悪妃になんて、ならなきゃよかった

よつば猫

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水上庭園3

 それから程なくして、食を終えると。

「では、どうぞっ……」

 ヴィオラはドキドキと緊張しながら、サイフォスに膝枕を促した。

「ああ、ありがとう」

 同じくサイフォスも、ドキドキと胸を膨らませながら、その魅惑的な太腿に顔を……
うずめたい気持ちを押し殺して、頭を預けた。

 そしてスッと目を閉じると……
ーーああ!なんて幸せなんだっ。

 愛しくて堪らない妻に、しかもずっと拒まれていた妻に。
こうして甘えられる日が来た事を、ぐっと噛み締めていた。

 一方ヴィオラは、その愛しい重みを感じながら。
そしてキリリと凛々しく、ゾクリとするほど綺麗な寝顔を見つめながら。

ーー好きです、殿下。
大好きですっ……

 込み上げてやまないその気持ちを、決して口に出来ないその気持ちを、心の中で唱えていた。

 そのうちヴィオラは、触れたくて堪らなくなり。
なにより、どうにかもっと癒したいと思い。
そっと、サイフォスの髪を撫でてしまう。

 途端、ビクリと目を開けたサイフォスに。
ヴィオラもビクリと手を離した。

「あっ……
驚かせて、すみませんっ」

「いやっ……」
あまりの出来事に、言葉を失くすサイフォス。

 王になる者として厳しく育てられ、撫でられた覚えなどなかったため、衝撃を受けていたのも然る事ながら。
それをしたのが、まさかのヴィオラで。
ヴィオラの方から触れてきたという、信じられない状況に……
壊れそうなほど胸を掴まれて、言葉にならないほど心を持って行かれていたのだ。

 しかしヴィオラが、そんな心情を知るわけもなく……

「……不快、でしたか?」
そう見えて、やるせない思いで問いかけた。

 その矢先。
グイと後頭部を引き寄せられて、唇が重ねられる。

「っっっ!!」
思わぬ不意打ちに、心臓が止まるや否や。

 すかさず入って来た舌に、口内をめちゃくちゃに掻き乱されて……
たまらなく悶えるヴィオラ。

 しかもサイフォスは、それだけでは収まらず。
くるりと体勢を変えながら、ヴィオラの身体を押し倒した。

 ずっと会いたくて触れたくてどうにかなりそうな気持ちを押し殺して、ひたすら公務を片付けていたため。
それらも触発されて、一気に溢れ出してしまったのだ。

 突然の急展開に、ヴィオラの胸も壊れそうなほど暴れ出すと……
すぐにサイフォスの唇が、首筋の方に這っていった。

「あっ、ぁっっ……」
思わず漏れたその声に。

 ますます煽られたサイフォスは、強く吸い付くようにキスしてしまい。

「っっ!
そこはダメですっ」
慌ててヴィオラはそれを阻止した。

 ハッと我に返ったサイフォスは……
こんな場所で何をしてるんだ!と、自己嫌悪に襲われ。

「……すまなかった」
そう片手で頭を抱えた。

 一方ヴィオラも、殿下を拒んだわけではないと焦り。

「いえそのっ、そこは見える場所なので……」
そう弁明すると。

 キスマークを付けていると思われたのか!と、合点すると同時。
ーー見えない場所なら付けていいのか!?
と、再び求める気持ちを煽られる。

 しかしこんな場所で、はだけさせるわけにはいかず……

「ならば今度、ドレスの中に付けさせてくれ」

 そう言ってサイフォスは、再び唇を奪うと。
狂おしい感情を持て余すように、それを甘噛み……
2人は極上スイーツよりも甘いキスを、何度も何度も繰り返したのだった。



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