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092話 -いざ、ジュエリア王国へ 1-
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「アルス様ー?準備出来ましたかー?」
「出来てるよー」
ダンジョンから帰った後、しばらくの間『修羅』のLv上げに勤しんでいた。ローリィを実験台として、Lvが上がるまでは『修羅』でいてもらうよう頼んだ。ローリィからは不満などはなく、『ご主人様がそういうなら喜んでするよー!』と快諾してもらった。
サガンに戻ってからは特にする事は何も無かった。先生はちゃんと管理者として頑張っており、なんと仕事の表を作っていた。
そこには働いている人の名前が書かれた大きなピンが刺さっており、『いまどこで』『誰が何を』というのが分かりやすく掲示されていた。この表の説明を聞いたところ、無駄に人員を掛けないようにとの懸念があったと言っていた。例にすると、誰が何をしているかが分からないと掃除に全員行ったり、調理に半分以上行ったりとしてしまうからだと。
自分の行動を表に移す事で、次の仕事を見つけることが出来ると先生は言っていた。これは授業にも適用するらしく、『どこまで生徒が理解をしているか』を先生が分かりやすく纏めた物をこちらでも使用したそうだ。先生曰く『一種の分析表ですよ』との事だった。………頭良いなぁと思った。
先生に任しておけば大丈夫だと思い、俺達は『修羅』のLv上げしつつ、警らに回っていた。食肉になりそうな魔物を狩れば孤児院や街の食糧にもなるし、外敵が減ると一石二鳥……いや三鳥だ。冒険者の人達も俺達と行動したいみたいで、ちょこちょこと指導を交えたり、兵士達とも交流を深めていった。
魔物の爪や毛皮、牙などはガンテツさんの所に持っていった。端材ではあるが、先の戦いでボロボロになった武器を持っている人達を新調していった。もちろん金は払うつもりであったが、ガンテツさんの所には新人さんも多く来たみたいで、その練習になるという事で無料となった。
んで、ダラダラと日々を過ごしていたらラティから呼び出しがあった。屋敷へと行くと立派な封書を渡され、『ミレーユからの召喚状だと思いますよ』と言われた。
中身には色々と長文でややこしいことが書いてあったため、チカに要約して貰った。内容はシンプルな物で『王都にあるダンジョン攻略と、ジュエリア国王への謁見。功績を称える式典に参加しろ』との事だった。
『早くない?』とラティへと尋ねると、奇妙な返事が返ってきた。どうやら、王都では『俺達』の良い噂が広まっているらしく、貴族派閥から『その者を呼んで欲しい』という請願があったらしい。ラティは『キナ臭い事になると思うよ。用心してね』と言うので、恐らく俺達を呼び出した理由は貴族派閥に入れようと画作しているのだろう。
『国王に謁見する』という事で、ラティは俺達の正装を準備していた。だが、俺はピッタリだったが、チカ達には少し窮屈なサイズだった。結局、正装をするのは辞めて、俺達が持っているコスチュームに着替える事にした。流石にローリィの露出具合は不味いらしく、嫌々言うローリィを宥めるのが大変だった。
『魅せるのもお洒落なんだよ!』とローリィは言うが、年中ビキニ姿なのも問題だ。男としては見る分には構わないけど、公式な場ではダメだよなぁ……。
んで、日時が未定と書かれてあり、俺達が王都に来てから調整をするとの事。ラティは『早めに行って観光でもしときなよ』と言っていた。『どーせ日にちも掛けずに行けるでしょ?』とも。
とまぁ、総括するとこんな話であったが、孤児院も大丈夫だし兵士や冒険者達も大丈夫だと言っていた。それを聞いた俺達はミレーユ達に渡すお土産やら何やらを選ぶ準備をしていた。それである程度纏まったので、冒頭に至ると言うわけだ。
チカ達と朝食を済ませた後、先生とパートさん達に挨拶を済ませてからゼロ達を迎えに行く。ゼロ達は綺麗に毛並みも整えられており、嬉しそうにしていた。
「んじゃ後はよろしくお願いします!」
「はい!アルスさん、お気をつけて!」
わざわざ見送りに出てくれた先生達と別れ、正門へと向かう。道中、露天商のおっちゃん達から食べ物を貰ったりと、意外にも時間がかかった。中にはミレーユ達に渡して欲しいという物もあり、『俺は宅急便じゃねえんだぞ?』とすこぉーしだけ思った。まぁ、皆もミレーユ達のことを思っての事だろうし無碍には出来ない。
正門に辿り着くと、今度はラティを筆頭にサガンの冒険者、兵士達が待っていた。
「……お前達もかよ」
「バカモン!見送るのは当たり前だろう!」
「そうですよアルスさん。サガンの英雄の凱旋を見送りしなくてどうするんですか!」
「…いや。別に凱旋でも無いし、ただの呼び出しだろ?」
コンラッドとフィンが詰め寄ってくるが、カーバインさんがそれを『落ち着けお前ら。なんでそんなに喧嘩越しなんだ?』と嗜めていた。
「アルスさん。忘れ物はない?」
「無いよ。……多分」
「多分じゃ困るよ…。………所で、レインちゃんも連れて行くの?」
ラティは俺の後ろに座っているレインを見ながら言う。
「ああ。仲間外れは嫌なんだってさ」
「……まぁレインちゃんの親代わりだもんね、アルスさん達は」
「………なぁ、アルス殿。チカ嬢達の格好は……その……日焼けとか大丈夫なのか?」
カーバインさんがチカ達の格好を見ながら呟く。チカ達の格好は『水着』に『サロペットスカート』で、砂漠を北上するには少し厳しい格好だ。だが、レインが『チカお姉ちゃん達と同じ格好が良い』と言うので、俺でも作製出来るコスチュームとなったのだ。
チカ達の格好を見れば仲の良い姉妹……のようには見えるだろう。だが、やはり何と言っても露出が激しい。何人かの冒険者や兵士がニヤニヤとチカ達を眺めているのが実感できた。
「耐性は魔法で何とかなるし、ナナが『お出かけはこの格好』って引かなかったんだよ…」
「……年頃の娘は難しいな。まぁアルス殿達であれば大丈夫なのだろうな」
「……ローリィさん!とっても似合ってます!」
「ありがとー!」
「…一応、レインちゃんも行くってのをミレーユに伝えておくよ。アルスさん達が着く方が早いと思うけど」
「んー……それなんだが、ちょっと私用でゆっくり向かう事にするよ。ポーロさんに教えてもらった町なんかにも寄りたいしね」
「あ、そうなの?なら寄り道して向かってるって伝えとくよ」
「助かるよ。………んじゃ、そろそろ行くね?」
「いってらっしゃいアルスさん」
「アルスー!!お土産期待してるからなー!」
ゆっくりとゼロの手綱を引きながらサガンから砂漠へと向かう。チカ達はフリフリと皆に手を振りながら俺の後をついてくる。
「アルス。私、大きくなってもいい?」
「ん?…どう言うこと?」
「この背丈だと動き辛いって最近知ったの」
「あぁー…そう言う事ね?もちっと進んでからにしてくれ」
「はぁい」
そんな会話をしながら俺達はジュエリア王国へと足を進めるのであった。
「アルス様ー?準備出来ましたかー?」
「出来てるよー」
ダンジョンから帰った後、しばらくの間『修羅』のLv上げに勤しんでいた。ローリィを実験台として、Lvが上がるまでは『修羅』でいてもらうよう頼んだ。ローリィからは不満などはなく、『ご主人様がそういうなら喜んでするよー!』と快諾してもらった。
サガンに戻ってからは特にする事は何も無かった。先生はちゃんと管理者として頑張っており、なんと仕事の表を作っていた。
そこには働いている人の名前が書かれた大きなピンが刺さっており、『いまどこで』『誰が何を』というのが分かりやすく掲示されていた。この表の説明を聞いたところ、無駄に人員を掛けないようにとの懸念があったと言っていた。例にすると、誰が何をしているかが分からないと掃除に全員行ったり、調理に半分以上行ったりとしてしまうからだと。
自分の行動を表に移す事で、次の仕事を見つけることが出来ると先生は言っていた。これは授業にも適用するらしく、『どこまで生徒が理解をしているか』を先生が分かりやすく纏めた物をこちらでも使用したそうだ。先生曰く『一種の分析表ですよ』との事だった。………頭良いなぁと思った。
先生に任しておけば大丈夫だと思い、俺達は『修羅』のLv上げしつつ、警らに回っていた。食肉になりそうな魔物を狩れば孤児院や街の食糧にもなるし、外敵が減ると一石二鳥……いや三鳥だ。冒険者の人達も俺達と行動したいみたいで、ちょこちょこと指導を交えたり、兵士達とも交流を深めていった。
魔物の爪や毛皮、牙などはガンテツさんの所に持っていった。端材ではあるが、先の戦いでボロボロになった武器を持っている人達を新調していった。もちろん金は払うつもりであったが、ガンテツさんの所には新人さんも多く来たみたいで、その練習になるという事で無料となった。
んで、ダラダラと日々を過ごしていたらラティから呼び出しがあった。屋敷へと行くと立派な封書を渡され、『ミレーユからの召喚状だと思いますよ』と言われた。
中身には色々と長文でややこしいことが書いてあったため、チカに要約して貰った。内容はシンプルな物で『王都にあるダンジョン攻略と、ジュエリア国王への謁見。功績を称える式典に参加しろ』との事だった。
『早くない?』とラティへと尋ねると、奇妙な返事が返ってきた。どうやら、王都では『俺達』の良い噂が広まっているらしく、貴族派閥から『その者を呼んで欲しい』という請願があったらしい。ラティは『キナ臭い事になると思うよ。用心してね』と言うので、恐らく俺達を呼び出した理由は貴族派閥に入れようと画作しているのだろう。
『国王に謁見する』という事で、ラティは俺達の正装を準備していた。だが、俺はピッタリだったが、チカ達には少し窮屈なサイズだった。結局、正装をするのは辞めて、俺達が持っているコスチュームに着替える事にした。流石にローリィの露出具合は不味いらしく、嫌々言うローリィを宥めるのが大変だった。
『魅せるのもお洒落なんだよ!』とローリィは言うが、年中ビキニ姿なのも問題だ。男としては見る分には構わないけど、公式な場ではダメだよなぁ……。
んで、日時が未定と書かれてあり、俺達が王都に来てから調整をするとの事。ラティは『早めに行って観光でもしときなよ』と言っていた。『どーせ日にちも掛けずに行けるでしょ?』とも。
とまぁ、総括するとこんな話であったが、孤児院も大丈夫だし兵士や冒険者達も大丈夫だと言っていた。それを聞いた俺達はミレーユ達に渡すお土産やら何やらを選ぶ準備をしていた。それである程度纏まったので、冒頭に至ると言うわけだ。
チカ達と朝食を済ませた後、先生とパートさん達に挨拶を済ませてからゼロ達を迎えに行く。ゼロ達は綺麗に毛並みも整えられており、嬉しそうにしていた。
「んじゃ後はよろしくお願いします!」
「はい!アルスさん、お気をつけて!」
わざわざ見送りに出てくれた先生達と別れ、正門へと向かう。道中、露天商のおっちゃん達から食べ物を貰ったりと、意外にも時間がかかった。中にはミレーユ達に渡して欲しいという物もあり、『俺は宅急便じゃねえんだぞ?』とすこぉーしだけ思った。まぁ、皆もミレーユ達のことを思っての事だろうし無碍には出来ない。
正門に辿り着くと、今度はラティを筆頭にサガンの冒険者、兵士達が待っていた。
「……お前達もかよ」
「バカモン!見送るのは当たり前だろう!」
「そうですよアルスさん。サガンの英雄の凱旋を見送りしなくてどうするんですか!」
「…いや。別に凱旋でも無いし、ただの呼び出しだろ?」
コンラッドとフィンが詰め寄ってくるが、カーバインさんがそれを『落ち着けお前ら。なんでそんなに喧嘩越しなんだ?』と嗜めていた。
「アルスさん。忘れ物はない?」
「無いよ。……多分」
「多分じゃ困るよ…。………所で、レインちゃんも連れて行くの?」
ラティは俺の後ろに座っているレインを見ながら言う。
「ああ。仲間外れは嫌なんだってさ」
「……まぁレインちゃんの親代わりだもんね、アルスさん達は」
「………なぁ、アルス殿。チカ嬢達の格好は……その……日焼けとか大丈夫なのか?」
カーバインさんがチカ達の格好を見ながら呟く。チカ達の格好は『水着』に『サロペットスカート』で、砂漠を北上するには少し厳しい格好だ。だが、レインが『チカお姉ちゃん達と同じ格好が良い』と言うので、俺でも作製出来るコスチュームとなったのだ。
チカ達の格好を見れば仲の良い姉妹……のようには見えるだろう。だが、やはり何と言っても露出が激しい。何人かの冒険者や兵士がニヤニヤとチカ達を眺めているのが実感できた。
「耐性は魔法で何とかなるし、ナナが『お出かけはこの格好』って引かなかったんだよ…」
「……年頃の娘は難しいな。まぁアルス殿達であれば大丈夫なのだろうな」
「……ローリィさん!とっても似合ってます!」
「ありがとー!」
「…一応、レインちゃんも行くってのをミレーユに伝えておくよ。アルスさん達が着く方が早いと思うけど」
「んー……それなんだが、ちょっと私用でゆっくり向かう事にするよ。ポーロさんに教えてもらった町なんかにも寄りたいしね」
「あ、そうなの?なら寄り道して向かってるって伝えとくよ」
「助かるよ。………んじゃ、そろそろ行くね?」
「いってらっしゃいアルスさん」
「アルスー!!お土産期待してるからなー!」
ゆっくりとゼロの手綱を引きながらサガンから砂漠へと向かう。チカ達はフリフリと皆に手を振りながら俺の後をついてくる。
「アルス。私、大きくなってもいい?」
「ん?…どう言うこと?」
「この背丈だと動き辛いって最近知ったの」
「あぁー…そう言う事ね?もちっと進んでからにしてくれ」
「はぁい」
そんな会話をしながら俺達はジュエリア王国へと足を進めるのであった。
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