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4-14滅んでしまった家がある
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「そっか、俺は我慢する。エリーが凄く好きだけど、我慢して返事を待つよ」
「ジェンドは良い子だね、良い返事が聞けることを祈るよ」
ジーニャスにソアンとエリーさんはフェイクドラゴン、それが他の場所にもいるかもしれないと伝えた。すぐにジーニャスは調べるように警備隊に伝えた、そうしたら森の奥などで目撃証言がいくつもあがった。特に冒険者ギルドでは最近になって、新人の冒険者が森に入ったまま行方不明になる、そういう事件がいくつも起きていた。
僕たちも実際に行ってみたら確かにフェイクドラゴンがいた、そのまま数頭を退治したがおかしなことに僕たちは気がついた。退治されたフェイクドラゴンを調べると雌ばかりがいたのだ、雄のフェイクドラゴンは一匹も見つからなかった。エリーさんの繁殖し過ぎて要らないから捨てている、その説が強くなってきた。
捨てた先でもフェイクドラゴンが繁殖したら大騒ぎが起こる、だから犯人はフェイクドラゴンの雌を選んで捨てているのだ。召喚術でそんなことができるとは知らなかった、とにかく別の場所にいるフェイクドラゴンを、何の手段を使ってかゼーエンの街付近に捨てているのは確かだった。雌ばかりなので繁殖する恐れはないが、新人冒険者の脅威になるのは間違いなかった。
「フェイクドラゴンも良い道具の材料にはなるのだが、数が多すぎるし街道を狙われてるのが悪い」
「そうですね、どうでしょう冒険者ギルドに協力を求めては駄目ですか」
「フェイクドラゴンの皮も魔石もそれなりの金になる、そう言って冒険者を集めるのか?」
「そうです、冒険者でもそれなりの腕がある者に街に来てもらうんです」
「人間は金になると分かれば集まるからな、よしっ冒険者ギルドに俺がかけあってみる」
「僕は曲を作りましょう、ゼーエンの街に来て戦いたくなるような歌を作ってみます」
ジーニャスと話し合って僕たちは、それぞれの得意な分野で人を集めることにした。ジーニャスは冒険者ギルドにフェイクドラゴンの素材にかける税を安くするから、それを退治する冒険者を集めてくれるように交渉していた。僕はフェイクドラゴンの中に、一頭だけ実は本物のドラゴンがいる。そのドラゴンを知恵と力を使って制して、ドラゴンの友となってそう伝説の真の英雄へとなるのだ。
そういう曲を僕は作った、実際に本物のドラゴンはいるから嘘はついていなかった。昼間はできるだけフェイクドラゴン退治をして、夜はあちこちの酒場に行って場所を借りて吟遊詩人として歌った。もちろん客の望む他の曲や周辺の国の情報なども歌う、でも必ずフェイクドラゴン退治をすすめる曲を歌って広めていった。仲間たちもついてきて、僕の歌うのを聞いたりしていた。
「リタって歌が上手いんだな、俺は驚いた」
「そうですわね、素晴らしい歌い手ですわ」
「ふふん、リタ様の歌は世界一です!!」
僕は銅貨や時に銀貨を報酬として貰いながら、しばらくの間あちこちの酒場で歌い続けた。やがて僕の作った曲を気に入って他の吟遊詩人たちも歌いだした、ミーティアも僕から教わって歌っていたくらいだ。地道な宣伝活動が効いて冒険者がゼーエンの街に集まってきた、それも銀の冒険者である熟練の者が多かった。それだけフェイクドラゴンは早く退治されるようになり、次第に街道の安全が確保できるようになった。
「良かった、地道な活動だけど効いてきたみたいだ」
「はい、リタ様。リタ様の素晴らしい歌声のおかげです」
「物価が少し下がって良かった、そう孤児院の人がそう言ってた」
「ジェンドは随分と、本当に子どもが好きになったのですね」
エリーさんはジェンドの趣味である孤児院への寄付に驚いていた、家出する前のジェンドは子どもには全く無関心だったからだ。でもこの街にきてジェンドは自分には養い親がいて幸せなのだと知り、養い親がいない運の悪い子どもたちを助けたい、そう思って率先して動いているのだった。そんなジェンドはちょっと頭をかきながら、養い親のエリーさんにこんなことも言った。
「もし俺に子どもが生まれたら、そうしたら俺も子育てがしたい」
「……ジェンド」
「駄目かエリー、雄の俺は子育てしたらいけないのか?」
「いいえ、貴方の成長が嬉しくて驚いたのですよ」
「そうか、それならいい。エリー、俺はずっと待ってるから」
「そんなに待たせないようにします、私もよく考えているのです」
街が再び活気づいてきて面白くない人間が一人だけいた、それが銀の冒険者でもあるマーニャだ。彼女はジーニャスに会える機会が減ったと言い、それにフェイクドラゴンを退治する者が増えて、その依頼をとるのが難しいとも言っていた。そう言いながら昼間から酒を飲むのは止めなかった、彼女が酒を飲んでいないのは戦う時くらいだった。
「マーニャさん、そんなにお酒を飲んじゃ体に悪いですよ」
「いいの!! あたしは飲みたいだけ飲むことにしてるのよ!!」
「お酒はエリーさんが言うように毒でもあります、中毒になったらなかなか治りません」
「ソアンちゃんったら優しい、でも飲むと楽しいのよ。嫌なことを忘れられるの」
「お酒の力じゃなくて、お友達に相談した方がいいです」
「ミーティアは新婚で忙しいし、他の友達もフェイクドラゴン退治で相手にしてくれないの!!」
マーニャはそう寂しそうに言ったあと、また酒を飲みこんでいた。飲むときは1本までと決めているようだが、その1本が随分と強い酒だった。だからいつも深く酔っぱらって、同じ酒場の人たちと笑って話したりしていた。仕事が早く終わって、もしくは仕事が無くて、昼間から飲む冒険者も珍しくはなかった。
「ねぇ、エルフさん。どうしたらジーニャスはあたしを見るかしら」
「む、難しいことを聞きますね。うーん、仕事を真面目にして冒険者ギルドから、フェイクドラゴン退治に推薦されるくらいになれば……」
「そんなにあたしは気が長くないの!! 今すぐに思い出して欲しいのよ!!」
「それならその思い出に関する何かを話してみるとか、証拠の品を見せてみたらどうでしょう」
「それも駄目なのよ、ぜ~んぶ失くしちゃった。あたしに残っているのは、自分の体とこの腕輪だけ」
「ああ、その腕輪。古代文字が書かれていますね、もしかして遺跡の品ですか」
僕がマーニャからジーニャスについての相談を受けていたら、マーニャはバッと右手の腕輪を僕から隠した。そうして僕のことをなぜかじろじろと見ていたが、やがてほっと息を吐いてまた酒を飲み始めてしまった。彼女は恐らくは恋をしている女性だがマーニャの恋は実らない、なぜならジーニャスは新しい結婚相手を探しているのだからだ。
平民のマーニャとでは身分が違い過ぎた、だからジーニャスへの恋は叶いそうもなかった。でもそうハッキリ言うのも気が引けて僕は何も言えないでいた、マーニャも僕からの助言は諦めたのか酒を飲み続けていた。そうして僕が席を立ったら、マーニャは僕の服の袖を引っ張ってきた。そして、真っ赤な赤色の真剣な瞳でこう言った。
「アングルス家がどうして滅びたか分かったら、あのフェイクドラゴンたちがいなくなるかもよ」
そう謎の言葉を残してマーニャは酒を飲み終えて帰っていった、アングルス家とは僕は聞いたことがない貴族だ。一応はジーニャスに伝えた方がいいのか迷った、迷ったがフェイクドラゴンがいつまでも出る状況は良くなかった。冒険者ギルドなどの働きかけで今は冒険者が集まっている、でもフェイクドラゴンも沢山狩られたら価値が下がってしまうのだ。だから、ジーニャスに一応伝えることにした。
「アングルス家、なぜあの女がその家の名前を知っている?」
「ええと、ご存じの貴族ですか?」
「ああ、確か俺の最初の許嫁の貴族だ」
「それは不思議ですね、今はもう滅んでいるのですか?」
「肉になる家畜を育てる民を多く持つ貴族だったが、ある日から突然に家畜たちが減っていった。やがて税金も納められなくなり、借金を重ねて国に領地を取り上げられ平民になった」
「なるほど、でもそんな貴族とフェイクドラゴンがなんの関係があるのでしょう?」
ジーニャスは僕の言葉に考え込んでいた、その間ソアンとエリーさんは何か話をしていて、ジェンドはシャールと一緒に遊んでいた。しばらくしてジーニャスが一つだけ不思議なことがあった、そう考えをまとめて声に出して言いだした。それはアングルス家の家業に関わる話だった、毎年のように沢山の牛や豚を出荷していたが、アングルス家の治める土地は広くはなかったそうだ。
「アングルス家には秘密の土地がある、そういう噂が絶えない家だった」
「ジェンドは良い子だね、良い返事が聞けることを祈るよ」
ジーニャスにソアンとエリーさんはフェイクドラゴン、それが他の場所にもいるかもしれないと伝えた。すぐにジーニャスは調べるように警備隊に伝えた、そうしたら森の奥などで目撃証言がいくつもあがった。特に冒険者ギルドでは最近になって、新人の冒険者が森に入ったまま行方不明になる、そういう事件がいくつも起きていた。
僕たちも実際に行ってみたら確かにフェイクドラゴンがいた、そのまま数頭を退治したがおかしなことに僕たちは気がついた。退治されたフェイクドラゴンを調べると雌ばかりがいたのだ、雄のフェイクドラゴンは一匹も見つからなかった。エリーさんの繁殖し過ぎて要らないから捨てている、その説が強くなってきた。
捨てた先でもフェイクドラゴンが繁殖したら大騒ぎが起こる、だから犯人はフェイクドラゴンの雌を選んで捨てているのだ。召喚術でそんなことができるとは知らなかった、とにかく別の場所にいるフェイクドラゴンを、何の手段を使ってかゼーエンの街付近に捨てているのは確かだった。雌ばかりなので繁殖する恐れはないが、新人冒険者の脅威になるのは間違いなかった。
「フェイクドラゴンも良い道具の材料にはなるのだが、数が多すぎるし街道を狙われてるのが悪い」
「そうですね、どうでしょう冒険者ギルドに協力を求めては駄目ですか」
「フェイクドラゴンの皮も魔石もそれなりの金になる、そう言って冒険者を集めるのか?」
「そうです、冒険者でもそれなりの腕がある者に街に来てもらうんです」
「人間は金になると分かれば集まるからな、よしっ冒険者ギルドに俺がかけあってみる」
「僕は曲を作りましょう、ゼーエンの街に来て戦いたくなるような歌を作ってみます」
ジーニャスと話し合って僕たちは、それぞれの得意な分野で人を集めることにした。ジーニャスは冒険者ギルドにフェイクドラゴンの素材にかける税を安くするから、それを退治する冒険者を集めてくれるように交渉していた。僕はフェイクドラゴンの中に、一頭だけ実は本物のドラゴンがいる。そのドラゴンを知恵と力を使って制して、ドラゴンの友となってそう伝説の真の英雄へとなるのだ。
そういう曲を僕は作った、実際に本物のドラゴンはいるから嘘はついていなかった。昼間はできるだけフェイクドラゴン退治をして、夜はあちこちの酒場に行って場所を借りて吟遊詩人として歌った。もちろん客の望む他の曲や周辺の国の情報なども歌う、でも必ずフェイクドラゴン退治をすすめる曲を歌って広めていった。仲間たちもついてきて、僕の歌うのを聞いたりしていた。
「リタって歌が上手いんだな、俺は驚いた」
「そうですわね、素晴らしい歌い手ですわ」
「ふふん、リタ様の歌は世界一です!!」
僕は銅貨や時に銀貨を報酬として貰いながら、しばらくの間あちこちの酒場で歌い続けた。やがて僕の作った曲を気に入って他の吟遊詩人たちも歌いだした、ミーティアも僕から教わって歌っていたくらいだ。地道な宣伝活動が効いて冒険者がゼーエンの街に集まってきた、それも銀の冒険者である熟練の者が多かった。それだけフェイクドラゴンは早く退治されるようになり、次第に街道の安全が確保できるようになった。
「良かった、地道な活動だけど効いてきたみたいだ」
「はい、リタ様。リタ様の素晴らしい歌声のおかげです」
「物価が少し下がって良かった、そう孤児院の人がそう言ってた」
「ジェンドは随分と、本当に子どもが好きになったのですね」
エリーさんはジェンドの趣味である孤児院への寄付に驚いていた、家出する前のジェンドは子どもには全く無関心だったからだ。でもこの街にきてジェンドは自分には養い親がいて幸せなのだと知り、養い親がいない運の悪い子どもたちを助けたい、そう思って率先して動いているのだった。そんなジェンドはちょっと頭をかきながら、養い親のエリーさんにこんなことも言った。
「もし俺に子どもが生まれたら、そうしたら俺も子育てがしたい」
「……ジェンド」
「駄目かエリー、雄の俺は子育てしたらいけないのか?」
「いいえ、貴方の成長が嬉しくて驚いたのですよ」
「そうか、それならいい。エリー、俺はずっと待ってるから」
「そんなに待たせないようにします、私もよく考えているのです」
街が再び活気づいてきて面白くない人間が一人だけいた、それが銀の冒険者でもあるマーニャだ。彼女はジーニャスに会える機会が減ったと言い、それにフェイクドラゴンを退治する者が増えて、その依頼をとるのが難しいとも言っていた。そう言いながら昼間から酒を飲むのは止めなかった、彼女が酒を飲んでいないのは戦う時くらいだった。
「マーニャさん、そんなにお酒を飲んじゃ体に悪いですよ」
「いいの!! あたしは飲みたいだけ飲むことにしてるのよ!!」
「お酒はエリーさんが言うように毒でもあります、中毒になったらなかなか治りません」
「ソアンちゃんったら優しい、でも飲むと楽しいのよ。嫌なことを忘れられるの」
「お酒の力じゃなくて、お友達に相談した方がいいです」
「ミーティアは新婚で忙しいし、他の友達もフェイクドラゴン退治で相手にしてくれないの!!」
マーニャはそう寂しそうに言ったあと、また酒を飲みこんでいた。飲むときは1本までと決めているようだが、その1本が随分と強い酒だった。だからいつも深く酔っぱらって、同じ酒場の人たちと笑って話したりしていた。仕事が早く終わって、もしくは仕事が無くて、昼間から飲む冒険者も珍しくはなかった。
「ねぇ、エルフさん。どうしたらジーニャスはあたしを見るかしら」
「む、難しいことを聞きますね。うーん、仕事を真面目にして冒険者ギルドから、フェイクドラゴン退治に推薦されるくらいになれば……」
「そんなにあたしは気が長くないの!! 今すぐに思い出して欲しいのよ!!」
「それならその思い出に関する何かを話してみるとか、証拠の品を見せてみたらどうでしょう」
「それも駄目なのよ、ぜ~んぶ失くしちゃった。あたしに残っているのは、自分の体とこの腕輪だけ」
「ああ、その腕輪。古代文字が書かれていますね、もしかして遺跡の品ですか」
僕がマーニャからジーニャスについての相談を受けていたら、マーニャはバッと右手の腕輪を僕から隠した。そうして僕のことをなぜかじろじろと見ていたが、やがてほっと息を吐いてまた酒を飲み始めてしまった。彼女は恐らくは恋をしている女性だがマーニャの恋は実らない、なぜならジーニャスは新しい結婚相手を探しているのだからだ。
平民のマーニャとでは身分が違い過ぎた、だからジーニャスへの恋は叶いそうもなかった。でもそうハッキリ言うのも気が引けて僕は何も言えないでいた、マーニャも僕からの助言は諦めたのか酒を飲み続けていた。そうして僕が席を立ったら、マーニャは僕の服の袖を引っ張ってきた。そして、真っ赤な赤色の真剣な瞳でこう言った。
「アングルス家がどうして滅びたか分かったら、あのフェイクドラゴンたちがいなくなるかもよ」
そう謎の言葉を残してマーニャは酒を飲み終えて帰っていった、アングルス家とは僕は聞いたことがない貴族だ。一応はジーニャスに伝えた方がいいのか迷った、迷ったがフェイクドラゴンがいつまでも出る状況は良くなかった。冒険者ギルドなどの働きかけで今は冒険者が集まっている、でもフェイクドラゴンも沢山狩られたら価値が下がってしまうのだ。だから、ジーニャスに一応伝えることにした。
「アングルス家、なぜあの女がその家の名前を知っている?」
「ええと、ご存じの貴族ですか?」
「ああ、確か俺の最初の許嫁の貴族だ」
「それは不思議ですね、今はもう滅んでいるのですか?」
「肉になる家畜を育てる民を多く持つ貴族だったが、ある日から突然に家畜たちが減っていった。やがて税金も納められなくなり、借金を重ねて国に領地を取り上げられ平民になった」
「なるほど、でもそんな貴族とフェイクドラゴンがなんの関係があるのでしょう?」
ジーニャスは僕の言葉に考え込んでいた、その間ソアンとエリーさんは何か話をしていて、ジェンドはシャールと一緒に遊んでいた。しばらくしてジーニャスが一つだけ不思議なことがあった、そう考えをまとめて声に出して言いだした。それはアングルス家の家業に関わる話だった、毎年のように沢山の牛や豚を出荷していたが、アングルス家の治める土地は広くはなかったそうだ。
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