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第一章 ヨナン・グラスホッパー編
133. ヨナンの実力を分からせてやる
しおりを挟むヨナン達は、イグノーブル城塞都市の上空に到着する。カララム王都からイグノーブル城塞都市まで、僅か1時間足らず。これからは、どこに行くにも空を走った方が早いかもしれない。
『ほら! 言ったじゃないですか! イグノーブル城塞都市は平気だって!
ご主人様の補強した城塞都市なんですよ!そんじょそこらの10万の軍隊なんかで、攻め落とせる筈ないじゃないですか!』
なんか知らんが、鑑定スキルがドヤ顔である。
まあ、スキルなので、本当にドヤ顔か知らんけど。
「敵のスキルって、お前が言ってた穴掘りLv.5じゃなかったのかよ?」
『だから、僕は、穴掘りLv.5なら、アンガス山脈にトンネル貫通出来ますよ!とは、言いましたが、穴掘りLv.5とは、決して断定してませんから!』
鑑定スキルが、必死になって自分の間違いを誤魔化そうとしてる。
まあ、必死に言い訳してる鑑定スキルは置いといて、城壁の城門前の一等席で、酒盛りしながら戦の観戦と洒落こんでたイーグル辺境伯が、空中を浮いてるヨナンを見つけて手を振っているので、合流する事にした。
「ガッハッハッハッハッ! 流石は婿殿じゃ! ついに、空まで飛べるようになっとるとは、思わなかったぞ!」
イーグル辺境伯は、豪快に笑い飛ばす。
というか、あまりに余裕綽々過ぎて、ヨナンは、拍子抜けしてしまう。
「お爺ちゃん! 私だって、空を走れるようになったんだからね!」
負けず嫌いなカレンが、俺の肩から飛び降りてキャンキャン言っている。
『そうか! そうか! 流石は、ワシの自慢の孫娘じゃ!ガッハッハッハッ!』
カレンが可愛くて仕方が無いイーグル辺境伯は、ワシワシとカレンの頭を撫ぜ回す。
それを満更でもないように、カレンはエッヘン!と、ドヤ顔するのだ。
どんだけ、褒められたい星人なんだろう。
『ご主人様、それ、絶対に口に出したらいけない奴ですよ!』
すかさず、鑑定スキルが嗜めてくる。
「お前が言わなければいいだけだろ?」
『2人だけの秘密ですね!』
なんか、鑑定スキルが嬉しそうだ。
今更、2人だけの秘密なんていっぱいあるのに、本当に何が嬉しいんやら、全くもってヨナンには分からない事だった。
「それで、今、どういう状況なんですか?」
とっとと終わらして帰りたいので、俺は、イーグル辺境伯に質問する。面倒事など、早く終わらす事に尽きるのだ。
「ワシらは、アンガス神聖国のヘナチョコ兵が、必死になって、イグノーブル城塞都市の城壁を攻撃してるのを、酒を飲みながら観戦してた所じゃ!」
確かに、イーグル辺境伯の屈強な兵士達は、城壁の上の歩行通路に、大きなゴザをひき、たまにアンガス神聖国の兵士に野次を飛ばしながら、宴会を楽しんでいる。
まあ、領主も領主なら、部下も部下と言った所か……本当に、余裕というか豪快過ぎる。というか、戦う気があるのか?
「ガッハッハッハッハッ! これも婿殿がタダで作ってくれたアダマンタイトミスリル合金の城門と、アダマンタイトミスリル合金コーティングされた城壁のお陰じゃわい!
もし、婿殿に補強して貰えてなかったら、とっくの昔に、イーグル辺境伯領は壊滅してたじゃろうに!ガッハッハッハッハッ!
運命の巡り合わせか、ワシって、とてもついとるよな!」
確かに……俺でも、タダでアダマンタイトミスリル合金の城門貰ったら嬉しいし。
だって、時価総額10兆円だしね。
「もしかして、俺が来るの待ってました?お酒飲んでるから、マトモに戦えませんよね……」
「ガッハッハッハッ! 宜しく頼むぞ! 婿殿!」
ヤッパリこの人、俺に殺らせる気満々だったようだ。
だって、戦争中だというのに酒飲んでるぐらいだし、俺が絶対にイーグル辺境伯領に来る事を読んでいたのだ。
それより、
「というか、どうやって戦争終わらせればいいんだ?」
俺は、首を捻る。ハッキリ言うと倒すのは簡単だ。だけどそれでいいのか?人殺しなんかしたくないし。
『そんなの、聖剣ムラサメを一振ですよ!
それで、綺麗サッパリ、アンガス神聖国10万の兵士は蒸発して消えてしまいますね!』
鑑定スキルは、事も無げに言う。
「そんな事出来るかよ! 俺は殺人鬼じゃねーんだぞ!」
『ですが、戦争なんてそんなもんですよ?下手に、中途半端に手心なんて加えちゃうと、後で取り返しがつかない事となっちゃうんですから!
少し善意を見せて、戦争に勝った後、その国の人達を自分の国の国民にしてあげたとするでしょ!
その後、どうなるか分かります?
殺さずに助けてあげて、しかも本来の自分の国の国民と同じような自由や権利を与えた元敵国の人間達は、絶対に恩を仇に返して来るものなんです!
逆に、徹底的に原爆とか落として、どっちが上か分からせてやれば、ずっと犬のように従順なペットになるんですから!』
「お前、それ、日本のこと言ってるだろ?」
『兎に角、そんなもんなんですよ! 僕のデータベースにある地球の歴史をどれだけ調べても、そう書いてあります!』
「だとしても、俺には、10万の人間を殺してしまえる勇気も根性もないんだよ!」
そう。俺は、人を簡単に殺せてしまうほど、この世界に馴染んではないのだ。
『だったら、敵将だけ殺してみては?アンガス神聖国の女王が、自ら兵士を率いて攻めて来てるみたいですし!』
鑑定スキルが、遠くに見える、一際目立つ、9つのふかふかのデッカイ尻尾を持つ、狐耳族の少女?のステータスを開き、ヨナンに見せる。
名前: ココノエ
種族: 狐耳族(九尾)
称号: アンガス神聖国女王、アンガス教教皇
スキル: 火魔法Lv.4、風魔法Lv.4、雷魔法Lv.4
ユニークスキル: 身体強化Lv.1、魅了Lv.1
力: 800
HP: 1200
MP: 9900
「オイオイオイ。攻撃魔法全部Lv.4って、チートだろうが! しかも、MP9900って、もう少しでカンストするんじゃねーのか……」
『ですね! ご主人様に比べたら大した事ないです。アリンコですね!』
鑑定スキルは、何故か鼻高々。
全く、意味が分かんない。
「あのな……何回も言うけど、聖剣ムラサメが凄いのであって、何も手に持ってない俺は、メチャクチャ弱いんだぞ……」
『だけれども、聖剣ムラサメを作ったのは、ご主人様ですし、そもそも聖剣ムラサメは、ご主人様しか使いこなせないですから!
聖剣ムラサメほどの武器にもなると、そもそも普通の人が手に持つ事もままならないですからね!』
「そうなの?」
『そうですよ! なんか聖剣ムラサメって、おどろおどろしく光り輝いてますよね?
それ、ハッキリ言うと、聖剣ムラサメが纏うオーラみたいなもので、それに近づくだけで、普通の人は気絶してしまいますからね!』
「そうだったの?」
『だから、そうですって!』
なんか、ヤッパリ、聖剣ムラサメは、とんでもない刀だったようだ。
「だけど、アンガス女王を殺しただけで、アンガス神聖国の兵士が引いてくれるか?」
『なら、ご主人様の凄さを、アンガス神聖国の兵士に分からせてやればいいんですよ!』
「どうやって?」
『取り敢えず、アンガス山脈を斬りさいてみたらどうですか?』
「そんなの出来る訳ねーだろ!」
『ご主人様と、聖剣ムラサメだったら出来ますって!』
「嘘だろ?」
『僕って、嘘ついた事あります?』
「ないな……」
『じゃあ、取り敢えず、アンガス神聖国の人達に、ご主人様の凄さを分からしてあげて下さい!』
てな感じで、聖剣ムラサメを握り締め、空中を歩いて、アンガス神聖国の兵士の前まで行き、フン!と、斜めに一振。
ズザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザーー!!
アンガス山脈は、中腹から斜めにずり落ち、とても見晴らしの良い景色となったのであった。
「出来ちゃった……」
『でしょ! 僕、嘘言えませんから!』
鑑定スキルは、自分の手柄みたいに、鼻高々にエッヘン!とした。
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