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25. 転校生のご乱心
しおりを挟む「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」
な、なんだなんだ藤田転校生が壊れたおしゃべり人形のように再生してるぞ、それも髪を振り乱してゆらりゆらりと副委員長に詰め寄っている。顔の表情がおかしい。
これはもはや萌えでなくホラーになってるぞ、落ち着くんだ藤田くん!
副委員長が壁に追いやられていて身動きも出来そうになくなっている、だと!?マジで攻め無双…「…むう?」
な、なんと藤田転校生君は机の上に工作用カッターを見つけ両手で持ったのだ!
ちょ、僕はBL見たいのであって、サスペンスはどうもお呼びじゃないのだよーーッ
「ふ、藤田ぁぁぁ」
なんだか嫌な予感がして、僕はドアを大きく開けて転校生を呼んだ。
なんてことだ、転校生の藤田は三角関係の縺れで予想外の行動に出ていたのだ!!
「槙人を……おれの槙人なんだおれの槙人おれの槙人おれの槙人!!」
「うわっ!」
副委員長にカッターを振りかざした藤田はやっぱり怖くて、でも僕は部屋の中を走って藤田を止めようと背中から抱き寄せた。
「うあ″ーーー!!」
藤田はめっちゃ暴れる。副委員長は一時的に硬直してたけど直ぐに方向転換して壁から離れたようだ。ぐっちょぶ運動神経!
藤田は僕と身長は同じようだけど力が強い……体育会系の生霊に取り憑かれてるのかと思うほどだ。
「うー」
あうあう。この体勢がもう効かなくなりそう。腕もぷるぷるする。
副委員長は僕の背後に回り込んでくれたようだけど、カッターを振ってる藤田の動きに手が出せないようだった。
カッター怖いな!! それも両方で振り回している……怖いのは全く考えないで傍若無人に振り回してるから何処に命中する分からない、怖い。
「やめ、るだ、藤田転校生……」
僕の力が弱って振りほどかれて片手が離れる。その時、腕に熱い痛みを感じた。
どうしたんだよ、藤田転校生!
学園にまで追いかけて来るほど大事で大切な本命の副会長を横から風紀副委員長に寝取られたのか?
まさか副委員長と副会長の×は考えてなかった未曾有だけども、でもこんな事をしちゃ良くないよ?
もっともっと藤田が傷つく行為なんだから。
なぁんて真面目なことも僕は言えるんだからな……「はぁ、はぁ……」言っておくが、このはあはあは萌えによるもんじゃないぞ……身体もドンって突き飛ばされてバランスが崩れると、なんてこと机の角にドンっと頭を打ったようで。
あ~あ、床に赤い血が見えた……今日は鼻血やらなんや垂れちゃう日だな……。
くらくらしてズキズキして……僕は真面目に貧血になったようで視界が真っ暗になった。
その前に、これが王道で言うところの巻き込まれっていうものかーー。
そんな僕を見て、またタカ先輩が容赦なく「阿呆か!!」って言うのだろうな……。
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