122 / 264
第一章 ヨナン・グラスホッパー編
122. カレンVSアレクサンダー君
しおりを挟む予選は無事終わり、本戦は次の日に持ち越される。
力の加減を全く分かってないアン姉ちゃんは、エリザベスに捕まり、教育的指導。
だって、今まででも相当ヤバかったのに、現在は有り得ん殺気を常時撒き散らす人間凶器になってるのだ。
たまたま、今迄は、運が良かっただけ。
グラスホッパー領に住んでた時は、そもそも俺以外の家族全員が規格外。
カララム王国学園に入学したての頃は、貧乏過ぎて、バイトが忙しく友達が1人も居ないボッチだったから、自分の凄さを全く気付けなかった。
そして、最近つるんでるのは、同じ身体強化スキルLv.3を持ってる、カレンとカトリーヌ。
本気に、今迄、自分が普通の人間だと思ってたのだ。
天然にも程がある。
まあこれは、エリザベスがアン姉ちゃんに、今まで教えてこなかったのが原因だけど。
というか、エリザベスもゴリラ並の力持ちだというのを、俺達家族に隠してた。
俺も、死に戻りしてから、初めてエリザベスのヤバさを知ったし。
そして、次の日。カララム王国学園祭本戦。
アン姉ちゃんは、憔悴しきって、エリザベスと一緒に会場に現れた。
どうやら、殺気の抑え方を覚えたようである。
エリザベスによる、脳筋スパルタ特訓で。
あのままの状態なら、遅かれ早かれ死人が出てたと思うから、しょうがないよね。
でもって、本戦トーナメントの対戦は、くじ引きによって、カレン対アレクサンダー君。アン姉ちゃん対カトリーヌに決まった。
そして、まず最初に、カレン対アレクサンダー君の試合が始まる。
「陛下! 止めておくなら今のうちよ!」
カレンは、カララム国王であっても、全く、忖度する気はないらしい。
まあ、元々、誰かに忖度するような性格じゃないし。
「カッカッカッカッカッ! 抜かせ、小娘が!ワシの力を存分に見せつけてやるわ!」
とか、強気な事を言ってるアレクサンダー君は、俺が、カララムダンジョン攻略の時に作ってやった、剣と鎧を装備してるし。
これだけで、多分、攻撃力と防御力が、5倍くらいに跳ね上がる。
まあ、ハッキリ言ってズルだよね。
そんなアレクサンダー君に対する、カレンの得物は、何の変哲もない木刀1本。
「カレンの奴、木刀で大丈夫なのか?」
アレクサンダー君の得物がその辺の国宝級の武器や防具なら、多分、木刀だとしても、カレンの実力で勝ててしまうだろう。
だがしかし、アレクサンダー君が装備してるのは、俺が目を閉じ、鼻くそほじりながら作った剣と鎧なのだ。
『そうです! だから、もっと手を抜いて作ってと言ったんですよ!』
鑑定スキルが、ぶつくさ言い出す。
「普通、目を閉じて、剣も鎧もマトモに作れると思わないだろ! だって、何も見てない訳だから!」
「それでもです! もっともっと、手を抜いて作らないと駄目なんですよ!」
鑑定スキルが、俺をメチャクチャ責める。
「これ以上手を抜くって、どんだけ難しいか分かってんのか! 俺だって、必死に手を抜いて作ってんだよ!」
「だから、今度は髪の毛で、大工道具を持って作って下さいと、言ってるでしょ!」
「髪の毛で作ったとしても、良いもの作れそうな気がしちゃうんだよ!」
そうなのだ。今の俺の力だと髪の毛でも、凄いものが作れる気がするのである。
「だったら、エドソンさんに貰った大工道具を封印して下さい!」
「そ……そんな事出来る分けねーだろ! アレは俺の宝物なんだぞ!
まだ、グラスホッパー家が貧乏だった時、エドソンが、あのケチなエリザベスに頭を下げてまでして、俺の為に買ってくれた、エドソンのお小遣い3ヶ月分もした、俺の大事か大事な宝物なんだよ!」
俺は、鑑定スキルに、断固拒否する。
誰が、エドソンから貰った大事な大工道具を飾りもんなんかにするかよ!
というか、何処にでも売ってる普通の大工道具を、飾る奴なんか居ないし。
『ご主人様……気付いてます。そのご主人様の大事な大事な大工道具が、ドンドンご主人様の手に馴染んできて、トンデモない性能を発揮しちゃってるって!
明らかに、昔より、良い物が出来上がっちゃって来てるんですよ!』
うん。気付いてた。だって最近、どんだけ手を抜いても、凄いもの出来ちゃうんだもん。
だけれども、俺に、エドソンの大工道具を使わないという道などないのである。
何故なら、エドソンは、いつも使って欲しくて、俺に大工道具をプレゼントしてくれたのだから。
「ちきしょー! 俺の気持ちも知らないで!
俺に、エドソンから貰った大工道具を眠らせておく事なんか出来ねーよ!
大工道具は、使ってナンボなんだ! エドソンだって、俺に使って欲しくて、買ってくれたんだ! それなのに……」
ヨナンは、何故か悔しくなって、涙が溢れ出て止まらなくなってしまう。
とかやってると、
「「ウオォォォォォー!!」」
何やら、歓声が聞こえてくる。
『アッ! ご主人様、試合終わってしまいましたよ!
結局、カレンさんが圧勝しちゃいましたね!』
涙で溢れた目を拭い、会場を見ると、アレクサンダー君が無念そうに倒れ、カレンがアレクサンダー君を見下し立っていた。
「エッ? 何で?! 俺が陛下の為に作った、剣と鎧って、最強じゃなかったのか?」
よく分かんないが、ついさっきまでの俺の気持ちの高まりは、何だったんだろう。
俺の作った剣と鎧は、カレン相手でも通用する筈だったのに……。
『やっぱり、使う人の力量が大切なんですよ!
アレクサンダー君には、ご主人様が作った剣と鎧のポテンシャルを、全く発揮できなかったって事です!
その点、カレンさんは、完全に木刀を自分の手足のように使いこなせていましたし!』
「そ……そうなんだ……」
ヨナンは、全く納得いかない。
だって、ついさっきまで、鑑定スキルはもっと手を抜いて、アレクサンダー君の剣と鎧を作るべきだったと言ってたのだ。
『だから、今も話してたじゃないですか!
道具は、持つ人によって、至高の道具にも、なまくらの道具にもなってしまうんです!
その辺に売ってる、ほんの少しだけ高い大工道具でも、ご主人様が持てば、神の宝具になってしまうという話です!』
「お前、暗にエドソンがくれた、俺の大切な大工道具をディスってないか?」
『えっと……僕、嘘言えませので。実際、エドソンさんがくれた大工道具って、量産品の何処にでも売ってる大工道具ですからね!』
鑑定スキルは、いつものように、悪びれることなく言い切った。
まあ、そんな何処にでも売ってる大工道具を使いこなす俺を、鑑定スキルは、物凄く褒めてるとも言えるんだけどね。
161
あなたにおすすめの小説
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる