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第一章 ヨナン・グラスホッパー編
69. ヨナン、自分の家を建てる
しおりを挟む早速、王都に行くと、グラスホッパー商会が所有してる土地を見繕う。
『ここなんかいいんじゃないですか? 貴族街ですし!』
鑑定スキルが、よさそうな土地を示してくる。
「却下だな。カララム王国学園から遠い。
しかも、グラスホッパー商会から近過ぎる。
俺は、仕事場に出来るだけ近付きたくないんだよ!
今まで、ずっとグラスホッパー商会のホテルや慰安施設で生活してたんだぞ!
何でわざわざ、グラスホッパー商会の近くに住まんとならんのだ!」
『じゃあ、商会がある南側は却下ですね。
そして、学園は北側ですから、ここなんかわ?』
鑑定スキルが、次の候補を示す。
「駄目だ! 下級貴族専用の寮があるこっち側がいい!」
『あのご主人様? 距離的に近くても、そちら側には、学園の入口が有りませんから、距離的に家と近くても、グルリと回らないといけないので、相当、遠いんですけど?』
鑑定スキルが、アホですか?と心の中で言ってる気がするが、アホは、勿論、俺じゃない。
「アホか! そんなの地下に穴掘ればいいだけだろ!俺が、穴掘り得意なの忘れたか!」
『まさか、ご主人様……寮と新たに建てる自宅を、地下で繋げようとしてるんですか?!』
どうやら、鑑定スキルが、ヨナンの壮大な計画に気付いてしまったようだ。
「フフフフフ。そうだ。そして、今現在、セント兄が住んでる下級貴族専用寮の1階の部屋と、新たに建てる家を地下で繋ぐ計画なのだ!」
『成程。セントさんは、来年卒業ですから、その部屋が空くという事ですね!』
鑑定スキルは、合点がいったようである。
「そう! そして、もう俺は、来年の為に学園に裏で手を回し、セント兄の部屋を、引き続き弟である俺が引き継ぐ手続きもしてあるのだよ!」
『敢えて、上級貴族や、金持ちが住む寮には住まないと!』
「アホか! 何で俺が、ボンボンの上級貴族が住む寮なんかに住まんとならんのだ!
俺は、ジャンクフードが好きだし、硬っ苦しいのは嫌いなんだよ!」
そう、ヨナンは最近、グラスホッパー商会で売り出してる、即席麺ばかり食べてるのである。
『ですが、貧乏寮の周りには、グラスホッパー商会が所有する土地はありませんね……』
「そんなもん買えばいいだろ! 俺は、この国有数の金持ち貴族なんだぞ!」
『そうでしたね! そしたら、一番良さそうな場所を、金にものを言わして地上げしてしまいましょう!』
てな感じで、ヨナンは、普通の価格の3倍の金で、元の住民を立ち退かせ、そして、その日のうちに、更地にしてしまったのだった。
『で、どんな家にするんですか?』
「まだ、考えが纏まってないんだよな……」
『じゃあ、地下道から先にやったらいいんじゃないですか? どうせ、寮と家を繋げてしまうんだし!』
鑑定スキルが、ナイスアイディアを出してくる。
「だな! じゃあ、その前に、外壁だけやっちまうか!
イキナリ、近所の人達に、穴掘りしてたら怪しまれるし!」
『目隠し代わりですね!』
「そういう事!」
ヨナンは、いつものように、アダマイタントミスリル合金で、6メートルほどの高さの壁を敷地を覆うように建設する。
そして、その上には、1万ボルトの電流が流れる有刺鉄線。
『これ、今の段階で、貴族が住む邸宅には、到底見えませんね……』
「アホか! ただの防犯対策だっちゅーの!
家も建てたら、それに合わせて、素敵な壁にするんだよ!」
『まあ、確かに、穴掘ってる所なんて、誰にも見せれませんしね!』
てな感じで、とっとと家?空地と、貧乏寮を繋ぐ、地下通路を掘ってしまう。
距離にして50メートル。
貧乏貴族の寮は、カララム王国学園の敷地の中でも、端の方の壁際で、学舎から離れた場所にあるのだ。
「なんか、ただの地下通路って、面白みがないよな……」
『どうせなら、地下室的な感じで、空間を広げちゃえばいいんじゃないですか?
丁度、この辺りって、下水道とかもありませんし!』
「いいね! それ、というか、地下に家作っちゃえばいいじゃん!
誰も分かんないし!
寮のスグ下が、自分ん家って、メッチャ楽じゃん! 地下大浴場や、ボーリング場とか、カラオケ場とかも作っちゃおうかな!
だって、学園内の敷地って、どうやら、あんまり下水道が無いから、やりたい放題じゃん!」
『そこに行き着きますか……』
鑑定スキルが、感嘆する。
「じゃあ、最初にカモフラージュの家建てとこ!」
『エッ?! こだわりの家を建てるんじゃなかったんですか?』
「こだわるのは地下の家であって、地上の家は、なんか豪華な貴族ぽい家でも建てとけば良いだろ!」
てな感じで、カモフラージュの家といいつつ。ヨナンが、もの凄く豪華な地上の家を建てたのは、言うまでもない話だった。
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