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042話
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「では、そろそろこちらへと誘導しますね」
チカがボスに水の礫の様なものを連射する。ダメージは全く与えていないが、ボスの怒りには触れた様だ。雄叫びを上げるとこちらへと猛スピードで飛来する。
「さて、どのくらい戦えるかなっと!」
勢いよくバトルアックスを振り回し迎撃しようとしたが飛竜は危険を察知し攻撃を避けた。
「ふぅーん、少しは知能があるじゃねぇか!」
ゴードンは自分に身体強化をかけ、跳躍し追撃する。しかし、それすらも見越していたのか飛竜は更に上昇する。
「クソがっ!これじゃあ届かねぇじゃねぇか!」
「ワタシが翼に放ってやろうか?」
「…片翼だけにしてくれよ?」
「もちろんヨ」
通常なら届かない距離であるが、アルスから借りた武器なら届く気がした。その直感は正しかったようで、矢は唸りを上げながら翼へと突き刺さった。
「…弓の性能が良くても矢が悪ければダメって事か。流石、亜種って所ネ」
ただの矢が一本だけ刺さっていても飛竜にとっては問題はない。しかし、ネルが放った矢には氷属性が付与されている。翼に刺さった所がたちまち凍りつき、バランスを崩した飛竜がゆっくりと地面へと落ちてくる。
「ひゅーっ。お見事だぜネルちゃんよ!」
落下地点にゴードンは素早く移動する。スキルを使いトドメを刺そうと思ったが、そこは飛竜のボスが簡単には許してくれなかった。
「チッ!--『旋風』!!!」
飛竜のボスはゴードン目掛けて息吹を放つ。通常よりも濃く大きい炎が襲いかかるが、ゴードンも息吹を無効化する為スキルを使用した。
バトルアックスをまるで扇風機のように振り回し、炎を搔き消す。そのまま切り上げるように飛竜へと刃を向ける。
「--クソが。無傷とはいかんかったか…」
飛竜は両断され地面へと落ちるが、片側の足の爪がゴードンの腕に刺さっていた。
「ゴードン!今すぐ回復魔法を!!」
「…いや、どうやら大丈夫みてーだ。ほれ、傷口を見てみろよ」
近寄ってきたネルに傷口を見せる。未だ血は流れているが、みるみるうちに傷が塞がっていく。
「…これは??」
「この武器のおかげっぽいな。どうやらこの武器には治癒魔法が備わってるらしいぞ」
「…まさに『魔剣』じゃないか。この武器を本当に借り続けるつもりかイ?」
「…だってよ、性能が良すぎて他のじゃ満足出来ねーだろ?」
「それは…そうだけど。簡単には貸してくれないと思うヨ?」
「…どーだかなぁ?気楽に貸してくれそうな気がするけどな」
「……その話は後でしよう。とりあえず、素材を剥ぎ取りましョ」
半分に分かれた飛竜を素材別に剥ぎ取っていく。半分ほど剥ぎ取りを終えると、残りの飛竜の死骸をローリィが持ってきた。
「飛竜を持ってきたよー!……何してるの??」
ゴードン達の行為をローリィは不思議そうに見ていた。ローリィだけでなく、チカ達も同じ様に覗き込んでいた。
「何って…今素材を剥ぎ取っているんだよ。…した事無いのか?」
「…無い。調理ならした事あるけど、剥ぎ取りという行為はした事ない」
「ゴードンさん、よろしければ剥ぎ取り方を教えてはくれませんか?」
「ああ、そんくらいなら別に良いぜ?まずはだな………」
チカ達の前で何処を剥ぎ取るかを教える。教え方が良かったのか、チカ達もすぐさま飛竜の素材を剥ぎ取って行く。
長い時間が過ぎ、ようやく全ての剥ぎ取りが終わる。飛竜の肉は食用には向いてない為、地面に埋めた。
「さて、そんじゃアルスの所に戻るとするか」
「無事だと良いけど…」
「大丈夫ですよネルさん。アルス様は最強ですから!」
「きっとレインとお喋りをしていると思う」
「待ちくたびれて昼寝をしてるかもしれないよねー!」
「ハハハ…流石にそこまで油断してないだろうよ」
素材をゴードンの収納袋に詰め込み、一同はアルスの元へと戻る。近くに来ると、楽しそうな声が聞こえる。
「そうそう!良い感じだぞレイン!」
「--『燕返し』!」
「おお!!ついにスキルを覚えたな!いやぁー飲み込みが早いなぁ!」
「えへへへっ」
一同が辿り着くと、そこには木偶人形相手に戦っているレイン達の姿があった。
「ただいまです。アルス様!」
「おお、おかえりチカ。勉強してきたか?」
「はい。ゴードンさん達の戦いぶりをしかと学んできました」
「そうかそうか!王都に帰ったら、今度は本番だな」
「楽しみですわ。……それはそうとアルス様達は何をしていたのですか?」
「チカ達が行った後、レインに勉強教えたりしてたんだよ」
「チカお姉ちゃん!みてみてー!」
レインは満面の笑みで木偶人形にスキルを放つ。スキルが当たった木偶人形は半分になり地面へと落ちる。
「わぁ!凄いわレイン!」
「えへへっ」
「うん。レインはなかなか筋が良い」
「あたしもレインちゃんにスキル教えてあげるー!」
チカ達がレインの元へと駆け寄り可愛がっている。1人ぶっそうなスキルを教えそうなヤツが居るが、きっとチカが抑えてくれるだろう。
「おかえりゴードン。武器の使い勝手はどうだった?」
「あ、ああ。すげー良かったぜ!このまま借り続けたいぐらいだ!」
「ネルさんは?」
「弓自体はかなり強いネ。…けど、矢の部分がもう少し上のを使わないと役に立たないネ」
「矢?…ああ、確かに鉄の矢じゃ割に合わないかもな。でも、この弓は魔力を矢として放つ事も出来るよ?」
「……それはエルフが使う弓という事?」
「それは分かんねーけど…ちょっと貸して?」
ネルさんから弓を借り、近くの木に向かって照準を合わせる。木に向け、赤い矢を放つと刺さった木が燃える。
「…ってな感じで飛ばせるんだ。まぁ、魔力が切れたら使えなくなるけど、属性魔法なら大体が使えるよ」
「…ちょっと待って!今のどうやったノ!?」
「どうやったって言われても…。ただ、火の魔法を使っただけだよ?」
「…アルス、俺にはお前がただ弓を引き絞って放っただけにしか見えなかったぞ?」
「…まぁ、やってみればわかるよ。ネルさん、この木偶人形に俺がやったようにしてみてよ」
「…ええ?無理難題過ぎやしないかイ?」
「大丈夫、この弓の使い方は教えれるから」
ネルさんに弓を返し横に立つ。半信半疑ながらもネルさんは弓を引き絞る。
「…何も感じないヨ?」
「ネルさん、魔法使うときのイメージで矢を想像してほしい。詠唱の必要は無いから、いつも使ってる矢をイメージするんだ」
「イメージ…?」
ネルさんは矢筒から矢を取る行動をしながら、もう一度弓を引き絞る。すると、ネルさんには感じ取れたのか大きく目を見開いた。
「そうそう、そんな感じ!今、魔力の矢が出ているよ。分かる?」
「…見えないけど何かがあるってのは分かるネ…」
「今ネルさんが想像したのは火の魔法でしょ?そのまま木偶人形に放てば燃えるよ」
言われるがままネルさんは木偶人形目掛けて魔力の矢を放つ。矢が刺さった木偶人形はその場で激しく燃え始める。
「……嘘でしょ?こんな事って有り得ないんですけど…」
「これから訓練すれば魔力が見えるようになると思うよ。それと、魔力の質も変えれるようになるし。この量を使ったら、すぐなくなると思うからね、そこは気をつけてね」
「…こんなシロモノ、ワタシに使いこなせるかナ?」
「練習あるのみだと思うよ。まずは見えるようになるまでだね」
新たな木偶人形を出現させ、ネルさんに練習するように促す。ネルさんは今した事をひたすら繰り返していた。
「……なぁ、アルス。すげー図々しいお願いがあるんだが…」
「ん?なに?」
「オレ達に貸してくれた武器をよ、当分の間貸してくれないか?レンタル料を払っても良いからよ!」
「あー…別にレンタル料とか要らないよ?それはあげる予定だったし…。……その代わりゴードンさんにお願いする事があるんだけど、良いかな?」
「なんだ?出来る範囲なら何でもするぞ??」
「さっき考えたんだけど、ゴードンさんの依頼ってCランク冒険者も同行出来るんだよね?」
「ああ、護衛なんかは無理だが討伐とかなら同行出来るぞ?」
「ならさ、王都に居る間チカ達をBランクの依頼に連れて行って欲しいんだよ。チカ達にパーティ戦のイロハを教えて欲しいんだ」
「…いや、それは教えなくても良いんじゃねぇか?チカちゃん達は充分強いぞ?」
「……ここだけの話、俺達はサガンの師団に組み込まれてるんだ。独立遊軍って立場だけど、数が多い戦闘には慣れて無いからな」
「はぁ?冒険者のくせに、騎士団にも入ってんのか!?」
「半ば強制的にだけどな…。まぁそれは置いといて、個々の力は強いけど団体戦にはまだ不向きだと思うんだ。特にサガンの末端兵士なんかは弱すぎるからな、そいつらを守りながら戦うってのを教えて欲しいんだ」
「……別に教えれる事は全て教えるけどよ…。なんでそんな事考えたんだ?」
「…あそこは辺境の地だろ?魔物の襲撃もあるみたいだし、可能な限り守りたいと思ってな」
「…なるほどな。お前が良くしてもらった人達を守りたいって事か」
「うん…。アイツらにはかなり助けて貰ってるからな。それに、気のいい奴らばっかりだし。……1人憎めないヤツがいるけどね」
「…ははっ、その憎めないヤツってのはコンラッドの事だろ?」
「…さぁね?でも、誰も死なせたくないってのは本音だ」
「……考え方が『勇者』っぽいぜ?…まぁいい。そういう事ならチカちゃん達に全てを教えるよ。団体戦のイロハから異性の口説き方までな」
「?最後のは要らなくないか?」
「…さぁな。とりあえず、一度王都に戻ってからこの話をもう一度しよう。まずはこの依頼を終わらせてからな」
「ああ、よろしく頼むよ」
「そんじゃイイ村に戻るとするか」
馬へと向かうゴードンの背を見ながら俺は気になることがあった。確証は無いのだが、何か俺はこの流れを体験したような事があるというか…。何て言えばいいか分からないのだが、凄く気になってしまう。
必死に記憶の海を漂っていると、遠くから声がかかる。
「おい!アルス、早く出発の準備をしろ!みんなお前待ちなんだよ!」
「あ、ああ!すまん!」
ゴードンを見ると、俺以外は全員馬に乗り帰る準備が終わっていた。慌ててゼロに乗り、みんなの元へと向かう。
「さぁて、イイ村に戻るぞ!」
ゴードンの言葉に従い、イイ村目指して進む。先程考えていた事はすっかり消え去ってしまった。みんなと合流した俺はチカ達と先程の戦闘について話をしながらイイ村へと向かうのであった。
チカがボスに水の礫の様なものを連射する。ダメージは全く与えていないが、ボスの怒りには触れた様だ。雄叫びを上げるとこちらへと猛スピードで飛来する。
「さて、どのくらい戦えるかなっと!」
勢いよくバトルアックスを振り回し迎撃しようとしたが飛竜は危険を察知し攻撃を避けた。
「ふぅーん、少しは知能があるじゃねぇか!」
ゴードンは自分に身体強化をかけ、跳躍し追撃する。しかし、それすらも見越していたのか飛竜は更に上昇する。
「クソがっ!これじゃあ届かねぇじゃねぇか!」
「ワタシが翼に放ってやろうか?」
「…片翼だけにしてくれよ?」
「もちろんヨ」
通常なら届かない距離であるが、アルスから借りた武器なら届く気がした。その直感は正しかったようで、矢は唸りを上げながら翼へと突き刺さった。
「…弓の性能が良くても矢が悪ければダメって事か。流石、亜種って所ネ」
ただの矢が一本だけ刺さっていても飛竜にとっては問題はない。しかし、ネルが放った矢には氷属性が付与されている。翼に刺さった所がたちまち凍りつき、バランスを崩した飛竜がゆっくりと地面へと落ちてくる。
「ひゅーっ。お見事だぜネルちゃんよ!」
落下地点にゴードンは素早く移動する。スキルを使いトドメを刺そうと思ったが、そこは飛竜のボスが簡単には許してくれなかった。
「チッ!--『旋風』!!!」
飛竜のボスはゴードン目掛けて息吹を放つ。通常よりも濃く大きい炎が襲いかかるが、ゴードンも息吹を無効化する為スキルを使用した。
バトルアックスをまるで扇風機のように振り回し、炎を搔き消す。そのまま切り上げるように飛竜へと刃を向ける。
「--クソが。無傷とはいかんかったか…」
飛竜は両断され地面へと落ちるが、片側の足の爪がゴードンの腕に刺さっていた。
「ゴードン!今すぐ回復魔法を!!」
「…いや、どうやら大丈夫みてーだ。ほれ、傷口を見てみろよ」
近寄ってきたネルに傷口を見せる。未だ血は流れているが、みるみるうちに傷が塞がっていく。
「…これは??」
「この武器のおかげっぽいな。どうやらこの武器には治癒魔法が備わってるらしいぞ」
「…まさに『魔剣』じゃないか。この武器を本当に借り続けるつもりかイ?」
「…だってよ、性能が良すぎて他のじゃ満足出来ねーだろ?」
「それは…そうだけど。簡単には貸してくれないと思うヨ?」
「…どーだかなぁ?気楽に貸してくれそうな気がするけどな」
「……その話は後でしよう。とりあえず、素材を剥ぎ取りましョ」
半分に分かれた飛竜を素材別に剥ぎ取っていく。半分ほど剥ぎ取りを終えると、残りの飛竜の死骸をローリィが持ってきた。
「飛竜を持ってきたよー!……何してるの??」
ゴードン達の行為をローリィは不思議そうに見ていた。ローリィだけでなく、チカ達も同じ様に覗き込んでいた。
「何って…今素材を剥ぎ取っているんだよ。…した事無いのか?」
「…無い。調理ならした事あるけど、剥ぎ取りという行為はした事ない」
「ゴードンさん、よろしければ剥ぎ取り方を教えてはくれませんか?」
「ああ、そんくらいなら別に良いぜ?まずはだな………」
チカ達の前で何処を剥ぎ取るかを教える。教え方が良かったのか、チカ達もすぐさま飛竜の素材を剥ぎ取って行く。
長い時間が過ぎ、ようやく全ての剥ぎ取りが終わる。飛竜の肉は食用には向いてない為、地面に埋めた。
「さて、そんじゃアルスの所に戻るとするか」
「無事だと良いけど…」
「大丈夫ですよネルさん。アルス様は最強ですから!」
「きっとレインとお喋りをしていると思う」
「待ちくたびれて昼寝をしてるかもしれないよねー!」
「ハハハ…流石にそこまで油断してないだろうよ」
素材をゴードンの収納袋に詰め込み、一同はアルスの元へと戻る。近くに来ると、楽しそうな声が聞こえる。
「そうそう!良い感じだぞレイン!」
「--『燕返し』!」
「おお!!ついにスキルを覚えたな!いやぁー飲み込みが早いなぁ!」
「えへへへっ」
一同が辿り着くと、そこには木偶人形相手に戦っているレイン達の姿があった。
「ただいまです。アルス様!」
「おお、おかえりチカ。勉強してきたか?」
「はい。ゴードンさん達の戦いぶりをしかと学んできました」
「そうかそうか!王都に帰ったら、今度は本番だな」
「楽しみですわ。……それはそうとアルス様達は何をしていたのですか?」
「チカ達が行った後、レインに勉強教えたりしてたんだよ」
「チカお姉ちゃん!みてみてー!」
レインは満面の笑みで木偶人形にスキルを放つ。スキルが当たった木偶人形は半分になり地面へと落ちる。
「わぁ!凄いわレイン!」
「えへへっ」
「うん。レインはなかなか筋が良い」
「あたしもレインちゃんにスキル教えてあげるー!」
チカ達がレインの元へと駆け寄り可愛がっている。1人ぶっそうなスキルを教えそうなヤツが居るが、きっとチカが抑えてくれるだろう。
「おかえりゴードン。武器の使い勝手はどうだった?」
「あ、ああ。すげー良かったぜ!このまま借り続けたいぐらいだ!」
「ネルさんは?」
「弓自体はかなり強いネ。…けど、矢の部分がもう少し上のを使わないと役に立たないネ」
「矢?…ああ、確かに鉄の矢じゃ割に合わないかもな。でも、この弓は魔力を矢として放つ事も出来るよ?」
「……それはエルフが使う弓という事?」
「それは分かんねーけど…ちょっと貸して?」
ネルさんから弓を借り、近くの木に向かって照準を合わせる。木に向け、赤い矢を放つと刺さった木が燃える。
「…ってな感じで飛ばせるんだ。まぁ、魔力が切れたら使えなくなるけど、属性魔法なら大体が使えるよ」
「…ちょっと待って!今のどうやったノ!?」
「どうやったって言われても…。ただ、火の魔法を使っただけだよ?」
「…アルス、俺にはお前がただ弓を引き絞って放っただけにしか見えなかったぞ?」
「…まぁ、やってみればわかるよ。ネルさん、この木偶人形に俺がやったようにしてみてよ」
「…ええ?無理難題過ぎやしないかイ?」
「大丈夫、この弓の使い方は教えれるから」
ネルさんに弓を返し横に立つ。半信半疑ながらもネルさんは弓を引き絞る。
「…何も感じないヨ?」
「ネルさん、魔法使うときのイメージで矢を想像してほしい。詠唱の必要は無いから、いつも使ってる矢をイメージするんだ」
「イメージ…?」
ネルさんは矢筒から矢を取る行動をしながら、もう一度弓を引き絞る。すると、ネルさんには感じ取れたのか大きく目を見開いた。
「そうそう、そんな感じ!今、魔力の矢が出ているよ。分かる?」
「…見えないけど何かがあるってのは分かるネ…」
「今ネルさんが想像したのは火の魔法でしょ?そのまま木偶人形に放てば燃えるよ」
言われるがままネルさんは木偶人形目掛けて魔力の矢を放つ。矢が刺さった木偶人形はその場で激しく燃え始める。
「……嘘でしょ?こんな事って有り得ないんですけど…」
「これから訓練すれば魔力が見えるようになると思うよ。それと、魔力の質も変えれるようになるし。この量を使ったら、すぐなくなると思うからね、そこは気をつけてね」
「…こんなシロモノ、ワタシに使いこなせるかナ?」
「練習あるのみだと思うよ。まずは見えるようになるまでだね」
新たな木偶人形を出現させ、ネルさんに練習するように促す。ネルさんは今した事をひたすら繰り返していた。
「……なぁ、アルス。すげー図々しいお願いがあるんだが…」
「ん?なに?」
「オレ達に貸してくれた武器をよ、当分の間貸してくれないか?レンタル料を払っても良いからよ!」
「あー…別にレンタル料とか要らないよ?それはあげる予定だったし…。……その代わりゴードンさんにお願いする事があるんだけど、良いかな?」
「なんだ?出来る範囲なら何でもするぞ??」
「さっき考えたんだけど、ゴードンさんの依頼ってCランク冒険者も同行出来るんだよね?」
「ああ、護衛なんかは無理だが討伐とかなら同行出来るぞ?」
「ならさ、王都に居る間チカ達をBランクの依頼に連れて行って欲しいんだよ。チカ達にパーティ戦のイロハを教えて欲しいんだ」
「…いや、それは教えなくても良いんじゃねぇか?チカちゃん達は充分強いぞ?」
「……ここだけの話、俺達はサガンの師団に組み込まれてるんだ。独立遊軍って立場だけど、数が多い戦闘には慣れて無いからな」
「はぁ?冒険者のくせに、騎士団にも入ってんのか!?」
「半ば強制的にだけどな…。まぁそれは置いといて、個々の力は強いけど団体戦にはまだ不向きだと思うんだ。特にサガンの末端兵士なんかは弱すぎるからな、そいつらを守りながら戦うってのを教えて欲しいんだ」
「……別に教えれる事は全て教えるけどよ…。なんでそんな事考えたんだ?」
「…あそこは辺境の地だろ?魔物の襲撃もあるみたいだし、可能な限り守りたいと思ってな」
「…なるほどな。お前が良くしてもらった人達を守りたいって事か」
「うん…。アイツらにはかなり助けて貰ってるからな。それに、気のいい奴らばっかりだし。……1人憎めないヤツがいるけどね」
「…ははっ、その憎めないヤツってのはコンラッドの事だろ?」
「…さぁね?でも、誰も死なせたくないってのは本音だ」
「……考え方が『勇者』っぽいぜ?…まぁいい。そういう事ならチカちゃん達に全てを教えるよ。団体戦のイロハから異性の口説き方までな」
「?最後のは要らなくないか?」
「…さぁな。とりあえず、一度王都に戻ってからこの話をもう一度しよう。まずはこの依頼を終わらせてからな」
「ああ、よろしく頼むよ」
「そんじゃイイ村に戻るとするか」
馬へと向かうゴードンの背を見ながら俺は気になることがあった。確証は無いのだが、何か俺はこの流れを体験したような事があるというか…。何て言えばいいか分からないのだが、凄く気になってしまう。
必死に記憶の海を漂っていると、遠くから声がかかる。
「おい!アルス、早く出発の準備をしろ!みんなお前待ちなんだよ!」
「あ、ああ!すまん!」
ゴードンを見ると、俺以外は全員馬に乗り帰る準備が終わっていた。慌ててゼロに乗り、みんなの元へと向かう。
「さぁて、イイ村に戻るぞ!」
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