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2-11副作用が強すぎる
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「リタ様、どうですか? お体は大丈夫ですか?」
「………………」
「あの、リタ様? どうですか?」
「………………」
「リタ様、やっぱり悪い薬だったんです!! 今すぐに吐き出しましょう!!」
「………………いや、ソアン。大丈夫だ、大丈夫なんだが」
僕は薬が効いてくるにつれておかしな感情がわいてくるのが分かった、いや普段の感情が強く出てきてしまうという方が正しかった。例えば普段からソアンは可愛いが、今のソアンはいつもの1000倍くらい可愛かった。僕の心配をいつもしてくれるソアンのことが愛おしくて、それから今も優しく真剣に心配してくれることが嬉しくてたまらなかった。
「ソアン、いつも僕のためにありがとう!!ああ、言葉では言い表せないくらいに感謝しているよ。本当に僕の病気につきあわせてすまないとも思っている、でもソアンが家族として傍にいてくれるのは嬉しいんだ。この薬の効果だが感情の発露が止まらなくなるようだ、でも同時にだが魔力の使い方を思い出したよ、どうせだから試してみようか『恵みの滝』」
「り、リタ様!! そんな上級魔法を簡単に!? あっ、雨が降り始めちゃった」
僕が使った魔法は水の少ない地域で使われる上級魔法だ、さすがは万能薬(強?)だけあって上級魔法が使えるようになった、僕の魔力操作の向上には問題ない薬だが別の副作用が強すぎた。僕は効果範囲はできるだけ広く、水量は少なくなるように上級魔法を使ったから、多分だが住人達からは通り雨くらいに思われたはずだ。それはいいのだがやはり薬の副作用で、僕の心がざわついてちっとも落ち着かない、そしてこの薬はエリクサーほどの力は無いと思われた。
「ソアン、この薬は良く効くがきっと効き目は長く続かないはずだ。今も集中力が僅かだがなくなってきているのを感じる、それに反して心への副作用が強すぎるんだよ。ソアン、君はいつもだって可愛いが今は世界で一番に可愛い女の子に見えるよ。こんなに可愛くて強くて優しい良い子は他では見たことがない。もしかしたら誘拐されてしまうんじゃないかと心配だ、そう凄く心配になってきたから困ったな」
「やっぱりこのお薬は危険です、いや大丈夫です。リタ様、私を誘拐するような物好きはいません」
「でもソアンの可愛さは世界一だとして、そうだとしたらやっぱり誘拐されてしまうかもしれない。僕は凄く心配になってきた、君が可愛すぎるからいけない。本当に可愛くて優しい良い子に育ってくれたものだ、僕はそのことが本当にとても嬉しくて堪らないよ。僕の両親もきっと君のことを喜んでくれている、そんな優しい子に比べて僕はなんて駄目なエルフだ」
「リタ様!! リタ様は駄目なエルフなんかじゃありません!!」
「そうかな、そうだといいが。僕が今月一体何回寝込んでしまったことか、ああ。それが僕の病気からくるものだとは分かっているのだが悔しい、もっと自由に昔のように魔法が使えれば僕は君の役に立てるだろうに。それができないのが悲しくて同時に情けないよ。今の僕はソアンに頼ってばかりいる、今だってそうだ。君がいるからこそ、僕は安心して薬を飲めたんだよ」
「リタ様、とりあえずは落ち着きましょう。はい、ベッドに座ってから次に横になってみましょう」
ソアンにそう言われて僕は靴を脱いでベッドに横になってみた、何度か体が落ち着かなくて立ち上がりかけたが、その度にソアンにまぁまぁとベッドに戻された。それから徐々に心が落ち着いていくのが分かった、僕の飲んだ薬の効果が無くなってきたのだった。激しい集中力がなくなって魔法の使い方がわからなくなり、そしてソアンのこともいつもどおりの可愛い養い子だと思えるようになった。
「ごめんね、ソアン。薬がきれてきたようだ、どうにか落ち着いてきた」
「ふぅ、それは良かったです」
「万能薬というだけの効果があるが、副作用の精神の興奮で台無しな薬だね」
「だから冒険者ギルド、あいつらが買い取らなかったんでしょう」
「そうだね、エリクサーに近いと言いながら、冒険者ギルドは買おうとはしなかった」
「多分、最初から強い副作用があると推測したんでしょう」
僕はほとんど元の状態に戻ってきていた、ベッドにそのまま寝ていたが眠くはなかった。それでソアンに元に戻ったと言ってベッドから起き上がった、薬の効果も副作用も半刻くらいの時間しかなかった。これなら効果は下がり中級魔法しか使えないが、クレーネ草の薬の方が効き目は長いようだった、あの薬は約半日ほどは効いてくれるからだ。
「そんなに簡単にエリクサーは見つからないか」
「ええ、リタ様。根気がいる捜索になりそうです」
「でも、探してみるだけの価値はある」
「そうです、リタ様」
「ソアン、いつもこんな僕の傍にいてくれて、ありがとう」
「えへへっ、どういたしましてです」
僕たちはその日の残りはのんびりと過ごした、まだ薬の効果が残っていたらまずいから、ダンジョンにも行かずに街中を歩いた。ソアンが知り合いだと言っていた、少年や少女たちともあった。障害を体のどこかに抱えていたが、どの子も一生懸命に生きているようだった。僕も心の病気を患っているが、無理をしない程度に何かをしたかった。今までの僕はエリクサーを見つける、それが目的になっていた。
でもソアンのように街の人々と触れ合ったりする、そんなことも面白いし大切なことだと思えた。だからソアンに街中を案内してもらった、明日からはまたエリクサー探しをする、でも偶にはソアンと二人でのんびりと過ごすのだ。そうやって夜まで街中で過ごして、夜は宿屋の部屋に戻っていつもどおりに二人で眠りについた、僕はソアンを腕の中に抱いてゆっくりと眠った。翌日はスッキリと目が覚めた、僕の体の調子もいつも以上に良かった。
「それじゃ、ソアン。またエテルノのダンジョンに行こうか」
「はい、リタ様。その前に大きめの鞄を買っていいですか」
「ああ、この間みたいな幸運に出会った時のためだね」
「できるだけ沢山の薬を持ち帰りたいです」
「それじゃ、ダンジョンに行く前に道具屋に行こう」
「ええ、リタ様。良い鞄を探しましょう」
それからソアンと二人で道具屋で大きめの鞄をそれぞれが買った、僕のは背中に背負えて両手が自由に使える形のものだ。ソアンは大剣を背負うから肩から下げる鞄、それのかなり大きめの物を買っていた。僕の物よりソアンの鞄の方が大きかった、ソアンはドワーフの父親ゆずりの力持ちだから自然とそうなった。そうしてまたエテルノのダンジョンに向かった、その入り口で聞き覚えのある声がまた喚き散らしていた。
「どうしてエリクサーが見つからないんだ、見つけた者には俺様が金貨1000枚を与えるぞ!!」
「………………」
「あの、リタ様? どうですか?」
「………………」
「リタ様、やっぱり悪い薬だったんです!! 今すぐに吐き出しましょう!!」
「………………いや、ソアン。大丈夫だ、大丈夫なんだが」
僕は薬が効いてくるにつれておかしな感情がわいてくるのが分かった、いや普段の感情が強く出てきてしまうという方が正しかった。例えば普段からソアンは可愛いが、今のソアンはいつもの1000倍くらい可愛かった。僕の心配をいつもしてくれるソアンのことが愛おしくて、それから今も優しく真剣に心配してくれることが嬉しくてたまらなかった。
「ソアン、いつも僕のためにありがとう!!ああ、言葉では言い表せないくらいに感謝しているよ。本当に僕の病気につきあわせてすまないとも思っている、でもソアンが家族として傍にいてくれるのは嬉しいんだ。この薬の効果だが感情の発露が止まらなくなるようだ、でも同時にだが魔力の使い方を思い出したよ、どうせだから試してみようか『恵みの滝』」
「り、リタ様!! そんな上級魔法を簡単に!? あっ、雨が降り始めちゃった」
僕が使った魔法は水の少ない地域で使われる上級魔法だ、さすがは万能薬(強?)だけあって上級魔法が使えるようになった、僕の魔力操作の向上には問題ない薬だが別の副作用が強すぎた。僕は効果範囲はできるだけ広く、水量は少なくなるように上級魔法を使ったから、多分だが住人達からは通り雨くらいに思われたはずだ。それはいいのだがやはり薬の副作用で、僕の心がざわついてちっとも落ち着かない、そしてこの薬はエリクサーほどの力は無いと思われた。
「ソアン、この薬は良く効くがきっと効き目は長く続かないはずだ。今も集中力が僅かだがなくなってきているのを感じる、それに反して心への副作用が強すぎるんだよ。ソアン、君はいつもだって可愛いが今は世界で一番に可愛い女の子に見えるよ。こんなに可愛くて強くて優しい良い子は他では見たことがない。もしかしたら誘拐されてしまうんじゃないかと心配だ、そう凄く心配になってきたから困ったな」
「やっぱりこのお薬は危険です、いや大丈夫です。リタ様、私を誘拐するような物好きはいません」
「でもソアンの可愛さは世界一だとして、そうだとしたらやっぱり誘拐されてしまうかもしれない。僕は凄く心配になってきた、君が可愛すぎるからいけない。本当に可愛くて優しい良い子に育ってくれたものだ、僕はそのことが本当にとても嬉しくて堪らないよ。僕の両親もきっと君のことを喜んでくれている、そんな優しい子に比べて僕はなんて駄目なエルフだ」
「リタ様!! リタ様は駄目なエルフなんかじゃありません!!」
「そうかな、そうだといいが。僕が今月一体何回寝込んでしまったことか、ああ。それが僕の病気からくるものだとは分かっているのだが悔しい、もっと自由に昔のように魔法が使えれば僕は君の役に立てるだろうに。それができないのが悲しくて同時に情けないよ。今の僕はソアンに頼ってばかりいる、今だってそうだ。君がいるからこそ、僕は安心して薬を飲めたんだよ」
「リタ様、とりあえずは落ち着きましょう。はい、ベッドに座ってから次に横になってみましょう」
ソアンにそう言われて僕は靴を脱いでベッドに横になってみた、何度か体が落ち着かなくて立ち上がりかけたが、その度にソアンにまぁまぁとベッドに戻された。それから徐々に心が落ち着いていくのが分かった、僕の飲んだ薬の効果が無くなってきたのだった。激しい集中力がなくなって魔法の使い方がわからなくなり、そしてソアンのこともいつもどおりの可愛い養い子だと思えるようになった。
「ごめんね、ソアン。薬がきれてきたようだ、どうにか落ち着いてきた」
「ふぅ、それは良かったです」
「万能薬というだけの効果があるが、副作用の精神の興奮で台無しな薬だね」
「だから冒険者ギルド、あいつらが買い取らなかったんでしょう」
「そうだね、エリクサーに近いと言いながら、冒険者ギルドは買おうとはしなかった」
「多分、最初から強い副作用があると推測したんでしょう」
僕はほとんど元の状態に戻ってきていた、ベッドにそのまま寝ていたが眠くはなかった。それでソアンに元に戻ったと言ってベッドから起き上がった、薬の効果も副作用も半刻くらいの時間しかなかった。これなら効果は下がり中級魔法しか使えないが、クレーネ草の薬の方が効き目は長いようだった、あの薬は約半日ほどは効いてくれるからだ。
「そんなに簡単にエリクサーは見つからないか」
「ええ、リタ様。根気がいる捜索になりそうです」
「でも、探してみるだけの価値はある」
「そうです、リタ様」
「ソアン、いつもこんな僕の傍にいてくれて、ありがとう」
「えへへっ、どういたしましてです」
僕たちはその日の残りはのんびりと過ごした、まだ薬の効果が残っていたらまずいから、ダンジョンにも行かずに街中を歩いた。ソアンが知り合いだと言っていた、少年や少女たちともあった。障害を体のどこかに抱えていたが、どの子も一生懸命に生きているようだった。僕も心の病気を患っているが、無理をしない程度に何かをしたかった。今までの僕はエリクサーを見つける、それが目的になっていた。
でもソアンのように街の人々と触れ合ったりする、そんなことも面白いし大切なことだと思えた。だからソアンに街中を案内してもらった、明日からはまたエリクサー探しをする、でも偶にはソアンと二人でのんびりと過ごすのだ。そうやって夜まで街中で過ごして、夜は宿屋の部屋に戻っていつもどおりに二人で眠りについた、僕はソアンを腕の中に抱いてゆっくりと眠った。翌日はスッキリと目が覚めた、僕の体の調子もいつも以上に良かった。
「それじゃ、ソアン。またエテルノのダンジョンに行こうか」
「はい、リタ様。その前に大きめの鞄を買っていいですか」
「ああ、この間みたいな幸運に出会った時のためだね」
「できるだけ沢山の薬を持ち帰りたいです」
「それじゃ、ダンジョンに行く前に道具屋に行こう」
「ええ、リタ様。良い鞄を探しましょう」
それからソアンと二人で道具屋で大きめの鞄をそれぞれが買った、僕のは背中に背負えて両手が自由に使える形のものだ。ソアンは大剣を背負うから肩から下げる鞄、それのかなり大きめの物を買っていた。僕の物よりソアンの鞄の方が大きかった、ソアンはドワーフの父親ゆずりの力持ちだから自然とそうなった。そうしてまたエテルノのダンジョンに向かった、その入り口で聞き覚えのある声がまた喚き散らしていた。
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