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014話
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「はぁぁ!?…まぁ、すげーってのは見たらわかるが、そんなに凄いのか?」
「…アルスと言ったな。ちと、ワシについてこい。ああ、あとお嬢さん方もな」
深刻な表情で俺達を工房へと連れて行く。すれ違う職人達は俺を見るなり、驚いた表情を浮かべる。好奇の目線を浴びながら、ガンテツの専用であろう工房へ入る。
「すまんな。ウチの職人達もお主達の装備を見て興奮しておったからな。ここなら邪魔は入らんから安心せぇ」
「いやー…安心せぇ言われても何が何だか…ははは」
「その装備が凄いと言う事じゃ。あの場におったら、質問責めにあっていたじゃろうなぁ」
「んで?ガン爺、凄い凄い言うけどよ、どのくらい凄いんだ?さっきからそれが気になってんだ」
「ガンテツさんが言うくらいですから…『特級』以上なんでしょうけど…」
「落ち着け小童共。お主らも少しは目を鍛えるぐらいしていた方が良いぞ?」
…なんだか盛り上がっているようだ。そんなに凄いのかこの装備。まぁ、課金装備だから凄く無いと困るんだけど。
「…まぁ、お主らも見た事ないから仕方ない事じゃろう。……アルスが装備している鎧は紛れも無く『伝説級』であろうよ。…いや、下手をすれば『聖遺物級』かもしれん」
「…………マジかよ」
「……そ、そんなに?」
なんだぁ?そんな説明は書いてなかったぞ?
「それに、このお嬢さん方が来ている服も『稀少級』じゃろうなぁ…。いやはや、ここまで揃っているのを見た事は無いわい…」
恍惚な表情で俺達の装備をガンテツは眺めている。側から見ればみっともない表情だと思う。
「…これそんなに凄いの?」
「凄いなんてもんじゃ無いわい!どこで発見したのか教えて貰いたいくらいじゃわ!!…まぁ、そういうのはタブーじゃから、聞きはしないがな」
ガンテツに詳しく聞いてみると、装備には階級があり、上から順に『神』・『聖遺物』・『伝説』・『稀少』・『特級』・『上級』・『ノーマル』とあるそうだ。『神』クラスの武器は勇者が装備していたと言われており、見つかっていないらしい。『稀少』以上は高難易度のダンジョンなどからしか発見されないらしく、金銭的価値も高いそうだ。『特級』から下は作る事ができるが、希少金属がなければ『上級』止まりだとか。
その様な背景があるからこそ、ガンテツが俺達を工房へ連れて来たという事だった。
…待てよ?ダンジョンとかあるのか??後で聞いてみよう。
「ガン爺、他にも理由あるんじゃないのか?それだけの為に工房へ連れて来たわけじゃないだろ?」
「…こういう事には鋭いんじゃな。まぁ、当たりじゃがの。……アルス、お主の武器を1週間ほど貸してくれぬか?詳しく調べてみたいんじゃ」
「流石にそれは無理だろガン爺!冒険者にとって1週間休めって言ってる様なもんだぜ?」
「…そうじゃろうなぁ…。よし!!なら、1ヶ月分のAランク報酬を渡す。それと、ワシが打った中でも最高傑作の武器も貸し出そう!」
「いやいやいやいや!それでも不釣り合いだって!!」
「もっと金を出した方が良いか??調べさせて貰えるならいくらでも払うわい!」
「アルスさん…どうするんですか?多分、ガンテツさん引く気は無さそうですよ?」
「うーーーん……」
ぶっちゃけ、この武器以外にもあるからいいんだよなぁ。それに、ジョブ別に最強装備あるし問題は無い。ただ、気になる点があるんだけど、聞いてみようかな?
「ガンテツさん、1つ聞いてもいいですか?」
「なんじゃ?答えられる範囲なら何でも答えるぞ!」
鼻息を荒くしながら答えるガンテツ。目には子供の様な輝きがある。
「詳しく調べたい理由って何ですか?見た感じ装備出来なさそうだし、理由が気になりまして…」
「理由か?…そんなの簡単じゃわい!目の前に『伝説級』が存在してるんじゃ!鍛冶師として調べたくなるのは当たり前じゃろうが!」
「…興味本位って事ですか?」
「それ以外に何があるんじゃ!?ワシの人生で初めての『伝説級』じゃぞ!」
そっかー。別に売るとかは考えてないんだな。ただの興味なのか…。一応、課金武器だから売るとか壊すとか言われたらダメって言うつもりだったけど、そんな感じでは無さそうだし…いいかな??
「壊したり売ったりしないって約束してくれます?」
「はぁ!?ワシそんな事絶対にせんぞ!?…その武器で物を斬ったりはするだろうが…壊したりはせんぞ!」
「…なら別にいいですよ。ちゃんと返してくださいね?」
俺が武器を渡そうとすると、フィン達が驚愕し口を開く。
「い、いいのかアルスさん!?武器を貸したら依頼受けれねーぞ!?」
「そ、そうですよ!いくらガンテツさんだからといって、そんな簡単に渡していいんですか!?」
焦った様にドーン達が意見を言ってくれるが、そこまで実害が無いからいいと俺は思ってる。
「別にいいよ?武器ならまだあるし、お前らが信頼してる人なら大丈夫だと思ってな。…壊されたらキレるけど」
「いやいやいやいや!そんな軽い感じじゃダメだろ!」
「『伝説級』ですよ!?価値分かってます!?」
…価値…か。諭吉3枚くらいだな。
「いーんだって!…まぁ、壊したりしたらそれ相応の対価を貰おうとは思ってる。それでよくないか?」
「…非常に納得はいかないが……アルスさんが良いならオレは何も言わねぇ」
「安すぎますよ…。…まぁ、アルスさんが良いのなら何も言いません…」
俺から剣を受け取ったガンテツは無邪気な笑顔を浮かべ、がっちりと受け取る。…奪い取るの方が正しいかな?
「良いのか!?……やったっ!!やったぞ!!これでワシは更なる高みへと登ることが出来る!!感謝するぞ!アルスよ!」
子供が人形を抱きしめる様に剣を抱きしめ、頬擦りしている。そして、思い出したかの様に言葉を繋ぐ。
「そうじゃ、お主にはワシの傑作を渡そう。この剣とは比べ物にならないが、この街で売っているヤツよりかは断然上じゃ!…ちょっと待っておれ」
ガンテツはいそいそと工房の奥へと進み、剣を持って帰ってくる。
「ほれ、これじゃ。昔、運良く『オリハルコン』が手に入っての。当時はまだ扱えんかったが、10年前急に出来るようになってな。最近出来たばかりの最高傑作じゃ!」
ガンテツから剣を渡され、手に持ってみる。パラメーター的には圧倒的に前の剣よりも低い。しかし、剣の根本にある窪みは何だろうか?『鑑定』してみても『???』としか表示されない。
「ガンテツさん、この窪みは何ですか?調べてみても分かんないんですけど」
「よくぞ聞いてくれた!これはな、『ルーン』もしくは『魔法結晶』を嵌め込む窪みなのじゃ!それらを嵌めるとただの剣が『魔法剣』に変わる仕組みなんじゃ!」
「ガンテツさん、それは凄いヤツなんですか?」
俺達の会話を聞いていたフィンが会話に入ってきた。ドーンも聞きたそうにしているみたいだ。
「凄いなんてもんじゃないぞ!魔法剣じゃぞ?魔法が使えぬ者でも、嵌め込む事で魔力を纏った剣技が使える様になるんじゃ!」
「ほ、本当かよガン爺!?」
「…残念ながら『ルーン』も『魔法結晶』もここには流通してないからの。実験はしていないんじゃ…」
「フィン、これって凄いのか?」
「凄いなんてもんじゃないですよ!?魔法が使えるのは生まれつきの才能が無ければ出来ないんです!それに--
フィンの話を要約するとこうだ。
・この世界では魔法が使える人が少ない。
・剣技は相当な努力次第で習得可能。
・スクロールを利用すれば魔法は使える。
・ただし、魔力が無ければ発動しない。
フィンの話を聞き終えた俺は、非常に納得した。確かにこの武器が量産されれば、戦力は大幅に上昇するだろう。ドーン達が興奮するのも分かる気がする。
…それにしても『ルーン』と『魔力結晶』か…。『Destiny』には無かったシステムだな。かなり興味が湧いたぞ。
「なぁ、ガンテツさん。その『ルーン』とか『魔力結晶』はどこで手に入るんだ?」
ドーンと熱く語り合っていたガンテツが、俺の方に目をやると肩をすくめる。
「…わからん。文献では高難易度の魔物の体内に蓄積されていると書いてあったが、実物を見たことは無いんじゃ」
「なぁ、高難易度の魔物ってどんなのがいるんだ?」
「そうだなぁ…、ドラゴンとかゴーレムとかだろうな。Aランクの冒険者パーティが3つで倒せるかどうかの魔物だと思うぜ」
…ふーん。なんかもっとヤベーヤツ想像してたけどそこまで強そうでは無いな。『精霊級』とか『天使級』とかかと思ってたよ。
話を整理していた俺はふと、気付いた事があった。--魔物の体内から出るって要はドロップアイテムって事か?
急いでアイテムリストを開く。右上に『素材』という項目があり、そこをタップすると魔物の素材が表示される。その中に、『魔石』と言う単語を見つけた。
とりあえず、『サラマンダーの魔石』とやらを取り出してみた。紅い色で、ずっしりと重く、キラキラと輝いている。
「ア、アルスさんよ……。今、一体何をしてたんだい?」
「い、いきなり石みたいなのが出てきたんですけど…」
魔石を取り出した俺を見ながら、本日2度目の驚愕の表情を浮かべ、尋ねてくる。
「ああ、アイテムボックスから取り出しただけだよ?」
「あ、あいてむぼっくす??なんだそりゃ?聞いた事あるかフィン?」
「す、すいません…。聞いた事無いです…」
…あれー?もしかして俺やっちまったパターン??誰からも言われなかったから当たり前だと思ってたんだけど??
説明に困っていると、ガンテツが神妙な顔をしながら助け船を出してきた。
「…の、のう、それはもしかして『空間魔法』か?」
はいきたー!!そういう助け船大事よ!その船に乗った!!
「…う、うん。そうだよ!これ『空間魔法』なんだ!」
いやー、あぶねーあぶねー!ガンテツが居なかったら助から--
「…マジかよ。お伽話でしか聞いた事ないぞ?」
「え、ええ、勇者様以外使えない魔法ですよね…」
「まさか神話の魔法を使えるとは…思いもよらなんだ…」
あるぇー!?助け船じゃ無かった感じ!?更に悪化させたよね!?
「神話?お伽話じゃねーのか?」
「ドワーフ族では神話として伝わっておったぞ?事実、勇者の剣はドワーフ族が作ったものじゃからな。…まぁ、見つかっておらんけどな」
なんか話がヤバい感じに進みそう…。手遅れになる前に否定しなければ!!
「い、いやー、ほら俺達の故郷じゃ当たり前の魔法だったからね!そんな大層なもんじゃないと思うよ?」
「……故郷じゃと?もしかして『始まりの村』出身なのか?」
…わからん!!わからんし、変なフラグっぽいけど立てるしかない!
「そ、そうそう!俺達はそこ出身なんだよ!」
「「「………………………」」」
俺の話を聞いた三者とも無言になる。…これは回避出来たのか?
「そうか……それなら納得じゃ。あそこは魔王に占領されてしまったからのぅ。逃げ出す民がおっても不思議ではないわい」
--回避出来たな!!多分!!今のうちに話題変えよう!!
「ま、まぁ、そんな所だ!他にも逃げ出した人もいるだろうし、いづれ出会うだろうよ!」
変な誤魔化し方だが、無事にこの話は終わった。まぁ、俺の剣に興味を戻したガンテツが「調べたいからもういいか?」って言ったので、俺達は鍛冶屋から出て行く事にした。
結局、魔石出した意味無かったなー。時間がある時にでも聞いてみよう。
鍛冶屋から出た俺達は再び街の案内をしてもらった。武器屋に道具屋、生活必需品を売ってる店や裁縫など衣服を売っている店も紹介して貰った。
時刻は夕方。チカ達が欲しいとねだった衣服を両手一杯に抱えながら、フィン達と別れる。今日も出来事が多かった為、俺のメンタルHPは瀕死状態だ。一刻も横になりたいので、足早に宿屋へと帰って行くのだった。
「…アルスと言ったな。ちと、ワシについてこい。ああ、あとお嬢さん方もな」
深刻な表情で俺達を工房へと連れて行く。すれ違う職人達は俺を見るなり、驚いた表情を浮かべる。好奇の目線を浴びながら、ガンテツの専用であろう工房へ入る。
「すまんな。ウチの職人達もお主達の装備を見て興奮しておったからな。ここなら邪魔は入らんから安心せぇ」
「いやー…安心せぇ言われても何が何だか…ははは」
「その装備が凄いと言う事じゃ。あの場におったら、質問責めにあっていたじゃろうなぁ」
「んで?ガン爺、凄い凄い言うけどよ、どのくらい凄いんだ?さっきからそれが気になってんだ」
「ガンテツさんが言うくらいですから…『特級』以上なんでしょうけど…」
「落ち着け小童共。お主らも少しは目を鍛えるぐらいしていた方が良いぞ?」
…なんだか盛り上がっているようだ。そんなに凄いのかこの装備。まぁ、課金装備だから凄く無いと困るんだけど。
「…まぁ、お主らも見た事ないから仕方ない事じゃろう。……アルスが装備している鎧は紛れも無く『伝説級』であろうよ。…いや、下手をすれば『聖遺物級』かもしれん」
「…………マジかよ」
「……そ、そんなに?」
なんだぁ?そんな説明は書いてなかったぞ?
「それに、このお嬢さん方が来ている服も『稀少級』じゃろうなぁ…。いやはや、ここまで揃っているのを見た事は無いわい…」
恍惚な表情で俺達の装備をガンテツは眺めている。側から見ればみっともない表情だと思う。
「…これそんなに凄いの?」
「凄いなんてもんじゃ無いわい!どこで発見したのか教えて貰いたいくらいじゃわ!!…まぁ、そういうのはタブーじゃから、聞きはしないがな」
ガンテツに詳しく聞いてみると、装備には階級があり、上から順に『神』・『聖遺物』・『伝説』・『稀少』・『特級』・『上級』・『ノーマル』とあるそうだ。『神』クラスの武器は勇者が装備していたと言われており、見つかっていないらしい。『稀少』以上は高難易度のダンジョンなどからしか発見されないらしく、金銭的価値も高いそうだ。『特級』から下は作る事ができるが、希少金属がなければ『上級』止まりだとか。
その様な背景があるからこそ、ガンテツが俺達を工房へ連れて来たという事だった。
…待てよ?ダンジョンとかあるのか??後で聞いてみよう。
「ガン爺、他にも理由あるんじゃないのか?それだけの為に工房へ連れて来たわけじゃないだろ?」
「…こういう事には鋭いんじゃな。まぁ、当たりじゃがの。……アルス、お主の武器を1週間ほど貸してくれぬか?詳しく調べてみたいんじゃ」
「流石にそれは無理だろガン爺!冒険者にとって1週間休めって言ってる様なもんだぜ?」
「…そうじゃろうなぁ…。よし!!なら、1ヶ月分のAランク報酬を渡す。それと、ワシが打った中でも最高傑作の武器も貸し出そう!」
「いやいやいやいや!それでも不釣り合いだって!!」
「もっと金を出した方が良いか??調べさせて貰えるならいくらでも払うわい!」
「アルスさん…どうするんですか?多分、ガンテツさん引く気は無さそうですよ?」
「うーーーん……」
ぶっちゃけ、この武器以外にもあるからいいんだよなぁ。それに、ジョブ別に最強装備あるし問題は無い。ただ、気になる点があるんだけど、聞いてみようかな?
「ガンテツさん、1つ聞いてもいいですか?」
「なんじゃ?答えられる範囲なら何でも答えるぞ!」
鼻息を荒くしながら答えるガンテツ。目には子供の様な輝きがある。
「詳しく調べたい理由って何ですか?見た感じ装備出来なさそうだし、理由が気になりまして…」
「理由か?…そんなの簡単じゃわい!目の前に『伝説級』が存在してるんじゃ!鍛冶師として調べたくなるのは当たり前じゃろうが!」
「…興味本位って事ですか?」
「それ以外に何があるんじゃ!?ワシの人生で初めての『伝説級』じゃぞ!」
そっかー。別に売るとかは考えてないんだな。ただの興味なのか…。一応、課金武器だから売るとか壊すとか言われたらダメって言うつもりだったけど、そんな感じでは無さそうだし…いいかな??
「壊したり売ったりしないって約束してくれます?」
「はぁ!?ワシそんな事絶対にせんぞ!?…その武器で物を斬ったりはするだろうが…壊したりはせんぞ!」
「…なら別にいいですよ。ちゃんと返してくださいね?」
俺が武器を渡そうとすると、フィン達が驚愕し口を開く。
「い、いいのかアルスさん!?武器を貸したら依頼受けれねーぞ!?」
「そ、そうですよ!いくらガンテツさんだからといって、そんな簡単に渡していいんですか!?」
焦った様にドーン達が意見を言ってくれるが、そこまで実害が無いからいいと俺は思ってる。
「別にいいよ?武器ならまだあるし、お前らが信頼してる人なら大丈夫だと思ってな。…壊されたらキレるけど」
「いやいやいやいや!そんな軽い感じじゃダメだろ!」
「『伝説級』ですよ!?価値分かってます!?」
…価値…か。諭吉3枚くらいだな。
「いーんだって!…まぁ、壊したりしたらそれ相応の対価を貰おうとは思ってる。それでよくないか?」
「…非常に納得はいかないが……アルスさんが良いならオレは何も言わねぇ」
「安すぎますよ…。…まぁ、アルスさんが良いのなら何も言いません…」
俺から剣を受け取ったガンテツは無邪気な笑顔を浮かべ、がっちりと受け取る。…奪い取るの方が正しいかな?
「良いのか!?……やったっ!!やったぞ!!これでワシは更なる高みへと登ることが出来る!!感謝するぞ!アルスよ!」
子供が人形を抱きしめる様に剣を抱きしめ、頬擦りしている。そして、思い出したかの様に言葉を繋ぐ。
「そうじゃ、お主にはワシの傑作を渡そう。この剣とは比べ物にならないが、この街で売っているヤツよりかは断然上じゃ!…ちょっと待っておれ」
ガンテツはいそいそと工房の奥へと進み、剣を持って帰ってくる。
「ほれ、これじゃ。昔、運良く『オリハルコン』が手に入っての。当時はまだ扱えんかったが、10年前急に出来るようになってな。最近出来たばかりの最高傑作じゃ!」
ガンテツから剣を渡され、手に持ってみる。パラメーター的には圧倒的に前の剣よりも低い。しかし、剣の根本にある窪みは何だろうか?『鑑定』してみても『???』としか表示されない。
「ガンテツさん、この窪みは何ですか?調べてみても分かんないんですけど」
「よくぞ聞いてくれた!これはな、『ルーン』もしくは『魔法結晶』を嵌め込む窪みなのじゃ!それらを嵌めるとただの剣が『魔法剣』に変わる仕組みなんじゃ!」
「ガンテツさん、それは凄いヤツなんですか?」
俺達の会話を聞いていたフィンが会話に入ってきた。ドーンも聞きたそうにしているみたいだ。
「凄いなんてもんじゃないぞ!魔法剣じゃぞ?魔法が使えぬ者でも、嵌め込む事で魔力を纏った剣技が使える様になるんじゃ!」
「ほ、本当かよガン爺!?」
「…残念ながら『ルーン』も『魔法結晶』もここには流通してないからの。実験はしていないんじゃ…」
「フィン、これって凄いのか?」
「凄いなんてもんじゃないですよ!?魔法が使えるのは生まれつきの才能が無ければ出来ないんです!それに--
フィンの話を要約するとこうだ。
・この世界では魔法が使える人が少ない。
・剣技は相当な努力次第で習得可能。
・スクロールを利用すれば魔法は使える。
・ただし、魔力が無ければ発動しない。
フィンの話を聞き終えた俺は、非常に納得した。確かにこの武器が量産されれば、戦力は大幅に上昇するだろう。ドーン達が興奮するのも分かる気がする。
…それにしても『ルーン』と『魔力結晶』か…。『Destiny』には無かったシステムだな。かなり興味が湧いたぞ。
「なぁ、ガンテツさん。その『ルーン』とか『魔力結晶』はどこで手に入るんだ?」
ドーンと熱く語り合っていたガンテツが、俺の方に目をやると肩をすくめる。
「…わからん。文献では高難易度の魔物の体内に蓄積されていると書いてあったが、実物を見たことは無いんじゃ」
「なぁ、高難易度の魔物ってどんなのがいるんだ?」
「そうだなぁ…、ドラゴンとかゴーレムとかだろうな。Aランクの冒険者パーティが3つで倒せるかどうかの魔物だと思うぜ」
…ふーん。なんかもっとヤベーヤツ想像してたけどそこまで強そうでは無いな。『精霊級』とか『天使級』とかかと思ってたよ。
話を整理していた俺はふと、気付いた事があった。--魔物の体内から出るって要はドロップアイテムって事か?
急いでアイテムリストを開く。右上に『素材』という項目があり、そこをタップすると魔物の素材が表示される。その中に、『魔石』と言う単語を見つけた。
とりあえず、『サラマンダーの魔石』とやらを取り出してみた。紅い色で、ずっしりと重く、キラキラと輝いている。
「ア、アルスさんよ……。今、一体何をしてたんだい?」
「い、いきなり石みたいなのが出てきたんですけど…」
魔石を取り出した俺を見ながら、本日2度目の驚愕の表情を浮かべ、尋ねてくる。
「ああ、アイテムボックスから取り出しただけだよ?」
「あ、あいてむぼっくす??なんだそりゃ?聞いた事あるかフィン?」
「す、すいません…。聞いた事無いです…」
…あれー?もしかして俺やっちまったパターン??誰からも言われなかったから当たり前だと思ってたんだけど??
説明に困っていると、ガンテツが神妙な顔をしながら助け船を出してきた。
「…の、のう、それはもしかして『空間魔法』か?」
はいきたー!!そういう助け船大事よ!その船に乗った!!
「…う、うん。そうだよ!これ『空間魔法』なんだ!」
いやー、あぶねーあぶねー!ガンテツが居なかったら助から--
「…マジかよ。お伽話でしか聞いた事ないぞ?」
「え、ええ、勇者様以外使えない魔法ですよね…」
「まさか神話の魔法を使えるとは…思いもよらなんだ…」
あるぇー!?助け船じゃ無かった感じ!?更に悪化させたよね!?
「神話?お伽話じゃねーのか?」
「ドワーフ族では神話として伝わっておったぞ?事実、勇者の剣はドワーフ族が作ったものじゃからな。…まぁ、見つかっておらんけどな」
なんか話がヤバい感じに進みそう…。手遅れになる前に否定しなければ!!
「い、いやー、ほら俺達の故郷じゃ当たり前の魔法だったからね!そんな大層なもんじゃないと思うよ?」
「……故郷じゃと?もしかして『始まりの村』出身なのか?」
…わからん!!わからんし、変なフラグっぽいけど立てるしかない!
「そ、そうそう!俺達はそこ出身なんだよ!」
「「「………………………」」」
俺の話を聞いた三者とも無言になる。…これは回避出来たのか?
「そうか……それなら納得じゃ。あそこは魔王に占領されてしまったからのぅ。逃げ出す民がおっても不思議ではないわい」
--回避出来たな!!多分!!今のうちに話題変えよう!!
「ま、まぁ、そんな所だ!他にも逃げ出した人もいるだろうし、いづれ出会うだろうよ!」
変な誤魔化し方だが、無事にこの話は終わった。まぁ、俺の剣に興味を戻したガンテツが「調べたいからもういいか?」って言ったので、俺達は鍛冶屋から出て行く事にした。
結局、魔石出した意味無かったなー。時間がある時にでも聞いてみよう。
鍛冶屋から出た俺達は再び街の案内をしてもらった。武器屋に道具屋、生活必需品を売ってる店や裁縫など衣服を売っている店も紹介して貰った。
時刻は夕方。チカ達が欲しいとねだった衣服を両手一杯に抱えながら、フィン達と別れる。今日も出来事が多かった為、俺のメンタルHPは瀕死状態だ。一刻も横になりたいので、足早に宿屋へと帰って行くのだった。
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