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4月ー2
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「くっら~い!
私はこう思うけどなっ?
何度散ってもまた咲き誇る、再生の象徴なんだって。
桜ってさ、すっごく傷つきやすい樹なんだよ?
なのに毎年頑張って……
負けないって訴えてるんだよ。
それにまた来年を楽しみに、希望が持てるでしょっ?」
そう桜空を仰ぐキミが眩しくて……
俺のその暗い心まで照らされた気がした。
「結歌らしいね。
さすが楽しさ見習い」
「まぁこー見えても桜の化身なのでっ」
「……5月生まれなのに?」
「そおっ。
散った桜の負けないエネルギーが、1ヶ月かけて人に再生したのですっ。
ああっ!バカにしてぇっ」
「してないよっ。
あっ、花びら付いてるっ」
笑いを誤魔化すように、キミの髪を彩る淡紅色に手を伸ばすと。
「……だからね?
自分同様の桜よりも、道哉のほーが好きって事は……
それほど大事な存在って事だよっ?」
さっきの会話に結び付けられた言葉と、それを照れくさそうな笑顔で口にするキミに。
胸が掴まれて、愛しさが溢れ出す。
「キスしていい?」
「っ、こんな人前でしちゃいますかっ」
「ん、結歌しか見えない」
感情のセーブも効かなくなって。
桜を好きになれた昼下がり。
何度も何度も、桜の女神の花唇を欲した。
そしてその夜、さっそく今月の新刊が渡された。
それはタイムリーな桜の写真集だった。
《エイプリルフールなので、メッセージ本を贈ります。
実は、道哉に隠してた事があります。
覚悟して聞いて下さい。
私、千川結歌は早坂道哉の事を……
1000年前から好きでした!
もちろん1000年前は存在してないので、魂レベルの話ですっ。
ああっ!嘘だと思いましたかっ?
本当です!
何度も何度も生まれ変わって、道哉に会いに来たのですっ。
信じるか信じないかは~?
道哉次第です!
だけど。
次に生まれ変わっても、また恋人にして下さい。
ちゃんと道哉を見つけるから……
何度も、何度でも、隣に居させてね》
うわ、どうしよう!
あまりに可愛い過ぎて、どうしょうもなく心が打ち付けられて……
最初は笑ってたけど、今や悶絶。
すぐに、洗い物をしてるキミの後ろ姿を抱きしめた。
「うわっ、どーしたのっ?」
肩を跳ねて振り向いたキミに、すかさず唇を重ねる。
「っっ……
もおっ、邪魔しなっ、」
逃げたキミの言葉を遮って、また重ねる。
そのままお互い溶けあって……
「……今日はやたらと、肉食獣だね」
キスの終わりに呟くキミ。
「そうかな?
でも前世じゃ結歌の方が激しかったよ」
「うっそだぁ~!それはウソ!」
「あれ、覚えてない?」
「んん~、どうだったかなぁ~?」
なんてふざけ合って、笑い合う。
ほんとにキミのメッセージみたいに、何度も何度でも……
こんな楽しい日々が、永遠に繰り返されればいいと思った。
それから、その写真集を開くと。
そこには傷付きやすい筈の桜達が、災害で瀕死になりながらも、懸命に生き抜く姿が映し出されてて。
どんな苛酷な状況でも、負けないって訴えてるような姿に……
心が揺さぶられて、胸が熱くなった。
「その桜達、すごいよね」
洗い物を終えた結歌に声掛けられて、ハッとする。
「あぁ、うん……
なんか見入ってしまってた。
結歌が昼間に言ってた通りだなって。
それに俺も、桜の化身になりたいなって……」
俺もトラウマに負けたくない。
自分の人生を諦めたくない。
「なれるよ、道哉なら……
じゃあまず3級からねっ?」
「え、検定式っ?」
「そーです!
でも受検指導するので心配いりませんっ」
なんてまたふざけたと思ったら。
「でもさ、この桜にいつか会いに行きたいと思わない?
遠いから旅行になっちゃうけど」
「うん……
いつか連れてくよ」
そう言うとキミは、輝かせた目を嬉しそうに細めた。
「楽しみにしとくっ!
じゃあその前に、来年はG公園に連れてって?
隣の県なんだけど、もうすっっごくヤバい絶景なのっ」
「うん、いいよ。
来年は、G公園だっけ?一緒に行こうな」
*
*
*
結局はその約束も果たせないまま、嘘になってしまったけど……
そんな風に嘘吐きはお互い様だし。
嘘を吐くのが日常的になってても、全部受け止めるから……
俺の隣に戻って来て下さい。
1人G公園を訪れて、思いを馳せる。
今思えば、キミが桜の化身だったのは……
ー負けないって訴えてるんだよー
辛い現実に負けないように、桜になろうとしてたからなんだろうな。
胸が苦しくなる。
この1年、ますます後悔と恋しさに押し潰されそうだった俺は……
楽しさ見習いのキミを真似て。
キミとの再会シーンを何度も妄想したりとか、日々に楽しさをスパイスして凌いでた。
その延長線で訪れたG公園は……
キミの言葉通り、ヤバいくらい絶景で。
約千本の桜トンネルと、眼下一面に輝く黄金の菜の花じゅうたん。
そして今日の澄みきった青空は、3色のコントラストを奏でてて。
圧倒されるような鮮やかさに、言葉を失くした。
キミと一緒に見たかったよ。
この美景に負けないくらい鮮やかな笑顔を溢れさせて、俺の隣ではしゃいでたかもしれないキミを想って……
切なさに八裂かれる。
そんな気持ちが、俺に幻を見せたのか……
私はこう思うけどなっ?
何度散ってもまた咲き誇る、再生の象徴なんだって。
桜ってさ、すっごく傷つきやすい樹なんだよ?
なのに毎年頑張って……
負けないって訴えてるんだよ。
それにまた来年を楽しみに、希望が持てるでしょっ?」
そう桜空を仰ぐキミが眩しくて……
俺のその暗い心まで照らされた気がした。
「結歌らしいね。
さすが楽しさ見習い」
「まぁこー見えても桜の化身なのでっ」
「……5月生まれなのに?」
「そおっ。
散った桜の負けないエネルギーが、1ヶ月かけて人に再生したのですっ。
ああっ!バカにしてぇっ」
「してないよっ。
あっ、花びら付いてるっ」
笑いを誤魔化すように、キミの髪を彩る淡紅色に手を伸ばすと。
「……だからね?
自分同様の桜よりも、道哉のほーが好きって事は……
それほど大事な存在って事だよっ?」
さっきの会話に結び付けられた言葉と、それを照れくさそうな笑顔で口にするキミに。
胸が掴まれて、愛しさが溢れ出す。
「キスしていい?」
「っ、こんな人前でしちゃいますかっ」
「ん、結歌しか見えない」
感情のセーブも効かなくなって。
桜を好きになれた昼下がり。
何度も何度も、桜の女神の花唇を欲した。
そしてその夜、さっそく今月の新刊が渡された。
それはタイムリーな桜の写真集だった。
《エイプリルフールなので、メッセージ本を贈ります。
実は、道哉に隠してた事があります。
覚悟して聞いて下さい。
私、千川結歌は早坂道哉の事を……
1000年前から好きでした!
もちろん1000年前は存在してないので、魂レベルの話ですっ。
ああっ!嘘だと思いましたかっ?
本当です!
何度も何度も生まれ変わって、道哉に会いに来たのですっ。
信じるか信じないかは~?
道哉次第です!
だけど。
次に生まれ変わっても、また恋人にして下さい。
ちゃんと道哉を見つけるから……
何度も、何度でも、隣に居させてね》
うわ、どうしよう!
あまりに可愛い過ぎて、どうしょうもなく心が打ち付けられて……
最初は笑ってたけど、今や悶絶。
すぐに、洗い物をしてるキミの後ろ姿を抱きしめた。
「うわっ、どーしたのっ?」
肩を跳ねて振り向いたキミに、すかさず唇を重ねる。
「っっ……
もおっ、邪魔しなっ、」
逃げたキミの言葉を遮って、また重ねる。
そのままお互い溶けあって……
「……今日はやたらと、肉食獣だね」
キスの終わりに呟くキミ。
「そうかな?
でも前世じゃ結歌の方が激しかったよ」
「うっそだぁ~!それはウソ!」
「あれ、覚えてない?」
「んん~、どうだったかなぁ~?」
なんてふざけ合って、笑い合う。
ほんとにキミのメッセージみたいに、何度も何度でも……
こんな楽しい日々が、永遠に繰り返されればいいと思った。
それから、その写真集を開くと。
そこには傷付きやすい筈の桜達が、災害で瀕死になりながらも、懸命に生き抜く姿が映し出されてて。
どんな苛酷な状況でも、負けないって訴えてるような姿に……
心が揺さぶられて、胸が熱くなった。
「その桜達、すごいよね」
洗い物を終えた結歌に声掛けられて、ハッとする。
「あぁ、うん……
なんか見入ってしまってた。
結歌が昼間に言ってた通りだなって。
それに俺も、桜の化身になりたいなって……」
俺もトラウマに負けたくない。
自分の人生を諦めたくない。
「なれるよ、道哉なら……
じゃあまず3級からねっ?」
「え、検定式っ?」
「そーです!
でも受検指導するので心配いりませんっ」
なんてまたふざけたと思ったら。
「でもさ、この桜にいつか会いに行きたいと思わない?
遠いから旅行になっちゃうけど」
「うん……
いつか連れてくよ」
そう言うとキミは、輝かせた目を嬉しそうに細めた。
「楽しみにしとくっ!
じゃあその前に、来年はG公園に連れてって?
隣の県なんだけど、もうすっっごくヤバい絶景なのっ」
「うん、いいよ。
来年は、G公園だっけ?一緒に行こうな」
*
*
*
結局はその約束も果たせないまま、嘘になってしまったけど……
そんな風に嘘吐きはお互い様だし。
嘘を吐くのが日常的になってても、全部受け止めるから……
俺の隣に戻って来て下さい。
1人G公園を訪れて、思いを馳せる。
今思えば、キミが桜の化身だったのは……
ー負けないって訴えてるんだよー
辛い現実に負けないように、桜になろうとしてたからなんだろうな。
胸が苦しくなる。
この1年、ますます後悔と恋しさに押し潰されそうだった俺は……
楽しさ見習いのキミを真似て。
キミとの再会シーンを何度も妄想したりとか、日々に楽しさをスパイスして凌いでた。
その延長線で訪れたG公園は……
キミの言葉通り、ヤバいくらい絶景で。
約千本の桜トンネルと、眼下一面に輝く黄金の菜の花じゅうたん。
そして今日の澄みきった青空は、3色のコントラストを奏でてて。
圧倒されるような鮮やかさに、言葉を失くした。
キミと一緒に見たかったよ。
この美景に負けないくらい鮮やかな笑顔を溢れさせて、俺の隣ではしゃいでたかもしれないキミを想って……
切なさに八裂かれる。
そんな気持ちが、俺に幻を見せたのか……
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