溺愛シェーカー

よつば猫

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マリブパイン1

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 それから月をまたいで……

「もう秋かぁー。
そんですぐに冬がくる」

「まだめっさ暑いのに気が早くないすか?賀来さん」

「いや30過ぎると毎日あっという間に過ぎるから!
あ~今年も何の盛り上がりもない夏だったなー。
粋ちゃんも今のうちに手ぇ打っとかないと一瞬だよ?
京ちゃんあんな頑張ってんだし、少しは進展してあげようよっ」

「ははは……」
しか言えない。

 頻繁に通ってくる京太くんは、すっかり賀来さんと仲良しだ。

「でも粋には粋の考えがあるんだし、無理にくっつける必要なくないすか?」

 うそ、翔くんがフォローしてくれた!
相変わらずなんて優しいのっ。

「あれっ、なになにぃ?
イケメン2人で粋ちゃん争奪戦か~?」

 その発言に、ディスペンサーのドリンクを注ぎに来た副店が一言。

「ダメだよ賀来っち、そんな虚しい夢みせちゃ」

「そっか」

 って、おおーい!
そんなの自分が1番よくわかってるもんっ。

 でもいいかげん、京太くんの事はっきりさせなきゃ。
かといって店じゃそんな話したくないし、電話で済ますのも失礼な気がするし。
プライベートで会うしかないか……


 でもそう覚悟を決めた時にかぎって、1週間も姿を見せない京太くん。
気持ちが萎えるじゃん!

 そしてこっちも一週間ぶり。

「もぉ悠世くん、なんで来てくれなかったの?」

「ごめん、でも立て込んでるって言わなかったっけ?」

 確かにその電話も忙しげに切られたし。

「言ったけど。
打ち合わせはムリでも、ご飯食べる暇もなかったのっ?」
いつも夕食がてら来てくれてたのに。

「まぁゆっくりとは……
つか拗ねんなよ」

「拗ねてませーん」

「や拗ねてるだろっ」

 だって寂しかったんだもん。
でも今はこのやり取りが超楽しいっ。
てゆうか、あれからタメ語続きだったあたし達は、打ち合わせなのに敬語じゃなくなってるとゆう。

「2人でなにコソコソもめてんの?」
そこにマイマイからもっともな突っ込み。

「いやちょっと、極秘企画的なっ?」

「えーなにそれ楽しみー」

 しまった!極秘企画そんなものないのについ誤魔化しちゃった……

「つかいつまで小声で話すんだよ」

 マイマイが立ち去ると同時、呟かれた一言が……

「え、なにっ?」
聞こえなくて、いつも以上に耳を近づけた。

「や……
そんなコソコソするならタメ語やめる?」

「それはヤだっ」
とっさに顔を向けると。

至近距離でバチっと目が合って、その吸い込まれそうな目が大きく開いた。

 ぐっは、なにその吸引力っ……
いや吸い込まれる吸い込まれるー!
慌てて退くも。

 ヤバい、なんかくっそ恥ずかしい……
し、胸がうるさいっ。
すると。

「もしかして気を引く作戦?」

 はいい!?またあたしが狙ってるとでもっ?
再び顔を向けると。

 悠世くんの視線の先には、翔くんの姿。
え、翔くんの気を引いてると?

「いや、そんな事で気が引けたら苦労しないよ」

 って、それじゃ翔くんが好きって認めてるようなもんじゃん!
うっわ、またまた恥ずかしい~。

「と、とにかく!
別に深い意味はないから、小声終了のタメ語続行でっ」

「……別にいーけど」

 そこで店長から、逆に気を引かれる話題が投入される。

「お~白濱くん、例の話だけどな……
なんと~?オーナーの~?
大賛成出ましたよろしくぅ!」

「良かったです!僕も全力でバックアップしますっ」

 え、なになになんの話っ?

「おっ、まだ松本にはその話届いてない感じ?
まぁそれは相棒の口からどーぞっ」

 店長はあたしの疑問を汲み取って、陽気に答えると。

「あと白濱くんも、夜カフェ絶好調だからっ。
その事は松本からよろしくどーぞっ。
にしても、こんなに結果を出してくれるとはなかなかの黄金コンビだな~」
と嬉しそうに去っていった。

 おお!そう思ってもらえるなんてっ。
この店のためと、店長の期待に応えたくて頑張ってたあたしは……
くぅ~と嬉しさを噛みしめる。


「で、夜カフェの事って?」

「あ~それねっ、実は夜カフェも大人気なんだけど、アサイーのリクエストも後を絶たなくてさっ。
店長が、夜カフェメニューにアサイーも入れてメニュー表を作り直してもらえないかって」

「それは全然、むしろそうなって嬉しんだけどっ」

「だよねっ」
今度は笑顔いっぱいで嬉しさを噛みしめると。

 向き戻るなり、優しく見つめてる悠世くんとまたまた目が合う。

 お互いパッと逸らしたものの。
どわ~!なんなのその目っ。
てゆーかなぜ見つめる!

 いや落ち着け……
別に前にも優しげに見られた事があったじゃんっ。
それにもともと悠世くんとは目を合わせて話してたし。
そう、あんな至近距離でそうなったから変に意識しちゃっただけ!

「それで、アサイーメニューはどれ入れる?
特にオーダーが多かったものにするだろ?」

「うんそうっ、まずはねっ?」
タイミングよくそれに切り替えると。

 その件はサクサクまとめて……
次は気になってた「例の話」へ。


「周年祭っ?」

 そう、うちの店は11月のいい夫婦の日にオープンした。
それを原稿チェックの時に聞いた悠世くんは、周年祭を持ち掛けて。
乗り気になった店長は、オーナーからゴーサインをもらってくれたらしい。

 おかげで姐さんに口走った極秘企画が、ある意味嘘じゃなくなるし。

「面白そう!なにするのっ?」

「それは社員ミーティングとかで決めるんじゃないのか?
ただ、抽選会みたいのをやろうって案は出てて。
だからとりあえず、来月の企画はその布石になるような事を考えてるんだけど」

「え、そーなのぉ!?」

 YOSAKOI祭りで奢ってもらった時、代金は企画で返すように言われてたから……
めっちゃ考えてたのに!

「……でもまだ、漠然としか考えてないから。
松本さんに案があれば、上手く繋げられないかなって思ってるんだけど」

「あ、そーなんだ……
一応案はあるけど~、布石になるかな?」

「なるよ。
ちゃんと繋げる」

 おお、頼もしっ。
一瞬ドキッとしたじゃんか。
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