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過去からの再始動
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昼は娼館で客を飽きさせないための話術や情報収集に加え、製菓学校に入るための勉強。時折春の街にもカフェがいくつかあったので、スイーツの新作チェック。
夜はヘトヘトになるまで客の相手をいくつもこなし、嫌悪に吐きながらも抑制剤と避妊薬を飲む日々。
杏は必死になって一年経たずに製菓学校に入る入学金などを貯め、娼館の主人を通じて玉之浦当主に連絡を取ってもらった。当主は約束を反故にすることも、世迷言だと一蹴することなく、杏が製菓学校の受験ができる手はずを整えてくれて、なおかつ外の街に出る許可証も発行してくれた。
娼館の主人は、玉之浦の当主がそこまでしてくれることに驚いていたが、杏の頭の中はこぼれてしまった夢が掴める可能性にいっぱいとなっていた。
学校に入学してからは、これまで以上に多忙を極めた。以前は五時間あった睡眠時間もこの時は二時間、多くて三時間あれば良かった。
それでも杏は仕事も勉強も頑張った。夢の一端を掴んだのだ。ここで多く稼げば、店を開く資金を貯めれることができる。
客の前では可憐で愛らしいと称される杏花として、さまざまなアルファに抱かれたし、中には身請けをしたいと申し出てくれた奇特なアルファもいた。
だけど、人に期待をしないと誓った杏は全てを断り、ただただ夢の実現のために邁進していたのである。
若さを過信していた、と当時を振り返り杏は苦笑する。
専門学校の履修期間は二年間。杏は必死にしがみつきながら過ごしてきたが無理がたたり、杏は街中で倒れてしまう。
唐突に倒れた杏を助けてくれたのが、素香久志だった。
久志はあまり良い評判を聞かないオメガ専用娼館で働いていた。
杏は絶望し、死んだ目をした久志にかつての自分を見た気がして、助けた礼と言っては食事に誘ったり、ふたりで出かけたりと久志と交流を深めていった。
しかし、杏は街の中でも上位とされている睡蓮館の売れっこ娼夫であることは秘密にしていた。杏花ではなく一個人の杏として久志と会いたかったから。
思えば、杏は久志にで出会った時から親愛とは違う感情を抱いていた。ドロドロとした情交を伴う愛情になったのはいつだったろうか。
杏は久志を愛してしまった。彼が何かの目的を持って春の街にいると薄々気づきながら……
そうして、杏は久志と一回だけだからと体を結んだ。もちろん、うなじは絶対噛まない条件で。
それから杏は学校を卒業し、昼間は翠蓮館の厨房でパティシエの修行を始めた。
師匠となったパティシエは海外のコンテストで入賞を果たし、乞われて翠蓮館で働くようになったアルファ男性だった。彼は番持ちだったので、杏も安心して彼に教えを請うことができた。
修行は厳しく大変だったが、杏は満たされた日々を過ごしていた。
だから気付かなかった。自分の体の内で新しい命が芽吹いていた事実に。気づいた時にはもう堕胎できる期間はすでに過ぎていた。
「だから憂璃を産んだ。どちらにしても妊娠が判った時点で産むつもりだったけど」
「……どうして?」
「大好きで愛してる男との子供だから」
母はきっぱりと憂璃の質問に答え、ニッと笑った。
「ただ、久志とはそれっきり会わなかった。久志はアルファだからな。いずれ街を出て行くって思ってたし、憂璃とボクが足かせになるのはダメだろうな、ってさ」
少しだけ翳りのある瞳に、憂璃の胸がズクリと痛む。
好きだから、相手の足かせになりたくないから、母は憂璃をひとりで産んで育てた。
番のないオメガひとりで子育てできたのは、春の街だったから。
あの場所は色を売ってる爛れた街だと誤解されているが、本当は不遇なオメガを守るためにある楽園だと気づいたからだ。
「ところで、憂璃から話を聞いたが、お前憂璃を育児放棄してただろう。なぜ好きな男との子供を放置した」
「は? 育児放棄? 誰が」
「実際、俺が引き取りに行ったときも部屋に居なかっただろう。そのあたりの言い訳があるなら聞いてやる」
なんだよそれ、と色の褪せた唇を尖らせる母は、やはり顔色が良くないと記憶にある母と比べて感じる。
しかしここで嘴を挟むよりかは、母が事実を喋るまで黙ってようと唇を閉ざした。
流石に憂璃を妊娠した状態で客を取るわけにもいかず、杏は娼館の主人に妊娠の事実を告げた。当然相手の素性を尋ねられたが、頑として口を割らなかった。
たった数年の付き合いであるが、売れっ子娼夫の杏花を育てたのは主人だ。杏の頑固な性格も理解していた。それにここは春の街。素性の知れない子供を孕んだオメガなんてゴロゴロいた。
結局、子供がいては娼夫を続けることは難しいと、杏花を大々的に告知をして引退させ、その後は主人の代わりに経理を担当しつつ、パティシエ修行を続けることで折り合いを提示してきた。
ただ、娼館に住み続けることはできないため、近くのアパートに引越しをせざるを得ない。
これから子育てで時間が取られるのもあり、引越し資金でお金が飛ぶのは正直懐は痛かったが仕方ないと諦める。
杏は派手な引退式をし、引越しを済ませてしばらくしてから、ひっそりと街にある個人病院で憂璃をひとり出産した。
アルビノで生まれた憂璃の子育ては通常よりも苦労をしいられたものの、純真無垢な我が子の笑顔に救われていた杏は、朝に夜にと働き続け、生活費だけでなく将来の開店資金をこつこつと貯め続けていた。
「ずっと家にいなかったのは、働いてたからだったんですね」
「そう。正直、店を引退する時にご祝儀たんまり貰ったんだけど、憂璃頭の良い子だったから。できれば大学まで行かせたかったんだよ。その貯金もあってさ」
長年、自分は母に放置されていた子供だと思っていた。
朝も夜もひとりで過ごし、休みになってもどこかへ行った記憶もない。
街の外の大人はかわいそうと言っていたけど、そういった事情があったなんて知らなかった。
「それで、お前が自分の店と憂璃のために貯金していたのは分かった。じゃあなぜ、どうして憂璃を俺に売るなんて発想になったんだ」
できることなら、ずっと傍で成長を見守ってたかったんだけど、と言い、母は話を続ける。
転機が訪れたのは憂璃が中学一年のころだった。数年前からずっと体調がおかしい時があり、重い腰をあげて病院に行った杏は、そこで自分の子宮に腫瘍が発見されたのを医師から告知される。春の街では強い抑制剤と避妊薬を併用するからか、オメガの子宮がんは割と多い病気でもあった。
一年ほど薬物療法で様子を見てきたが、日ごと腫瘍は大きくなり、血液検査の数値もよくない。できれば早く手術を、と言われたものの杏は決断できずにいた。
経理の仕事も、スー・シェフとして師匠の助手としてパティシエの仕事を任せてもらえるようになり、日々楽しいと実感していたのに、手術となればその後の治療にも専念しなくてはならず、果たして職場復帰できるか分からない。
つまり、収入も途絶えてしまうし、それどころか病状が進行していたら、どれだけ生きていけるかも分からない。
どうしようと、杏は四六時中悩んだ。
憂璃は大切で愛している男との子供だ。ずっと客だった金持ちアルファの子だと嘘をついてたから、もし自分が死んでしまったあと、正直な憂璃は嘘の父親に会いにいくかもしれない。
当然嘘であるから、そうなれば憂璃は完全孤立して、自分と同じ世界に身を落とすことになる。
そんな時、杏は椿の姿を初めて街の中で見かけた。
数年前に父である玉之浦柾から街の運営を引き継ぎ手腕を振るっていると、娼館の主人が気色ばんではしゃいでいたのを思い出す。
椿の父は、杏にとっては恩人だ。
浅学で白濁をこびりつけたままの子供を、街の高級娼館へと紹介してくれ、パティシエの道の門戸を開いてくれた。
あの厳しくも頼もしい人の子だったら、憂璃を託してもいい。
杏は椿の会社や現れる日を調べ上げ、非道で育児放棄をしている悪役母を演じ、見事椿に憂璃を託すことに成功したのである。
「いやぁ、ハリウッド俳優もびっくりな演技力!」
「冗談を言うなら後にしろ」
はいはい、と軽く椿をあしらい、母は憂璃に視線を向け、ゆっくりと口を開く。
「ボクが死んだら、誰が憂璃の面倒を見る? あの頃は久志が父親だっていうのも言ってなかったし、ボク自身久志が街を出てからどこに行ったなんて知らなかった。だから、地位も金もあるあなたにボクの大事な息子を託したんだ」
「……」
「まあ、久志に再会したのは偶然。今、春の街にカフェを開いてるんだ。玉之浦さんなら知ってるでしょ、『フルール・ド・リス』ってお店。あれ、ボクの店」
「確か、あれは翠蓮館の主人が名義で……」
「そうそう、売上の一割入れる代わりに名義人になってくれるって言ってくれてさ。ほら、ボク憂璃以外の家族がいないから、保証人立てれないし」
「ふるーるどりす?」
椿の話によると、最近春の街で人気のカフェがオープンしたそうだ。
街のオメガだけでなくアルファにも人気で、同伴したり店外デートで利用されるとのこと。
母が長年の夢をどうであれ実現させたことに驚きながらも、憂璃は母の体調に関して揺れる瞳で問いかける。
体調も手術を無事終わらせ、現在は再発を防ぐために定期的に病院に診察を受けているものの、比較的健康との話を聞いて、憂璃はホッと息をつく。
「あ、そうだ。話ふっとばして悪いけど、久志はどうなるの?」
本人にとっては気になってる質問なのだろう。椿は憮然としながら、またも煙草に火を灯し紫煙をくゆらせながら話しだす。
「正直、久志の事情を差っ引いてもぶっ殺したい気持ちが強いんだがな……憂璃、お前はどうしたい?」
「え?」
唐突に水を向けられ、ぼんやりしていた頭が弾けたように明瞭になる。
許せるかと言われたら返答に困る。今は点滴で落ち着いているが、自分は訳のわからない薬を打たれたのだ。
だからといって、椿がいうような物騒な展開も好まない。
「あの、先生って、今どうなっているんですか?」
記憶にあるのは母が教師を包丁で背中を刺した所まで。母の尋ねた内容や椿の発言を考えるに生きてはいるようだけど……
「……死んじゃいない。今は一般病棟でほぼ眠った状態だ。しかし、もう二度と歩くことはできない。腰椎の一部が破損してしまってな、俗に言う下半身不随になった」
「っ!」
「ですが、起こしたことが大きいですからね。うちも警察の介入は避けたいので、現在本家で対処について協議中なんですよ、憂璃さん」
処分……それは最悪、茶咲親子のように何かとんでもない報復がされるのでは、と憂璃はブルリと体を震わせる。
椿は憂璃の様子に気がつき、急いで吸いかけの煙草を灰皿で押し潰し、憂璃の肩を引き寄せると自分の胸へと押し付けた。
「大丈夫だ。そもそもの原因が茶咲にあるからな。ある意味久志も被害者だ。そう悪いようにはしない。前にも言っただろう、俺たちは素人さんに手を出すほど落ちぶれちゃいない」
「……うん」
頬を広い胸に押し付けると、椿のかすかなフェロモンの匂いがして、揺れていた心が静かになるのを感じる。椿が吐息するたびに楓蜜の甘い香りが憂璃の髪を撫で、とても幸せな気分に満ちていた。
◇◆◇
一ヶ月後。春らしい気候の中にも、少しだけ汗ばむようになったある日。
「憂璃、本当に一緒に来なくても大丈夫?」
「うん。前にも話したけど、外の世界で頑張ってみたいから」
杏は相対して微笑む憂璃を心配し、不安げに眉を歪める。
車の後部座席には、むっつりと黙り込む元数学教師で、憂璃の実父である久志が座っている。
椿は久志とソリが合わないのか「一服してくる」と離れてしまい、憂璃の隣には壱岐が立っていた。
茶咲の庶子ではあるものの、すでに戸籍上は他人となっている久志の処分について、玉霞会内ではさまざまな意見が飛び交ったという。
極道が一般人を手にかけると警察がうるさい、と諭す人や。
逆に極道が一般人に舐められたのだから、それなりに制裁を加えるべき、と反論する者。
それよりもそもそもの原因である茶咲元組長をどうにかするべきだろう、と責任転嫁を糾弾する人。
それはもう、収拾つけるのが大変だったと語ってくれたのは、憂璃のお見舞いに来た玉霞会の会長夫夫。つまりは椿の両親だった。
結果を言えば、久志の身は杏に一任された。多額の身代金を杏が支払って。
椿はその金が自分が憂璃を引き取る時に支払ったものだと気づいたものの、憂璃の進路については椿が出す気でいたため、あえて口を挟まず静観した。
結局は玉霞会に戻ったんだからいいじゃない、とは葵衣談。憂璃は美人なのに豪胆だなと内心で感想を漏らした。前に会った時は物静かで美人なオメガという印象しかなかったが……
それで、と切り出したのは、椿の父である柾だ。
憂璃の母である杏とは春の街に入ったころから縁があり、今回のことについてもかなり譲歩した部分があると語ってくれた。
それでも、久志は仕事を奪われ二度と歩くこともできない、だからいいのではと会の役員たちを黙らせたとのこと。ただ、二度と悪さができないよう杏を監視に置き、春の街からも杏が付き添いでない時には出さないようにもしてあるそうだ。
寛大な采配に、憂璃は自然と頭を下げた。
本当に感謝してもしたりないほどだ。
久志の処分が決まってから、杏は憂璃に何度か一緒に来ないか、と誘ってくれた。
随分遠回りしてしまったけど、もう一度親子としてやり直したい、と。
杏から久志にも、憂璃がふたりの子だと話したそうだ。多少驚きを見せたものの「そうか」と言ったきり、それから随分言葉が減ったとぼやいていた。きっと時間が経てば消化して、憂璃をちゃんと自分の子供として見れるのでは、と言っていたが──
正直まだあの時の不快感が色濃く残っている。口にはしなかったが杏も憂璃の心情に気づいているのだろう。何度か誘いの言葉はあったものの、憂璃の判断に任せている節があった。
「ま、憂璃の生まれ育った街だし、いつでも遊びにおいで。ついでにボクの店でボクが作ったスイーツを食べてくれると嬉しいけどね」
「うん。友達も連れて行っていい?」
「もちろん。いっぱいサービスしちゃう」
吸い寄せられるようにお互い額を合わせてくすくす笑う。
「絶対、行くから」
「楽しみに待ってる。でも、無理はしなくてもいいからね」
「ありがとう。昔も今も大好きだからね……お母さん」
「っ!」
自然と溢れた言葉に杏が息を飲む。
ずっと家にいなかった母。大きくなった今なら分かる。ちゃんと母は自分を慈しんで育ててくれたと。
だって、杏の店の名前『フルール・ド・リス』。
あれは訳すと『百合の花』という意味だからだ。
自分の宝物である店の名に、自分のフェロモンの名がついていると教えてくれたのは椿だった。
「だから、しばらくは遅れた新婚生活送ってね」
「ばっ……、子供がそんな気を使わなくてもいいの!」
顔を真っ赤にして後じさる母に、憂璃は満面の笑みを浮かべる。
杏と久志は、ふたりで何度も話し合って、リスタートの意味で籍を入れたそうだ。番契約は、お互いがちゃんと思いあった時にできたらいいかな、と母は語っていた。
きっとそう遠くない未来にふたりは番になる、と憂璃は気づきつつもあえて口を閉ざす。
だって今でも久志の熱い視線が母に注がれているのだから。
ふふ、と笑みをこぼした憂璃は、風に乗って椿の仄かな匂いを感じ振り返る。
「椿さん! もうふたりとも出ちゃうそうですよ!」
遠くからこちらに向かってくる椿に手を振って声を張り上げる。
だが、憂璃のそのなにげない行動に驚きで言葉がなかったのは、当の椿だけでなく、隣に立つ壱岐、そして久志の三人だった。
「憂璃さん、カシラが来るのどうやって気づいたのですか?」
「え? だって、椿さんのフェロモンの花の香り、しましたよ?」
「「「!?」」」
不思議そうに首を傾げる母子以外の三人は、憂璃の発言に次の言葉が出ないままだった。
夜はヘトヘトになるまで客の相手をいくつもこなし、嫌悪に吐きながらも抑制剤と避妊薬を飲む日々。
杏は必死になって一年経たずに製菓学校に入る入学金などを貯め、娼館の主人を通じて玉之浦当主に連絡を取ってもらった。当主は約束を反故にすることも、世迷言だと一蹴することなく、杏が製菓学校の受験ができる手はずを整えてくれて、なおかつ外の街に出る許可証も発行してくれた。
娼館の主人は、玉之浦の当主がそこまでしてくれることに驚いていたが、杏の頭の中はこぼれてしまった夢が掴める可能性にいっぱいとなっていた。
学校に入学してからは、これまで以上に多忙を極めた。以前は五時間あった睡眠時間もこの時は二時間、多くて三時間あれば良かった。
それでも杏は仕事も勉強も頑張った。夢の一端を掴んだのだ。ここで多く稼げば、店を開く資金を貯めれることができる。
客の前では可憐で愛らしいと称される杏花として、さまざまなアルファに抱かれたし、中には身請けをしたいと申し出てくれた奇特なアルファもいた。
だけど、人に期待をしないと誓った杏は全てを断り、ただただ夢の実現のために邁進していたのである。
若さを過信していた、と当時を振り返り杏は苦笑する。
専門学校の履修期間は二年間。杏は必死にしがみつきながら過ごしてきたが無理がたたり、杏は街中で倒れてしまう。
唐突に倒れた杏を助けてくれたのが、素香久志だった。
久志はあまり良い評判を聞かないオメガ専用娼館で働いていた。
杏は絶望し、死んだ目をした久志にかつての自分を見た気がして、助けた礼と言っては食事に誘ったり、ふたりで出かけたりと久志と交流を深めていった。
しかし、杏は街の中でも上位とされている睡蓮館の売れっこ娼夫であることは秘密にしていた。杏花ではなく一個人の杏として久志と会いたかったから。
思えば、杏は久志にで出会った時から親愛とは違う感情を抱いていた。ドロドロとした情交を伴う愛情になったのはいつだったろうか。
杏は久志を愛してしまった。彼が何かの目的を持って春の街にいると薄々気づきながら……
そうして、杏は久志と一回だけだからと体を結んだ。もちろん、うなじは絶対噛まない条件で。
それから杏は学校を卒業し、昼間は翠蓮館の厨房でパティシエの修行を始めた。
師匠となったパティシエは海外のコンテストで入賞を果たし、乞われて翠蓮館で働くようになったアルファ男性だった。彼は番持ちだったので、杏も安心して彼に教えを請うことができた。
修行は厳しく大変だったが、杏は満たされた日々を過ごしていた。
だから気付かなかった。自分の体の内で新しい命が芽吹いていた事実に。気づいた時にはもう堕胎できる期間はすでに過ぎていた。
「だから憂璃を産んだ。どちらにしても妊娠が判った時点で産むつもりだったけど」
「……どうして?」
「大好きで愛してる男との子供だから」
母はきっぱりと憂璃の質問に答え、ニッと笑った。
「ただ、久志とはそれっきり会わなかった。久志はアルファだからな。いずれ街を出て行くって思ってたし、憂璃とボクが足かせになるのはダメだろうな、ってさ」
少しだけ翳りのある瞳に、憂璃の胸がズクリと痛む。
好きだから、相手の足かせになりたくないから、母は憂璃をひとりで産んで育てた。
番のないオメガひとりで子育てできたのは、春の街だったから。
あの場所は色を売ってる爛れた街だと誤解されているが、本当は不遇なオメガを守るためにある楽園だと気づいたからだ。
「ところで、憂璃から話を聞いたが、お前憂璃を育児放棄してただろう。なぜ好きな男との子供を放置した」
「は? 育児放棄? 誰が」
「実際、俺が引き取りに行ったときも部屋に居なかっただろう。そのあたりの言い訳があるなら聞いてやる」
なんだよそれ、と色の褪せた唇を尖らせる母は、やはり顔色が良くないと記憶にある母と比べて感じる。
しかしここで嘴を挟むよりかは、母が事実を喋るまで黙ってようと唇を閉ざした。
流石に憂璃を妊娠した状態で客を取るわけにもいかず、杏は娼館の主人に妊娠の事実を告げた。当然相手の素性を尋ねられたが、頑として口を割らなかった。
たった数年の付き合いであるが、売れっ子娼夫の杏花を育てたのは主人だ。杏の頑固な性格も理解していた。それにここは春の街。素性の知れない子供を孕んだオメガなんてゴロゴロいた。
結局、子供がいては娼夫を続けることは難しいと、杏花を大々的に告知をして引退させ、その後は主人の代わりに経理を担当しつつ、パティシエ修行を続けることで折り合いを提示してきた。
ただ、娼館に住み続けることはできないため、近くのアパートに引越しをせざるを得ない。
これから子育てで時間が取られるのもあり、引越し資金でお金が飛ぶのは正直懐は痛かったが仕方ないと諦める。
杏は派手な引退式をし、引越しを済ませてしばらくしてから、ひっそりと街にある個人病院で憂璃をひとり出産した。
アルビノで生まれた憂璃の子育ては通常よりも苦労をしいられたものの、純真無垢な我が子の笑顔に救われていた杏は、朝に夜にと働き続け、生活費だけでなく将来の開店資金をこつこつと貯め続けていた。
「ずっと家にいなかったのは、働いてたからだったんですね」
「そう。正直、店を引退する時にご祝儀たんまり貰ったんだけど、憂璃頭の良い子だったから。できれば大学まで行かせたかったんだよ。その貯金もあってさ」
長年、自分は母に放置されていた子供だと思っていた。
朝も夜もひとりで過ごし、休みになってもどこかへ行った記憶もない。
街の外の大人はかわいそうと言っていたけど、そういった事情があったなんて知らなかった。
「それで、お前が自分の店と憂璃のために貯金していたのは分かった。じゃあなぜ、どうして憂璃を俺に売るなんて発想になったんだ」
できることなら、ずっと傍で成長を見守ってたかったんだけど、と言い、母は話を続ける。
転機が訪れたのは憂璃が中学一年のころだった。数年前からずっと体調がおかしい時があり、重い腰をあげて病院に行った杏は、そこで自分の子宮に腫瘍が発見されたのを医師から告知される。春の街では強い抑制剤と避妊薬を併用するからか、オメガの子宮がんは割と多い病気でもあった。
一年ほど薬物療法で様子を見てきたが、日ごと腫瘍は大きくなり、血液検査の数値もよくない。できれば早く手術を、と言われたものの杏は決断できずにいた。
経理の仕事も、スー・シェフとして師匠の助手としてパティシエの仕事を任せてもらえるようになり、日々楽しいと実感していたのに、手術となればその後の治療にも専念しなくてはならず、果たして職場復帰できるか分からない。
つまり、収入も途絶えてしまうし、それどころか病状が進行していたら、どれだけ生きていけるかも分からない。
どうしようと、杏は四六時中悩んだ。
憂璃は大切で愛している男との子供だ。ずっと客だった金持ちアルファの子だと嘘をついてたから、もし自分が死んでしまったあと、正直な憂璃は嘘の父親に会いにいくかもしれない。
当然嘘であるから、そうなれば憂璃は完全孤立して、自分と同じ世界に身を落とすことになる。
そんな時、杏は椿の姿を初めて街の中で見かけた。
数年前に父である玉之浦柾から街の運営を引き継ぎ手腕を振るっていると、娼館の主人が気色ばんではしゃいでいたのを思い出す。
椿の父は、杏にとっては恩人だ。
浅学で白濁をこびりつけたままの子供を、街の高級娼館へと紹介してくれ、パティシエの道の門戸を開いてくれた。
あの厳しくも頼もしい人の子だったら、憂璃を託してもいい。
杏は椿の会社や現れる日を調べ上げ、非道で育児放棄をしている悪役母を演じ、見事椿に憂璃を託すことに成功したのである。
「いやぁ、ハリウッド俳優もびっくりな演技力!」
「冗談を言うなら後にしろ」
はいはい、と軽く椿をあしらい、母は憂璃に視線を向け、ゆっくりと口を開く。
「ボクが死んだら、誰が憂璃の面倒を見る? あの頃は久志が父親だっていうのも言ってなかったし、ボク自身久志が街を出てからどこに行ったなんて知らなかった。だから、地位も金もあるあなたにボクの大事な息子を託したんだ」
「……」
「まあ、久志に再会したのは偶然。今、春の街にカフェを開いてるんだ。玉之浦さんなら知ってるでしょ、『フルール・ド・リス』ってお店。あれ、ボクの店」
「確か、あれは翠蓮館の主人が名義で……」
「そうそう、売上の一割入れる代わりに名義人になってくれるって言ってくれてさ。ほら、ボク憂璃以外の家族がいないから、保証人立てれないし」
「ふるーるどりす?」
椿の話によると、最近春の街で人気のカフェがオープンしたそうだ。
街のオメガだけでなくアルファにも人気で、同伴したり店外デートで利用されるとのこと。
母が長年の夢をどうであれ実現させたことに驚きながらも、憂璃は母の体調に関して揺れる瞳で問いかける。
体調も手術を無事終わらせ、現在は再発を防ぐために定期的に病院に診察を受けているものの、比較的健康との話を聞いて、憂璃はホッと息をつく。
「あ、そうだ。話ふっとばして悪いけど、久志はどうなるの?」
本人にとっては気になってる質問なのだろう。椿は憮然としながら、またも煙草に火を灯し紫煙をくゆらせながら話しだす。
「正直、久志の事情を差っ引いてもぶっ殺したい気持ちが強いんだがな……憂璃、お前はどうしたい?」
「え?」
唐突に水を向けられ、ぼんやりしていた頭が弾けたように明瞭になる。
許せるかと言われたら返答に困る。今は点滴で落ち着いているが、自分は訳のわからない薬を打たれたのだ。
だからといって、椿がいうような物騒な展開も好まない。
「あの、先生って、今どうなっているんですか?」
記憶にあるのは母が教師を包丁で背中を刺した所まで。母の尋ねた内容や椿の発言を考えるに生きてはいるようだけど……
「……死んじゃいない。今は一般病棟でほぼ眠った状態だ。しかし、もう二度と歩くことはできない。腰椎の一部が破損してしまってな、俗に言う下半身不随になった」
「っ!」
「ですが、起こしたことが大きいですからね。うちも警察の介入は避けたいので、現在本家で対処について協議中なんですよ、憂璃さん」
処分……それは最悪、茶咲親子のように何かとんでもない報復がされるのでは、と憂璃はブルリと体を震わせる。
椿は憂璃の様子に気がつき、急いで吸いかけの煙草を灰皿で押し潰し、憂璃の肩を引き寄せると自分の胸へと押し付けた。
「大丈夫だ。そもそもの原因が茶咲にあるからな。ある意味久志も被害者だ。そう悪いようにはしない。前にも言っただろう、俺たちは素人さんに手を出すほど落ちぶれちゃいない」
「……うん」
頬を広い胸に押し付けると、椿のかすかなフェロモンの匂いがして、揺れていた心が静かになるのを感じる。椿が吐息するたびに楓蜜の甘い香りが憂璃の髪を撫で、とても幸せな気分に満ちていた。
◇◆◇
一ヶ月後。春らしい気候の中にも、少しだけ汗ばむようになったある日。
「憂璃、本当に一緒に来なくても大丈夫?」
「うん。前にも話したけど、外の世界で頑張ってみたいから」
杏は相対して微笑む憂璃を心配し、不安げに眉を歪める。
車の後部座席には、むっつりと黙り込む元数学教師で、憂璃の実父である久志が座っている。
椿は久志とソリが合わないのか「一服してくる」と離れてしまい、憂璃の隣には壱岐が立っていた。
茶咲の庶子ではあるものの、すでに戸籍上は他人となっている久志の処分について、玉霞会内ではさまざまな意見が飛び交ったという。
極道が一般人を手にかけると警察がうるさい、と諭す人や。
逆に極道が一般人に舐められたのだから、それなりに制裁を加えるべき、と反論する者。
それよりもそもそもの原因である茶咲元組長をどうにかするべきだろう、と責任転嫁を糾弾する人。
それはもう、収拾つけるのが大変だったと語ってくれたのは、憂璃のお見舞いに来た玉霞会の会長夫夫。つまりは椿の両親だった。
結果を言えば、久志の身は杏に一任された。多額の身代金を杏が支払って。
椿はその金が自分が憂璃を引き取る時に支払ったものだと気づいたものの、憂璃の進路については椿が出す気でいたため、あえて口を挟まず静観した。
結局は玉霞会に戻ったんだからいいじゃない、とは葵衣談。憂璃は美人なのに豪胆だなと内心で感想を漏らした。前に会った時は物静かで美人なオメガという印象しかなかったが……
それで、と切り出したのは、椿の父である柾だ。
憂璃の母である杏とは春の街に入ったころから縁があり、今回のことについてもかなり譲歩した部分があると語ってくれた。
それでも、久志は仕事を奪われ二度と歩くこともできない、だからいいのではと会の役員たちを黙らせたとのこと。ただ、二度と悪さができないよう杏を監視に置き、春の街からも杏が付き添いでない時には出さないようにもしてあるそうだ。
寛大な采配に、憂璃は自然と頭を下げた。
本当に感謝してもしたりないほどだ。
久志の処分が決まってから、杏は憂璃に何度か一緒に来ないか、と誘ってくれた。
随分遠回りしてしまったけど、もう一度親子としてやり直したい、と。
杏から久志にも、憂璃がふたりの子だと話したそうだ。多少驚きを見せたものの「そうか」と言ったきり、それから随分言葉が減ったとぼやいていた。きっと時間が経てば消化して、憂璃をちゃんと自分の子供として見れるのでは、と言っていたが──
正直まだあの時の不快感が色濃く残っている。口にはしなかったが杏も憂璃の心情に気づいているのだろう。何度か誘いの言葉はあったものの、憂璃の判断に任せている節があった。
「ま、憂璃の生まれ育った街だし、いつでも遊びにおいで。ついでにボクの店でボクが作ったスイーツを食べてくれると嬉しいけどね」
「うん。友達も連れて行っていい?」
「もちろん。いっぱいサービスしちゃう」
吸い寄せられるようにお互い額を合わせてくすくす笑う。
「絶対、行くから」
「楽しみに待ってる。でも、無理はしなくてもいいからね」
「ありがとう。昔も今も大好きだからね……お母さん」
「っ!」
自然と溢れた言葉に杏が息を飲む。
ずっと家にいなかった母。大きくなった今なら分かる。ちゃんと母は自分を慈しんで育ててくれたと。
だって、杏の店の名前『フルール・ド・リス』。
あれは訳すと『百合の花』という意味だからだ。
自分の宝物である店の名に、自分のフェロモンの名がついていると教えてくれたのは椿だった。
「だから、しばらくは遅れた新婚生活送ってね」
「ばっ……、子供がそんな気を使わなくてもいいの!」
顔を真っ赤にして後じさる母に、憂璃は満面の笑みを浮かべる。
杏と久志は、ふたりで何度も話し合って、リスタートの意味で籍を入れたそうだ。番契約は、お互いがちゃんと思いあった時にできたらいいかな、と母は語っていた。
きっとそう遠くない未来にふたりは番になる、と憂璃は気づきつつもあえて口を閉ざす。
だって今でも久志の熱い視線が母に注がれているのだから。
ふふ、と笑みをこぼした憂璃は、風に乗って椿の仄かな匂いを感じ振り返る。
「椿さん! もうふたりとも出ちゃうそうですよ!」
遠くからこちらに向かってくる椿に手を振って声を張り上げる。
だが、憂璃のそのなにげない行動に驚きで言葉がなかったのは、当の椿だけでなく、隣に立つ壱岐、そして久志の三人だった。
「憂璃さん、カシラが来るのどうやって気づいたのですか?」
「え? だって、椿さんのフェロモンの花の香り、しましたよ?」
「「「!?」」」
不思議そうに首を傾げる母子以外の三人は、憂璃の発言に次の言葉が出ないままだった。
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