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楽園
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全身真っ白な羽毛に包まれた体長40セン程の小さな『竜』が、断崖に設けられた巣から次々に澄んだ海にダイブしていく。
水中を翔ぶように泳いで魚を捕らえ、素晴らしい勢いで空中にまで飛び上がっては巣に持ち帰るのだ。
小白竜の群れをこの目で見られるなんてね~
帝国のデータベースでは絶滅してる筈なんだけど、居るところにはまだ居るんだねぇ
……それにしても、ここ、凄いな。
一体どれくらい前からの繁殖地なのか判らないけど、人跡未踏って事だけは間違いないね。
ん~
水や食料、物資の調達済んだら早目に立ち去ろうっと。
思わず永住したくなる程綺麗だけど、まだまだ世界を見て回りたいし。
ウオッ!?
なんだ?魚?
なんで小白竜が。
いや、ちょ、待って、埋もれる、魚で埋もれるから!
なに、キミたち、これくれるの?
なにその優しさMAXな習性。
やたら寄ってくるし、ご飯くれるし、何かやたらと視線を合わせてくる。
ついでに視線合ったら魔力パス繋いでくる辺りで気がついたけど、キミたち、私を同族と思ってない?
デカくて、飛べなくて、泳げないけど。
何かそんな感じだよね?
そりゃ、白いけど?目も赤いけど?
ありがたいけど、これ、私限定の態度なのか、人間を知らないからなのかが判らないと困るんだけどなぁ……
ちょっと見て回っても、天敵になりそうな生物が居ないね。
海は底が見える程の透明度だし、中型までの魚は豊富だけど大型の魚にとっては浅い。
元から竜種である小白竜は小さいながらも強い魔物だ。
単体では中型以上の魔物や人間等に倒されてしまうが、基本的に群で生活している彼らは集団で戦う。
風を纏って自在に空を飛び、かなりな熱量の竜の吐息を吐けるから、怒らせたら大変じゃすまない。
ま、消し炭にされるね。
それにしても珍しい果実とか、雑多な植生だなぁ。これなんか帝国では皇室の温室で数株栽培出来てるだけの奴だよ。あ、これも。こっちのはデータベースで記録があるだけだし。まるで見たことが無いのも……
希少なものでも、こんだけあると有り難みが全然無いね。
お?これはベリーという奴だね。
どれどれ?
……うま~!
なにこれ!?美味しすぎる。
うわ、だめだ、止まんない!
比べちゃ駄目だけど、八等臣民標準食のカロリーブロックって、ホントに不味かったんだなぁ……
万一の時の為にまだ残してるけど、食べる気なくなるな。
味って、大事なんだねぇ……
【小白竜】
帝国データベースによれば、およそ八百年前に最後の個体が仕留められ、皇室に献上された絶滅種
体長約40セン程の超小型の竜種。
純白の羽毛に包まれており、前肢は細い上に飛行時には折り畳んで身体に密着させている為に、遠目からは海鳥にも見える事もある。
早朝、ないし夕方に海に飛び込んで魚を獲る。昼は巣穴か陽当たりの良い場所で眠って過ごす個体が多い。
持続時間や範囲は短いが、瞬間的には2000度に達する竜の吐息を吐く能力があり、最高速度90キメール(平均60キメール)で自在に空を飛ぶ。
帝国のデータベースでは肉食とされていたが、花や果実を食べている事も確認出来ている。実際は魚食に近い雑食の様だ。
水中を翔ぶように泳ぎ、見事に魚を捕らえる様は美しさすら感じる。
体内に真珠よりも透明感のある白色の宝石、通称『白竜の玉石』を宿す為に乱獲され、絶滅したとされていた。
この宝石は美しいだけでなく、一度番になると終生パートナーを変えない小白竜の習性から『恋人に贈ると縁起が良い』とされる。
『白竜の玉石』は淡い緑色の『緑竜の玉石』が近縁種である小緑竜からとれるが、それより遥かに品質が良く、現在でも非常に高値で取引されている。
海岸線の断崖に穴を開けて巣を設け、集団で生活する。
巣の入り口は狭いが、中は広くなっており番とシングルで別空間になっている他、未成熟な仔竜や孵化前の卵専用のスペースが作られており、意外と高度な社会生活を送っている様だ。
観察していた期間、最初に海に飛び込む個体が同一であり、一番陽当たりの良い場所で眠る事からリーダーであると判断した。この個体は若干だが他の個体より大柄な雌だった。
女王相当の個体が存在するか、長生きしている個体がリーダー役になるのかはまだ判然としていない。
なお、私はこの楽園について、その場所を公開する気はない。
彼らの平和な生活は脅かされるべきではないからだ。
水中を翔ぶように泳いで魚を捕らえ、素晴らしい勢いで空中にまで飛び上がっては巣に持ち帰るのだ。
小白竜の群れをこの目で見られるなんてね~
帝国のデータベースでは絶滅してる筈なんだけど、居るところにはまだ居るんだねぇ
……それにしても、ここ、凄いな。
一体どれくらい前からの繁殖地なのか判らないけど、人跡未踏って事だけは間違いないね。
ん~
水や食料、物資の調達済んだら早目に立ち去ろうっと。
思わず永住したくなる程綺麗だけど、まだまだ世界を見て回りたいし。
ウオッ!?
なんだ?魚?
なんで小白竜が。
いや、ちょ、待って、埋もれる、魚で埋もれるから!
なに、キミたち、これくれるの?
なにその優しさMAXな習性。
やたら寄ってくるし、ご飯くれるし、何かやたらと視線を合わせてくる。
ついでに視線合ったら魔力パス繋いでくる辺りで気がついたけど、キミたち、私を同族と思ってない?
デカくて、飛べなくて、泳げないけど。
何かそんな感じだよね?
そりゃ、白いけど?目も赤いけど?
ありがたいけど、これ、私限定の態度なのか、人間を知らないからなのかが判らないと困るんだけどなぁ……
ちょっと見て回っても、天敵になりそうな生物が居ないね。
海は底が見える程の透明度だし、中型までの魚は豊富だけど大型の魚にとっては浅い。
元から竜種である小白竜は小さいながらも強い魔物だ。
単体では中型以上の魔物や人間等に倒されてしまうが、基本的に群で生活している彼らは集団で戦う。
風を纏って自在に空を飛び、かなりな熱量の竜の吐息を吐けるから、怒らせたら大変じゃすまない。
ま、消し炭にされるね。
それにしても珍しい果実とか、雑多な植生だなぁ。これなんか帝国では皇室の温室で数株栽培出来てるだけの奴だよ。あ、これも。こっちのはデータベースで記録があるだけだし。まるで見たことが無いのも……
希少なものでも、こんだけあると有り難みが全然無いね。
お?これはベリーという奴だね。
どれどれ?
……うま~!
なにこれ!?美味しすぎる。
うわ、だめだ、止まんない!
比べちゃ駄目だけど、八等臣民標準食のカロリーブロックって、ホントに不味かったんだなぁ……
万一の時の為にまだ残してるけど、食べる気なくなるな。
味って、大事なんだねぇ……
【小白竜】
帝国データベースによれば、およそ八百年前に最後の個体が仕留められ、皇室に献上された絶滅種
体長約40セン程の超小型の竜種。
純白の羽毛に包まれており、前肢は細い上に飛行時には折り畳んで身体に密着させている為に、遠目からは海鳥にも見える事もある。
早朝、ないし夕方に海に飛び込んで魚を獲る。昼は巣穴か陽当たりの良い場所で眠って過ごす個体が多い。
持続時間や範囲は短いが、瞬間的には2000度に達する竜の吐息を吐く能力があり、最高速度90キメール(平均60キメール)で自在に空を飛ぶ。
帝国のデータベースでは肉食とされていたが、花や果実を食べている事も確認出来ている。実際は魚食に近い雑食の様だ。
水中を翔ぶように泳ぎ、見事に魚を捕らえる様は美しさすら感じる。
体内に真珠よりも透明感のある白色の宝石、通称『白竜の玉石』を宿す為に乱獲され、絶滅したとされていた。
この宝石は美しいだけでなく、一度番になると終生パートナーを変えない小白竜の習性から『恋人に贈ると縁起が良い』とされる。
『白竜の玉石』は淡い緑色の『緑竜の玉石』が近縁種である小緑竜からとれるが、それより遥かに品質が良く、現在でも非常に高値で取引されている。
海岸線の断崖に穴を開けて巣を設け、集団で生活する。
巣の入り口は狭いが、中は広くなっており番とシングルで別空間になっている他、未成熟な仔竜や孵化前の卵専用のスペースが作られており、意外と高度な社会生活を送っている様だ。
観察していた期間、最初に海に飛び込む個体が同一であり、一番陽当たりの良い場所で眠る事からリーダーであると判断した。この個体は若干だが他の個体より大柄な雌だった。
女王相当の個体が存在するか、長生きしている個体がリーダー役になるのかはまだ判然としていない。
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