仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

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魔王退治ととある商人の暗躍

何故呼んだか?それとマスコミの反応

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 目が覚めるとそこは見知らぬ天井だった。横に目をやると妻と子供たちがすやすやと寝息を立てている。どうやら俺は一番に起きたらしい。ふと、ベッドから抜け出て外の景色を見やる。そこには緑豊かな庭園があり、その先には重厚な建物が並んでいる。どうやらこの窓は中庭に面しているらしい。

 俺は何気にスマホを見た。Yahooニュースに”夕方の珍事!消え去ったキャンピングカー”というタイトルが目に入った。嫌な予感がする。早速その記事を見てみる。かいつまんで言うとこうだ。

”夕方に差しかかろうとした夕方の名神高速。渋滞でイライラしていた新婚カップルは、ぶつくさ文句を言いながら渋滞に耐えていた。すると、真ん前のキャンピングカーの周りが黄色い光に包まれ、そのキャンピングカーがあり得ない曲がり方でぐにゃっとなり、光が消えると共に、影も形もなくなったらしい。その映像は、偶然助手席にいた妻が一部始終スマホで録画しており、ドライブレコーダーにも録画されていたそうだ。ナンバープレートもばっちり画像に入っており、そこにた他の車でも偶然その様子が録画されており、その車がどこへ行ったのか、事件か事故か、引き続き、検証をする”

 というものであった。ヤバイ!オレ達家族、世間の注目を浴びている!

 でも、考えようによってはいろいろな人が動き、この不自然でファンタジーな状況から早く抜け出せるかも知れない。とりあえず、この部屋や外の見える景色、地図アプリの現在地の画像をツイッターに上げて、状況が理解できないむねを知人に伝える。そうしている間に

「うぅぅー。あれ?ここどこ?あ、あれ夢じゃなかったのね」

 妻が目覚めた。

「おいかおる、俺達Yahooニュースのトップ記事になってるぞ」
「え?うそ! 見てみるわ」

 妻もベッドを出てスマホをいじり始めた。

「ホントだ。あちらでもいきなり目の前の車が消えて、怪奇事件という印象になっているのね。ナンバープレートもバッチリ映ってるし、私たち家族を特定されるのも時間の問題よね」
「俺達家族を特定されるのは好都合だと思っている。これだけの騒ぎだ。いろいろな人が動く。この状況から早く抜け出せるかも知れない」
「まぁ、いい風に考えるとそうなるよね。悪目立ちしているのは困るけど、いい風に考えましょう!そうしましょう!」

 そう話していると、長女、長男の順に目が覚めたようだ。

「パパ、ママおはよう」

 すると、ドアをノックされる音がした。

『はい、どうぞ』

 すると、メイドが入ってきた。

『皆様起きられましたか。まずはお召し替えを。その後、朝食をって頂きます』

 みな、着替えて、メイドの案内で、昨日夕食を摂った広い部屋に通される。昨日と同じ席に座り、

『朝食の準備が整いました。どうぞお召し上がり下さい』

 家族で朝食にする。朝食は日本でもあっさりな味付けのため、まぁ、こんなものかと納得する。

 とりあえず、納得するまで食べた後、メイドが、

『この後、事情を説明するため、王に謁見えっけんして頂きます。準備が整うまでごゆるりとなさっていて下さい』

 と、説明する。少しの間、お茶を楽しんだ。

『準備が整いましたので、ご案内します』

 大きな扉の前に家族4人がそろい、

『勇者様御一行のおなーりー』

 その声で、また、内側から扉が開けられ、中へ通された。とりあえず、王との謁見えっけんいうことで、王に近づいたあとは、ひざまずいて、こうべを垂れることにした。

花菜香はなか風雅ふうが、父さんの真似をしなさい」

 長女も長男も妻も、真似をして、ひざまずき、こうべを垂れる、同じポーズを取った。

『勇者様ご一行、どうぞ頭をお上げ下さい。そう恐縮されてはこちらが困ります』

 王らしからぬ返答が帰って来た。勇者というのはどれだけ位が高いのであろうか?とりあえず、家族に「立つことを許された」と伝え、目の前の人物を見た。

 年の頃なら40前後といったところか。白の装束に包まれた男だ。その割に、顔にしわが多く、ぱっと見、苦労が絶えないのが見て取れる。それに、昨日の最初に声をかけてきた白のローブの男に似ている。親子だろうか?そんなことを考えていると、

『私はこの国の王、アバン・ルイジアンヌと申す。是非ぜひ、勇者様ご一行にこの国を救って頂きたい』
『私は麻宗あそう二郎じろう。こちらが妻の麻宗あそうかおる、長女麻宗あそう花菜香はなか、長男麻宗あそう風雅ふうが。以上が私の家族だ』

 そう、王が話し始めたので、こちらも自己紹介を返した。王は話し始める。

 何でも弱い魔物に時々遭遇そうぐうするだけで、この平和だったザガンガ王国が、最近魔物に襲われる件数が徐々に増えているらしい。それに、遭遇そうぐうする魔物の強さが上がってきているらしい。騎士団が守りを強化するものの、それにも限界があり、そこで、勇者を召喚して悪の魔王を倒して平和を取り戻して欲しいそうな。昨日聞いた話とあまり変わりないな。

『お願いできますか?』
『ちょっとお待ちください。家族と相談します』
『分りました。待ちましょう』

「魔王?魔物?僕たち勇者パーティーなんですかお父さん」
「何この現実離れしたお話しは?」
「とりあえず、身の安全を守るため、言うことにしたがった方がいいと思う。王の願いを聞き入れて良いか?」
「そうするしか仕方がありませんわね。渋々承諾してくださいな」

 意見はまとまった。

『魔物と戦うならそれは危険なこと。それは理解できますが、それ以外、人間に対しては身の安全を保障して頂けますか?』
『それは保障しよう。人に対してはできるだけの地位と身の安全は保障すると国として決まっておる。その辺りは安心して頂きたい』
『分りました。それではその任、引き受けさせて頂きます』
『おぉ、ありがとうございます』

 とりあえず、人に対しては身の安全を保障するということを、家族にも通訳する。妻はほっとしているようだ。

『それでは例の物を』

 そう言われて手渡されたのは、紫のメダルだった。

『それは、勇者の証です。それをある程度の地位のある者に見せると、勇者だと分ります。いろいろと便宜を図ってくれるでしょう。決して取られたりしないように大事に保管していてください』
『分りました。ありがたく頂きます』
『それと、旅支度もないご様子。こちらでいくらか見繕みつくろわせて頂きました。従者に準備させていますので後でお受け取り下さい』
『ありがとうございます』
『それと、こちらの土地には不慣れでしょう。お供をご用意させて頂いております。ご挨拶を』

 その言葉に反応したのは横に並んでいる4名。1人、鎧を身に纏ったいかつい男が前に出、

『私はジョルダン・カーライル。剣士。必ずや勇者様の助けになるよう努めます』

 ジョルダンが下がり、深い赤のローブを身に纏い、木の杖を持った女性が前に出て、

『私はカトリーナ・アンリエッタ。魔術師。お役に立って見せます』

 カトリーナが下がり、薄青色のローブに金属の杖を持った女性が前に出る。

『私はメリーア・メンドローサ。癒やしや解毒など、サポート役です。よろしくお願いします』

 メリーアが下がり、黒のメイド服を着た女性が前に出る。

『私はマヤ・ステイン。勇者様がお子様連れということで、急遽きゅうきょパーティーに加えさせて頂きました。お子様の面倒はどうかお任せ下さい。身を守る術も心得ておりますので、いざとなれば、お子様の盾にもなりましょう』

 マヤが下がり、自己紹介が終わる。次に、王が、

『それと、少しばかりの路銀です。どうぞお収め下さい』

 そう言うと、重みのある皮袋を渡される。

『重ね重ねありがとうございます』

『あと、練度によって、お渡しできる装備品などもございますので時々はこの城にお立ち寄り下さい。それでは説明は以上です。勇者様方々、ご武運を!』
『『『ご武運を』』』

 そうして、謁見の間を後にした。

 この後、泊まった部屋で着替えて、ジョルダンたちと、作戦会議の後、レベル上げの旅に出るのだそうだ。

 とりあえず、客間に戻る。そこにはこちらの服と、剣、盾、などが用意されていた。

 俺は旅人の服にベルトを巻きベルトに道具類をぶら下げて、軽めの剣と、軽めの盾いう出で立ち。
 妻のかおるも、同じようなものだが、剣も盾も、女性用らしく、俺の物よりも軽そうだ。
 長女の花菜香《はなか》も同じような服装。剣も盾も子供用らしく、かわいらしい。
 長男の風雅ふうがは、花菜香《はなか》と似たような出で立ちだ。

 装備が済んだところで、ジョルダンたちと、作戦会議をすることにした。俺は、

『とりあえず、剣なんか振ったことがないのだが、とりあえず、家族全員素振りから始めたいと思う』

 するとジョルダンは、驚愕きょうがくの目をして、

『そんな初歩的なところからですか!』

 驚いてる驚いてる。しかし、一番驚いているのは昨日いきなり連れ去られた我々家族だと思う。

『アンリエッタさん、メンドーサさん。我々家族は魔法などなかった国から来ているのだが、誰か、我々家族に魔法の素質のあるものが居ると思いますか?』

 アンリエッタが答えてくれる。

『勇者殿、呼び捨てで結構です。魔法は練習してみないと何とも。魔法の練習も旅の途中でして行きましょうねぇ、メンドーサ』
『そうですね。アンリエッタの言うとおりです』

 続いて、ジョルダンが、

『それでは、午前中は素振りの練習をして、午後からは街を出て子供でも倒せる魔物しか出ないところで倒し方の練習をしてみるのはいかがですか?』
『それが無難だろうな』

 そうして、とりあえずは今日の予定が決まったのであった。
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