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出遅れた国
風雅の結婚式
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ハンシオーガ王国の、王族が住まうナゲディデルカ城。ここでまた新たな報告が入った。
「申し上げます!」
「言ってみよ」
「はっ!西方諸国連合の軍事に関わる情報です。かの魔道士団は瞬間移動で目的地に瞬時に移動ができ、兵糧は異空間に収納できて軍行も軽快。それに空を飛んで移動することもでき、その速さは早馬の100倍との情報を掴みました」
ハンシオーガ王国国王、ジャスパー・ウォムスレーは玉座から立ち上がった。
「そ、それは真か」
「はい。西方諸国連合は、それを隠すこともせず、我が密偵が直に見て確認したとの情報です」
「それでは先の西方諸国連合軍とザッテリーニ連邦国軍との戦、始めから結果が見えているではないか」
数の上での西方諸国連合軍とハンシオーガ王国軍との差はジャスパー国王も把握していた。しかし、軍にそのような魔法が使える者が居ればハンシオーガ王国軍なんて赤子の手をひねるように軽く殲滅できるではないか。
「…これは娘を嫁にやって血縁関係を作る以前に不戦条約が先か」
「続けて申し上げます」
一気に気が抜けたジャスパー国王は、
「申してみよ」
「はっ!先のゲート、アイテムボックス、浮遊魔法などの魔法は、西方諸国連合軍の魔道士団総長、カオル・アソウが考案したものとの情報を得た我が密偵は、そのカオル・アソウを調べたところによりますと、幼少の頃から秀才と呼び声高く、それにあの西方諸国連合各国の王族から嫁をもらっているというジロウ・アソウの妻との報告です!」
ジャスパー国王は跳ね起き、
「ジロウ・アソウの新情報か!」
周りの臣下はジャスパー国王のその行動にぎょっとした。
「ジロウ・アソウの話が出たので私からも報告申し上げます」
「申してみよ」
「はっ!最近、情報通信網だとか電話という通信手段が西方諸国連合及びザッテリーニ連邦国の間で結ばれたのですが、その通信手段を確立するために奔走した中心人物としてハナカ・アソウとフウガ・アソウなる人物を特定したのですが、そのハナカ・アソウとフウガ・アソウは先に話に出ていたジロウ・アソウとカオル・アソウとの間に生まれた子供だそうです」
これはジロウ・アソウ個人ではなくアソウ家を見張るべきか。ジャスパー国王の頭の中は計算で高速回転する。
「ジロウ・アソウの話が出たので、ついでに私からも報告申し上げます」
「申してみよ」
「はっ!ジロウ・アソウは子宝に恵まれ、その多くは王家の血を受け継ぐ者。産まれたときから縁談が後を絶たずそれは王族も含まれ、各国の上層部にジロウ・アソウの血が広まるものと思われます」
ジャスパー国王は指示を出す。
「ジロウ・アソウ公爵を調べるのをアソウ公爵家に範囲を拡大する。それに、西方諸国連合宛てに不戦条約の打診を。できれば西方諸国連合に我々も潜り込めないか… そうすると使者を出す方が良いか。とにかく西方諸国連合に渡りをつけてくれ。あと、西方諸国連合の通信網も気になる。どういうものか調べを続けよ」
「「「はっ!」」」
こうしてハンシオーガ王国は、情報の遅れを何とか挽回しようと必至に情報収集に励むのであった。
*
「汝、ステファニー・フリーテージを妻とし、富めるときも貧するときも、久しく愛し続けることを誓うか」
「誓います」
「汝、フウガ・アソウを夫とし、富めるときも貧するときも、久しく愛し続けることを誓うか」
「誓います」
ここは教会。風雅とステファニー・フリーテージとの結婚式の真っ最中である。
「それでは指輪の交換を」
風雅はステファニーの左手薬指に指輪をはめる。
ステファニーも風雅の左手薬指に指輪をはめる。
「それでは誓いのキスを」
そして2人はそっと口づけを交わすのであった。
「新郎新婦が退出します。盛大な拍手でお見送り下さい」
「「「「「パチパチパチパチ」」」」」
そこで二郎が、
「ささやかながら我が屋敷で軽食をご用意しております。ご都合の付く方はご参加願います」
この世界にブーケトスなどのイベントはない。誓いを立てて、結婚指輪の交換、そして口づけをしたら式はお終いである。
二郎は麻宗邸にゲートを開き、列席者を誘導する。
「ジロウ君済まない。これから重要な会議なんだ。私は王城へ送ってもらえるかな?」
アハンハルト王国王太子、アンニヨロ・アルキバンはそう告げた。
「分かりました。王城へお送りします。少々お待ちください」
そして、列席者を麻宗邸に誘導した後、アンニヨロを王城へ送り届け、二郎も麻宗邸に帰るのであった。
式の列席者は、麻宗家の面々と、パーサー・ルイジアンヌ、アヴァリン・ルイジアンヌ、ザガンガ王国王太子夫妻、カンデラル・ザビエル、ミリアラ・ザビエル、タンザナティア王国王太子夫妻、ジューディス・アントワリッチ、カメルラ・アントワリッチ、ジルベチア王国王太子夫妻、そして、アンニヨロ・アルキバン、フィリナーレ・アルキバン、アハントルト王国王太子夫妻であった。
「最近おとなしかったハンシオーガ王国の者が活発に動いているようだな」
ジューディス王太子がそんなことを言った。
「ハンシオーガ王国と言うと、ザッテリーニ連邦国の東の?」
「そう。その国。何でも国王の崩御で国が荒れていて、外に目を向けられるようになってきたということは国内が安定してきたということかな?」
このときは知らなかった。麻宗家がハンシオーガ王国国王、ジャスパー・ウォムスレーに目をつけられていることを。
「申し上げます!」
「言ってみよ」
「はっ!西方諸国連合の軍事に関わる情報です。かの魔道士団は瞬間移動で目的地に瞬時に移動ができ、兵糧は異空間に収納できて軍行も軽快。それに空を飛んで移動することもでき、その速さは早馬の100倍との情報を掴みました」
ハンシオーガ王国国王、ジャスパー・ウォムスレーは玉座から立ち上がった。
「そ、それは真か」
「はい。西方諸国連合は、それを隠すこともせず、我が密偵が直に見て確認したとの情報です」
「それでは先の西方諸国連合軍とザッテリーニ連邦国軍との戦、始めから結果が見えているではないか」
数の上での西方諸国連合軍とハンシオーガ王国軍との差はジャスパー国王も把握していた。しかし、軍にそのような魔法が使える者が居ればハンシオーガ王国軍なんて赤子の手をひねるように軽く殲滅できるではないか。
「…これは娘を嫁にやって血縁関係を作る以前に不戦条約が先か」
「続けて申し上げます」
一気に気が抜けたジャスパー国王は、
「申してみよ」
「はっ!先のゲート、アイテムボックス、浮遊魔法などの魔法は、西方諸国連合軍の魔道士団総長、カオル・アソウが考案したものとの情報を得た我が密偵は、そのカオル・アソウを調べたところによりますと、幼少の頃から秀才と呼び声高く、それにあの西方諸国連合各国の王族から嫁をもらっているというジロウ・アソウの妻との報告です!」
ジャスパー国王は跳ね起き、
「ジロウ・アソウの新情報か!」
周りの臣下はジャスパー国王のその行動にぎょっとした。
「ジロウ・アソウの話が出たので私からも報告申し上げます」
「申してみよ」
「はっ!最近、情報通信網だとか電話という通信手段が西方諸国連合及びザッテリーニ連邦国の間で結ばれたのですが、その通信手段を確立するために奔走した中心人物としてハナカ・アソウとフウガ・アソウなる人物を特定したのですが、そのハナカ・アソウとフウガ・アソウは先に話に出ていたジロウ・アソウとカオル・アソウとの間に生まれた子供だそうです」
これはジロウ・アソウ個人ではなくアソウ家を見張るべきか。ジャスパー国王の頭の中は計算で高速回転する。
「ジロウ・アソウの話が出たので、ついでに私からも報告申し上げます」
「申してみよ」
「はっ!ジロウ・アソウは子宝に恵まれ、その多くは王家の血を受け継ぐ者。産まれたときから縁談が後を絶たずそれは王族も含まれ、各国の上層部にジロウ・アソウの血が広まるものと思われます」
ジャスパー国王は指示を出す。
「ジロウ・アソウ公爵を調べるのをアソウ公爵家に範囲を拡大する。それに、西方諸国連合宛てに不戦条約の打診を。できれば西方諸国連合に我々も潜り込めないか… そうすると使者を出す方が良いか。とにかく西方諸国連合に渡りをつけてくれ。あと、西方諸国連合の通信網も気になる。どういうものか調べを続けよ」
「「「はっ!」」」
こうしてハンシオーガ王国は、情報の遅れを何とか挽回しようと必至に情報収集に励むのであった。
*
「汝、ステファニー・フリーテージを妻とし、富めるときも貧するときも、久しく愛し続けることを誓うか」
「誓います」
「汝、フウガ・アソウを夫とし、富めるときも貧するときも、久しく愛し続けることを誓うか」
「誓います」
ここは教会。風雅とステファニー・フリーテージとの結婚式の真っ最中である。
「それでは指輪の交換を」
風雅はステファニーの左手薬指に指輪をはめる。
ステファニーも風雅の左手薬指に指輪をはめる。
「それでは誓いのキスを」
そして2人はそっと口づけを交わすのであった。
「新郎新婦が退出します。盛大な拍手でお見送り下さい」
「「「「「パチパチパチパチ」」」」」
そこで二郎が、
「ささやかながら我が屋敷で軽食をご用意しております。ご都合の付く方はご参加願います」
この世界にブーケトスなどのイベントはない。誓いを立てて、結婚指輪の交換、そして口づけをしたら式はお終いである。
二郎は麻宗邸にゲートを開き、列席者を誘導する。
「ジロウ君済まない。これから重要な会議なんだ。私は王城へ送ってもらえるかな?」
アハンハルト王国王太子、アンニヨロ・アルキバンはそう告げた。
「分かりました。王城へお送りします。少々お待ちください」
そして、列席者を麻宗邸に誘導した後、アンニヨロを王城へ送り届け、二郎も麻宗邸に帰るのであった。
式の列席者は、麻宗家の面々と、パーサー・ルイジアンヌ、アヴァリン・ルイジアンヌ、ザガンガ王国王太子夫妻、カンデラル・ザビエル、ミリアラ・ザビエル、タンザナティア王国王太子夫妻、ジューディス・アントワリッチ、カメルラ・アントワリッチ、ジルベチア王国王太子夫妻、そして、アンニヨロ・アルキバン、フィリナーレ・アルキバン、アハントルト王国王太子夫妻であった。
「最近おとなしかったハンシオーガ王国の者が活発に動いているようだな」
ジューディス王太子がそんなことを言った。
「ハンシオーガ王国と言うと、ザッテリーニ連邦国の東の?」
「そう。その国。何でも国王の崩御で国が荒れていて、外に目を向けられるようになってきたということは国内が安定してきたということかな?」
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