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001脱出
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「行くぞ、ローラ。準備はいいか」
「はい、ラウレール様」
「もう様をつける必要もないぞ、遺体に服は着せ終わった。後は火をつけるだけだ」
「こっちも大丈夫です」
「よしっ、それじゃ。いくぞ!! ”大火炎”」
「うっぷっ、凄い炎なのです」
俺はラウレール・ベスティア・レオパール、七種の精霊との契約者にして、レオパール王国の三男だ。だが俺は王位に全く興味が無かった、なのに七種の精霊と契約しているからと、第一王子の王太子から王位を狙っていると疑われていた。
「王位なんかいるか!? あんな婚約者もお断りだ!!」
王位だってさ、いるかそんな重い物なんてお断りだ。前世は日本人でもある俺は自由気ままに、おもむくがままに生きて死にたいんだ。婚約者もさ、一応はいるんだけど俺より宝石に夢中なんだ。だから俺は死ぬことにした、正確には死んだふりをすることにしたのだ。街の中でも治安の悪いスラムで俺達に似た遺体を買って、冷凍保存してこっそりと隠しておいた。そして、決行の夜に護衛の者達にこう声をかけた。
「今夜は祈祷所で祈りをささげたい、こんな場所で危険も無いだろうから、侍女のローラ以外は外で護衛してくれ」
「殿下のおおせのままに」
そうやって祈祷所で祈りをささげるからといって、侍女一人以外は建物から追い出した。隠しておいた遺体を解凍して俺達の服を着せ、そして祈祷所を激しい炎で燃やしはじめた。殿下、殿下と呼ぶ声が煩かったが、しっかりと入り口には鍵をかけておいた。そして特に遺体は黒焦げになるまで念入りに焼いた、そうやって俺たちは炎が作る影から闇から闇に移動できる闇の精霊の力を使って逃げ出したのだった。逃げ出した先は首都の宿屋の一室だった、そして俺とローラはお互いに喜び合った。
「ふはははっ、ローラ。ついにやったぞ!!」
「これでもう大丈夫ですよね、ラウレール様!!」
「だからもう様付けはいらないって、ローラ。名前も変えるか、うーん。ラウルとかどうだ」
「そうですね、ラウルって良い名前だと思います」
「お前にも苦労をかけまくったなぁ、ローラ」
「本当に逃げ出せて良かったですね、ラウル」
ローラは俺の侍女で幼馴染の男爵令嬢だ、ヤバイ嫁ぎ先に行かされそうになってるというから、思わず一緒に連れてきてしまった。長い蒼い髪に水色の瞳をしたローラだが、少しでも印象を変える為に長い髪を肩くらいに切ってしまった、俺としては勿体無いような気がするが仕方がなかった。
「それでは明日は空を飛ぶとラウル様が生きていることがバレてしまいますので、面倒ですが歩いてこの首都を出ていかなければなりませんね」
「お金はあるからそれで大丈夫なはずだ」
このお金だって国民の税金ではない、俺が精霊達に手伝ってもらって狩った、兎や猪なんかを肉屋に売って稼いだものだ。その総額は金貨一枚と銀貨八枚、気をつけてお金を使わないとスラム落ちか路上で餓死してしまうのだ。ちなみに金貨が十万円、銀貨が一万円、銅貨が千円、青銅貨が百円くらいだ。だから俺たちは十八万円持って家出することになる、あまり十分とは言えない金額だ。
「私のお給金があったら、父が全部くすねてなかったら、もっとお金にも余裕があったのですが」
ローラはお給金を実家にむしりとられていたから文無しだ、本当にローラは可哀そうな子なのだ。そして、秘密だが俺の好きな人でもある。明るくて思い切りが良く前向きなところが好きだ、あと体もちっちゃくて百四十五センチくらいしかない、ちなみに俺は百七十センチちょっとくらいだ。俺にとってはちっちゃいローラが可愛くて可愛くてたまらない、ロリコン言うなって幼馴染って言っただろう同い年で十五だ。
「まぁ、明日のことは明日考えるとして寝ようぜ」
「はい、ラウル」
俺とローラは節約の為に一人部屋を借りた、だからベッドは一つで俺とローラは一緒に眠った。俺はローラで今世は童貞喪失したので一緒に眠っても構わない、前々からローラが好きだったから、女官長に床のことを習うのは誰が良いかと言われて、俺はローラが良いと迷いなく答えた。ローラにも散々本当に俺で良いか聞いた、そうしたらローラはくすっと笑って言った。
「私でいいなら良いですよ、でも処女ですので優しくお願いします」
そう言われて前世彼女持ちだった俺が張り切ったのはいうまでもない、そりゃもう優しくキスしてローラの体中を愛撫したし、彼女を何度もいかせて喜ばせた。それはその後も何度もローラが俺の床の相手をしてくれたから、少なくとも嫌われてはいないはずだ。俺は決してローラに強制はしなかった、それだけははっきりと断言できた。俺は温かいローラの体を抱きしめながら、今までのことを想い返して彼女に言った。
「ローラ、一緒に逃げてくれてありがとう」
「ふふっ、どういたしまして。ラウル」
「俺はローラが大好きだよ、一緒にきてくれて本当に嬉しい」
「ラウル……、えっと、さぁ、眠っておかないといけませんよ」
「うん、おやすみ。ローラ」
「おやすみなさい、ラウル」
そして翌日になったら当然だが、祈祷所で亡くなった第三王子のことで噂はもちきりだった。俺たちはそんな人たちを知らないふりをして見つつ、用意しておいた身分証と旅に必要な物を持って、隣国に行く商隊と合流して街を出て行った。ちなみに俺達の身分証は銅の商人、商人の初心者ということで作っておいたのだ。きちんとした身分証があるので疑われることもなく、俺達は商隊と共に隣国であるディアトロフィ国を目指して進んだ。
「ローラ、辛くなったらおぶっていくから教えて」
「うぐぐ、私って体力がないですね。無理そうだったらお願いします」
「体力だけはあるから、遠慮なく言ってくれ」
「分かりました、ラウル」
俺が商隊の護衛として雇われているんなら問題発言だったが、俺達はあくまでも商隊の手伝いが仕事だった。だから荷物を乗せた荷馬車に自分の荷物を持ってついていくだけで済んだ。ちなみにローラは午後からはギブアップしたので、俺はローラを背負って二人分の荷物を持って歩いた。商隊は護衛の冒険者が五人と俺達のような手伝いが四人、それに隊長が一人の十人だった。初めは順調に進んでいた商隊だったが、午後遅くそろそろ野営する場所を決める頃にそれは起こった。十五人くらいの男達がやってきて、商隊の護衛をしていた五人の冒険者に襲いかかったのだ。五人は勇敢に戦ったが、どうみても俺達が不利なのは明らかだった。
「えーと、”白く深い霧”」
仕方がないので俺が敵味方関係なく姿が見えなくなる霧を発生させ、ローラに絶対に荷馬車の下から出てくるなと言い含めてから俺は動いた。護身用に持っていたロングソードで、一人ずつ盗賊を斬り殺していったのだ。
「ぎゃあ!?」
「何も見えねぇぞ!!」
「逃げろ、逃げろ」
「逃げるな!! たった五人の冒険者だぞ!!」
「うぎゃあ!?」
「どうすりゃいいんだ」
「逃げようぜ!!」
俺は霧を作った水の精霊の力で全員の居場所を把握していた、そして逃げるのなら追わなかった。まだ殺意があってとどまっている者だけを、俺は無駄のない動きで確実に殺していった。やがて敵意のある盗賊はいなくなり俺は白い霧を徐々に消していった、それから真っ先にローラの無事を確認した。
「怖くなかったか、ローラ」
「ラウルを信じてますから、私は全然大丈夫です」
「そりゃ、良かった。これからはこういう事が増えるぞ」
「やっぱりまだ盗賊たちがいますか?」
「いるだろうな、今日出会っただけとは思えん」
「それは怖いですね、ラウルにくっついておきます」
それから少し離れた場所で野営をすることになって、俺達は食事の用意などの仕事をした。今度大変なのは俺の方だった、ローラと違って台所仕事などしたことないので、ローラに習いながらなんとかこなした。そして、護衛ではない俺たちは俺は男の商人たちと、ローラは女の商人たちとで別れて眠った。正直、むさくるしくて寝心地が良いとは言えなかった。だが睡眠は大事なのでなんとか眠りについた、幸いなことに盗賊の襲撃はなかった。
「さーて、ローラ。おはよう、よく眠れたか?」
「ラウルこそよく眠れましたか?」
「むさくるしかったけど、ぐっすり寝た」
「私もなんとか眠りました」
「あとは何事もなく今日が終わるといいんだけどな」
「それは望み薄ですね」
昨日出た盗賊がまた出る可能性がとても高かった、だから俺は油断をせずにローラと一緒に歩き出した。そうしてお昼になる頃に荷馬車がやっと通れる、岩場の狭い道を通ることになった、俺はその時にいち早くそれを見つけて声を上げた。
「おいっ、誰だお前たち!!」
「はい、ラウレール様」
「もう様をつける必要もないぞ、遺体に服は着せ終わった。後は火をつけるだけだ」
「こっちも大丈夫です」
「よしっ、それじゃ。いくぞ!! ”大火炎”」
「うっぷっ、凄い炎なのです」
俺はラウレール・ベスティア・レオパール、七種の精霊との契約者にして、レオパール王国の三男だ。だが俺は王位に全く興味が無かった、なのに七種の精霊と契約しているからと、第一王子の王太子から王位を狙っていると疑われていた。
「王位なんかいるか!? あんな婚約者もお断りだ!!」
王位だってさ、いるかそんな重い物なんてお断りだ。前世は日本人でもある俺は自由気ままに、おもむくがままに生きて死にたいんだ。婚約者もさ、一応はいるんだけど俺より宝石に夢中なんだ。だから俺は死ぬことにした、正確には死んだふりをすることにしたのだ。街の中でも治安の悪いスラムで俺達に似た遺体を買って、冷凍保存してこっそりと隠しておいた。そして、決行の夜に護衛の者達にこう声をかけた。
「今夜は祈祷所で祈りをささげたい、こんな場所で危険も無いだろうから、侍女のローラ以外は外で護衛してくれ」
「殿下のおおせのままに」
そうやって祈祷所で祈りをささげるからといって、侍女一人以外は建物から追い出した。隠しておいた遺体を解凍して俺達の服を着せ、そして祈祷所を激しい炎で燃やしはじめた。殿下、殿下と呼ぶ声が煩かったが、しっかりと入り口には鍵をかけておいた。そして特に遺体は黒焦げになるまで念入りに焼いた、そうやって俺たちは炎が作る影から闇から闇に移動できる闇の精霊の力を使って逃げ出したのだった。逃げ出した先は首都の宿屋の一室だった、そして俺とローラはお互いに喜び合った。
「ふはははっ、ローラ。ついにやったぞ!!」
「これでもう大丈夫ですよね、ラウレール様!!」
「だからもう様付けはいらないって、ローラ。名前も変えるか、うーん。ラウルとかどうだ」
「そうですね、ラウルって良い名前だと思います」
「お前にも苦労をかけまくったなぁ、ローラ」
「本当に逃げ出せて良かったですね、ラウル」
ローラは俺の侍女で幼馴染の男爵令嬢だ、ヤバイ嫁ぎ先に行かされそうになってるというから、思わず一緒に連れてきてしまった。長い蒼い髪に水色の瞳をしたローラだが、少しでも印象を変える為に長い髪を肩くらいに切ってしまった、俺としては勿体無いような気がするが仕方がなかった。
「それでは明日は空を飛ぶとラウル様が生きていることがバレてしまいますので、面倒ですが歩いてこの首都を出ていかなければなりませんね」
「お金はあるからそれで大丈夫なはずだ」
このお金だって国民の税金ではない、俺が精霊達に手伝ってもらって狩った、兎や猪なんかを肉屋に売って稼いだものだ。その総額は金貨一枚と銀貨八枚、気をつけてお金を使わないとスラム落ちか路上で餓死してしまうのだ。ちなみに金貨が十万円、銀貨が一万円、銅貨が千円、青銅貨が百円くらいだ。だから俺たちは十八万円持って家出することになる、あまり十分とは言えない金額だ。
「私のお給金があったら、父が全部くすねてなかったら、もっとお金にも余裕があったのですが」
ローラはお給金を実家にむしりとられていたから文無しだ、本当にローラは可哀そうな子なのだ。そして、秘密だが俺の好きな人でもある。明るくて思い切りが良く前向きなところが好きだ、あと体もちっちゃくて百四十五センチくらいしかない、ちなみに俺は百七十センチちょっとくらいだ。俺にとってはちっちゃいローラが可愛くて可愛くてたまらない、ロリコン言うなって幼馴染って言っただろう同い年で十五だ。
「まぁ、明日のことは明日考えるとして寝ようぜ」
「はい、ラウル」
俺とローラは節約の為に一人部屋を借りた、だからベッドは一つで俺とローラは一緒に眠った。俺はローラで今世は童貞喪失したので一緒に眠っても構わない、前々からローラが好きだったから、女官長に床のことを習うのは誰が良いかと言われて、俺はローラが良いと迷いなく答えた。ローラにも散々本当に俺で良いか聞いた、そうしたらローラはくすっと笑って言った。
「私でいいなら良いですよ、でも処女ですので優しくお願いします」
そう言われて前世彼女持ちだった俺が張り切ったのはいうまでもない、そりゃもう優しくキスしてローラの体中を愛撫したし、彼女を何度もいかせて喜ばせた。それはその後も何度もローラが俺の床の相手をしてくれたから、少なくとも嫌われてはいないはずだ。俺は決してローラに強制はしなかった、それだけははっきりと断言できた。俺は温かいローラの体を抱きしめながら、今までのことを想い返して彼女に言った。
「ローラ、一緒に逃げてくれてありがとう」
「ふふっ、どういたしまして。ラウル」
「俺はローラが大好きだよ、一緒にきてくれて本当に嬉しい」
「ラウル……、えっと、さぁ、眠っておかないといけませんよ」
「うん、おやすみ。ローラ」
「おやすみなさい、ラウル」
そして翌日になったら当然だが、祈祷所で亡くなった第三王子のことで噂はもちきりだった。俺たちはそんな人たちを知らないふりをして見つつ、用意しておいた身分証と旅に必要な物を持って、隣国に行く商隊と合流して街を出て行った。ちなみに俺達の身分証は銅の商人、商人の初心者ということで作っておいたのだ。きちんとした身分証があるので疑われることもなく、俺達は商隊と共に隣国であるディアトロフィ国を目指して進んだ。
「ローラ、辛くなったらおぶっていくから教えて」
「うぐぐ、私って体力がないですね。無理そうだったらお願いします」
「体力だけはあるから、遠慮なく言ってくれ」
「分かりました、ラウル」
俺が商隊の護衛として雇われているんなら問題発言だったが、俺達はあくまでも商隊の手伝いが仕事だった。だから荷物を乗せた荷馬車に自分の荷物を持ってついていくだけで済んだ。ちなみにローラは午後からはギブアップしたので、俺はローラを背負って二人分の荷物を持って歩いた。商隊は護衛の冒険者が五人と俺達のような手伝いが四人、それに隊長が一人の十人だった。初めは順調に進んでいた商隊だったが、午後遅くそろそろ野営する場所を決める頃にそれは起こった。十五人くらいの男達がやってきて、商隊の護衛をしていた五人の冒険者に襲いかかったのだ。五人は勇敢に戦ったが、どうみても俺達が不利なのは明らかだった。
「えーと、”白く深い霧”」
仕方がないので俺が敵味方関係なく姿が見えなくなる霧を発生させ、ローラに絶対に荷馬車の下から出てくるなと言い含めてから俺は動いた。護身用に持っていたロングソードで、一人ずつ盗賊を斬り殺していったのだ。
「ぎゃあ!?」
「何も見えねぇぞ!!」
「逃げろ、逃げろ」
「逃げるな!! たった五人の冒険者だぞ!!」
「うぎゃあ!?」
「どうすりゃいいんだ」
「逃げようぜ!!」
俺は霧を作った水の精霊の力で全員の居場所を把握していた、そして逃げるのなら追わなかった。まだ殺意があってとどまっている者だけを、俺は無駄のない動きで確実に殺していった。やがて敵意のある盗賊はいなくなり俺は白い霧を徐々に消していった、それから真っ先にローラの無事を確認した。
「怖くなかったか、ローラ」
「ラウルを信じてますから、私は全然大丈夫です」
「そりゃ、良かった。これからはこういう事が増えるぞ」
「やっぱりまだ盗賊たちがいますか?」
「いるだろうな、今日出会っただけとは思えん」
「それは怖いですね、ラウルにくっついておきます」
それから少し離れた場所で野営をすることになって、俺達は食事の用意などの仕事をした。今度大変なのは俺の方だった、ローラと違って台所仕事などしたことないので、ローラに習いながらなんとかこなした。そして、護衛ではない俺たちは俺は男の商人たちと、ローラは女の商人たちとで別れて眠った。正直、むさくるしくて寝心地が良いとは言えなかった。だが睡眠は大事なのでなんとか眠りについた、幸いなことに盗賊の襲撃はなかった。
「さーて、ローラ。おはよう、よく眠れたか?」
「ラウルこそよく眠れましたか?」
「むさくるしかったけど、ぐっすり寝た」
「私もなんとか眠りました」
「あとは何事もなく今日が終わるといいんだけどな」
「それは望み薄ですね」
昨日出た盗賊がまた出る可能性がとても高かった、だから俺は油断をせずにローラと一緒に歩き出した。そうしてお昼になる頃に荷馬車がやっと通れる、岩場の狭い道を通ることになった、俺はその時にいち早くそれを見つけて声を上げた。
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