放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

文字の大きさ
79 / 135

077話

しおりを挟む
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎

ミレーユ達が王都に帰ってから半月後。孤児院の運営も着々と進み、今では俺達が暇を持て余すぐらいであった。

「…ゼロと散歩してくる」

「私もご一緒しても?」
「ボクも行く」
「あたしもー!!」

キッチンで料理を作っている人に『ちょっと出てきます』と伝え、裏にある馬小屋へと足を運ぶ。俺達が来たのが目に入ったのか、ゼロはムクっと顔を上げ立ち上がる。

「ゼロ、散歩しに行かねぇ?」

「ブルルッ…」

ゼロが嬉しそうに鳴くと、チカ達の馬も立ち上がっていた。そしてそのままゼロに乗馬すると正門目指して進む。

「……あ、そういや俺達専用の馬具を作らないといけなかったな」

ゼロに乗りながらブランさんに言われた事を思い出した。

「そういえばそうでしたね……。ガンテツさんに頼みに行きますか?」

「んー…………」

頼まなきゃいけないのだが、もう正門に向かっちゃってるし………今度で良いかな?

「マスター。ジョブを変更してボク達で作るのはどうだろう?鉱石もマスターが持っているはずだし、自分の好きな形状のを作りたい」

「……あ、それいいな!そうしよう!!」

あそこならゼロ達も思いっきり遊べるし、何より人が少ないはず。水場もあるし、木陰もあるからね。作業には持ってこいの環境だな。ナナの発言に賛成した後、俺達はオアシスへと思いっきりゼロ達を走らせる。ゼロ達も久し振りに全力を出せたのか、結構楽しそうに走っている様に見えた。

休憩を挟む事なくオアシスへと走り、到着した俺達は地面へと降りる。オアシスには俺達以外誰も居なく、好都合であった。

「ゼロ、今からちょっと作業するから呼ぶまで遊んでてくれ」

「ブルルッ!!!」

ゼロから馬具を取り外してそう告げると、ゼロ達は軽快にオアシス周辺を走り出した。

「さてと………。早速作るとするか」

俺の声にチカ達は素早くジョブを変更する。クラフト系のジョブの存在意義が分からんかったが、転生した時には役立つモンだなと再確認した。

「マスター。鉱石を頂戴」

「ん。…………鉱石って言っても色々とあるからなぁ…」

ボックスをソートし、鉱石のリストを出す。『Destiny』においての鉱石の意味合いは武器や防具の強化、作成、装飾、後はアイテム錬成などに使用していた。勿論、鉱石にもレアリティがあり、最高ランクの鉱石には莫大な費用とが掛かった。まぁ放置ゲームだから時間はほぼ何日ってレベルだけど、廃課金者の俺には必要ない単語だ。また鉱石は売ることも可能で、金額もレアリティで変動する。しかし、ごく稀に金額が高く付く場合があった。それは『鉱石』と呼ばれる物--公でには付与鉱石--で、鉱石に何らかの能力が付与されている鉱石だ。これには幅広く種類があり、ステータスを上げるモノも有れば、下げるモノもある。特にレアなのはが付与されている鉱石だ。

それは何なのかっつーと、分かりやすく言えば僧侶職のキャラが戦士の技を使用出来るって話。『Destiny』は低レベル帯の時にはほぼ武器依存の能力値なのだ。だから火力が足りない時にはそのスキルを使えるし、逆に戦士職が全体回復を使ったり出来る。……まぁクッッッッッソ稀にしかドロップしないけど、ドロップしたらそりゃあ嬉しいもんだ。

…あ、そうそう。まだ『Destiny』の話になるんだけど、『オークション』っていう機能があってね。そこに莫大な価格かあり得ない低価格で出されている場合もある。後者は大抵始めたばかりの人が強化費用欲しさに出すんだけどさ………アレはマジで助かったよ。何せ特殊攻撃スキル+800%だからね。普通に考えたらオークションに出すはずが無い。

「おまけ鉱石と通常、どっちが良い?」

リストを見ながらチカ達へと尋ねる。

「「「おまけ鉱石!!!」」」

「だよねぇ……」

そう言いながらボックスから持っているおまけ鉱石を次々と取り出す。どれも厳選した物で自慢のアイテムである。

「んー…………私は『緋緋色金ヒヒイロカネ』にしとこうかしら?」

「…ボクもそれにしようとしていた」

「あたしはこの『オリハルコン』にしとくかなー?軽い方がアルも楽だと思うし!」

「合金しなくても良いの?」

「合金だと時間が掛かりますわ。それに失敗する可能性もあるので…」

「あー……そういやそんなシステムがあったな。けど、大丈夫。有償オーブ持ってっから」

「流石にそれを使わせるのは嫌」

「大丈夫!腐る程ある!」

「ならあたしは良いおまけが付いてるのを合金しよーっと!!」

「ローリィ。少しは遠慮という言葉を知るべき」

「気にすんな。…ぶっちゃけ有償玉なんざこっちじゃ使い所が分からんからな」

「…マスターがそう言うのなら」

渋々納得したナナだったが、俺の本音なんだからしゃーない。…だってさぁ、ガチャとか引けないじゃん?じゃあこの有償玉は何に使えば良いのかって話だ。ボックス拡張も装備枠開放も全てしてるし、何も使い所さんはありませんからね。

リストから取り出した鉱石を並べ、それをチカ達が熱心に吟味する。何だか露天商になった気持ちだ。

「んー………中々アルスに合いそうなおまけは無いですね…」

「ん?呼んだか?」

「い、いえ!あの…その…アルスってのは私の馬の名前で……」

「あ、そういやそうだったな」

「す、すみません……」

「良いよ良いよ。……とりあえず、俺が持ってる鉱石は全部出したからこの中から選んでよ」

「「「………………」」」

チカ達は黙り込み、熱心に鉱石を持っては元に戻すという作業をする。

「マスターは選ばないのか?」

「俺?俺はちょっと試したい事があってな…」

「試したい事とは?」

「いや、この『蜘蛛の魔核コア』ってのを使おうと思ってな…」

そう言ってからボックスから魔核を取り出す。前に見た時にもこのアイテムは鉱石リストに記載されており、加工しようと思っていた。

「それは強いのか?」

「…どうだろ?下の方にあったからレアリティは低いと思う」

「それだと弱いという事になる」

「…まぁ弱かったら弱かったで別なのを作れば良いさ。ただの興味本位だよ」

もしかしたら加工すると異世界とかになるかも知れない。ゲームに少しでも課金した事がある人ならこの気持ちは分かると思うが、期間限定とかそういう謳い文句には弱いんだよ。…まぁ俺の思い過ごしかも知れないけど。

チカ達は各々素材を選び終え、クラフト用の装備一式に交換すると早速加工を始める。ガンテツさんの所みたいに窯が必要かと思っていたが、俺達の場合は要らないみたいだ。チカ達をよぉーく観察していると、魔法でそれらを補っていた。

(…不思議だよなぁ。現実なのに現実では無い光景ってのは)

そんな様子を見ながら俺も魔核と鉄くずを加工するのであった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...