小人の冒険(暴言)[日本語翻訳版]

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暴言・壱 トゥンドゥの森の冒険記(能天気)

Part2 真昼中(まひなか)の会議

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前回のあらすじ
キヤリ、猛り狂う
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 外出部隊のキヤリ、サチ、フェリンがトゥンドゥによる(と思われる)犯行を長老に報告しに行くと、そこには彼の両親も来ていた。
「どうやらあの子、隠れて鍛えているみたいよ。ここまで迷惑をかける子になってしまうなんて……」
「すまない、私たち親が止めなければいけないのに」
 トゥンドゥの両親はすっかりやつれて萎れてしまっていた。しかったらイタズラを止める訳でもなく寧ろ悪化するのなら、何でもかんでも禁止しすぎないほうがよかったのだろうか? 難しい問題だ。少なくとも確かなのは、この二人がこの群れで一番の苦労人なことである。
 運び屋キヤリはぶぉりぶぉり頭を掻きながら答えた。
「まあいいってことよ。道具は全部直してまた使えるようになったんだし。な、サチ」
「キヤリは能天気すぎない? これがずっと続くと困るでしょ。どうするボス?」
 ちなみに「ボス」とは、外出部隊の隊長であるフェリンのことである。巨漢で顔がいかちいフェリンが「ボス」なんて呼ばれていたら、いかがわしい組織の親玉にしか聞こえない。
「そうだな」
 え、私の考えを肯定した?
「隠れてイタズラもとい嫌がらせされるのも問題だが、このままでは知らないうちに勝手に外に出て、危険な目に合いかねない」
 ああ、トゥンドゥの話か。
「フェリンの言う通りじゃ。今一度、トゥンドゥとの向き合い方を改める必要があるかもしれんのう」
 どうやら外出部隊と顎がツルツルの長老は、大人げなく力でねじ伏せたのは、流石にやりすぎだったと反省しているようだ。もっとも私は、お気に入りのナイフに唐辛子を塗られているので、全然トゥンドゥのことが可哀想だと思っていないし、もっと本気で叩きのめしていいと思ってるし、叩きのめさないのは別に仕返しが怖いからやってないとかではないしい!
 とにかく、大人たちは悪ガキトゥンドゥ緊急対策会議を行うことになった。子供たちへの教育上のことも考慮し、会議はトゥンドゥを含めたチビどもが眠りについた後、すなわち朝に開催された。小人ロトーツは夜行性だから、君たちから見たらややこしいかもしれないね。話を戻そう。
 ロトーツ族は仲間意識が強い。確かにトゥンドゥは憎たらしいし、言うこと聞かないし、ろくなことしないし、愛嬌もなければ可愛げもないし、腹が立たない日は無いし、挙げたらきりがないが、それでも群れの一員である。
 ロトーツたちはその柔軟な思考で議論に議論を重ね、真昼中まひなかの会議は昼通ひどおし続いた。
「……落書きに盗み食い、勝手に物も隠すし、加えて誰にも見つからないように行動……ろくでもねえなコイツ」
「ちょっと、キヤリ!」
 若者キヤリ、いや馬鹿者キヤリの一言で、トゥンドゥの両親はすっごい縮こまってしまった。
「本当にごめんなさい。いつからトゥンドゥちゃんはこうなっちゃったのかしら……」
「…………割と最初からこんな感じだった気がするけどね……」
「二人とも大変だねえ。それでどうするんだい? 誰か良い案を思いついたら話しておくれ」
 そう言ったのは、フェリンの奥さんだった。どうやら司会進行を務めるらしい。今日は時間が無いから、彼女の紹介はまた今度にしよう。
「とりあえず、外への出入口の見張りを、今までより強化することは決定済みですよ! 門番チーム皆で協力して、脱出阻止しちゃうんですから!」
 まず発言したのは、太っちょ見張りのゲトナだ。奴についての説明も、別の機会にしよう。
「それならさ、もうずっとトゥンドゥを監視すればいいんじゃない? そうすればイタズラなんてできないでしょ」
 ええと、これはサチのセリフだな。
夜中中よなかじゅう常に、は難しいのでは? 私たちも仕事がある訳ですし」
 今の発言はミルか……ええい、いっぺんに喋るな! 大体、なんでこんな序盤に会議シーンなんかを描写するのだ! 大量のネームドキャラをいきなり紹介しても、読者が覚えられる訳なかろう! いい加減にしたまえ! 断っておくが、君たちの記憶力を馬鹿にしているつもりは無いから安心したまえ!!
 良い対策案が出ず、会議が行き詰まってきた頃、キヤリはぼやいた。
「そもそもよお、なんであいつはイタズラばかりするんだ?」
「誰かにかまって欲しいのかな? それにしては度が過ぎていると思うけどね」
 今の言い方的に、キヤリとサチはトゥンドゥのやったことを大目に見ているようだ。それじゃあ、いつまでもナイフで怒っている私が子供みたいじゃないか。
「多分息子は好奇心が旺盛すぎるんだ。それが悪い方向に向いてしまっている訳だが……」
「やっぱり私が何でも禁止したのがいけなかったのかしら……」
 トゥンドゥの両親は蚊の鳴くような、か細い声で答えた。心の底から、息子のイタズラに参っているようだ。
「何にでも興味が湧いている、ってことか。それだと尚更、外に出ていく可能性が高いぞ」
 フェリンも難しい顔をして言った。すると長老、何かを思いついたのか、キザったらしく指パッチンした。似合わないこと、この上ない。
「そしたら、トゥンドゥの関心を別のことに向けるのはどうじゃ? 何か一つのことにのめり込んでさえすれば、イタズラにも外出にも、見向きせんようになるじゃろ」
 こうして、トゥンドゥの行動を制限するのではなく、木工なり料理なり、何か別のことで鬱憤を晴らさせることにしよう、という結論に至った。気づけばもう夕方である。日が沈み本来の活動時間である夜が再び訪れたため、具体的な案は、翌日の昼の会議に回すことになった。しかし、次の朝まで待つ必要はなかった。真昼中の会議の裏で事件が起きていたのだ。

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次回
犯小人、まさかのサチ(大噓)
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