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06弟子入り志願
「お願いです、私はシャラ。貴方の弟子にしてください!!」
俺とフォルがいつものように市場で客を探していた時のことだった、シャラとかいう女が俺に弟子入り志願をしてきた。だが俺はまだ若い、弟子をとる気は全く無かったからこう言った。
「あいにくと弟子は募集していない、他の仕事を探せ」
「いいえ、私はタトゥーアーティストになりたいんです!!」
「だから弟子は募集していないと言っている、他の仕事を探せ」
「嫌です、私は諦めません!!」
俺は面倒になって市場で稼ぐのは中止して、フォルと一緒に逃げ出した。シャラという女はしばらく追いかけてきたが俺たちに追いつけなかった。
「やれやれ、俺はまだ若いから弟子をとる気は当分ないんだがな」
「一生懸命でしたね、あのシャラって女の人」
「だとしても断る、俺のことは諦めてもらうしかない」
「そうですね、クライブは私の夫になるんですもの」
「おい、そっちも承諾した覚えはないぞ」
「いいえ、私はきっとクライブを夫にしてみせます」
俺とフォルはそんなことを言いながら宿屋に帰った、幸いこの街にはもう一週間ほどいて金銭的には困っていない。フォルも金銭的には困っていない、金が無くなってそのうち城に帰ると言い出すかと思っていたがフォルは金を稼ぐ手段を持っていた。旅の途中に通る農村などで雨が降らずに困っていたら、フォルは『慈雨』を使って雨を降らせて金を稼いでいた。お陰でこの二人旅はしばらく続きそうだ。そうして翌日も俺たちは市場で客を待っていた。
「お願いです、貴方の弟子にしてください!!」
「シャラとやら、弟子入りは断ったぞ。商売の邪魔だ、黙っているか。それかどこかへ行ってくれ」
俺がそう言うとシャラという女は黙って俺の仕事を見ていた。俺は客に『炎』と『水』のタトゥーを彫っていった。偶に冒険者がいて『火槍』のタトゥーを入れてくれと言われることもあった。俺はいつもどおりに綺麗に丁寧にタトゥーを彫っていった。そうして夕方になってフォルと一緒に宿屋に帰ることにした。だがシャラという女がまたこう言った。
「お願いです、貴方の弟子にしてください!!」
「だからそれは断ると言った、耳は聞こえているのか?」
「私は何度だってお願いします、タトゥーアーティストになりたいんです!!」
「俺以外にもタトゥーアーティストはいる、そいつらに頼めばいいじゃないか」
「いいえ、貴方ほど見事なタトゥーを彫るタトゥーアーティストは他に知りません!!」
「だとしても俺の返事は断るだ、他を探してくれ」
そう言って俺とフォルはまた宿屋まで走って逃げた。シャラという女は追いかけてこなかった。これはこの街をそろそろ出ていったほうが良いかもしれない、そういうことかもしれなかった。だから俺はフォルに聞いた。
「フォル、そろそろ次の街へ行かないか?」
「いいですね、そうしましょう」
フォルの返事は承諾だった。だから俺たちはその街を次の日出ていった。そうして途中で野宿もしながら次の街を目指した。狼や熊など野生動物やモンスターが怖いが、街道を進めば大抵は遭遇しないものだ。フォルはまた途中の農村で『慈雨』を使って金を稼いでいた。そうして旅をしているなか、野宿でもう寝ようとしている時にフォルに聞かれた。
「クライブはどうしてタトゥーアーティストになったんです?」
「…………育ての親がタトゥーアーティストだった、俺は幼いころからその技を見ていて自然とタトゥーアーティストになったんだ」
「クライブさんの育て親さんにも会ってみたいです」
「うーん、きまぐれに旅をする育て親だったからな。今いる場所は俺も知らない」
「そうですか、いつか会えると良いですね」
「ああ、そうだな。また会えると良いな」
そんなことを言い合って俺たちは野宿をして眠った、異変が起きたのはその何日か後だった。運悪く飢えた狼の群れに出くわしたのだ。
「フォル!! 俺の後ろに隠れていろ!! 『疾風』!! 『迅雷』!!」
俺とフォルがいつものように市場で客を探していた時のことだった、シャラとかいう女が俺に弟子入り志願をしてきた。だが俺はまだ若い、弟子をとる気は全く無かったからこう言った。
「あいにくと弟子は募集していない、他の仕事を探せ」
「いいえ、私はタトゥーアーティストになりたいんです!!」
「だから弟子は募集していないと言っている、他の仕事を探せ」
「嫌です、私は諦めません!!」
俺は面倒になって市場で稼ぐのは中止して、フォルと一緒に逃げ出した。シャラという女はしばらく追いかけてきたが俺たちに追いつけなかった。
「やれやれ、俺はまだ若いから弟子をとる気は当分ないんだがな」
「一生懸命でしたね、あのシャラって女の人」
「だとしても断る、俺のことは諦めてもらうしかない」
「そうですね、クライブは私の夫になるんですもの」
「おい、そっちも承諾した覚えはないぞ」
「いいえ、私はきっとクライブを夫にしてみせます」
俺とフォルはそんなことを言いながら宿屋に帰った、幸いこの街にはもう一週間ほどいて金銭的には困っていない。フォルも金銭的には困っていない、金が無くなってそのうち城に帰ると言い出すかと思っていたがフォルは金を稼ぐ手段を持っていた。旅の途中に通る農村などで雨が降らずに困っていたら、フォルは『慈雨』を使って雨を降らせて金を稼いでいた。お陰でこの二人旅はしばらく続きそうだ。そうして翌日も俺たちは市場で客を待っていた。
「お願いです、貴方の弟子にしてください!!」
「シャラとやら、弟子入りは断ったぞ。商売の邪魔だ、黙っているか。それかどこかへ行ってくれ」
俺がそう言うとシャラという女は黙って俺の仕事を見ていた。俺は客に『炎』と『水』のタトゥーを彫っていった。偶に冒険者がいて『火槍』のタトゥーを入れてくれと言われることもあった。俺はいつもどおりに綺麗に丁寧にタトゥーを彫っていった。そうして夕方になってフォルと一緒に宿屋に帰ることにした。だがシャラという女がまたこう言った。
「お願いです、貴方の弟子にしてください!!」
「だからそれは断ると言った、耳は聞こえているのか?」
「私は何度だってお願いします、タトゥーアーティストになりたいんです!!」
「俺以外にもタトゥーアーティストはいる、そいつらに頼めばいいじゃないか」
「いいえ、貴方ほど見事なタトゥーを彫るタトゥーアーティストは他に知りません!!」
「だとしても俺の返事は断るだ、他を探してくれ」
そう言って俺とフォルはまた宿屋まで走って逃げた。シャラという女は追いかけてこなかった。これはこの街をそろそろ出ていったほうが良いかもしれない、そういうことかもしれなかった。だから俺はフォルに聞いた。
「フォル、そろそろ次の街へ行かないか?」
「いいですね、そうしましょう」
フォルの返事は承諾だった。だから俺たちはその街を次の日出ていった。そうして途中で野宿もしながら次の街を目指した。狼や熊など野生動物やモンスターが怖いが、街道を進めば大抵は遭遇しないものだ。フォルはまた途中の農村で『慈雨』を使って金を稼いでいた。そうして旅をしているなか、野宿でもう寝ようとしている時にフォルに聞かれた。
「クライブはどうしてタトゥーアーティストになったんです?」
「…………育ての親がタトゥーアーティストだった、俺は幼いころからその技を見ていて自然とタトゥーアーティストになったんだ」
「クライブさんの育て親さんにも会ってみたいです」
「うーん、きまぐれに旅をする育て親だったからな。今いる場所は俺も知らない」
「そうですか、いつか会えると良いですね」
「ああ、そうだな。また会えると良いな」
そんなことを言い合って俺たちは野宿をして眠った、異変が起きたのはその何日か後だった。運悪く飢えた狼の群れに出くわしたのだ。
「フォル!! 俺の後ろに隠れていろ!! 『疾風』!! 『迅雷』!!」
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