ドラゴンから人間に縛りプレイで最強へ

アキナヌカ

文字の大きさ
75 / 90

3-15その傭兵団は女しかいない

しおりを挟む
「はん、口ほどにもない男どもだねぇ」

 レンが倒してしまった傭兵たちを見て、そう言い放った美しい女性たちがいた。彼女たちは皆が鍛えられた体を持ち、そしてそれぞれ武器を持っていた。それから俺たちの泊まっている宿屋に入ってきた、五十人を超えていてここの宿屋だけでは泊まれなかった。彼女たちはそれぞれ準備よく何人かに別れ、そしてこの宿屋にも十人ほど泊まることになった。そして彼女たちはレンに向かって愛想良く話しかけてきた、なかでも癖のついた赤い髪に同じ色の瞳を持つ女性がこう言った。

「あたしはアクシス、どうだい坊や。今夜あたしのベッドにこないかい?」
「はぁ!?」

「簡単な話だろ、子種をくれってことさ」
「ええ!?」

「あたしじゃ不満かい、それじゃ他の子でも大歓迎さ」
「いや、その……あっ、シエル!! アクア!!」

 レンは俺とアクアを見つけると助けを求めてきた、レンの顔は真っ赤になっていて、少しずつ今やってきた女性たちの部屋に連れ込まれようとしていた。俺は仕方がなくアクアをつれて、レンを助けようとアクシスという女性の前に出た。アクシスは俺には興味を持たなかったようで、はぁ~とため息までつかれてしまった。

「すみません、アクシス。レンには心に決めた女性がいるんです、ですから勘弁してやってください」
「そうなの、それにレンはシエルより弱いの」
「シエル、助かるぜ!! チビはちょっと俺様の扱いが悪くねぇか?」

 レンは俺たちが傍にくると素早く俺を盾にした、女性に対して少し恥ずかしがり屋なレン、彼ではアクシスの相手は無理そうだった。アクシスは最初は俺には興味を持ってなかったが、レンよりも強いと聞いて笑い出した。アクシスと一緒に来た女性たちまで笑い出した、確かに俺は大人だったが体が小さくて、レンに比べるとただの十三歳くらいの子どもに見えた。アクシスは俺がレンより強いという言葉に納得できず、こう俺に言って勝負を挑んできた。

「そうかい、それじゃあシエルとやらあたしと勝負しな」
「勝負してもいいけど、俺が欲しいのは俺たち全員の安眠だからな」
「夜はぐっすりふかふかベッドで寝たいの」

「こっちに来な、冒険者ギルドの鍛練場を借りるよ」
「ああ、分かった。いいか、俺たちが欲しいのは安眠だけだからな」
「そうなの、シエルの言う通りなの」

 そうして俺たちは冒険者ギルドの鍛練場に移動した、俺は木剣を持ってアクシスに渡そうとしたが、アクシスはそれを笑って断った。どうやら真剣勝負をするつもりのようだった、アクアをレンに預けていたら、冒険者ギルドで情報を集めていたのだろう、リッシュも慌てて鍛練場へやってきた。そうして俺とアクシスとの勝負が始まった、俺はいつものショートソードを使ってアクシスが動くのを待った。

「それじゃあ、行くよ!!」
「いつでも、どうぞ」

 アクシスが使っていたのは斧だった、鍛えられている筋肉が滑らかに動き、俺に向かって正面から斧を振り下した。俺も正面から力でもってアクシスと戦うことにした、多分だがこういう強さに重きをおく女性は、それが一番お互いに理解し合えると思ったからだ。アクシスの斧を俺のショートソードは受け止めた、確かに重い一撃だったが俺からすれば、まだレンの攻撃のほうが油断できなかった。

「それじゃ、こっちから!!」
「面白いじゃないか、来な坊や!!」

 俺はショートソードでアクシスの左わき腹を狙った、俺の力をかなり上乗せした重い一撃だった。アクシスはそれをどうにか斧で受け止めた、俺はそれが防がれると次は右肩を狙ってみた。それもアクシスはなんとか防いでみせた、そうしてわざを隙を見せて俺は誘った。その隙にアクシスが斧をまた振り下した、俺はその攻撃を避けてその場にわざとショートソードを捨て、アクシスに向かって素早く近づいてその鍛えられた腹を力一杯に殴った。

「がはっ!?」
「どうする? まだやる? ……無理そうだな、アクア来てくれ!!」

 俺の殴った一撃はアクシスの肋骨まで折ってしまっていた、もしかしたら内臓も傷ついているかもしれなかった。だから俺はアクアに素早く来てもらった、アクアはいつものように回復の中級魔法を使った。『大治癒グレイトヒール』の魔法でアクシスの傷は綺麗に癒えた、そうして俺とアクシスとの決闘は終わった。アクシスは負けたのに上機嫌だった、負けたことさえ誇らしげにしていた。

「あっはははっ、シエル。なんて強い男だい!!」
「どうも、ありがと」

「今夜あたしのベッドに来てもいいよ」
「申し訳ないが、俺はアクアと一緒に眠るんだ」

「チッ、つまらないねぇ、あんたなら良い子種をくれそうなのに」
「それに俺たちが欲しかったのは、俺たち全員の安眠だ」

 それから俺たちは宿屋に帰って何となく、アクシスたちと一緒に酒を飲もうということになった。彼女たちは豪快に酒を飲みよく食べた、でも礼儀は守っているようで他の傭兵のように店を困らせたりはしなかった。アクシスたちは俺とアクアに興味を持っていた、言うまでもなく俺はアクシスに勝ったからだが、アクアは女性で回復の中級魔法を使えたからだった。

「綺麗な顔をしてるのに、やるじゃないか。シエル」
「俺も旅をしているからな、そこそこは強くないとな」
「シエルが仲間では一番強いの」

「それに回復魔法の使い手は貴重だ、うちの傭兵団に入らないかい? アクア?」
「アクアは俺たちと旅をするから駄目だ」
「そうなの、アクアはシエルと一緒にいるの」

「そうかい、そういやベッドも一緒だったね。あっはははっ、野暮なことを言っちまったよ」
「何だか誤解されてる気がする」
「いいの、シエルと一緒に寝てるのは確かなの」

 レンやリッシュも俺たちの仲間だったので、ベッドに誘われることはなくなった。リッシュは凄く気をつけて酒を飲んでいた、この前酔っぱらったばかりだったのでその飲み方は慎重だった。一方でレンは貞操の心配がなくなったので酒を美味そうに飲んでいた、そして彼女たち傭兵団と結構仲良くなっていた。

「あの女の人、左の乳房がないの? 怪我したの?」
「ああ、あれは違うんだよ。弓矢を使うのに邪魔だったから切除したのさ」

 アクアはふと左の乳房がないアクシスの仲間に気づいて、そうして質問したが答えは俺も驚くようなものだった。弓矢を使うリッシュもこの返事には驚いていた、リッシュは男だから邪魔な乳房は無いが、リッシュが女性だったら同じことをしてそうだと俺は思った。そうして夜中になり酒場も閉められて、それぞれの部屋に帰ることになった。

「なぁ、アクア。俺もよく考えたんだが」
「シエル、なぁに? 何を考えたの?」

「アクアも背が伸びたし、そろそろ俺と一緒に寝るのは止めないか?」
「どうしてそんな酷いこと言うの、アクアはシエルと離れて眠るのは嫌!!」

 俺はアクアにちょっと気になって聞いてみた、もうアクアも俺と同じくらい大きくなったから、男女で一緒に寝ていてもいいのかと聞いてみたのだ。軽い気持ちで聞いてみた質問だったが、アクアからはそれに対して激しい反発があった。以前に大きい盗賊団退治だったから、アクアを宿屋に置いていった時のように俺の言うことを嫌がった。いやあの時とはまた違ってアクアは目に涙を浮かべて、そう頬を赤くしてまるで俺に告白するみたいにこう言った。

「アクアがシエルといられる時間は短いの、だからアクアは大好きなシエルとずうっと一緒にいたいの!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

処理中です...