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魔王退治ととある商人の暗躍
会談への準備
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王出席の会議は終わった。これから会議に参加したメンバーは、各部署に戻り、魔物側との会談で、何を話し合わなければならないか、話し合ってまとめる作業を行うことになっている。
二郎と薫は会議が終わってさぁ、バーンクリット邸へ帰るぞと部屋を出ようとしたところでアバン王とリチャードお義父様に捕まり、王の執務室に連れて行かれた。
『リチャード、話し合いに向けていろいろと足りないものがあって頭が痛いのだが何が足りなくて、どう人員を補給する?』
『まず、会話できるのが魔王だけというのが頭が痛いところです。しかし、我が国の長い歴史の中で魔物との関係が良好だった折、魔物の話を通訳する魔法や魔法陣があったと記憶しております。そちらを使って一度に多人数で話し合えたらと思っております』
リチャードの意見に王は、
『ふむ。確か、研究部会にそのような魔法に精通した者がおったな。日頃あまり役に立たない研究部会には働いてもらおうか』
『研究部会に働いてもらうのもアリですが、二郎君、君も魔物と話せるようになっておいてくれないか。人数は多い方がいい。この王城にも我が家にもそれらに関する文献があったはずだ。読んでおくと良い』
『分りました。勉強しておきます』
『あと、薫、今回の件は土地が汚染され、食べ物を求めて魔物が人間のテリトリーにまで進んできたことが一番大きい。お前はそちらの調査をしてもらいたい。お前もまず研究部会に行ってくれ』
『分りました。お父さん』
『今、手を打てるのは以上だと思いますが、ご意見を。王』
『うむ。リチャードの采配で良いと思う。城の図書館の持ち出し禁止の書物も持ち出しを許可する。他所で勉強するのも良いし現場に持って行っても良い。但し、なくしたり汚したりせぬように。それから研究部会と話し合って働いてもらえ。好きに使って良い。あと、お主らは覚えも良いし魔力も高い。役に立てると思ったら臨機応変に対応してもらいたい。我が国に争いは要らぬ。国のため、存分に励め』
『『はい』』
それから、二郎と薫は会談を円滑に進めるための準備として、研究部会へと向かった。
『まぁまぁ勇者様ご夫婦、研究は順調に進んでおります。今日はどのようなご用で?』
『研究部会全員に話したいことがあります。まずは非番の者も含めて研究部会員全員を集めていただきたい』
『おぉおぉおぉおぉ、新たな研究目標でしょうか?とりあえず、全員集めますね。これ、勇者様のご指示だ。全員に招集をかけろ』
『『『はい』』』
そして1時間後、研究部会が全員揃うのであった。
二郎と薫は並び、整列している研究部会の人々にまずは自己紹介をするのであった。
『皆様お集まりいただきありがとうございます。お初の方もいらっしゃいますからまずは自己紹介をば。勇者として召喚されました麻宗二郎と、隣は妻で薫、こちらの名前でいいますと、バーンクリット公爵家の長女、エリアリアーナ・バーンクリットです。これからよろしくお願いします』
挨拶すると、『おぉ、勇者様か!』とか、『秀才、エリアリアーナがこの国に戻ってきたか!』とか、ちょっと騒然となった。まぁ、研究部会の人々と会っていたとはいっても同じメンバーだし、俺たちに感心のない人たちは会いに来ようともしないから、同じ部会に居ても情報交換がされてなかったり、話しているのに研究に夢中で聞き逃していたり、まぁ、ここに居る連中は自分に興味のあることにしか意識がいかないから仕方ないねーとか思いながら、静まるまで待った。
ひとしきり騒いで静かになったところで、魔物との会談に魔法や魔法陣が必要なこと、薫は森の汚染調査に行くこと、それにこれは王からの指示であることをかいつまんで話した。
『おぉ、いにしえの世に使われていた魔物と話す魔法や魔法陣の復活ですか。実に興味深い。是非とも参加せねば』
『魔法陣を使うのならば、魔力を供給する者が必須。私は魔法に関しては才はありませんが、魔力供給くらいなら…』
『汚染調査ということでしたらフィールドワークですな!ここは森の生き物に詳しい私が参加せねばなりませんな』
『汚染調査でしたら毒物に詳しい者が必要。私の出番ですな。毒によっては防護服も必要ですな。早速作らせなければ』
『防護服ですか?それなら私にやらせて下さい』
それぞれ口々に自分も協力できると声を上げ、各分野ごとに別れて相談を始めた。…とはいえ、こいつらは自分に興味のあることしか、基本的にしようとはしないんだよなー。まぁ、今回は大半が興味がある分野で協力してくれそうだからいいか。そうは言っても、
『私は魔力もないし、そちらに関しては研究対象ではなく知識の協力もできません。自分の研究もありますし…』
『こんなことをするより、私はエンジンの活用に関する研究をしたいのです!』
『興味ない。したい奴だけすればいい。私は私の研究をする』
おい!興味のない人間はえらいぶっちゃけ様だな!足手まといになるい奴は要らんけど!
と、いうわけで、興味のあることに引っかからなかった者は、早々に別れて自分の研究に戻っていくのであった。
そして、ちりぢりに別れたようでいて、興味のある分野に綺麗に別れた研究部会メンバーに、
『リーダーを決めて、メンバー表を作って提出して下さーい』
と、声をかけると、皆、誰をリーダーにするか相談し始めた。
ひとしきり相談すると、パラパラとメンバー表を提出しに来るのであった。
魔法陣研究班 ― リーダー アマズス
魔法陣魔力提供班 ― リーダー ダリクル
汚染広域調査班 ― リーダー ダーリー
汚染狭域調査班 ― リーダー ザパパ
防護服作成班 ― リーダー ザディン
メンバー表を提出に来ると、また戻って話し始めるのであった。
二郎と薫は会議が終わってさぁ、バーンクリット邸へ帰るぞと部屋を出ようとしたところでアバン王とリチャードお義父様に捕まり、王の執務室に連れて行かれた。
『リチャード、話し合いに向けていろいろと足りないものがあって頭が痛いのだが何が足りなくて、どう人員を補給する?』
『まず、会話できるのが魔王だけというのが頭が痛いところです。しかし、我が国の長い歴史の中で魔物との関係が良好だった折、魔物の話を通訳する魔法や魔法陣があったと記憶しております。そちらを使って一度に多人数で話し合えたらと思っております』
リチャードの意見に王は、
『ふむ。確か、研究部会にそのような魔法に精通した者がおったな。日頃あまり役に立たない研究部会には働いてもらおうか』
『研究部会に働いてもらうのもアリですが、二郎君、君も魔物と話せるようになっておいてくれないか。人数は多い方がいい。この王城にも我が家にもそれらに関する文献があったはずだ。読んでおくと良い』
『分りました。勉強しておきます』
『あと、薫、今回の件は土地が汚染され、食べ物を求めて魔物が人間のテリトリーにまで進んできたことが一番大きい。お前はそちらの調査をしてもらいたい。お前もまず研究部会に行ってくれ』
『分りました。お父さん』
『今、手を打てるのは以上だと思いますが、ご意見を。王』
『うむ。リチャードの采配で良いと思う。城の図書館の持ち出し禁止の書物も持ち出しを許可する。他所で勉強するのも良いし現場に持って行っても良い。但し、なくしたり汚したりせぬように。それから研究部会と話し合って働いてもらえ。好きに使って良い。あと、お主らは覚えも良いし魔力も高い。役に立てると思ったら臨機応変に対応してもらいたい。我が国に争いは要らぬ。国のため、存分に励め』
『『はい』』
それから、二郎と薫は会談を円滑に進めるための準備として、研究部会へと向かった。
『まぁまぁ勇者様ご夫婦、研究は順調に進んでおります。今日はどのようなご用で?』
『研究部会全員に話したいことがあります。まずは非番の者も含めて研究部会員全員を集めていただきたい』
『おぉおぉおぉおぉ、新たな研究目標でしょうか?とりあえず、全員集めますね。これ、勇者様のご指示だ。全員に招集をかけろ』
『『『はい』』』
そして1時間後、研究部会が全員揃うのであった。
二郎と薫は並び、整列している研究部会の人々にまずは自己紹介をするのであった。
『皆様お集まりいただきありがとうございます。お初の方もいらっしゃいますからまずは自己紹介をば。勇者として召喚されました麻宗二郎と、隣は妻で薫、こちらの名前でいいますと、バーンクリット公爵家の長女、エリアリアーナ・バーンクリットです。これからよろしくお願いします』
挨拶すると、『おぉ、勇者様か!』とか、『秀才、エリアリアーナがこの国に戻ってきたか!』とか、ちょっと騒然となった。まぁ、研究部会の人々と会っていたとはいっても同じメンバーだし、俺たちに感心のない人たちは会いに来ようともしないから、同じ部会に居ても情報交換がされてなかったり、話しているのに研究に夢中で聞き逃していたり、まぁ、ここに居る連中は自分に興味のあることにしか意識がいかないから仕方ないねーとか思いながら、静まるまで待った。
ひとしきり騒いで静かになったところで、魔物との会談に魔法や魔法陣が必要なこと、薫は森の汚染調査に行くこと、それにこれは王からの指示であることをかいつまんで話した。
『おぉ、いにしえの世に使われていた魔物と話す魔法や魔法陣の復活ですか。実に興味深い。是非とも参加せねば』
『魔法陣を使うのならば、魔力を供給する者が必須。私は魔法に関しては才はありませんが、魔力供給くらいなら…』
『汚染調査ということでしたらフィールドワークですな!ここは森の生き物に詳しい私が参加せねばなりませんな』
『汚染調査でしたら毒物に詳しい者が必要。私の出番ですな。毒によっては防護服も必要ですな。早速作らせなければ』
『防護服ですか?それなら私にやらせて下さい』
それぞれ口々に自分も協力できると声を上げ、各分野ごとに別れて相談を始めた。…とはいえ、こいつらは自分に興味のあることしか、基本的にしようとはしないんだよなー。まぁ、今回は大半が興味がある分野で協力してくれそうだからいいか。そうは言っても、
『私は魔力もないし、そちらに関しては研究対象ではなく知識の協力もできません。自分の研究もありますし…』
『こんなことをするより、私はエンジンの活用に関する研究をしたいのです!』
『興味ない。したい奴だけすればいい。私は私の研究をする』
おい!興味のない人間はえらいぶっちゃけ様だな!足手まといになるい奴は要らんけど!
と、いうわけで、興味のあることに引っかからなかった者は、早々に別れて自分の研究に戻っていくのであった。
そして、ちりぢりに別れたようでいて、興味のある分野に綺麗に別れた研究部会メンバーに、
『リーダーを決めて、メンバー表を作って提出して下さーい』
と、声をかけると、皆、誰をリーダーにするか相談し始めた。
ひとしきり相談すると、パラパラとメンバー表を提出しに来るのであった。
魔法陣研究班 ― リーダー アマズス
魔法陣魔力提供班 ― リーダー ダリクル
汚染広域調査班 ― リーダー ダーリー
汚染狭域調査班 ― リーダー ザパパ
防護服作成班 ― リーダー ザディン
メンバー表を提出に来ると、また戻って話し始めるのであった。
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