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四話
「では、お二人が気になられている事、…今回の現象について、こちらで把握している範囲でになりますが、私から説明させていただきたいと思います」
なるべく緊張させないよう、刺激しないように気をつけながら、居住まいを正して二人を正面から見つめる。
「…はい!」
「よろしくお願いします」
美希と春が頷いたのを見て、一先ずこの国の説明と宗教での主要な神たちの説明をしていく。
ただ、日本に居た記憶があるエンテは、日本育ちの人間の多くが宗教にあまり馴染みがないと知っているので、あくまでもそこはさらっと重要な部分をなぞる程度に収めておいた。
そしてマグヌスやマグナ、渡り人の説明に入っていくと、段々と美希の心の中で「ラノベっぽい…」という呟きが増えてきて、少し胸の内で笑ってしまった。一応真面目な話なのでここでは表面上不自然な笑みは浮かべないが、確かにファンタジーだよなぁと思う。
「そちらの世界とこちらの世界では相違も大きいでしょうし、すぐには理解するのも難しいですよね。説明が足りなかったり分かりにくかったりする部分があれば、遠慮なく訊いてください」
「あ、いえ、すごく噛み砕いてくださって分かりやすいです!」
美希が首と両手を振って否定すると、静かに説明を聞き続けていた春が口を開いた。
「その…マグナや渡り人、には何か役割のようなものはあるんですか?」
「それが、こちらもマグヌス神の正確な意図までは理解できていないのですが、今までの渡り人の前例を見ても、特に大きな問題もなく過ごされていたそうなので、民の間ではマグヌスの単なる気まぐれではないか、という予測が広まっております。…突然連れて来られたお二人の身としては納得いただけないことは重々承知しておりますが、申し訳ないことに、元の世界にお返しする手段もご用意できないのです」
エンテが胸に手を当てて頭を下げると、美希が元の世界に戻れないことに驚きつつも、慌てたように顔を上げさせようと少し身を乗り出す。
「そんな!エンテさんが謝ることじゃないですよ」
渡り人が元の世界に執着がないであろうと分かっているとはいえ、今回はそれが二人なのである。どちらかがただの巻き込まれの場合、片方は元の世界に戻りたいと思っている可能性も低くはないのだ。
しかし、本人の意思がどうであったとしても、彼らは高校に通う普通の子供である。彼らの未来を奪ってしまった異世界側の立場代表である以上、頭は下げなければならないだろう。
そうしていると、春の口からポツリと放たれた言葉が耳を掠めた。
「…俺は構いません。…あっちに残りたい理由も…ないので」
悲しい台詞に思わず顔を上げると、そう呟く春の表情は俯いていてあまり見えなかったが、少し打ち解けた前の時よりも暗く、ハイライトの消えた生気の感じられない雰囲気を帯びていた。
そんな春の隣で、美希も苦々しい笑みを作って同調する。
「私も大丈夫ですよ。こっちの世界の方が楽しそうだし!あっちは娯楽も結構多かったんですけど、その分大変なことも沢山あるんですよね」
エンテは、乙女ゲームと酷似しているというファンタジー世界での暮らしに想いを馳せて、目を輝かせている美希を見て、高校生らしいな、と老人のような気分で微笑ましく目を細めた。乙女ゲームの部分に関してはあまり笑えないのだが。
日本では転生モノ、転移モノ、といったジャンルのフィクションが広く親しまれているので、若い二人にとってもこの状況を少し飲み込みやすくする要因になったのだろう。
「そう言っていただけると助かります。…こちらも精一杯の待遇で迎えさせていただくので、何か要望がありましたら遠慮なくお声がけください」
「「ありがとうございます」」
すると、室内に扉の外からのノック音が響いた。
「聖君、レズリーです。お呼びとのことで参りました」
丁度間が良いこのタイミングに、この部屋に入る前に神官の1人に言って呼んで来るように伝えていた側近の1人が到着したようで、一同の視線が扉へ向かう。
「レズリー、丁度いいタイミングです。どうぞ入ってください」
「失礼します」
如何にも生真面目といった雰囲気の、分厚い眼鏡にぴっちりと揃えられた髪型から覗く硬質な表情を伏せて一礼し、中まで歩いてきたレズリーに笑顔を向け、少年少女の方に振り返る。
「ご紹介します。彼はレズリー=オーゴット、勤勉で努力家な者でして、この神殿にもとても精通しておりますので、シノハラさんとコハタさんの補佐をお願いする予定です」
「レズリー=オーゴットと申します。マグヌスの客人であるお二人にお会いできて光栄です。至らぬ点もございますが、精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します」
洗練された優雅な仕草で挨拶するレズリーに、呆けたように固まっていた美希と春が慌てて頭を下げる。
「篠原美希です、こちらこそよろしくお願いします」
「小幡春です、よろしくお願いします」
レズリーは、一見して硬くて取っ付きにくそうな見た目だが、いや、実際に硬くて取っ付きにくい性格なのだが、どちらかといえば理系タイプな感じなので、あまり神に仕えるもの特有のコッテリさは薄い。これは完全にエンテの感覚なのだが、初っ端に関わる人間は彼くらいの方が気負わず接することができるのではないかと考えての人選だ。
思いっきり逆効果である可能性もあるのだが、物は試し。
レズリー、美希、春の三人には頑張ってもらおうではないか。
「それで、シノハラさんとコハタさんにご相談がありまして」
普段、側近が自分の前で執務時間外に椅子に座ることはないのだが、二人の前なので、一人だけずっと立たせているのは気にするかもしれないな、とレズリーに着座を促しつつ、さっそくと最後の本題に入る。
「相談ですか?」
「はい、それが事前に用意させていただいていた渡り人用の住居が、一人の住居人が住むことを想定されて造られたものでして。もちろん改装して家具を追加で運び込むことも可能なのですが、お二人がお知り合いでないということでしたら、別で邸宅を準備する方が良いのではないかと思いまして。ですがそうなると、お二人のうちどちらかを、ひと月ほど私の住む邸宅へお招きする形になるのですが…」
神殿内は大分、体面や体裁、位の差による扱いの違いに厳しく、神の客人である人間を下手に格の低い場所へ住まわせることはできない。
その中で彼らが居住可能な場所は、当初の予定であった豪奢な一人用聖居に加え(歴史の中にも何人かここに住んだ渡り人の記録あり)、教皇の住まう本神殿奥邸宅か、聖君であるエンテの住居、そしてもう一人の聖君の邸宅。
教皇聖下の邸宅に関しては、本人がかなりお年を召されていることもあって最近は体調も優れないそうなので最終手段として除外で、もう一人の聖君も現在数年間の眠りに入っている期間なので、家主に許可を取ることができず除外、他に使えそうな場所も、全てが他の用途で使用中であったり、地盤の問題や何やらで取り壊しが決まっているような所ばかりである。よって、消去法でエンテの住居一択なのだ。
全てこちら側の事情なので申し訳ないが、二人にはどうにか理解をいただきたい。
「…それなら、ご迷惑でなければ、俺がエンテさんのお宅にお邪魔していいですか?」
そこで軽く片手をあげつつ、春が一番に声をあげた。
今までの会話ではわりと受け身な印象だったため、早急に名乗り上げてくれた春に、エンテと美希の視線が集まる。
「篠原さんは女性なので、エンテさんのお宅でお世話になるなら俺の方が何かと都合が良いかと思いますし。…篠原さんが構わなければ」
「はい!私もそれで大丈夫です!」
春の提案、正直、エンテにとってめちゃくちゃ助かる申し出だった。
このアウル神教では宗教規定で恋愛や結婚は禁止されていないものの、未婚の男女が一緒に住まうとなれば、それとこれとは別問題となる。
彼らより立場が下というわけではないと言えど、彼らの意思を最大限尊重したいため自分からあまり多く言うこともできず、本当に一瞬春君に後光が差して見えた。
エンテは身から溢れ出る上機嫌をふんだんに滲ませて春に向かって笑む。
「お気遣いいただきありがとうございます。そう言ってくださると助かります」
「あ、……いえ。…それと、俺の分の住むところも、エンテさんが嫌でなければ急ぎでなくて大丈夫なので、全然無理のない程度に…えっと、よろしくお願いします」
春は、エンテの実にキラキラしい笑顔を正面っから直視して、先ほどの美希と同様に頬を染めて目を逸らした。
エンテも春のリアクションに気づき、「ありがとうございます、そのようにしますね」ともう一度微笑んでから、ちょっとやりすぎたか、と小さく咳払いをしてレズリーと美希のほうに向き直る。
「それでは篠原さん、これからのことはこちらのレズリーに引き継ぐことになります。貴女なら基本的にどんな場所でも入ることができますが、いくつかある立ち入り禁止の場所などはその都度レズリーか、その他にも配属される神官たちに尋ねてください。それから、神殿内と言えどどこも安全というわけではないので、少し遠くまで出歩かれる際は神殿騎士か、神官を伴っていただきたいです」
「分かりました」
「突然このようなことになって困惑されているかと思いますが、どうかご自分の家だと思って寛いでください」
「はい、ありがとうございます!」
頷いてぺこりと頭を下げる美希に微笑みを向け、レズリーには、この後彼女を聖居まで案内してあげて、と目で指示を送る。
言葉にしなくても正確に意図を汲んでくれるこの側近は本当に優秀だ。自分の元から離れさせるのは少し惜しく思うが、まあ、数年と経たずまた戻らせることが出来るだろう。
「あ、あの…」
この場は一度お開きにするかという空気を出していると、立ち上がりかけた美希が口を開いた。
「何でしょう?」
「…その、引き継ぐ、ってことは、もうエンテさんと会うことはないんでしょうか?」
彼女の思考の中では、「せっかく少し仲良くなったのに…」という台詞が浮かんでいる。確かに、見知らぬ異世界で最初に仲良くなった人とすぐに疎遠になるのは嫌だろう。
「いえ、そんなことはないですよ。何かあればレズリーに言っていただけると時間の調整もできますし、私の活動範囲もここなので会うことも多いと思います」
「あ、それなら良かったです!…また、落ち着いたら小幡さんとエンテさんとご飯をご一緒したりしたいので、声かけさせてください!」
美希から感じる陽キャ成分に目を細めながら、エンテと春も揃って頷いた。
「はい、楽しみにしています」
「ぜひ…」
なるべく緊張させないよう、刺激しないように気をつけながら、居住まいを正して二人を正面から見つめる。
「…はい!」
「よろしくお願いします」
美希と春が頷いたのを見て、一先ずこの国の説明と宗教での主要な神たちの説明をしていく。
ただ、日本に居た記憶があるエンテは、日本育ちの人間の多くが宗教にあまり馴染みがないと知っているので、あくまでもそこはさらっと重要な部分をなぞる程度に収めておいた。
そしてマグヌスやマグナ、渡り人の説明に入っていくと、段々と美希の心の中で「ラノベっぽい…」という呟きが増えてきて、少し胸の内で笑ってしまった。一応真面目な話なのでここでは表面上不自然な笑みは浮かべないが、確かにファンタジーだよなぁと思う。
「そちらの世界とこちらの世界では相違も大きいでしょうし、すぐには理解するのも難しいですよね。説明が足りなかったり分かりにくかったりする部分があれば、遠慮なく訊いてください」
「あ、いえ、すごく噛み砕いてくださって分かりやすいです!」
美希が首と両手を振って否定すると、静かに説明を聞き続けていた春が口を開いた。
「その…マグナや渡り人、には何か役割のようなものはあるんですか?」
「それが、こちらもマグヌス神の正確な意図までは理解できていないのですが、今までの渡り人の前例を見ても、特に大きな問題もなく過ごされていたそうなので、民の間ではマグヌスの単なる気まぐれではないか、という予測が広まっております。…突然連れて来られたお二人の身としては納得いただけないことは重々承知しておりますが、申し訳ないことに、元の世界にお返しする手段もご用意できないのです」
エンテが胸に手を当てて頭を下げると、美希が元の世界に戻れないことに驚きつつも、慌てたように顔を上げさせようと少し身を乗り出す。
「そんな!エンテさんが謝ることじゃないですよ」
渡り人が元の世界に執着がないであろうと分かっているとはいえ、今回はそれが二人なのである。どちらかがただの巻き込まれの場合、片方は元の世界に戻りたいと思っている可能性も低くはないのだ。
しかし、本人の意思がどうであったとしても、彼らは高校に通う普通の子供である。彼らの未来を奪ってしまった異世界側の立場代表である以上、頭は下げなければならないだろう。
そうしていると、春の口からポツリと放たれた言葉が耳を掠めた。
「…俺は構いません。…あっちに残りたい理由も…ないので」
悲しい台詞に思わず顔を上げると、そう呟く春の表情は俯いていてあまり見えなかったが、少し打ち解けた前の時よりも暗く、ハイライトの消えた生気の感じられない雰囲気を帯びていた。
そんな春の隣で、美希も苦々しい笑みを作って同調する。
「私も大丈夫ですよ。こっちの世界の方が楽しそうだし!あっちは娯楽も結構多かったんですけど、その分大変なことも沢山あるんですよね」
エンテは、乙女ゲームと酷似しているというファンタジー世界での暮らしに想いを馳せて、目を輝かせている美希を見て、高校生らしいな、と老人のような気分で微笑ましく目を細めた。乙女ゲームの部分に関してはあまり笑えないのだが。
日本では転生モノ、転移モノ、といったジャンルのフィクションが広く親しまれているので、若い二人にとってもこの状況を少し飲み込みやすくする要因になったのだろう。
「そう言っていただけると助かります。…こちらも精一杯の待遇で迎えさせていただくので、何か要望がありましたら遠慮なくお声がけください」
「「ありがとうございます」」
すると、室内に扉の外からのノック音が響いた。
「聖君、レズリーです。お呼びとのことで参りました」
丁度間が良いこのタイミングに、この部屋に入る前に神官の1人に言って呼んで来るように伝えていた側近の1人が到着したようで、一同の視線が扉へ向かう。
「レズリー、丁度いいタイミングです。どうぞ入ってください」
「失礼します」
如何にも生真面目といった雰囲気の、分厚い眼鏡にぴっちりと揃えられた髪型から覗く硬質な表情を伏せて一礼し、中まで歩いてきたレズリーに笑顔を向け、少年少女の方に振り返る。
「ご紹介します。彼はレズリー=オーゴット、勤勉で努力家な者でして、この神殿にもとても精通しておりますので、シノハラさんとコハタさんの補佐をお願いする予定です」
「レズリー=オーゴットと申します。マグヌスの客人であるお二人にお会いできて光栄です。至らぬ点もございますが、精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します」
洗練された優雅な仕草で挨拶するレズリーに、呆けたように固まっていた美希と春が慌てて頭を下げる。
「篠原美希です、こちらこそよろしくお願いします」
「小幡春です、よろしくお願いします」
レズリーは、一見して硬くて取っ付きにくそうな見た目だが、いや、実際に硬くて取っ付きにくい性格なのだが、どちらかといえば理系タイプな感じなので、あまり神に仕えるもの特有のコッテリさは薄い。これは完全にエンテの感覚なのだが、初っ端に関わる人間は彼くらいの方が気負わず接することができるのではないかと考えての人選だ。
思いっきり逆効果である可能性もあるのだが、物は試し。
レズリー、美希、春の三人には頑張ってもらおうではないか。
「それで、シノハラさんとコハタさんにご相談がありまして」
普段、側近が自分の前で執務時間外に椅子に座ることはないのだが、二人の前なので、一人だけずっと立たせているのは気にするかもしれないな、とレズリーに着座を促しつつ、さっそくと最後の本題に入る。
「相談ですか?」
「はい、それが事前に用意させていただいていた渡り人用の住居が、一人の住居人が住むことを想定されて造られたものでして。もちろん改装して家具を追加で運び込むことも可能なのですが、お二人がお知り合いでないということでしたら、別で邸宅を準備する方が良いのではないかと思いまして。ですがそうなると、お二人のうちどちらかを、ひと月ほど私の住む邸宅へお招きする形になるのですが…」
神殿内は大分、体面や体裁、位の差による扱いの違いに厳しく、神の客人である人間を下手に格の低い場所へ住まわせることはできない。
その中で彼らが居住可能な場所は、当初の予定であった豪奢な一人用聖居に加え(歴史の中にも何人かここに住んだ渡り人の記録あり)、教皇の住まう本神殿奥邸宅か、聖君であるエンテの住居、そしてもう一人の聖君の邸宅。
教皇聖下の邸宅に関しては、本人がかなりお年を召されていることもあって最近は体調も優れないそうなので最終手段として除外で、もう一人の聖君も現在数年間の眠りに入っている期間なので、家主に許可を取ることができず除外、他に使えそうな場所も、全てが他の用途で使用中であったり、地盤の問題や何やらで取り壊しが決まっているような所ばかりである。よって、消去法でエンテの住居一択なのだ。
全てこちら側の事情なので申し訳ないが、二人にはどうにか理解をいただきたい。
「…それなら、ご迷惑でなければ、俺がエンテさんのお宅にお邪魔していいですか?」
そこで軽く片手をあげつつ、春が一番に声をあげた。
今までの会話ではわりと受け身な印象だったため、早急に名乗り上げてくれた春に、エンテと美希の視線が集まる。
「篠原さんは女性なので、エンテさんのお宅でお世話になるなら俺の方が何かと都合が良いかと思いますし。…篠原さんが構わなければ」
「はい!私もそれで大丈夫です!」
春の提案、正直、エンテにとってめちゃくちゃ助かる申し出だった。
このアウル神教では宗教規定で恋愛や結婚は禁止されていないものの、未婚の男女が一緒に住まうとなれば、それとこれとは別問題となる。
彼らより立場が下というわけではないと言えど、彼らの意思を最大限尊重したいため自分からあまり多く言うこともできず、本当に一瞬春君に後光が差して見えた。
エンテは身から溢れ出る上機嫌をふんだんに滲ませて春に向かって笑む。
「お気遣いいただきありがとうございます。そう言ってくださると助かります」
「あ、……いえ。…それと、俺の分の住むところも、エンテさんが嫌でなければ急ぎでなくて大丈夫なので、全然無理のない程度に…えっと、よろしくお願いします」
春は、エンテの実にキラキラしい笑顔を正面っから直視して、先ほどの美希と同様に頬を染めて目を逸らした。
エンテも春のリアクションに気づき、「ありがとうございます、そのようにしますね」ともう一度微笑んでから、ちょっとやりすぎたか、と小さく咳払いをしてレズリーと美希のほうに向き直る。
「それでは篠原さん、これからのことはこちらのレズリーに引き継ぐことになります。貴女なら基本的にどんな場所でも入ることができますが、いくつかある立ち入り禁止の場所などはその都度レズリーか、その他にも配属される神官たちに尋ねてください。それから、神殿内と言えどどこも安全というわけではないので、少し遠くまで出歩かれる際は神殿騎士か、神官を伴っていただきたいです」
「分かりました」
「突然このようなことになって困惑されているかと思いますが、どうかご自分の家だと思って寛いでください」
「はい、ありがとうございます!」
頷いてぺこりと頭を下げる美希に微笑みを向け、レズリーには、この後彼女を聖居まで案内してあげて、と目で指示を送る。
言葉にしなくても正確に意図を汲んでくれるこの側近は本当に優秀だ。自分の元から離れさせるのは少し惜しく思うが、まあ、数年と経たずまた戻らせることが出来るだろう。
「あ、あの…」
この場は一度お開きにするかという空気を出していると、立ち上がりかけた美希が口を開いた。
「何でしょう?」
「…その、引き継ぐ、ってことは、もうエンテさんと会うことはないんでしょうか?」
彼女の思考の中では、「せっかく少し仲良くなったのに…」という台詞が浮かんでいる。確かに、見知らぬ異世界で最初に仲良くなった人とすぐに疎遠になるのは嫌だろう。
「いえ、そんなことはないですよ。何かあればレズリーに言っていただけると時間の調整もできますし、私の活動範囲もここなので会うことも多いと思います」
「あ、それなら良かったです!…また、落ち着いたら小幡さんとエンテさんとご飯をご一緒したりしたいので、声かけさせてください!」
美希から感じる陽キャ成分に目を細めながら、エンテと春も揃って頷いた。
「はい、楽しみにしています」
「ぜひ…」
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