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1-11過去に思いを馳せる
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「ソアン、僕たちは家出をした仲間だ。だから、今はそれを一緒に大切にして楽しもう」
僕の言葉にソアンは一瞬だけ目を見開いて、それからポッと頬を真っ赤にして、そしてとっても可愛らしい笑顔で頷いてこう言ってくれた。
「はい、リタ様!! これからもよろしくお願いします!!」
「うん、よろしくね。ソアン、僕の大切な養い子」
「ううぅ、リタ様。その笑顔は破壊的で、……もう反則ですよ」
「そうかい、僕の笑顔はそんなにひどいのかな??」
「逆です――!! すっごく胸がぽかぽかします、私はとっても幸せです!!」
「ふふふっ、ソアンが幸せならよく分からないけど良いことだよ」
宿屋の一室で僕とソアンは同時に笑い出した、今がとても幸せで堪らなかったからだ。ああ、そうだ。こんなことが僕が幸せに感じることだった、両親とソアンが揃って過ごしたのは10年にも満たなかったけど、その間は家族として皆で過ごせてとても幸せだった。今もそうだ、とても僕のことを大事にしてくれる、そして僕がとても大事だと思える、そんなソアンと一緒に過ごせて僕は幸せだ。
僕が幸せというものを思い出したその日はソアンと一緒にのんびりと過ごした、体の鍛錬だけは欠かさなかったがそれ以外はソアンと街を見て回ったり、小さな公園で木々の優しさを感じながら過ごした。
「森じゃなくても木々の傍は安心するね、ソアン」
「そうですね、ハーフエルフの私でもそう思います。リタ様」
僕はその日とても幸せだったのだが、次の日はまた朝から夕方まで動けなくなったりした。そのことで僕はまた落ち込んだりするのだが、多分こんな良くなったり悪くなったりを繰り返して、僕の病気は少しずつ治っていくんじゃないかと思った。
「またか、でもこれでいいのかもしれない。……少なくとも今は、そう今だけは僕にはこんな休みが必要なのかも」
一度くらいの出来事で僕は完全に治ったりはしない、きっとこれは体の病気ではなくて心の病気なのだ。僕の心はどこかが悪くなってしまったのだろう、ソアンの言う通りにこれは今の技術では薬なんかない、できるだけ焦らずにゆっくりと気長に治すしかなさそうだ。また部屋からでれなくなって朝から夕方までベッドに寝たまま僕は色々と考えていた、そして夕方になって外から帰ってきたソアンにも話を聞いてみた。
「ソアン、僕は心の病気なんだろうか?」
「………………はい、リタ様。私はそう思いました、私は医師でも薬師でもないですけど、なんとなくそう思ったんです」
「そうなんだね、だから僕を家出に誘った。確かにあの村では僕は治らないと思う、まず心の病気と言っても上手く説明できないし、そもそも話を長に聞いて貰えるかどうかが怪しい」
「リタ様は今まで完璧を求め過ぎたと私は思います、若長候補になってからのリタ様はご自分に厳し過ぎました」
「そうかな、僕は自分にできることをやっていただけだけれど」
「でもリタ様は明らかに働き過ぎでした、若長候補だからって皆に仕事を頼まれ過ぎだんです!! それでまたリタ様がそれをできるものだからって、どんどん仕事が増えていっての悪循環です!!」
ソアンの話を聞くと確かに僕は働き過ぎたのかもしれないと少し思った、でも僕は自分ができることをしているだけだと思っていた。ただ僕は皆に期待されるほど良いエルフではなかったのだ、血筋が良いのと魔力を多く持って生まれただけで、それで全て自分だけでできると思い込んでしまった。うわぁ、恥ずかしい。なんて僕は自信過剰だったのだろう、全部を自分一人だけでできるなんて病気になるわけだ。
「ソアン、僕は自分のことが今とっても恥ずかしいよ」
「えへへっ、リタ様はドジっ子ですから、ソアンは恥ずかしいとは思いません」
「そうかい、僕はとても自信過剰で傲慢だっただろう」
「それは違います!! ちょっとリタ様は頑張り屋さんだっただけです!!」
「ソアンが優し過ぎて、僕は駄目な男になりそうだ」
「私もそうならないように気をつけます!! 共依存になってしまってはいけませんからね!!」
ソアンがいてくれて助かった、でも僕はソアンに甘えすぎてはいけないと思った。ソアンもそれは分かっているようだ、キョウイゾンというのは分からないが、確かに特定の誰かに依存し過ぎるのは良くないと感じた。だが病気で弱っている僕が今すぐにソアンと離れることはできないし、ソアンは大事な家族だから無理に離れたくないとも思っている、だからソアンに甘えすぎないように気をつけながら一日ずつを今は生きるんだ。
「僕がお休みしている日、ソアンは何をしているんだい?」
「そうですね、主には鍛錬です。でも食べ歩きなんかもしています、今度美味しいお店に連れていきますね」
「それはとっても楽しみだ」
「リタ様が交易の街だというだけあって、この街には色々な物がありました。残念ながらお米はありませんでしたが、食文化も私みたいな元にほんじ……って、私みたいな食事に貪欲な人間がいたようです」
「またダンジョンにも行ってみようか」
「はい、あのフォシルのダンジョンは簡単な構造と弱い敵だけでしたから、いっそ私とリタ様だけでも行けそうです!!」
ソアンのダンジョンに関する言葉を聞いて思った、そういえばあのフォシルのダンジョンはどうして、どうしてフォシルという名前なのだろう。フォシルというのは化石という意味だが、それくらい古い遺跡のようなものだからだろうか、少しだけそれが気になって僕は体が動く日に調べてみようと思った。
「気になることを放っておけないのは僕の悪い癖だな」
僕の言葉にソアンは一瞬だけ目を見開いて、それからポッと頬を真っ赤にして、そしてとっても可愛らしい笑顔で頷いてこう言ってくれた。
「はい、リタ様!! これからもよろしくお願いします!!」
「うん、よろしくね。ソアン、僕の大切な養い子」
「ううぅ、リタ様。その笑顔は破壊的で、……もう反則ですよ」
「そうかい、僕の笑顔はそんなにひどいのかな??」
「逆です――!! すっごく胸がぽかぽかします、私はとっても幸せです!!」
「ふふふっ、ソアンが幸せならよく分からないけど良いことだよ」
宿屋の一室で僕とソアンは同時に笑い出した、今がとても幸せで堪らなかったからだ。ああ、そうだ。こんなことが僕が幸せに感じることだった、両親とソアンが揃って過ごしたのは10年にも満たなかったけど、その間は家族として皆で過ごせてとても幸せだった。今もそうだ、とても僕のことを大事にしてくれる、そして僕がとても大事だと思える、そんなソアンと一緒に過ごせて僕は幸せだ。
僕が幸せというものを思い出したその日はソアンと一緒にのんびりと過ごした、体の鍛錬だけは欠かさなかったがそれ以外はソアンと街を見て回ったり、小さな公園で木々の優しさを感じながら過ごした。
「森じゃなくても木々の傍は安心するね、ソアン」
「そうですね、ハーフエルフの私でもそう思います。リタ様」
僕はその日とても幸せだったのだが、次の日はまた朝から夕方まで動けなくなったりした。そのことで僕はまた落ち込んだりするのだが、多分こんな良くなったり悪くなったりを繰り返して、僕の病気は少しずつ治っていくんじゃないかと思った。
「またか、でもこれでいいのかもしれない。……少なくとも今は、そう今だけは僕にはこんな休みが必要なのかも」
一度くらいの出来事で僕は完全に治ったりはしない、きっとこれは体の病気ではなくて心の病気なのだ。僕の心はどこかが悪くなってしまったのだろう、ソアンの言う通りにこれは今の技術では薬なんかない、できるだけ焦らずにゆっくりと気長に治すしかなさそうだ。また部屋からでれなくなって朝から夕方までベッドに寝たまま僕は色々と考えていた、そして夕方になって外から帰ってきたソアンにも話を聞いてみた。
「ソアン、僕は心の病気なんだろうか?」
「………………はい、リタ様。私はそう思いました、私は医師でも薬師でもないですけど、なんとなくそう思ったんです」
「そうなんだね、だから僕を家出に誘った。確かにあの村では僕は治らないと思う、まず心の病気と言っても上手く説明できないし、そもそも話を長に聞いて貰えるかどうかが怪しい」
「リタ様は今まで完璧を求め過ぎたと私は思います、若長候補になってからのリタ様はご自分に厳し過ぎました」
「そうかな、僕は自分にできることをやっていただけだけれど」
「でもリタ様は明らかに働き過ぎでした、若長候補だからって皆に仕事を頼まれ過ぎだんです!! それでまたリタ様がそれをできるものだからって、どんどん仕事が増えていっての悪循環です!!」
ソアンの話を聞くと確かに僕は働き過ぎたのかもしれないと少し思った、でも僕は自分ができることをしているだけだと思っていた。ただ僕は皆に期待されるほど良いエルフではなかったのだ、血筋が良いのと魔力を多く持って生まれただけで、それで全て自分だけでできると思い込んでしまった。うわぁ、恥ずかしい。なんて僕は自信過剰だったのだろう、全部を自分一人だけでできるなんて病気になるわけだ。
「ソアン、僕は自分のことが今とっても恥ずかしいよ」
「えへへっ、リタ様はドジっ子ですから、ソアンは恥ずかしいとは思いません」
「そうかい、僕はとても自信過剰で傲慢だっただろう」
「それは違います!! ちょっとリタ様は頑張り屋さんだっただけです!!」
「ソアンが優し過ぎて、僕は駄目な男になりそうだ」
「私もそうならないように気をつけます!! 共依存になってしまってはいけませんからね!!」
ソアンがいてくれて助かった、でも僕はソアンに甘えすぎてはいけないと思った。ソアンもそれは分かっているようだ、キョウイゾンというのは分からないが、確かに特定の誰かに依存し過ぎるのは良くないと感じた。だが病気で弱っている僕が今すぐにソアンと離れることはできないし、ソアンは大事な家族だから無理に離れたくないとも思っている、だからソアンに甘えすぎないように気をつけながら一日ずつを今は生きるんだ。
「僕がお休みしている日、ソアンは何をしているんだい?」
「そうですね、主には鍛錬です。でも食べ歩きなんかもしています、今度美味しいお店に連れていきますね」
「それはとっても楽しみだ」
「リタ様が交易の街だというだけあって、この街には色々な物がありました。残念ながらお米はありませんでしたが、食文化も私みたいな元にほんじ……って、私みたいな食事に貪欲な人間がいたようです」
「またダンジョンにも行ってみようか」
「はい、あのフォシルのダンジョンは簡単な構造と弱い敵だけでしたから、いっそ私とリタ様だけでも行けそうです!!」
ソアンのダンジョンに関する言葉を聞いて思った、そういえばあのフォシルのダンジョンはどうして、どうしてフォシルという名前なのだろう。フォシルというのは化石という意味だが、それくらい古い遺跡のようなものだからだろうか、少しだけそれが気になって僕は体が動く日に調べてみようと思った。
「気になることを放っておけないのは僕の悪い癖だな」
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