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僕のちょっとした秘密
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ユリウス皇帝の執務室での簡単な話し合いが終わった。
執務室には穏やかな空気が流れ始めた。宰相と思われる人物に指示を終えたらしい皇帝は改めて僕たちに視線を会わせた。
「先程から気になっていたのだが・・・・・・。目の色が変わってはいるがそちらのメイドはミリアンヌ・ホーネス公爵令嬢ではないか?」
皇帝はミリアンヌの身元に気づいたらしい。王太子の婚約者だって言ってたし、やはり有名なのだろう。
ちらりとミリアンヌに目を向けると少し考え込んでいるようだった。
「……はい。皇帝陛下のおっしゃる通りです。ただ、婚約は破棄され家も勘当されたので今は関係ありません」
「そうか。ミリアンヌ嬢が国外追放になったという話は聞いていたがまさかヴァンパイアになっているとは。驚いた」
皇帝にもあの最低な王太子の話は伝わっていたらしい。しかし、詳しいことまでは知らないようだ。
ミリアンヌを捨てた馬鹿で最低な王太子は国外追放という名の暗殺を謀ったのだ。僕と出会う前のミリアンヌはただの令嬢に過ぎない。‘’魔の森‘’に放置すれば死ぬことなど目に見えている。まあ、話を聞く限りその王太子は頭が足りていないようだからそこまで考えてのことではないだろう。
たぶん指示したのはアナタシア男爵令嬢のはず。ミリアンヌを森に置いて行ったのは騎士だと言っていたからそいつらとも何らかの関係があったのだろう。まるで転生ものの電波系ヒロインみたいだ。
「……アーノルド王国とは‘’魔の森‘’を挟んでいるんだが、戦争まではいかずともあまり仲がいいとは言えないんだ。しかし……そうか。ミリアンヌ嬢の評判は帝国でもいい。そんな彼女を追放するとは…アーノルドの王太子は王の器ではないようだな」
皇帝が元婚約者を厳しい―――もとい馬鹿扱いをしているがミリアンヌからは何の反応もなかった。興味が全くないようだ。
「僕もそう思うよ。慣れない家事の仕事も一生懸命覚えようと努力して……。ミリアンヌはいい王妃になれていたと思うよ」
「もったいなきお言葉です。ヴィント様」
「ふふ、事実だからね。もう僕はミリアンヌがいないと森での生活が寂しくなると思う」
「……ヴィント様……」
目に涙を浮かべるミリアンヌと目を合わせ笑い合う。僕はそれだけで幸せだなぁと思うのだった。
「……団長。なんか二人の世界が広がり始めていますが割り込まなくてよろしいのですか?」
「ヒュー。つまりあの二人は?」
「いえ、違うと思いますよ。陛下。……申し訳ありません。うちの団長が動かないのでひっぱたいてもらってもいいですか」
「……やめろヒュー。ったくほんとあの二人は。なんか俺自信なくなってきたぜ」
「「ヘタレが」」
僕とミリアンヌが幸せに浸っているうちにテオ達は何やらこそこそと話していた。
「何の話してるの?」
「いえ、うちの団長がヘ……ムグ」
「黙れ馬鹿が!」
何か言おうとしたヒューの口をテオが慌てた様子で塞ぐ。
……それ大丈夫?ヒューの顔色青くなっててるけど。
皇帝が取り繕うように話題を変える。
「んんっ!気にしないでくれ。こいつらのいつもの悪ふざけだからな。……ところでヴィント殿にも聞きたいことがあるのだが……。自身のことを僕と言っているようだが……女の子…だよな?」
その皇帝の質問にふざけていたらしいヒューとテオも静かになった。
僕の一人称が気になっているようだけど……。
「なにさ。僕が女の子に見えないっていうの?」
「いや、そういうわけではないんだが。ただ、差し支えなければその理由を聞いてみたいなと思ってな」
僕が『僕』の理由か……。
「別に面白い話じゃないよ?」
執務室には穏やかな空気が流れ始めた。宰相と思われる人物に指示を終えたらしい皇帝は改めて僕たちに視線を会わせた。
「先程から気になっていたのだが・・・・・・。目の色が変わってはいるがそちらのメイドはミリアンヌ・ホーネス公爵令嬢ではないか?」
皇帝はミリアンヌの身元に気づいたらしい。王太子の婚約者だって言ってたし、やはり有名なのだろう。
ちらりとミリアンヌに目を向けると少し考え込んでいるようだった。
「……はい。皇帝陛下のおっしゃる通りです。ただ、婚約は破棄され家も勘当されたので今は関係ありません」
「そうか。ミリアンヌ嬢が国外追放になったという話は聞いていたがまさかヴァンパイアになっているとは。驚いた」
皇帝にもあの最低な王太子の話は伝わっていたらしい。しかし、詳しいことまでは知らないようだ。
ミリアンヌを捨てた馬鹿で最低な王太子は国外追放という名の暗殺を謀ったのだ。僕と出会う前のミリアンヌはただの令嬢に過ぎない。‘’魔の森‘’に放置すれば死ぬことなど目に見えている。まあ、話を聞く限りその王太子は頭が足りていないようだからそこまで考えてのことではないだろう。
たぶん指示したのはアナタシア男爵令嬢のはず。ミリアンヌを森に置いて行ったのは騎士だと言っていたからそいつらとも何らかの関係があったのだろう。まるで転生ものの電波系ヒロインみたいだ。
「……アーノルド王国とは‘’魔の森‘’を挟んでいるんだが、戦争まではいかずともあまり仲がいいとは言えないんだ。しかし……そうか。ミリアンヌ嬢の評判は帝国でもいい。そんな彼女を追放するとは…アーノルドの王太子は王の器ではないようだな」
皇帝が元婚約者を厳しい―――もとい馬鹿扱いをしているがミリアンヌからは何の反応もなかった。興味が全くないようだ。
「僕もそう思うよ。慣れない家事の仕事も一生懸命覚えようと努力して……。ミリアンヌはいい王妃になれていたと思うよ」
「もったいなきお言葉です。ヴィント様」
「ふふ、事実だからね。もう僕はミリアンヌがいないと森での生活が寂しくなると思う」
「……ヴィント様……」
目に涙を浮かべるミリアンヌと目を合わせ笑い合う。僕はそれだけで幸せだなぁと思うのだった。
「……団長。なんか二人の世界が広がり始めていますが割り込まなくてよろしいのですか?」
「ヒュー。つまりあの二人は?」
「いえ、違うと思いますよ。陛下。……申し訳ありません。うちの団長が動かないのでひっぱたいてもらってもいいですか」
「……やめろヒュー。ったくほんとあの二人は。なんか俺自信なくなってきたぜ」
「「ヘタレが」」
僕とミリアンヌが幸せに浸っているうちにテオ達は何やらこそこそと話していた。
「何の話してるの?」
「いえ、うちの団長がヘ……ムグ」
「黙れ馬鹿が!」
何か言おうとしたヒューの口をテオが慌てた様子で塞ぐ。
……それ大丈夫?ヒューの顔色青くなっててるけど。
皇帝が取り繕うように話題を変える。
「んんっ!気にしないでくれ。こいつらのいつもの悪ふざけだからな。……ところでヴィント殿にも聞きたいことがあるのだが……。自身のことを僕と言っているようだが……女の子…だよな?」
その皇帝の質問にふざけていたらしいヒューとテオも静かになった。
僕の一人称が気になっているようだけど……。
「なにさ。僕が女の子に見えないっていうの?」
「いや、そういうわけではないんだが。ただ、差し支えなければその理由を聞いてみたいなと思ってな」
僕が『僕』の理由か……。
「別に面白い話じゃないよ?」
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