正してやったのだ。
「ご主人様は、大人になりましたね!」
「アホか! 俺はまだ死にたくないだけだ!
イーグル辺境伯の血筋の奴らと、マトモに付き合ってたら、命がいくらあっても足りないっちゅーの!
このパーティーには、俺しかイーグル辺境伯の血が入ってない奴いないんだからな!
それに、俺はカレンの護衛騎士だから、カレンを守るのも仕事なんだよ!」
「ご主人様! これは影の実力者ルートに突入じゃないですか!」
また、サヤが、アホな事を言いだした。こいつは、最新鋭AIじゃなかったのかよ。
「アホか!俺はどう見ても、正攻法ではカレンやカトリーヌより弱いだろ!弱いのに影の実力者語れるかよ!」
「まあ、まだご主人様は、『転移』スキルが発動してませんもんね。僕の計算では、ご主人様は『転移』スキルが発現したら、この世界最強になる予定ですから、暫くは、カレンさんやカトリーヌさんに花を持たせてあげましょう!
そして、ご主人様が最強になったら、影の実力者ルート突入ですよ!」
そんな感じで、俺はモブ無双ルートから、影の実力者ルートに移行する事が、サヤの中で正式に決まったみたいであった。
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