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18チビドラゴン
しおりを挟む俺たちにできることはないのかと考え悩む日々だったが、俺たちはそれ以外に大事なことを忘れていた。ささらの母親が偶々帰ってきて珍しく二、三日泊まっていくと言いだした、俺はそれを聞いて突然だが俺とささらは婚姻届けをだしてなかったことを思い出した。
「ささら、俺たち婚姻届けをだしてないぞ」
「えへへへっ、和樹。慌てないで用紙はしっかり持ってるから」
「さすが、ささら。どこだ、俺も記入する」
「えっとぉ、これこれ。はーい、和樹も書いて」
そういいながら差し出された婚姻届けにはささらの分とささらの父親の分は既に記入してあった、俺はあれだけ十八歳になったら結婚すると言ったのに忘れていた自分に落ち込んだ。
「さささ、ごめんな。遅くなって、記入したぞ」
「紙一枚で私たちの関係が変わるって不思議ね、ママに保証人のところ書いてもらってくるー!!」
こうして役場で手続きして、ささらは酒井ささらになった。俺が今井性になってもいいといったが、せっかくの和樹の家系を残したいということでこうなった。
「ささら、これからもよろしく。俺のお嫁さん」
「和樹、こちらこそよろしくね。私の旦那さん!!」
そう言われてささらから熱烈なキスをされた、俺もそれに応えながら久しぶりに何も考えずに幸せだなと思って笑った。ささらも幸せそうに笑っていた、これからもこうして過ごしたいものだ。
「新規ダンジョンクリア数は安定している、異世界化したダンジョンは今月も無しだ」
「泉玄太郎さん、それはまぁ喜ばしいことですよね」
「イケおじ、日本以外はどうなってるの?」
「日本以外については諸国それぞれ頑張っている、この新しい敵に対して戦争を停戦した地域もあるくらいだ」
「大きな敵がいると、敵とも手と組む。大きな敵がいなくてもそれができればな」
「結局のところ、現状維持かー。これを続けたら神様は飽きてゲームを止めてくれるかな」
「それもなんともいえん、ドラゴンから聞いたという神の話は政府にも報告いしているが特に新しい命令は無い」
「それじゃ、俺たちちょっとまたドラゴンから話を聞いてきます」
「またドラゴンのダンジョンができたらしいから」
「気をつけて、喋れるほど知性がある相手だ。できれば新しい情報が手に入れば嬉しい」
「そう期待しています」
「優しいドラゴンじゃないといいなぁ」
そうして俺とささらはドラゴンとまた戦った、今度のドラゴンはスピードは無い代わりに魔法が得意で、俺とささらは沢山魔法を使わされてささらは魔力枯渇になったが何とか勝てた。
「我の世界ではもう人類は絶滅している」
「他のモンスターにやられたのだ」
「神らしき存在はそれを後悔しているらしい」
「くっ、くっ、くっ、狙われているぞ」
「強者よ、どんな場所でも故郷として生きていけ」
これが新しく手に入れた情報だった、すぐに泉玄太郎さんに報告しておいた。そうしてドラゴンの相手をしてふらふらになって帰ると受験勉強もあるのだった、夕食を食べてお風呂に入ってささらと愛し合ってから気絶するように眠りについた。
「ねー、和樹。狙われているってやっぱり覚醒者かな?」
「この前のドラゴンの話を信じるなら、その可能性が高いな」
「和樹、どこに行ってもいいから私の傍にいてね」
「ささらこそ迷子になるなよ、俺にはささらがいない人生なんて考えられない」
「和樹ったらすごい口説き文句!! 夜にもう一度言って」
「いくらでも、俺のお姫様」
そんなことを喋りながら俺たちは政府の対戦コーナーで対人戦練習をしていた、ドラゴンの多くは人化の術を身につけているから、対人戦になっても勝てるように常に訓練が必要だった。多くの他の覚醒者はそんな俺たちのことを見物していた。
「あのっ、現代最強の覚醒者。和樹さんですよね、サインください!!」
「…………」
「いやっ、俺は別に現代最強じゃないから、ごめんね」
「あたしも現代最強と握手させてください!! 和樹さん!!」
「…………」
「だから俺は現代最強じゃないから、ホントにごめんね」
自衛隊のどこから漏れているのか、俺が現代最強の覚醒者だという噂が流れていた。理由は世界中どこにでも『転移』できるのが俺だけだからということだった。俺が思うに世界全体、地球を丸ごと『探査』できないからそれができないのだった、普通に『探査』しようとすると情報量が多過ぎて失敗するのだ。でも俺は必要な情報量をしぼって、『探査』をして転移先を見極められるのだ。
「ささらもまだ地球規模の『転移』は無理か?」
「無理無理無理、和樹の言ったとおりにしようとすると頭が爆発しそうになるよ」
「まぁ、短距離の『転移』も武器になるから小まめに練習しろよ」
「んにゃ? 短距離の『転移』がどう武器になるの?」
「今度のドラゴン戦で使ってみる、驚くなよ」
「ドラゴンか、あんまり戦いたくないなー」
そして次のドラゴン戦がやってきたのだが、俺とささらは携帯で泉玄太郎さんに必死に停戦を呼びかけることになった。
「きゅい」
「ちょっと泉玄太郎さん、このドラゴン赤ちゃんですよ!? さすがに殺せません!!」
「イケおじったらなんとかして、この子私たちに懐いちゃって、しかもダンジョンの外に出て来たよ!!」
そのドラゴンは一メートルくらいの背の高さで、俺たちが戦闘態勢をとっても何がなんだかわからないという感じだった。しかたがないので置いて帰ろうとしたら、俺とささらに懐いてしまってなんとダンジョンの外に出たのだ。普通のモンスターはダンジョンからでれないものだが、このチビドラゴンは違った。
「きゅ、きゅい、きゅきゅ」
「ほらっ、イケおじどうにかして!!」
「俺はとても殺せません!!」
「分かった、分かったから。すまないがこの子をしばらく預かって貰えないだろうか、一応はドラゴンなわけだし、覚醒者以外だと世話が出来ないと思う」
俺とささらは突然可愛いドラゴンとの同居を頼まれた、そんなの二人の答えは既に決まっていた。
「きゅい、きゅい、きゅきゅい」
「くそぉぉぉぉ!! 可愛いじゃん、しかたないささらちゃんが預かってやる!!」
「ささらが預かるんなら俺も面倒をみるぞ!! 仕方なくだからな、名前はフリーデンにしてやる」
「フリーデン?」
「きゃあ、喋れるのね!! 和樹、フリーデンってどういう意味!?」
「フリーデンとは平和という意味だ、普段はフリーと呼ぼう!!」
そうして預かったフリーデンことフリーは賢かった、現代の普通のトイレを使い方を教えたら一人で使えるくらい賢かった。
「フリー、強くなる」
「そうね、フリーのことは私たちが鍛えてあげる」
「他のドラゴンみたいに強くなれよ!!」
そうして俺とささらはフリーと一緒に生活をはじめた、フリーは教えられたことは全て一度で覚えた。テレビのリモコンの操作を覚えて、アニメを見るのがフリーは趣味になった。食べ物は肉類であれば問題なく、人化したら五歳くらいの可愛い金髪に蒼い瞳の男の子になった。その姿なら普通の料理も食べれた、野菜なんかでも問題なかった。俺はフリーをお風呂に入れるのが仕事になった。そして俺とささらはフリーがアニメを見ている隙など、こっそりと愛し合うようになった。
「フリーにえっちなところは見せられないもんね」
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