仲良し家族、まとめて突然!異世界ライフ

ぷい16

文字の大きさ
199 / 249
勉強とこの世界の把握

ヘクディーの初出産

しおりを挟む
お金、育児にかかる手間、どう育てるか、などなど。悩みがく子作り、子育てできる環境があるのがどれだけ幸せなことか。
まぁ、ファンタジーだということで…

----+----+----+----+

「あぁ、エミール様!」


 城の使用人たちが慌てている。


「ヘクディー様のお産が始まりました」

「何だって?」


 エミールは手を綺麗に洗って清潔な服に着替えて、部屋の前で待っているアボシーとカルラの前を通り過ぎ、ヘクディーの部屋へ。

 ヘクディーは額に汗をかきながら、息がやや上がっている。

 エミールは女医に問いかける。


「本陣痛は?」

「先ほど1回ありました」

「それでは次に術をかけます」

「分かりました」


 エミールはヘクディーの体のある部分を注視しながら待つ。

 数分待って、


「ふんぐぅぅぅ」

「エミール様!今です!」


 緊張が走る。


「%%?*?*」


 エミールが呪文を唱えた。


 するっ


 女医が赤ちゃんを受け止め、口の中身を吸い出す。


「おぎゃぁ!おぎゃぁ!」


 女医が、その後の処理をし、赤ちゃんの体を拭い、


「お父さん、お母さん、元気な男の子ですよ」


 エミールが顔を覗き、続いてヘクディーが顔を見る。

 ヘクディーは、横になったままでぐったりした顔をしながら、にこやかだ。

 エミールは、ヘクディーの手を握り、


「よく頑張ったな」

「はい。エミール様」



 エミールは外に出され、女医と看護師が後処理をし、ヘクディーの隣にベビーベッドを置いてそこに赤ちゃんを寝かせた。


「どうなってますか?」


 アボシーが声をかけてきた。


「無事生まれた。母子ともに元気。男の子だ」

「「よかったぁーーー」」


 アボシーとカルラは、大きなお腹を抱えて自室に戻っていった。そして、エミールはやらなければならないことがある。

 そう、『名付け』だ。

 うーん、うーんとエミールは悩んだ。


「お父さん、もう入っても大丈夫ですよ」


 看護師に声をかけられる。


「そうだ。『エアハルト』にしよう!」


 ヘクディーと相談し、両親間では『エアハルト』に決定。

 オーマーダム国王のもとへ。


「おぉ。無事、生まれたか」


 オーマーダム国王はビーリヒム王妃と一緒にた。


「名を、『エアハルト』にしようと思っているのですがいかがでしょう?」


 オーマーダム国王とビーリヒム王妃は相談をして、


「2人が納得しているならその名にしよう」


 そうして、エミールとヘクディーの第1子の名は、『エアハルト』に決まるのであった。


「あとで顔を見に行ってやって下さい」

「ああ、そうさせてもらうよ」

「分かりました。後ほどね」


 そして、エミールはヘクディーの部屋に。

 母子ともに、すやすやと眠っていた。

 エミールは赤ちゃんの顔を見て、にんまりとし、いつまでもながめているのであった。


 と、思ったら、


「おぎゃぁ!おぎゃぁ!おぎゃぁ!」

「お母さん、母乳をあげて下さい」


 やら、


「おぎゃぁ!おぎゃぁ!おぎゃぁ!」

「おむつがれてますね。取り替えますね」


 やら、穏やかだなーと思っていたら、いきなり赤ちゃんに起こされるのである。


「お父さん」

「はい」


 女医に声をかけられる。


「やはりお子さん、成長が異常に早いですね。母乳やおむつ替えの間隔が極端に短いです」

「そ、そうなんですか?」


 うーむ、


「お母さんが負担でしたら母乳ではなく、ミルクを与えることもできますが」

「ヘクディーは何と?」

「一緒にられる時間は母乳で育てたいと」

「それではヘクディーに負担がかかりすぎるようでしたらミルクでお願いします」

「分かりました」


 そして、結局ヘクディーは母乳を飲み尽くされ出なくなり、夜にはミルクに切り替え、ベビーベッドも赤ちゃんも他の部屋に移し、ヘクディーをぐっすりと寝かせるのであった。



 次の日。

 エミールは目覚めたら、すぐに上半身を起こし、悩み始めた。


「うーん」


 ヘクディーの部屋に行くか、赤ちゃんの部屋に行くか、それが問題だ。


「よし!最初ヘクディー、次に赤ちゃんにしよう!」


 エミールは身支度を済ませ、ヘクディーの部屋に。


「あれ?居ない」


 次に赤ちゃんの部屋へ。


「あ。2人ともた」


 赤ちゃんはもう座っており、ヘクディーが赤ちゃんに離乳食を与えていた。


「やはりこの子、成長が早いわ。こんなに早くに座って離乳食だなんて、無茶苦茶むちゃくちゃだもの」

「そうだね。僕たちの成長促進が子供に移っちゃったかな?」


………

……




「「それだ!」」

「ばぁぶ!」


 離乳食を食べ終わった頃、アボシーとカルラが覗きに来た。


「あぁーーー♡ やっぱりかわいぃーー♪」

「あはぁ♡」


 2人とも赤ちゃんを見つめてアボシーは顔をとろんとさせ、カルラはだらしない顔で笑っていた。


「もうすぐ私たちにも!」

「です。かわいい赤ちゃんが!」


 2人とも、赤ちゃんを見つめたまま、段々と顔がだらしなくなっていくのであった。

 赤ちゃんがすやすやと眠り、2人がいつ、目を離すかなぁーとながめていたが、一向にらちかず、気にせず話し出した。


「3人とも来てくれ」

「はい」「「ふぁい」」

「僕とヘクディーの子供は、あり得ないくらい成長が早い。アボシーやカルラのお腹の大きくなり具合もヘクディーほどではないが、それでもやっぱりあり得ないくらい成長が早い。そうは思わないか?」

「さっき2人でしてた話しの続きね」

「そうですね。私のお腹、明らかに成長が早いです」

「私もです」


 エミールはうんと頷いて、


「で、僕とヘクディーには成長促進の術がかかっていて、4才なのにもう大人の体だ。もう目標まで成長したので効果はないと思っていた」

「はい」

「それで安心していたんだが、赤ちゃんたちを見ていたら、僕たちの成長促進が赤ちゃんに移っちゃったんじゃないかと思えてきてね」

「「おぉー」」


 エミールは3人を見回し、


「ヘクディーの赤ちゃんには僕とヘクディーの2人分、アボシーとカルラの赤ちゃんたちには僕の1人分の成長促進がかかっていたとしたら?」

「妊娠したのが1日2日違いなのに、このスピードの差につながっていると」

「なるほど」


 3人はうんうんとうないている。


「まぁ、でも誤差だよね。今のうちだけだよね。僕たちも4才から20才になるのに1ヶ月かからなかったし」

「「1ヶ月!」」


 そうして相互理解が深まっていくのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...