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振動
これはエンジンが始動したから
僅かに聞こえるのは、四等官吏が読み上げている罪状
曰く
神聖なる帝国の、いと気高き方に無礼を働いた
曰く
神聖なる帝国の、貴重な資財を浪費した
曰く
神聖なる帝国の、厳格なる身分制度を公然と無視した
云々……
長いな~
皇室主宰のコンテストに、他人の作ったものを自分名義で出品して、挙げ句にそれがバレた勅任官の令息が悪いんじゃん。
あんな良い素材を無駄にするなんて勿体無い真似は、八等臣民には出来ないっての。
ちょっと国宝級になっちゃったけど、なんでそのまま出品しちゃうかね。
私以外の連中にだって作らせてたんだから、程々の奴を使えば良かっただけじゃん。
どうでも良いけど
まだ~?
はいはい
死刑が当然だけど、いと尊き皇帝陛下の、広大無辺なる慈悲をもって罪一等を減じて国外追放とする。
やっと終わり?
異議のある者は声をあげよ?
それはつまり、厳重に梱包されて、御丁寧にも猿轡咬まされてる私は無条件に受け入れろって事だよね?
ケッ!
国外ったって、帝国は大陸唯一の国じゃん。
ああ、だから船なのね。
魔物がうようよしてて、軍でも手が出せない海なら、ちゃんと国外だもんね。
後始末も完璧と。
上手いこと考えるよね~
ん~
あ、爆薬も積まれてる。
絶対殺すって事ね。
振動
あ、出港ですか。
はい、さよなら~
お、結構スピード出てる
ああ、そうね~
死刑じゃ無いから、少なくとも視界からは消えないといけないからか。魔物あたりにすぐ呑まれても困るって事ね。
とりあえず、邪魔な拘束服は脱ぎ脱ぎ。
目隠しかと思ったら、フルフェイスのヘッドセットじゃん。
これ、結構な年代物でバカ高い代物なんだけど、たかが八等の死刑に使うって、上はどんだけ贅沢なのさ。
折角だから貰っとこう。
ん~
風が気持ち良いね~
うん。
岸の方はもう人の判別が出来ない距離だ。
首に埋められていたチップを……
よし、無効化と排出出来た!
思わず、両腕を高々と突き上げて叫ぶ。
「もがもが~!!」
……失敬。猿轡外すの忘れてた。
こほん。
では、改めて
「自由、だ~!!」
爆弾は、ちゃちだなぁ
こういう所をケチるから、簡単に解体されるんだよ?
そこそこ爆薬量多目だし、とっとくかね。
あ~
お腹空きすぎて頭が回らん。
何か無いかな?
あ、これ私の私物だ。
あくまでも追放で、死刑じゃないってか。
ま、ありがたいけど。
あった!
八等臣民標準食こと『カロリーブロック』
味もそっけもない、単なるハイカロ食だけど、食べなれてるから水無しでも食べられます。
コツがあんのよ、コツが。
伊達に百何十年もこればっか食べてないっての。
ん~
脳に栄養が運ばれていくね~
感知範囲が広がるよ。
お?そろそろ燃料が尽きるね。
後方から追ってくるのは怪蛇と……ありゃ、海竜だ。
あ~
怪蛇は私を狙って
怪蛇を海竜が追っていると。
つまり、怪蛇を何とかすれば良い訳だ。
とりあえず、船の改造だね。
今のままだと、あと三分位で停まっちゃうし。
よっしゃ、やりますかね~
【怪蛇】
帝国沿岸部及び近海なら何処でも棲息している魚類及び爬虫類にも同名の海蛇が存在するが、こちらはあくまでも『魔物』というカテゴリーに分類される。
体長は確認されている最大のもので約8メル
4メル程度の大きさのものは腹板を持ち、頻繁に地上に上がって積極的に捕食を行う。
大型の個体ほど身体が縦に平たくなり、尾がヒレに近い形状に変化する事が確認されているが、その形状、体格の違いから別種の可能性もあるとの説もある。
毒牙は持たないが肉食であり、製塩作業所や養殖場など、海辺においては悪魔の様に恐れられている。
水の魔力と親和性が高く、水中をまさに自由自在に泳ぎまわる他、多少の傷は瞬く間に治ってしまう回復力を有する。
また帝国の沿岸部では不自然に発生した霧は怪蛇が吐いていると信じられているが、この危険な魔物を積極的に研究する者がおらず、真偽の程は不明である。
これはエンジンが始動したから
僅かに聞こえるのは、四等官吏が読み上げている罪状
曰く
神聖なる帝国の、いと気高き方に無礼を働いた
曰く
神聖なる帝国の、貴重な資財を浪費した
曰く
神聖なる帝国の、厳格なる身分制度を公然と無視した
云々……
長いな~
皇室主宰のコンテストに、他人の作ったものを自分名義で出品して、挙げ句にそれがバレた勅任官の令息が悪いんじゃん。
あんな良い素材を無駄にするなんて勿体無い真似は、八等臣民には出来ないっての。
ちょっと国宝級になっちゃったけど、なんでそのまま出品しちゃうかね。
私以外の連中にだって作らせてたんだから、程々の奴を使えば良かっただけじゃん。
どうでも良いけど
まだ~?
はいはい
死刑が当然だけど、いと尊き皇帝陛下の、広大無辺なる慈悲をもって罪一等を減じて国外追放とする。
やっと終わり?
異議のある者は声をあげよ?
それはつまり、厳重に梱包されて、御丁寧にも猿轡咬まされてる私は無条件に受け入れろって事だよね?
ケッ!
国外ったって、帝国は大陸唯一の国じゃん。
ああ、だから船なのね。
魔物がうようよしてて、軍でも手が出せない海なら、ちゃんと国外だもんね。
後始末も完璧と。
上手いこと考えるよね~
ん~
あ、爆薬も積まれてる。
絶対殺すって事ね。
振動
あ、出港ですか。
はい、さよなら~
お、結構スピード出てる
ああ、そうね~
死刑じゃ無いから、少なくとも視界からは消えないといけないからか。魔物あたりにすぐ呑まれても困るって事ね。
とりあえず、邪魔な拘束服は脱ぎ脱ぎ。
目隠しかと思ったら、フルフェイスのヘッドセットじゃん。
これ、結構な年代物でバカ高い代物なんだけど、たかが八等の死刑に使うって、上はどんだけ贅沢なのさ。
折角だから貰っとこう。
ん~
風が気持ち良いね~
うん。
岸の方はもう人の判別が出来ない距離だ。
首に埋められていたチップを……
よし、無効化と排出出来た!
思わず、両腕を高々と突き上げて叫ぶ。
「もがもが~!!」
……失敬。猿轡外すの忘れてた。
こほん。
では、改めて
「自由、だ~!!」
爆弾は、ちゃちだなぁ
こういう所をケチるから、簡単に解体されるんだよ?
そこそこ爆薬量多目だし、とっとくかね。
あ~
お腹空きすぎて頭が回らん。
何か無いかな?
あ、これ私の私物だ。
あくまでも追放で、死刑じゃないってか。
ま、ありがたいけど。
あった!
八等臣民標準食こと『カロリーブロック』
味もそっけもない、単なるハイカロ食だけど、食べなれてるから水無しでも食べられます。
コツがあんのよ、コツが。
伊達に百何十年もこればっか食べてないっての。
ん~
脳に栄養が運ばれていくね~
感知範囲が広がるよ。
お?そろそろ燃料が尽きるね。
後方から追ってくるのは怪蛇と……ありゃ、海竜だ。
あ~
怪蛇は私を狙って
怪蛇を海竜が追っていると。
つまり、怪蛇を何とかすれば良い訳だ。
とりあえず、船の改造だね。
今のままだと、あと三分位で停まっちゃうし。
よっしゃ、やりますかね~
【怪蛇】
帝国沿岸部及び近海なら何処でも棲息している魚類及び爬虫類にも同名の海蛇が存在するが、こちらはあくまでも『魔物』というカテゴリーに分類される。
体長は確認されている最大のもので約8メル
4メル程度の大きさのものは腹板を持ち、頻繁に地上に上がって積極的に捕食を行う。
大型の個体ほど身体が縦に平たくなり、尾がヒレに近い形状に変化する事が確認されているが、その形状、体格の違いから別種の可能性もあるとの説もある。
毒牙は持たないが肉食であり、製塩作業所や養殖場など、海辺においては悪魔の様に恐れられている。
水の魔力と親和性が高く、水中をまさに自由自在に泳ぎまわる他、多少の傷は瞬く間に治ってしまう回復力を有する。
また帝国の沿岸部では不自然に発生した霧は怪蛇が吐いていると信じられているが、この危険な魔物を積極的に研究する者がおらず、真偽の程は不明である。
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