異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第五章 流通革命

多々身医院にて

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 アカツキ伯爵は公布を出した。

 ”人材募集 ①野菜や果物の農夫募集 若干名 少し時期がずれた季節に農作物のうさくもつを栽培してもらいます。 ②掃き出し窓の魔法保持者募集 若干名 未経験者歓迎!能力がなければ授けます! 雇用主:アカツキ領領主 ユウセイ・フォン・アカツキ”。


 募集しても早々人が来るわけではない。

 アカツキ伯爵は妻のステファニアと一緒に領地視察やら執務に精を出す。

 やはり流通部門からは何の救援要請もない。流通部門は本当に優秀になったなぁ。


 数日つと、領地視察も終わり、執務の方も随分と落ち着いてきた。


「人材募集、そろそろ人が集まってきたかな?」


 すると、ミラトが、


「お触れが行き届くまでもう少々お待ちください」


 との返事だった。


「急ぎの要件もないし、多々身たたみさんのところへでも顔を出しておくか」


 アカツキ伯爵は、多々身たたみ省語しょうごの経営する多々身たたみ医院へと顔を出した。


多々身たたみさん、こちらでは初めまして」

「え、岡塚おかつかさんですか?」

「いえ。あかつきの方です」

「あぁ。しかし、服装はちがうが、そっくりだなぁ」

「まぁ、クローンみたいなものですから」


 省語しょうごに変なところで感心された。


「最近変わりありませんか?」

「変わりなく忙しくさせていただいてますよ。ちょうど患者さんが途切れましたから少し話ができますよ」


 アカツキ伯爵は患者用の椅子に座った。

 患者として病院に来たみたいだ。


「しかし、やはり、治癒魔法というのは随分便利ですなぁ。画期的でした」


 アカツキ伯爵は省語しょうごの治癒魔法についての熱弁を聞かされる羽目はめになった。


「この前、本はまだデータがそろっていないので書けませんが、医療雑誌に記事を載せてもらえたんですがね」


 省語しょうごの熱弁が止まらない。


「記事を読んだ人からの反響はんきょうが多くて、”どこでその技を覚えたんだ”とか、”どうやったらその技を使えるようになるんだ”とか、問い合わせが多くて困っている次第です」


 アカツキ伯爵は、「ん?」と思った。


「困っているなら、汲広くみひろればいいじゃないですか?」

「え?っちゃっていいんですか?」

「いいよいいよ。汲広くみひろは今、なんでも”掃き出し窓の能力集中講習センター”とかいうところで講師をしているらしいが、1ヶ月期間をもらっておいて、20日もたずに生徒が巣立つものだから、数日は余裕があるらしい。その期間を使って何かしらするんじゃないか?」

「そのお話はありがたい。早速汲広くみひろさんに連絡を取ってみます。汲広くみひろさんと言えば、この間、脳内CT画像がやっとパソコンに取り込める装置ができたとか言って、訪ねてきましてね」


 何その話。聞きたい。


「これがその装置なんですがね、これを腕にめてCT画像を脳内でイメージすれば、パソコンへデータを送れるんですが、何分なにぶん、立体でしょ?転送に時間がかかってしまって」

汲広くみひろめ、黙ってたな。早速送れと言ってやろうか?」

「まだ改良中らしいですよ。転送速度も早くできるらしいですし。転送中は何もできないですし。ある程度目処が立てば送ってくれるんじゃないですか?」

「そういうことですか。では、それまで待つとします」


 アカツキ伯爵は争う前に矛を収めた。


「あ、患者さんが来たようだ。あかつきさん、話の続きはまた今度」

「あぁ。もう失礼するよ」


 アカツキ伯爵は領主邸へ戻った。


省語しょうごさん、お元気でした?」


 ステファニアが声をかけてくる。


「あぁ、元気で忙しくしていると言っていたよ。治癒魔法について随分と熱く語られてしまった」


 アカツキ伯爵は、省語しょうごが語っていた治癒魔法についてだとか、医療雑誌に記事がった話だとか、脳内CT画像がパソコンに取り込める話だとかを話した。


「脳内CT画像をパソコンに取り込めるんですか。あなた、よくその話に飛びつきませんでしたね」

「欲しいと思ったが、改良にもう少し時間がかかるらしい。私は改良版をいただくよ」

「あら、まぁ」


 悠生ゆうせいは改まって、


「ステファニア、今の暮らしに不満はないか?」

「え?特にありませんけど?」

「そうか。いならいいんだ」


 何だかんだ言ってもスキカに呼ばれてから波瀾万丈の人生。

 ”もう少し普通に生きたかった”と言えば、何かしら手を打ったかも知れない。

 しかし、今回ステファニアは不満を言わなかった。

 アカツキ伯爵はそれに安堵したのだった。
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