狂気の推し活令嬢リリアーナ様!

YY

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第27話:王都散策で事件勃発

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王都で囁かれる「ゼノン様の恋人候補筆頭」という噂。ええ、ええ、大変心地よい響きですわ!その噂のおかげで、わたくしに言い寄ってくるつまらない殿方もめっきり減りましたし、良いこと尽くめですわね!ですが、そのような甘い言葉に浮かれてばかりもいられません!むしろ、恋人候補となった今、その期待に応えなくてはなりませんわ!

わたくしたち『ゼノン様護衛騎士団』の至上の使命は、ゼノン様をあらゆる脅威からお守りすること!恋人候補であるならば、尚更ですわ!彼の背後は、わたくしが完璧に守ってみせます!

というわけで、わたくしは騎士団のメンバー(主に事務方兼ツッコミ役のアンナとカサンドラ、そしてわたくしを慕ってくれる、体力だけが取り柄の健気な後輩たち数名)と共に、お買い物ついでに王都の平和を守るためのパトロールを開始いたしました!ええ、もちろん表向きはただの優雅なお買い物ですわ。敵を油断させるための、完璧な擬態ですのよ。

「リリアーナ…これ、ただのウィンドウショッピングよね…?あなたの護衛騎士団、完全にあなたの荷物持ちになっているわよ。それに、パトロールと言いながら、あなたの手には三つ目のブティックの紙袋が握られているじゃない」
「お嬢様、あちらのブティックの新作ドレスが素敵ですわ…いえ、いけません!今は任務中でしたわ!ですが、お嬢様、先ほど購入された宝石、予算を大幅に超過しております…!」

隣を歩くカサンドラとアンナが呑気なことを申しておりますが、違いますわよ。これは、街の地理と人の流れ、そして敵が潜伏しやすそうな路地裏の構造を把握するための、重要な現地調査なのですから!それに、お買い物は経済を回し、民の生活を豊かにします。民の平和を守ることも、巡り巡ってゼノン様をお守りすることに繋がるのですわ!この高尚な論理が、なぜこの二人には通じないのかしら。

わたくしたちが活気あふれる市場を散策中、その時でした。わたくしの、長年の推し活で鍛え上げられた鋭い眼…『推し活アイ』が、群衆に紛れてコソコソと動く、一人の怪しい男を発見いたしましたわ!

あの、周囲を異常に警戒する挙動不審な動き、時折、騎士団の詰所がある方角を忌々しげに睨みつける視線…そして何より、あの覇気のないオーラ!間違いありませんわ!乙女ゲームで、物語の序盤に出てくる情報屋か、悪党の手先です!HPは低く、大した攻撃力もないけれど、重要な情報を握っているタイプのキャラクター!ゼノン様を狙う、悪の一味に違いありません!

「皆さま、ターゲット補足。レベル5のチンピラですわ。これより追跡を開始しますわよ。作戦コードは『物陰に潜む乙女』です!」
「その作戦名はなんですの!?乙女はあなた一人だけよ!」
「アンナ、カサンドラ、後輩たち!フォーメーションBに移行!わたくしを扇のかなめとして、美しい鶴翼の陣形を保ちなさい!」

わたくしはアンナとカサンドラに目配せし、直ちに追跡を開始いたしました!果物屋の陰に隠れ、パン屋の香ばしい匂いに紛れ、魚屋の威勢のいい声援を背に受けながら、わたくしたちは完璧なチームワークで男との距離を詰めていきます!わたくしの的確なハンドサインのもと、後輩たちも大量の買い物袋を抱えながら、見事な連携を見せておりますわ!

そして、ついに男を人通りの少ない路地裏に追い詰めましたわ!もう逃げ場はありません!袋の鼠とはこのことです!

わたくしは、まるで舞台女優のように男の前に立ちはだかり、ビシッと扇子を突きつけ、朗々と響き渡る声で高らかに言い放ちました。

「悪党め、観念なさい!わたくしたち『ゼノン様護衛騎士団』が、あなた様の悪事を全て見抜いておりますわよ!ゼノン様への愛を、舐めないでいただきましょう!」

男は、突然現れたわたくしたち…ドレス姿の令嬢と、大量の荷物を抱えた集団に完全に度肝を抜かれ、ぽかんとしております。そして、わたくしは勝利を確信し、天に向かって合図を送りました!物陰に待機させていた騎士団員たちが、わたくしの合図と共に、男の頭上…建物の二階の窓から、先ほど市場で買ったばかりの、新鮮で、ずっしりと重いキャベツを大量に投下したのです!これぞ、わが騎士団の秘策、『オペレーション・グリーン・レイン』ですわ!

「ぐわっ!?な、なんだぁ!?」

緑色の砲弾が、見事ターゲットに命中!頭にキャベツの直撃を受けた男がよろめきます。足元に転がるキャベツに足を取られ、体勢を崩したその隙を、わたくしたちが見逃すはずがありません!

「今ですわ!突撃ー!」

わたくしの号令一下、残りの団員たちがラグビーのように勇猛果敢に突撃し、男を地面に押さえつけ、見事、結社の連絡係らしき男を捕縛いたしましたわ!完璧な連携プレーです!

その時でした。

どこからか、わたくしたちの完璧な捕物劇を見ていたらしい、愛しいお方のお姿が!路地の入り口に、夕日を背にして立つそのお姿は、まさにゼノン様ですわ!そのお顔には、信じられないものを見たという、純粋な驚きが浮かんでおります。

きっと、わたくしたちのその見事な実力に、驚きを隠せないのでしょう!ええ、ええ、分かりますとも。わたくしが、ただ守られるだけのか弱い令嬢ではなく、これほど有能なパートナーであるとは、思いもしなかったことでしょう!

わたくしは、捕らえた男を彼の前に突き出し、これ以上ないほど誇らしげに胸を張って自慢いたしました。

「ゼノン様!あなた様のために、捕まえましたわ!」

ぽかんとした顔で、キャベツまみれで気絶している男と、得意満面のわたくしを、交互に見つめるゼノン様。そのお顔には、驚愕と、感動と、そしてほんの少しの困惑が浮かんでいるように見えます。あの、固く結ばれた唇は、込み上げる賞賛の言葉を必死にこらえている証拠ですわね!

ふふ、わたくしのあまりの手際の良さに、言葉も出ないようですわね!
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