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第一章 ヨナン・グラスホッパー編
165. カララム王国剣術祭
しおりを挟む季節は過ぎ、秋になった。
相変わらず俺は、ナナに本当の兄だと伝えられずに居る。
『ご主人様は、どんだけヘタレなんですか!』
鑑定スキルは、こんな感じ。
「だって、今迄、養父として接して来たのに、今更、本当は、実の兄ちゃんだったとか言えねーだろうがよ!」
『だから最初から、実のお兄ちゃんだって言っとけば、こんな問題、最初から起こらなかったんですよ!』
「しょうがねーだろ! ナナを目の前にすると、勃起してしまう病だったんだから!」
俺は、必死に言い訳する。
『だけど、トップバリュー男爵を殺して、勃起してしまう病は治ったんですよね!
それなら、ウジウジしてないで、とっとと、告白すればいいのに、ああだこうだ言い訳して、今迄、引き伸ばして、余計、言いずらくなってるなんて、本当に、僕は情けないですよ!
たまには、男らしいご主人様を見せて下さい!』
「男らしい所を見せろって、俺って、剣術祭でさえ出れないんだぜ?
どうやって、男らしい所を見せろってんだよ!」
そう、俺は強過ぎるせいで、剣術祭に出場できないのだ。
俺は、実は強かったとか、
強いのに気付いてないのは自分だけだったとか、
異世界アルアルの、そんな次元の弱っちさではないのである。
俺の場合は、木刀でこの惑星を割るレベル。
聖剣ムラサメを使えば、この惑星がある銀河を消滅するレベルなのである。
『で、また、今回も、アレキサンダー君に頼まれて、カララム王国学園剣術祭の設営ですか……』
鑑定スキルが、呆れ気味に言う。
「しょうがねーだろ! 去年から、この大会のレベルが上がり過ぎて、俺が会場用意しないと、会場がカレンやアン姉ちゃん達に、破壊されちまうんだから!」
『確かに、ご主人様がアダマンタイトミスリル合金で会場作らないと、カレンさんやアンさんにボコボコにされてしまいますね……』
てな感じで、俺は、必死にカララム王国学園剣術祭の会場作りをしてたのだが、
「カッカッカッカッカッ! 我が友、ヨナンよ! 順調そうだな!」
アレキサンダー君が、上機嫌でやってきた。
というか、このタイミングで、わざわざ俺に会いに来る時は、また、無理難題を言ってくるパターンである。
「で、何なんですか?」
俺は、嫌そうに質問する。
「カッカッカッカッカッ! 何、大した事じゃない。去年の大会は、カララム王国学園剣術祭、始まって以来の大成功じゃった!
して、今回の大会は、それ以上の大会にしようと思ってな!
なんてったって、武王アレキサンダー・カララムが在学中の大会じゃからな!」
そう、このオッサン。長年戦争を行っていた、サラス帝国を打ち破った王様として、武王と呼ばれるようになっていたのだ。
しかも、自分が活躍出来るように、俺を裏方に廻すという姑息な手段まで使ってたりする。
「で、具体的に、俺は何をすればいいので?」
もう、俺的には、とっととやる事聞いて終わらせたいのである。
どうせ、俺は、今回も裏方だし。
「聞いて驚け! 今回は、学生だけじゃなく、カララム王国最強剣士を決定する大会とするのじゃ!」
「まあ、俺は出ないの決定してますが、例えば、コナンとか、シスも、カララム王国学園に入学できる年齢じゃないチビッ子とかも、出場できちゃうんですか?」
「勿論じゃ!」
「そしたら、エドソンとか、イーグル辺境伯とかも?」
「ああ。イーグル辺境伯に、この話をしたら、即効でエントリーして来おったわ!」
「という事は、参加人数が増えるから、会場を増やせという事ですか?」
「カッカッカッカッ! 流石は我が友ヨナン・グラスホッパーじゃわい!
予選を地方でもやるので、大都市近郊に、後、6つほど、会場を作って貰おうと思ってな!」
「あの……これ、お金出るんですか?」
「そんなの、ワシとお前の仲じゃろ! 本当に、親友とは良いもんじゃな! カッカッカッカッカッカッ!」
まあ、いつもの感じで、俺は結局、タダ働きする羽目になったのだ。
ーーー
2週間後。
カララム王国学園剣術祭、改め、カララム王国剣術祭の予選が各地で行われ、各地から勝ち残った猛者が、カララム王国学園の会場に集まって来た。
因みに、カララム王国学園の生徒以外は、各予選会場3名しか本戦に出れないので、激戦区であるイーグル辺境伯領や、グラスホッパー男爵領の選手は、各地の会場に散らばって受けたとか。
でもって、グラスホッパー男爵家からは、エドソン、エリザベス、セド兄、コナン、シス、リサリサ、ゴンザレスが出場決定したらしい。
俺の所のグラスホッパー伯爵家は、何故かセバスチャンが本戦出場。
イーグル辺境伯家は、イーグル辺境伯と、強そうなオッサン達。
知ってるのは、これくらい。
そして、ついに、カララム王国剣術祭本大会予選が始まる。
まあ、剣術祭と言っても、魔法、ステゴロ、なんでも有りの、カララム王国最強決定戦なんだけど。
「カッカッカッカッ! 我が国民よ、よく集まってくれた!
ここに、カララム王国剣術祭開催を宣言する!
今日、明日の2日間はお祭りじゃ!大いに食って、飲んで、選手を応援し、大会を盛り上げてくれ!」
大会実行委員長のアレキサンダー君が、大会の開催を宣言する。
因みに、大いに食って、飲んでと言ったのは、飲食代を、大会実行委員長のアレキサンダー君がピンハネするから。
カララム王国剣術祭に出店する店舗は、売上利益の30パーセントを、大会実行委員長のアレキサンダー君に、支払わなければならないのである。
本来なら、そのお金で、大会設営のお金に当てるのが筋なのだが、俺が無償で建ててるからタダ。
丸々、アレキサンダーくんの懐に入ってくるというカラクリなのである。
「カッカッカッカッカッ! 持つべきは親友だわい!」
アレキサンダー君は、屋台が盛況なのを見て御満悦。
まあ、今回の大会は、身内がたくさん出場するので、それでも良いのだけど。
だって、エドソン達には、気持ち良く戦って欲しいし。コナンとシスの成長も見てみたい。
そして、何より気になるのは、大戦の英雄エドソンの本気の強さ。
基本、戦争が無い時は、人が良すぎるダメ親父だけど、本気になったエドソンが、どこまで強いのか、俺はとっても興味があるのだった。
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