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16タトゥーアーティストとしての腕
俺はいつもより多い儲けで新しい染料を仕入れた。市場にはいろんな染料が売っていてなかには珍しい物もあった。フォルは不思議そうに様々な色の染料を見ていた。そんなところにだカフェスとかいう色男がまたやってきた。
「商売の邪魔をしてくれちゃった君に良いこと教えてあげる」
「お前の言うことなんか信用できるか」
「街の人に聞いて貰ってもいいよ、皆知ってることだから。ここの領主が『慈雨』と『干天』のタトゥーを彫ってくれるタトゥーアーティストを探してるよ」
「それを俺に教えてどうする、俺に『慈雨』と『干天』を彫ってこいってか?」
「ううん、どちらが優れたタトゥーアーティストか選ばれようって話。つまりはライバル宣言」
「…………街の人に話を聞いてみないと、お前の話は信用できないな」
商売敵にわざわざ儲け話を教えるだろうか、街の人に聞いてみたらカフェスの話は本当だった。何人かのタトゥーアーティストが領主に売り込みにいったが帰されたことも聞いた。領主にタトゥーを彫るとなると確かに儲け話だ。染料は使い放題の上、タトゥーアーティストとして箔が付く。俺は迷ってフォルにも相談してみることにした。
「というわけで領主が『慈雨』と『干天』が彫れるタトゥーアーティスト探してる」
「『慈雨』はともかく『干天』はなんで欲しいんでしょうか?」
「長雨が続いて作物が駄目になりそうなときに『干天』は役に立つ」
「でもどうして私に相談するんです? 私はタトゥーのことは何も分かりませんよ」
「それはフォルにも『干天』を彫っておこうと思うからだ」
「私にですか!?」
「ああ、農村が雨が降り過ぎて困っている時。『干天』は役に立つ魔法だ」
「そう聞くと欲しいと思います、彫ってもいいですよ」
領主が『慈雨』と『干天』を欲しがっているなら実物を見せるのが一番だ。それに国を治める第二王女であるフォルに『干天』は確かに役に立つ。そうと決まれば俺は宿屋で『干天』をフォルに彫り始めた。水の精霊がチカチカと輝き舞い踊った。『慈雨』にあわせて『干天』も背中に彫った。これなら背中が見える服を着ていけばいい、フォルの裸は見せたくないからな。そうして準備して領主の館に行くと、案の定カフェスが館の前で待ち構えていた。
「おや、『慈雨』と『干天』は彫らなかったのかい。君のタトゥーは変わってない」
「ちゃんと彫ったさ、この子にな」
「そうです、私に彫って貰いました!!」
「そうかい僕は自分に彫ったよ、領主がどっちのタトゥーアーティストを選ぶか楽しみだね」
「選ばれなくて泣くなよ」
「泣いてもなぐさめませんからね、あっかんべーです」
そうして俺たちは領主の館に入っていった、すぐに領主と面会することになった。カフェスは臣下の礼をとったが、俺とフォルは身分的に微妙なので突っ立っていた。領主は俺とフォルを睨んだが追い返したりはしなかった。
「それでは『慈雨』と『干天』が彫れるだけの実力があると見せて貰おう」
「はい、領主様。僕は自分に『慈雨』と『干天』を彫りました」
「むぅ、確かに『慈雨』と『干天』が彫れているようだな。良い腕だ、それでは次の者」
「俺は彼女の背中に『慈雨』と『干天』を彫りました」
そうしてフォルが上着を脱いで背中を見せるとその場の空気が変わった。『慈雨』と『干天』はフォルの背中に彫ってあってまるで両翼のように見えた。水の精霊がチカチカと輝いているのも見えた。
「素晴らしい!! こんなに見事な『慈雨』と『干天』は初めて見た!! クライブと言ったか、お前に私は依頼することにしよう」
俺はタトゥーアーティストとしてカフェスに勝ったと思った。するとカフェスがとんでもないことをやりだした。
「あーあ、なんで僕のタトゥーアーティストとしての腕が分からないかなぁ。こんな領主燃やしちゃえばいいや『猛火』!!」
「なんてことをするんだ、カフェス!! 火を押さえろ『源泉』!!」
カフェスが領主の館に『猛火』を使おうとしたので、咄嗟に俺は自分のタトゥーである『源泉』で燃え上がる炎を消した。そうしている間にカフェスはこう言い残して逃げた。
「それじゃ、バイバーイ。ライバルくん」
「商売の邪魔をしてくれちゃった君に良いこと教えてあげる」
「お前の言うことなんか信用できるか」
「街の人に聞いて貰ってもいいよ、皆知ってることだから。ここの領主が『慈雨』と『干天』のタトゥーを彫ってくれるタトゥーアーティストを探してるよ」
「それを俺に教えてどうする、俺に『慈雨』と『干天』を彫ってこいってか?」
「ううん、どちらが優れたタトゥーアーティストか選ばれようって話。つまりはライバル宣言」
「…………街の人に話を聞いてみないと、お前の話は信用できないな」
商売敵にわざわざ儲け話を教えるだろうか、街の人に聞いてみたらカフェスの話は本当だった。何人かのタトゥーアーティストが領主に売り込みにいったが帰されたことも聞いた。領主にタトゥーを彫るとなると確かに儲け話だ。染料は使い放題の上、タトゥーアーティストとして箔が付く。俺は迷ってフォルにも相談してみることにした。
「というわけで領主が『慈雨』と『干天』が彫れるタトゥーアーティスト探してる」
「『慈雨』はともかく『干天』はなんで欲しいんでしょうか?」
「長雨が続いて作物が駄目になりそうなときに『干天』は役に立つ」
「でもどうして私に相談するんです? 私はタトゥーのことは何も分かりませんよ」
「それはフォルにも『干天』を彫っておこうと思うからだ」
「私にですか!?」
「ああ、農村が雨が降り過ぎて困っている時。『干天』は役に立つ魔法だ」
「そう聞くと欲しいと思います、彫ってもいいですよ」
領主が『慈雨』と『干天』を欲しがっているなら実物を見せるのが一番だ。それに国を治める第二王女であるフォルに『干天』は確かに役に立つ。そうと決まれば俺は宿屋で『干天』をフォルに彫り始めた。水の精霊がチカチカと輝き舞い踊った。『慈雨』にあわせて『干天』も背中に彫った。これなら背中が見える服を着ていけばいい、フォルの裸は見せたくないからな。そうして準備して領主の館に行くと、案の定カフェスが館の前で待ち構えていた。
「おや、『慈雨』と『干天』は彫らなかったのかい。君のタトゥーは変わってない」
「ちゃんと彫ったさ、この子にな」
「そうです、私に彫って貰いました!!」
「そうかい僕は自分に彫ったよ、領主がどっちのタトゥーアーティストを選ぶか楽しみだね」
「選ばれなくて泣くなよ」
「泣いてもなぐさめませんからね、あっかんべーです」
そうして俺たちは領主の館に入っていった、すぐに領主と面会することになった。カフェスは臣下の礼をとったが、俺とフォルは身分的に微妙なので突っ立っていた。領主は俺とフォルを睨んだが追い返したりはしなかった。
「それでは『慈雨』と『干天』が彫れるだけの実力があると見せて貰おう」
「はい、領主様。僕は自分に『慈雨』と『干天』を彫りました」
「むぅ、確かに『慈雨』と『干天』が彫れているようだな。良い腕だ、それでは次の者」
「俺は彼女の背中に『慈雨』と『干天』を彫りました」
そうしてフォルが上着を脱いで背中を見せるとその場の空気が変わった。『慈雨』と『干天』はフォルの背中に彫ってあってまるで両翼のように見えた。水の精霊がチカチカと輝いているのも見えた。
「素晴らしい!! こんなに見事な『慈雨』と『干天』は初めて見た!! クライブと言ったか、お前に私は依頼することにしよう」
俺はタトゥーアーティストとしてカフェスに勝ったと思った。するとカフェスがとんでもないことをやりだした。
「あーあ、なんで僕のタトゥーアーティストとしての腕が分からないかなぁ。こんな領主燃やしちゃえばいいや『猛火』!!」
「なんてことをするんだ、カフェス!! 火を押さえろ『源泉』!!」
カフェスが領主の館に『猛火』を使おうとしたので、咄嗟に俺は自分のタトゥーである『源泉』で燃え上がる炎を消した。そうしている間にカフェスはこう言い残して逃げた。
「それじゃ、バイバーイ。ライバルくん」
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