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勉強とこの世界の把握
エミール、ヘクディーを訪ねる
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次の日。エミールたちの勉強が終わり、エミールが自室に帰ろうとしたとき、
(エミールや、出かけるぞ。準備致せ)
念話が届いた。スキカからである。
(どこに向かうのですか?)
(ザガントリアシティの王城だ。お主に会わせたい者がおる)
(分かりました)
部屋を出て、二郎の部屋へ。
「お父様、突然なのですが、ちょっと出かけてきます」
「今日は出かける用事は聞いていないが、どういうことだ?」
エミールは、スキカから念話で指示されている最中であること、行き先はザガントリアシティの王城であることを告げ、
「スキカ様からの指示なら仕方がないな。他の家族には私から説明しておく。行ってきなさい」
「はい。ありがとうございます」
そうしてエミールは、スキカの指示でゲートを開き、ザガントリアシティの王城へと行くのであった。
*
「キリがいいのでここまでにしましょうか」
「はい。ありがとうございました」
今日の勉強が終わる。
家庭教師が自室から出て行き、
「疲れましたわ」
この部屋の主、ヘクディー・ザガントリアは、そうつぶやくのであった。
1週間ほど前のあの日、あの凜々しい顔、あの一瞬。
あの日から頭の中から離れない。
一目会いたい。会って話しをしたい。彼のことを知りたい。私のことを知って欲しい。
彼のことを考えると、心臓の鼓動が早くなる。頬が赤くなる。
「エミール様ぁー」
妄想に耽っていると、部屋をノックする音が。
「(誰かしら?)はい。どなた?」
「突然の訪問失礼します。エミール・アソウと申します」
(えっ!エミール様?)
ヘクディーは、思わず扉に駆け寄りったが、信じられず、
「本当に、エミール様ですか?」
扉の前で、一旦確認した。
「はい。エミールです」
彼女はゆっくりと扉を開け、
「(本当にエミール様だぁ)お入りになって」
「はい。失礼します」
(何?この状況?カッコイイ!私のことを見ている!いいの?いいのこれ?)
頭の中は混乱していたが、初印象は大事。
行動は、冷静さを取り繕って、
「改めまして。お初にお目にかかります。アハントルト王国ジロウ・アソウ公爵の息子、エミール・アソウと申します」
エミールは礼をする。
「初めまして。ザガントリア王国第1王女、ヘクディー・ザガントリアです」
ヘクディーも、優雅に礼を返した。
「エミール様とは一度会ってお話ししたいと思っておりましたわ。立ったままでは何ですし、お掛けになって」
「はい。失礼します」
ヘクディーとエミールは対面で、椅子に腰掛けた。
「その、エミール様の住んでいるアハントルト王国とはどんな所ですの?」
「ニムテズ大陸では一番国力のある国ですね。財も収入も多く、兵は屈強。政治は成熟しており安定。街も穏やか。芸術や文化も成熟かつ活発。ニムテズ大陸に居る人間なら、首都のペンテレストロフには一度は行ってみたいのではないでしょうか?」
「まあ、素敵な所ね。私も行ってみたくなりましたわ(それで、エミール様のお宅に、お部屋に行ってみたいですわ!)」
そして、
「お茶がまだね。お出ししますわ」
ヘクディーは手すがらエミールにお茶を出し、自分のものも注いだ。
それからヘクディーは、エミールについていろいろと聞いた。まずは大きい範囲から、徐々にエミールの個人的なことについて。
それは、もう、欲望のままに。
そして、不自然ではないように装いながら、エミールを見つめた。
心に焼き付けるように。
そして、あっという間に1時間が経った。
「あら。もうこんな時間ですの?全然話し足りませんわ」
エミールは、結構話したと思ったが、
「そ、そうですね」
ヘクディーは、このチャンスを逃さないぞと押しに出る。
「あっ。そうだ!またいらして。明日。同じ時間に」
エミールは、戸惑いながら、
「わ、分かりました。明日も来ます」
「明日だけじゃダメよ。毎日来なさい」
エミールは困惑して、
「ま、毎日ですか?」
「そう。毎日。あなたのこと、気に入ったわ!毎日会いたいわ」
「わ、分かりました。できるだけ、時間を作って、来ます」
「約束よ」
「はい」
エミール、またも押し切られる。
「それではまた明日」
「また明日」
エミールは、ヘクディーの部屋の中でゲートを開き、麻宗邸へと戻ったのであった。
(エミール様♡)
ヘクディーは、ベッドに飛び乗った。
今の出会いの余韻に浸りながら、ベッドの上で、ゴロゴロしていた。
「ヘクディー様、お夕食の時間です」
「はーい」
そして、夕食を食べに、部屋を出て行くのであった。
*
「はぁ、ただいま」
「お帰りなさい。夕食の時間ですよ」
「今行きます」
夕食を食べ、二郎の部屋に行った。
「それで、明日も行く約束をしたのか」
「はい」
エミールは、ザガントリアシティの王城での出来事を、手短に話した。
「毎日行くことになりそうです」
「それで、スキカ様はなんと?」
「”できるだけヘクディーの言うとおりにするように。頑張れ”と」
二郎は考えて、
「そうか。頑張れ」
「はい」
そしてエミールは、その日から毎日ヘグディーに会いに、ヘクディーの部屋へと通うのであった。
(エミールや、出かけるぞ。準備致せ)
念話が届いた。スキカからである。
(どこに向かうのですか?)
(ザガントリアシティの王城だ。お主に会わせたい者がおる)
(分かりました)
部屋を出て、二郎の部屋へ。
「お父様、突然なのですが、ちょっと出かけてきます」
「今日は出かける用事は聞いていないが、どういうことだ?」
エミールは、スキカから念話で指示されている最中であること、行き先はザガントリアシティの王城であることを告げ、
「スキカ様からの指示なら仕方がないな。他の家族には私から説明しておく。行ってきなさい」
「はい。ありがとうございます」
そうしてエミールは、スキカの指示でゲートを開き、ザガントリアシティの王城へと行くのであった。
*
「キリがいいのでここまでにしましょうか」
「はい。ありがとうございました」
今日の勉強が終わる。
家庭教師が自室から出て行き、
「疲れましたわ」
この部屋の主、ヘクディー・ザガントリアは、そうつぶやくのであった。
1週間ほど前のあの日、あの凜々しい顔、あの一瞬。
あの日から頭の中から離れない。
一目会いたい。会って話しをしたい。彼のことを知りたい。私のことを知って欲しい。
彼のことを考えると、心臓の鼓動が早くなる。頬が赤くなる。
「エミール様ぁー」
妄想に耽っていると、部屋をノックする音が。
「(誰かしら?)はい。どなた?」
「突然の訪問失礼します。エミール・アソウと申します」
(えっ!エミール様?)
ヘクディーは、思わず扉に駆け寄りったが、信じられず、
「本当に、エミール様ですか?」
扉の前で、一旦確認した。
「はい。エミールです」
彼女はゆっくりと扉を開け、
「(本当にエミール様だぁ)お入りになって」
「はい。失礼します」
(何?この状況?カッコイイ!私のことを見ている!いいの?いいのこれ?)
頭の中は混乱していたが、初印象は大事。
行動は、冷静さを取り繕って、
「改めまして。お初にお目にかかります。アハントルト王国ジロウ・アソウ公爵の息子、エミール・アソウと申します」
エミールは礼をする。
「初めまして。ザガントリア王国第1王女、ヘクディー・ザガントリアです」
ヘクディーも、優雅に礼を返した。
「エミール様とは一度会ってお話ししたいと思っておりましたわ。立ったままでは何ですし、お掛けになって」
「はい。失礼します」
ヘクディーとエミールは対面で、椅子に腰掛けた。
「その、エミール様の住んでいるアハントルト王国とはどんな所ですの?」
「ニムテズ大陸では一番国力のある国ですね。財も収入も多く、兵は屈強。政治は成熟しており安定。街も穏やか。芸術や文化も成熟かつ活発。ニムテズ大陸に居る人間なら、首都のペンテレストロフには一度は行ってみたいのではないでしょうか?」
「まあ、素敵な所ね。私も行ってみたくなりましたわ(それで、エミール様のお宅に、お部屋に行ってみたいですわ!)」
そして、
「お茶がまだね。お出ししますわ」
ヘクディーは手すがらエミールにお茶を出し、自分のものも注いだ。
それからヘクディーは、エミールについていろいろと聞いた。まずは大きい範囲から、徐々にエミールの個人的なことについて。
それは、もう、欲望のままに。
そして、不自然ではないように装いながら、エミールを見つめた。
心に焼き付けるように。
そして、あっという間に1時間が経った。
「あら。もうこんな時間ですの?全然話し足りませんわ」
エミールは、結構話したと思ったが、
「そ、そうですね」
ヘクディーは、このチャンスを逃さないぞと押しに出る。
「あっ。そうだ!またいらして。明日。同じ時間に」
エミールは、戸惑いながら、
「わ、分かりました。明日も来ます」
「明日だけじゃダメよ。毎日来なさい」
エミールは困惑して、
「ま、毎日ですか?」
「そう。毎日。あなたのこと、気に入ったわ!毎日会いたいわ」
「わ、分かりました。できるだけ、時間を作って、来ます」
「約束よ」
「はい」
エミール、またも押し切られる。
「それではまた明日」
「また明日」
エミールは、ヘクディーの部屋の中でゲートを開き、麻宗邸へと戻ったのであった。
(エミール様♡)
ヘクディーは、ベッドに飛び乗った。
今の出会いの余韻に浸りながら、ベッドの上で、ゴロゴロしていた。
「ヘクディー様、お夕食の時間です」
「はーい」
そして、夕食を食べに、部屋を出て行くのであった。
*
「はぁ、ただいま」
「お帰りなさい。夕食の時間ですよ」
「今行きます」
夕食を食べ、二郎の部屋に行った。
「それで、明日も行く約束をしたのか」
「はい」
エミールは、ザガントリアシティの王城での出来事を、手短に話した。
「毎日行くことになりそうです」
「それで、スキカ様はなんと?」
「”できるだけヘクディーの言うとおりにするように。頑張れ”と」
二郎は考えて、
「そうか。頑張れ」
「はい」
そしてエミールは、その日から毎日ヘグディーに会いに、ヘクディーの部屋へと通うのであった。
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