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ss雨と海都
しおりを挟むもし、俺が普通だったならって考えたこともある。
小さい頃から他の人より体も小さく、心臓が弱くて、入院してた。
その生活をしてたから肌も白く、焼けたことがない。
俺は生まれた時から自分の寿命が見えていた。
「...18歳まで持つかどうか...」
医者にそれを言われた俺は覚えてないくらい小さく、でも両親が泣いていたのはなんとなく覚えてる。それを見て俺も大泣きした。
もし戻れるなら俺は絶対に泣かない。
あそこで俺は絶対に泣いたりしない。
「はじめまして」
芹に会ったのは4歳の頃。俺の体が少しは強くなって外に出られるようになった時。医者が空気のいい所で、のびのび過ごせば寿命も長くなるかもしれないと言われ、祖父母の家に来た。
そこは本当に隔離された島国で、島の人も数少ない。
何もない、楽しくはなさそうな島国で俺は芹と出会った。
毎年夏になると、ここで食べるには珍しいお菓子を持ってきてくれたり、話もしてくれた。
大きなビルが沢山聳え立っていると。
電車は満員電車で毎日押しつぶされそうだと。
車両は15両あるとか。この島国では1両しかない電車しかないのに。
芹の話は全部面白くて、新鮮だった。
ある日大雨が降った日だった。
俺の父が誕生日だったから芹に頼んで買い物に付き合ってもらった。父がよく買う小さな服屋に行ったその帰りだった。
曇り出してすぐ大雨が降った。
急いで屋根のあるところへ向かう。
「あー、今日雨降る予報だったの忘れてた...」
と呟いて、諦めて小雨になるか止むまで待とうと思っていた時に、芹は俺に待ってろと言ってかけだして行ってしまった。
数分経って戻ってきた芹の手には傘があった。俺の傘だった。
「...なんで」
「濡れて、体冷やしたら困るだろ」
そう言ってたし出す傘を持つ芹はびしょびしょで、
「芹はびしょびしょじゃん」
そう呟いたが
「俺は良いんだよ」
と笑いながら言う芹に俺は泣きそうになった。
一緒に笑って濡れて帰れたら良いのに。
なんて思った自分の気持ちに蓋をした。
帰ってきた俺たちに両親は急いで風呂に入れた。
あったかい湯船に俺が浸かり、芹も浸かれば?と言っても芹はシャワーだけで良いと言って俺にちゃんとあったまってから出てこいよと言ってすぐ上がってしまった。
「...冷えたのは芹の方なのに...」
長時間濡れた芹の体は絶対に冷えてるはずなのに。
俺の体ばかり心配して、自分はすぐに上がって。
「...もう、迷惑をかけないようにしないと」
俺は1人お風呂場で呟き、それ以降天気はしっかり気にして、折り畳み傘を持ち歩くようになった。
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