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第一章 ヨナン・グラスホッパー編
23. キッチンカー
しおりを挟む男爵芋の種付けが終わってから3日後。
「なんじゃーこりゃ~!」
エドソンが、開拓した大森林から溢れ返る男爵芋。改め、公爵芋を見て絶叫する。
「何なのヨナン……これは全て、アナタの力なの……」
エリザベスも、目の前の有り得ない光景を見て、目が点になっている。
「すげぇーや!流石、芋掘りの天才ヨナン兄ちゃんだぜ!」
「お兄ちゃんすごーい!」
五男のコナンと、次女のシスも興奮気味。
「まあ、まあ。これは序の口で、取り敢えず、食べてみてよ!」
ヨナンは、あらかじめ焼いておいた公爵芋を、グラスホッパー家のみんなに食べさせる。
「なんじゃこりゃー!」
「何、コレ? 甘くて凄く美味しい! これがあのパサパサで不味い男爵芋だって言うの……」
「やっぱ、ヨナン兄ちゃんは、芋の達人だよな!」
「甘くて、美味しい~」
エドソンも、エリザベスも、コナンも、シスも、超絶甘くて美味しくなった男爵芋。改め、公爵芋に感激している。
「あの、俺、考えたんだけど、この男爵芋。改め、公爵芋を、グラスホッパー領の新たな特産品にしようと思うんだ!」
「おお! そいつはいいぜ! これは、男爵芋より高く売れるぞ!
しかも、公爵芋だったっけ? 繁殖力も物凄いし、取っても取っても無くなりそうもないしな!」
どうやら、エドソンも乗り気である。
「アナタ! この公爵芋があれば、ヨナンも、コナンも、シスも学校に入れる事ができるわよ!」
何故か、エリザベスが泣いて喜んでいる。
どうやら、俺だけでなく、コナンもシスも学校に入れるお金がなく、今現在も想像以上に、グラスホッパー家は貧窮してたようであった。
「ああ。良かったな! エリザベス!」
エドソンと、エリザベスは、泣きながら抱き合い、ちょっと見ていられない状況だ。
「ヨナン兄ちゃん! 早く収穫しようよ!」
「私も手伝う!」
なんかよくわからんが、コナンとシスがとても懐いてくる。
「ああ。兄ちゃんと収穫しような!」
取り敢えず、グラスホッパー家から持って来ていた荷馬車いっぱいに公爵芋を積み込み、
「エドソン! この荷馬車を貸してくれるか?俺、今から、この公爵芋を、カナワン伯爵領の領都まで行って、売ってくるけど?」
と、公爵芋を売りに行って良いか確認をとる。
「おお! それはいいけど、トップバリュー男爵領の方が近いだろ?」
エドソンは、不思議な顔をして聞いてくる。
まあ、普通の考えなら、商売の街であるトップバリュー領の領都で、公爵芋を売るのが正解なのだ。
「俺、トップバリュー商会が嫌いなんだよ。聞いた話だと、汚い商売にも手を染めてるって話だから」
誰が、アスカのトップバリュー商会に公爵芋を売るかっての。
あそこは、ヨナンの家族を滅茶苦茶にした商会なのである。
「そうなのか? まあ、この公爵芋は、お前が作ったんだから、どこで売ってもかまわんが、カナワン伯爵領の領都まで、片道、荷馬車使っても8時間は掛かるだろ?
今からの時間だと、カナワン伯爵領の領都に着く頃は、城門は閉まってる時間だし、カナワン城塞都市の城壁の外で野営しなきゃならんぞ?」
「そうか。それなら」
ヨナンは、大森林を伐採した時に製材しておいた木材を使って、一気に、新た荷馬車を作る。
「オイ……ちょっと、お前の動き、相当ヤバいぞ……」
ヨナンが、荷馬車を作ってる所を見てたエドソンが、驚愕してる。
無理もない。余りにヨナンの動きが速すぎて、常人には、マトモに見えないのだから。
「この荷馬車なら、野営も問題無いよね!」
ヨナンが新たに作った荷馬車は、地球の知識をふんだんに詰め込んだ、キャンピングカー?じゃなくて、車の代わりに馬に牽引させるキャンピングトレーラー。
トレーラーの中には、キッチンもベッドもトイレまであり、何故か、キッチンカーのように、側面がパカッ!と開き、荷馬車の中から焼き芋を販売する事が出来てしまうのだ!
「お前の大工スキル、メッチャすげーな……。俺の持ってる剣術スキルが、なんかしょーもないものに思えてきやがった……」
まあ、エドソンがそう思うのも無理はない。ヨナンの木工スキルは、女神ナルナーから異世界転生特典として貰った、特別なスキルなのだから。
「取り敢えず、この荷馬車があれば野営は問題無いし、今回の売上は、魔法の鞄を買う資金にしちゃうから、家にお金入れれないけどいいかな?」
「おお! いいぞ! 魔法の鞄があれば、次からはたくさん、公爵芋を売りに行けるしな!
今でも、売り切れないほど、公爵芋生えてるし、出来るだけ、大容量の魔法の鞄を買って来い!」
「了解!」
ヨナンは、計画通りにエドソンの了解を取りつけ、カナワン伯爵領の領都に向かったのだった。
『ご主人様、もしかして、このキッチンカーで石焼き芋を作って、城塞都市の城門の外で、野営ついでに、石焼き芋を売るつもりでしょ!』
キッチンカーで移動し始めると、鑑定スキルが話し掛けてくる。
「ああ。このキャンピングキッチントレーラーを作ってる途中で思いついた」
『楽しそうですよね!』
「ああ! そのまま売るより、高く売れそうだしな!」
そんな話をしつつ、6時間かけて、カナワン伯爵領の領都に到着する事、夕方の5時。
『想像以上に早く着いちゃたですね……』
「ああ。足回りとか、地球の知識をふんだんに使いフルチューンしてるからな。あまり揺れないし、快適だっただろ?」
『あの、僕、ご主人様のスキルなんで、幾ら揺れても快適とか無いんですけど……』
「だったな」
『それより、どうします? まだ城門開いてますけど?』
「計画通り、ここで野営する!だって、そもそも宿賃持ってないし!」
『ですね!』
ヨナンは、一応、確認の為に、門兵に城門付近で、キッチンカーを開いていいか確認する。
勿論、グラスホッパー騎士爵家の印籠を見せてね!
やはり、貴族の印籠は効力が高いらしく、門兵からすんなりOKがでる。
勿論、ワイロとして、公爵芋の石焼き芋を兵士全員分、タダで渡してね!
「なんだ! この芋は! メッチャ甘いじゃないか!」
「しっとりとして、芋に蜜が入ってやがるぞ!」
兵士達には、まずまずの人気である。
なんか、殆どの兵士達が、家族や友人にお土産に持って帰るから売ってくれと、大人気になってしまったのだった。
そして、そんな兵士達が呼び水になったのか、城門に並んでる冒険者や商人達が、珍しがって買いにくる。
『ご主人様! 想像以上の人気ですよ!』
「そりゃあ、この世界には薩摩芋なんて存在しないからな!
しかも、これは甘くて有名な安納芋だぞ!
売れない訳ないだろうが!」
『でも、1個、600マーブルもするのに、飛ぶように売れていきますね!』
「トップバリュー商会が、俺らから300マーブルで仕入れて、500マーブルで売ってたんだぞ!
それを俺達は、石焼き芋にして、600マーブル。本来なら700マーブルぐらいで売ってもいいのに、これでも値段を相当、抑えてるんだ!売れて当たり前だよ!」
『やはり、この世界で人生やり直して、得してますよね!』
「ああ。最初の周回だったら、間違いなく200マーブルぐらいで売ってた筈だ。だって、男爵芋の値段が30マーブルとかだったからな」
『トップバリュー商会様々ですね!
だって、公爵芋の適正価格を、ご主人様に教えてくれた訳ですし!』
「ああ! ザマーだぜ!」
『え? これくらいでザマーなんですか?』
「違うの? 今回は、トップバリュー商会に、公爵芋売ってやらなかったんだぞ!」
『それぐらいじゃ、アスカのトップバリュー商会に全く打撃は与えられてないですけど?』
「だったら、俺が、トップバリュー商会を越える大商会を作って、トップバリュー商会から、この国のシェアを奪ってやんよ!」
ヨナンは、アスカにザマーする為の、壮大な計画を思いついたのだった。
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